1
/
5

『広報の仕掛け人たち』出版記念インタビュー~”食べられるお箸”事例の裏側とストーリーテリングのこれから~

マテリアルマガジンをご覧の皆様、こんにちは。マテリアル2018年入社広報担当の時田です。

この度、10月8日に宣伝会議出版より発売される書籍『広報の仕掛け人たち〜顧客の課題・社会課題の解決に挑むPRパーソン〜』にて、2016年にマテリアルが手掛けた『食べられるお箸』が紹介されることとなりました。『食べられるお箸』は、熊本県八代市産いぐさ(畳の原材料)の、見た目ではわかりにくい品質や栄養価値の高さを可視化し、もう一度国産いぐさの需要を生み出すために作られた”畳味のお箸”です。

今回のマガジンでは、当時営業として『食べられるお箸』のディレクションを担当した、ストーリーテリンググループサブマネージャー兼PRプランナーの近村洋輔氏にインタビュー。『食べられるお箸』にまつわるエピソードや、ここ数年で感じるPR業界の変化、また自身のプランナーとしてのキャリアとストーリーテリンググループのこれからについて語ってもらいました。


▼CONTENTS

1.『広報の仕掛け人たち』取材を受け、改めて食べられるお箸を振り返る
2.マテリアルの”プランナー”という仕事
3.近村率いるストーリーテリンググループのこれから

1.『広報の仕掛け人たち』取材を受け、改めて食べられるお箸を振り返る

良い意味で”PRの概念”を覆してくれた『食べられるお箸』

-約4年前に担当されていた『食べられるお箸』が、こうやってまた書籍で取り上げられることになりましたね。

自身が携わったPR案件が書籍で取り上げられることは初めてなので、非常に嬉しいです。少し書籍でも触れているんですけど、当時の僕はPR会社はパブリシティを獲得することがメインの仕事だと思っていて、その中で急に「箸を作ります」ってなったんです。自分でも何やってるんだろう?って思ったし、いい意味でPRの概念を覆されました。「PRってこういうこともしていいんだ。」「こんなに自由度が高いんだ。」と思えました。

(『食べられるお箸』に関する詳しい紹介はこちらをご覧ください⇒https://materialpr.jp/works/view/15

-当時のPR業界から見ても、『食べられるお箸』のような施策はかなり異色だったのでしょうか?

そもそも、当時は『食べられるお箸』のような案件はほとんどなかったと思います。なにか新しく”モノ”を作ってPRをするというのは異例でしたね。特に『食べられるお箸』に関しては「ゼロ→イチ」で作ったので、当時のマテリアルには前例のない仕事でした。僕が具体的に担当した業務内容で言うと、どこの会社であればこの『食べられるお箸』を作ってくれるのかのリサーチから始まって、製菓会社を見つけて交渉してからはディレクションがメインでした。実際に、「焼き箸の型を作るのがかなり難しい」なんていう話も何度か出ていました。

ー担当された業務の中で、一番大変だったことはありますか?

『食べられるお箸』がちゃんと完成して、ローンチに間に合うかどうか最後まで心配でした。ただ、実際に『食べられるお箸』が完成してから、この箸を置いてくれるお店を探して、期間限定で置いてもらえるように交渉するディレクションは楽しかったです。

代理店だからこそ担当者と同じ熱量を持って向き合う

-『食べられるお箸』を担当されていた時、近村さんはまだ新卒1年目でしたよね。当時を振り返ってどう思いますか?

当時は本当に仕事が好きで、がむしゃらに働いていました。もちろん今でも好きなことに変わりはないですが、「人一倍努力したら、人一倍成長できる」と愚直に信じていた時期だなと思います。仕事自体が本当に楽しいし、自分の知らない新しいことも多く学べるということが嬉しかったです。ある意味”ワーカーホリック”だったのかもと、今では思います。がむしゃらになれる経験があったからこそ、結果的に成長することができました。

ー営業担当として、クライアントとの向き合い方等で意識していたことはありますか?

大切にしていたことは、常に「自分がクライアントの社員だったら」という気持ちで考えて向き合うことです。僕たちはいわゆる広報代理業として携わらせてもらっています。リリース一つをとっても、誰も「マテリアルが書いた」とは分からないですよね。世の中には「その企業(クライアント)が配信したリリース」だと認識されるので、「クライアントの担当者と同じ熱量を持たないといい仕事はできない」という気概を持って向き合うようにしていました。


2.マテリアルの”プランナー”という仕事

「企画は自分の子ども」予想以上にのめりこんだプランナー職

ーその後、営業からSTC(現ストーリーテリンググループ)に異動されたと思いますが、そもそもプランナーになりたいと思ったきっかけはありますか?

実は僕自身、プランナー志望ではありませんでした。異動したきっかけは、ある日突然、当時の上司に呼ばれて「明後日からSTCだよ。」と声をかけられたことです。その時に声がかかっていなければ、今も営業だったかもしれないです。ただ、約1年間営業を経験しながらPR業務が完遂される流れが理解できた中で、「30歳までに何を学ぶべきなのか」という視点は持っていたので、漠然と「次はプランニング力が必要かも」とは思っていました。

ー異動してから約3年が経ち、プランナーとしての自分についてどう思いますか?

自分の性に合っていたと強く思います。僕自身が凝り性だし、深く考えることが好きです。そういう意味では、自分に合っていたのは営業よりもプランナーだったのかもしれないと感じていて、「想像以上に自分にはまった」と言うのが的確かもしれません。そして、約3年が経って思うことは、「マテリアルの醍醐味はここ(プランニング)なのかもしれない」ということです。自分が考えた企画が世の中に打ち出されて、生活者からリアクションが返ってくる。それが自分に充実感を与えてくれています。もちろん、多くの人の協力があることは大前提ですが、必死になって考えた企画が世の中に出ていくことは、子どもが巣立つような気持ちになります。どんな仕事や案件にしてもそれは同じことで、常に自分の子どもに向き合うような気持ちで取り組んでいます。

-現在プランナーとしてさまざまな案件に携わる中で、情報伝達方法の変化や生活者の変化を感じることはありますか?

プランナーになりたての当時、一番求められていたことはやはり「パブリシティ」でした。「いかにバズが起こせるのか」という依頼が一番多かったですね。しかし、次第に「メディアに出たからといって、本当の意味で生活者に反応されたのか?」という疑問は、世の中的にもこの業界的にも大きくなっていきました。「メディアに多く露出されました」と言っても、結果としては表れているけれど、ゴールには繋がっていない。クライアントのゴールは、”モノやサービスが売れること”であり、経営上のゴールがあるはずです。だからこそ、記事(露出)を見た生活者のリアクションから逆算して企画を考えなければなりません。ここ数年で、企画の考え方や求められる情報伝達が、エンドユーザーに寄っていったことは間違いないと思います。そして、クライアントからマテリアルにくる相談内容も大きく変化したのかなと感じます。マテリアルがパブリシティやバズだけではない事例を多く増やしたことで、会社として請け負えるPRエグゼキューション領域が拡張したことが理由だと思います。


3.近村率いるストーリーテリンググループのこれから

プランニングに100%注ぎつつマネジメントも怠らない

-『食べられるお箸』から約3年の昨年、STGのサブマネージャーに昇格されて、チームメンバーをマネジメントする立場になったと思います。現在の仕事についてどう思いますか?

僕自身は、サブマネージャーになる前も今もあまり変わっていないように感じます。自分の中では、あくまでもプレイヤーであるという意識はずっと持ています。それが対クライアントであれば、自分がサブマネージャーでもそうではなくても、求めるられることは一つも変わらないですし、マテリアルのプランナーとして社外と対峙していることに変わりはありません。ただ、社内に対しての意識はもちろん変わりました。これまでは、自分の企画がどうかという部分を大切にしていたけれど、サブマネージャーになってからは、俯瞰的に組織を見るようになりました。自分だけがいい企画を出しても、意味がない。それぞれのメンバーのキャリアや、マテリアルが会社としてどう成長できるのかを考えるようになりました。

ープレイヤー兼サブマネージャーとして、どのように業務のバランスを取っていますか?

兼務で手一杯になることもあるけれど、全てに対して全力で向き合えば問題ないと思っています。例えば、タイムシェアを組んで「8:2」で分ければ、絶対に片方に対して手を抜くことになってしまいます。「これは後で考えればいいや」とか「この時間の2割でマネジメントすればいいや」となると、全く意味がなくなっていく。PRのプロとして手を抜くことは絶対にあり得ないので、プランニングに100%を注いで向き合うことは大前提です。しかし、それを言い訳にしてマネジメントを怠ってはならないので、自分の中で優先順位をつけるとか、あえて時間で区切ったりはせず、同じくらいの力量で両立させることを心掛けています。

全ての人が当事者意識を持てる世の中を目指して

-これからマテリアルで挑戦したいことや、成し遂げたいことがあれば教えてください。

一つめは、SDGsについてより多くの人に当事者意識を持って向き合ってもらえるような施策を作ることです。日本は、SDGsのことをきちんと理解している人は実は少ないと感じていて、たとえSDGsについて知っていても、実際に何をすればいいのか分からない人も多いと思います。「2030年までに世界中で課題解決に向けて動く」という明確な目標がある中で、今の自分にできることは、SDGsに対してきちんとアクションが出来るよう、人々に影響を与えられる企画力を身につけることです。 SDGsに興味を持ったのは、ある案件で仕事をしたことがきっかけですが、それ以前の大学生の頃の経験も影響しています。たまたま3.11(東日本大震災)の日に山形県に旅行をしていて、そこで追悼式を見かけましたが、正直、追悼式を見るまでその日が3.11だということを忘れていました。その時に、時間が経つとこうも意識の中から薄れてしまうということを感じたのと同時に、自分に当事者意識がなかったことに対して強い危機感を持ちました。以来、「国民全員が被災者意識を持てるようなPRがしたい」という思いを漠然と抱くようになりました。それはSDGsに関しても同じで、世界で大きな課題とされている「貧困」や「安全な水」は、日本ではさほど問題視されていませんが、これは日本人が問題から目を背けているわけではなく、そもそも「見ようとしていない」という当事者意識の欠落があるためです。だからこそ、少しでも多くの人に当事者意識/問題意識を届けられるような企画を考えていきたいと思っています。

そして二つめは、より経営に直結するPRをすることです。現在のPRはまだ経営の指標にはなれていませんが、会社を経営する上で実はPRは大切な役割を持っているということをより体現していきたいです。もちろん、売上貢献だけではなく、インナーPRも経営に関係していますし、ステークホルダーとの関係や株価にも繋がるかもしれないですよね。従来のような「パブリシティ」云々だけではなく、会社の経営の中でPRがどうあるべきか、本質的な部分まで考えながら、PRの概念をより押し上げていきたいです。


※2020年10月時点の情報です。

マテリアル広報担当:マテリアル2018年入社の広報担当。好きな食べ物は羊羹。広報業務のほかMATERIAL MAGAZINEの執筆を担当しています。世の中のひとがもっともっとマテリアルを知って、そして好きになってもらえるよう日々勉強中。
マテリアルグループ株式会社's job postings

Weekly ranking

Show other rankings
Like 友里香 時田's Story
Let 友里香 時田's company know you're interested in their content