WEB問診 Symview シムビュー|株式会社レイヤード
来院前に詳細な患者情報を把握することで業務効率化や感染対策に役立つWEB問診「シムビュー」。電子カルテや予約システム、オンライン診療との連携実績多数。クリニックのマーケティングにも活用できます。レイヤードはWEB問診でかかりつけ医の診療DXを推進します。
https://layered.inc/symview
二階:前職では主に大手製造メーカー向けのシステムを作る会社で11年間勤務しました。そこでエンジニアとしてのキャリアをスタートして、徐々にステップアップしていき、最後の方では主力製品の開発チームの責任者を担うようになりました。その当時は東京で勤務していたのですが、地元福岡で子育てしたいとの思いもあり転職を決めました。
転職活動では新規事業に携われる会社に絞って探していました。なぜかというと、前職ではプロダクトの開発責任者になったものの、あくまでも前任者が起ち上げた事業を引き継いだ形だったため、事業を起ち上げる事も含めて関わりたいと思ったからです。
そんな中、メディアコンテンツファクトリー(現・レイヤード)のエンジニア募集を見つけて、社長の毛塚さんと意気投合し、2017年に入社しました。
二階:入社した時、すでに毛塚さんがiPadで使う問診システムを試作していました。その時は、症状を入れたら、疾患を予測するようなシステムだったのですが、なかなか不具合がとれずに試行錯誤していたので、まずはリリースさせるという事にフォーカスしました。
最初に、全部のボタンを押して、何をしたいのかを教えてもらいながら思想を理解していきました。何をしたいのかを理解すれば、不具合をどう直せばいいかも分かります。それにシステムに足りない致命的な機能や導線などもおのずと分かります。そのようにしながら、1ヶ月程度でバグを取って、アルファ版としてリリースしました。
二階:そうですね。最初の半年は一人でした。アルファ版をリリースして、その後、サービスとしてグロースさせるわけじゃないですか。そうすると順調に進めばいろいろな医療機関に入っていくのですが、その時に何がネックになるかを考えてみました。
すると、構造に問題があることがわかりました。問診のロジックがプログラムでハードコーディングされていたんです。
例えば、今後多くの医療機関に使われ始めた時に「うちはこの質問は要らない」と言われたらどうするの?と。プログラムでロジックを書くのであれば、それが100パターンあったらもう成り立たないので、その構造自体をなんとかしないといけません。そこで、その問診のロジックをデータに変えていきました。結果的には入社後半年間でほぼ作り直しをしました。この時ついでに医療機関内での利用を想定したipad問診だけでなく、医療機関の外からも問診を入力出来るような構造にも変更していきました。
二階:リリースまではそこまで苦労はなかったのですが、いざ導入が始まると苦労の連続でした。まず、ノウハウがなくて医療機関の状況がわかりませんでした。その当時はデジタルサイネージとホームページ制作しかやっていなかったのですが、この2つは電子カルテや予約システムなどのシステムが絡まないので、病院の中のネットワークがどうなっているかが誰も分からなかったんです。
納品しに現場へ行ってみると、そもそもインターネットに繋がらなかったり、パソコンが古かったり。だから、出たとこ勝負で行ってみてとりあえずなんとかするということが続きました。
クリニックごとの状況がわからない上に、先生やスタッフさんは診察をしているのでクリニック側でなにか準備をしてくれているわけではありません。時間も、お昼休み等の限られた時間内でなんとか対応していかなければなりませんでした。さらに、スタッフの方に院内の環境について聞いてもわからないケースがほとんどで、聞く人もいませんでした。
そんな中、誰か分かる人はいないかと調べていくと、電子カルテの担当者の方に聞けば解決できそうだったので、電子カルテの担当者に繋いでいただきました。繋いでもらった後に「こういうことをやりたいんです」と話して、相談をしながらなんとか使えるようにしていきました。
電子カルテのメーカーごとにやり方は統一されているので、「電子カルテは何を使っているんですか?」と聞けば対応方法がわかるようになりました。
二階:医療機関の院長が導入を決めたとしても、スタッフさんの中には新しいものへの拒否反応が強い方もいて、単に「便利だから使ってください」では使ってもらえなかったり、スタッフさんが患者さんにWEB問診を入れてくださいと案内する時間がなかったりと、なかなか運用に乗りませんでした。
そうしているうちに、あるクリニックの先生から予約システムと連携して欲しいと要望がありました。予約システムメーカーへ連携の打診をして、患者さんが予約を取った後の画面にWEB問診へのボタンを設置してもらいました。そうすると患者さんの問診の入力率が急激に上がりました。予約を取った後の画面に「WEB問診を入れてください」というボタンがあるだけで入力率が凄く上がり、7割くらいは自然に入れてくれるようになったんです。
すると、何も案内しなくても患者さんが勝手にWEB問診を入れてくれて、問診がデータ化されて業務が楽になり、拒否反応のあったスタッフさんも感動してくれました。
機能が良くても、渡しただけでは使ってもらえない事も多いので、患者さんに使わせるところまで一緒に考えてあげることが大事なんだと痛感しました。
二階:問診数でみると、コロナ流行し始めた時期は受診控えが起きていて患者さんが来なくなっていたのですが、徐々に慣れてきて医療機関にまた行き始めるようになり、2020年10月には同年3月の2.5倍くらいになりました。コロナが一旦落ち着いて、少し経った時期に医療機関も動き出しているようでした。
二階:以前は業務効率化の面で利用していただくことが多かったのですが、発熱がある人を事前に振り分ける、トリアージとしての利用が増えました。また、紙の問診だと手渡しでのやりとりが発生しますが、WEB問診なら非接触で完結できる部分にもメリットを感じていいただけているようです。
二階:コロナ後なのですが、予防接種の予診票や発熱外来の問診等、対応できる数に限りがあるものはあらかじめ問診の入力数の制限をしたいというリクエストがありました。
あとは、厚労省のHER-SYSという新型コロナウィルスの陽性患者を報告するシステムと連携をしたのですが、その機能は陽性患者さんの多いクリニックでは手間削減に繋がったのではないかと思います。
以前はクリニック側で1日100人来たら100人分の患者の情報をHER-SYSに登録する必要があって、その作業がかなり負担になっていたんです。そこで、シムビューの問診票や所見票という機能を使ってもらうことで、HER-SYSに取り込めるエクセル形式でデータを出力し、一括登録できるようにしました。
現在はクリニックだけでなく、自治体でも使ってくれています。
コロナが始まって患者さんが受診控えをしている時期に、本当は慢性疾患にかかっていて、通院しなくてはいけないのに普通の医療サービスが受けられない状況が散見されていました。そんな状況を見て、Symviewを使って発熱していないことを事前にクリニックに伝えられれば行きやすくなるし、医療機関側も事前にどんな患者さんがくるのか分かれば安心だし対応もスムーズになると思いました。
そこで、”COVID19プロジェクト”というプロジェクトを立ち上げて、簡易版のSymviewを期間限定で無料で利用できるような取り組みも実施しました。
2年くらいの期間限定で終了する予定だったので、既存のシステムとは別に複製して新しく作りました。また、既存のSymviewは色々できる半面、オンボーディングしないと運用を開始するのが難しい側面があったので、機能を限定して、オンボーディングなしでも使えるようにしました。
企画を立てて、リリースするまで2週間くらいで進めて、全国で250件のクリニックに利用していただきました。
二階:自社サービスならではで、先生やスタッフさんが直接声を届けてくれるので、日々やりがいを感じています。特に医療は間違いなく人助けなので、世の中の役に立っているという実感があります。
二階:Symviewは今までは基本的にクリニックに導入していただいてきたのですが、今後は病院への導入も進められたらいいですね。クリニックと同様の問題は病院も持っていると思いますし、病院特有の問題もたくさんあると思います。
うちの会社は社会実装にこだわっている会社で、作って終わりじゃなくてちゃんと社会や業務に組み込むということに力を入れています。クリニックへの実装はある程度かたちになりましたので、病院にもサービス展開していき、クリニックだけでなく病院も含めて地域全体の医療に貢献できるサービスにしていけたら良いなと思います。
二階:みなさんご存知の通り、現在の医療サービスは持続性という観点では課題が山積みです。課題が多いということは新しいサービスが立ち上がるチャンスも多いということです。事業を作りたい人、新しいサービスを作って世の中にDXを起こしたいという野望がある方は一緒に頑張りませんか。チャンスが転がっていますよ!