こんにちは、ピープルサクセスGの友永です。今回は2021年にエムスリーに入社したモーションデザイナーの後藤大輔さんをご紹介します。アメリカでAppleやMicrosoftの仕事に携わり、エミー賞まで受賞した後藤さん。そんな後藤さんがどのような経緯でモーションデザイナーを目指しエムスリーに入社したのか、お聞きしました。
――こんにちは!今日はよろしくお願いいたします。
後藤:よろしくお願いします。
――最初に簡単な自己紹介をしていただいても良いですか?
後藤:モーションデザイナーの後藤大輔です。2021年にエムスリーに入社し、サービスやプロモーション映像の制作や、プロダクトのモーションデザインを担当しています。
――まずは、モーションデザイナーになったきっかけを教えてもらえますか?
後藤:「家族など人のためになる仕事をしたかった」というのが直接的なきっかけですね。前職は制作会社で広告用のアニメーションを作る仕事をしてましたが、もっと直接的に自分の大切な人のためになる仕事がしたかったので、モーションデザイナーを目指しました。
――そうなんですね!アニメーターになったきっかけは何だったんですか?
後藤:僕、映画が好きで、映画に携わる仕事がしたかったんです。父が映画好きで、VHSとかを借りてきてくれたので、子供の頃から映画をよく見ていました。その頃は「いつか映画監督になりたい」なんて思ってましたね。
明確に映画に携わる仕事がしたいと思ったのは、19歳のときです。ニュージーランドに語学留学をしていたとき「スターウォーズ」と「マトリックス」を見たんです。この頃は映画もCGをバリバリ使うようになって、映画業界の方向性が変わったと感じたときでした。その流れを見て「僕もCGから始めたら映画監督になれるのでは?」なんて思って。今考えると、かなり子供っぽい理由で業界に飛び込んだなと(笑)。
――映画の世界に飛びこ込む、とは具体的にいうとどんなことでしょう??
後藤:3DCGや2Dといった、コンピューターグラフィックスを学べるアメリカの専門学校に1年通ったんです。その流れで制作会社にインターンをさせてもらいました。
――インターンの会社ではどういうことをしていたんですか?
後藤:最初は主にロトスコープ(実写映像をトレースする作業)ですね。寿司屋でいうところの皿洗い。フランス料理でいうところの皮むき。そんな感じの仕事です。
アニメーターとして初めて仕事をしたのは「LOGAN」でインターンをしていたとき。Microsoftの仕事で、アニメーターの欠員が出たんです。After Effectsが使えるということで、その欠員を埋める形でアニメーションを担当することになりました。
その頃の僕は、皆の仕事を真似て勉強しながら、自分でアニメーションを作っていたんです。だから「やってみる?」と聞かれて1シーンを任されるとなったときも「これならできるかな」と思いました。それほど動揺はなかったですね。
結果的に良い評価をもらえて、それからはアニメーターとして働くことになりました。有名なiPodのシルエットキャンペーンなど、たくさんの仕事に関わらせてもらいました。
――自分の作った作品が形になって残るのって面白そうですね!ここまで聞いていると順風満帆ですが、大変だったことはありますか?
後藤:う~ん……大変だと思ったことは、あまりないですね。
――後藤さんはあまり大変さを感じないタイプでしょうか?(笑)
後藤:「自分が飽きずにできるもの」をきちんと見極めたからかなと。アメリカのCG業界って、基本的に分業制なんですよ。形を作る、骨を入れる、それを動かす、そのあとに照明を当てて立体感を演出する、質感を与えるというさまざまな作業を、それぞれの専門家が担当している。僕は学生の頃から「自分にどこが向いているのか」って色々試したんですね。その中で飽きずに続けられたのが、アニメーションだったんです。
――アニメーションのどういうところが面白かったんですか?
後藤:分析が必要なことと、毎日違うことができるところでしょうか。アニメーションを作るときには、人間の行動や物理的法則を理解しないと、不自然な動きになってしまう。加えて、人が走るアニメーション、文字が動くアニメーション、携帯がくるくる回るアニメーションと、毎日全然違うものを作るたびに理解しなければいけないことが増える。それが飽きなかった理由だと思います。楽しかったというのが1番大きいですね。
――なるほど。アメリカにはどのくらいの期間いたんですか?
後藤:専門学校を含めて5年くらいですね。その後日本に帰ってきて、10年くらい日本で働いていました。
――日本ではどういう仕事を?
後藤:はじめはフリーランスで、映像やCGアニメーションを作る仕事をしていました。そのあとはIT企業に入社して、プロモーションビデオやWebサイト作成を行うデザイングループの統括。3年くらい勤めてから、会社を辞めて自分で事務所を立ち上げました。その後、再びアメリカに戻ります。
――どうしてアメリカに戻ろうと思ったんですか?
後藤:映画関連の仕事に携わりたいという気持ちが再燃したからです。実は、東日本大震災の次の日に、学生の頃からずっと仲の良かった友人が亡くなったんです。彼はもともと僕がやっているモーショングラフィックスがやりたかったけど、映画に携わる仕事に就きました。逆に僕は映画の仕事をしたかったけど、彼がもともとやりたかったモーショングラフィックスの仕事をしているという、お互いに「羨ましい」と思う関係。その彼が、急に癌で亡くなったんです。それをきっかけにして、僕がもともと持っていた「映画をやりたい」という気持ちに火がついた。日本で勤めていた会社を辞めたのも、それがきっかけです。
日本国内でも映画に関われるように色々準備をしたのですが、結局仕事に追われてしまって上手くいきませんでした。そんなとき、LOGANに声をかけてもらって、2016年に渡米したんです。
――映画関連の仕事をするためにLOGANに戻ったということですよね?
後藤:そうです。でもLOGANはAppleの仕事がメインなので、基本的にはずっとAppleの仕事。
ただ、LOGANはMARVEL系の仕事を何回もしていたので、いつかそういうチャンスが来るだろうと思って、とにかくチャンスを待ちました。結果的にアントマン&ワスプ(2018年公開)に、敵の回想シーンを作ることで参加できたんです。クレジット(スタッフロールへの名前の記載)ももらいました。
――夢が叶ったんですね!そういえば、後藤さんはエミー賞も受賞しているんですよね。その作品にはどのように関わったんですか?
後藤:エミー賞を獲ったのは、Apple TV+の配信ドラマ「CALLS」ですね。「通話」がテーマになっていて、音の波長をデザインするというアプローチで作品を作りました。
もともとフランスの番組で、Appleが版権を買ってリメイクした作品です。僕はメインの制作メンバーとしてモーションデザインを担当しました。
――そのあとも映画関連の仕事を?
後藤:実は映画関連の仕事は続かなかったんですよ。映画をやって分かったのは、僕がLOGANでやってきたハイプロダクションの仕事とそんなに変わらないということです。なので、特に映画である必要もないと思いました。その頃のキャリアはもう18年になるので、何か違うことをやりたいと考え始めたんです。
――そこで転職を考えたんですか?
後藤:そうですね。2018年ころからポートフォリオを作ったり、コネクションをあたってみたりしながら、転職活動を始めました。
その頃の僕は「自分の持っているスキルで、家族や自分など、大切な人のためになる仕事がしたい」と思っていました。それでアニメーターではなく、モーションデザイナーになりたいと考え、面接も受けて結果も合格だったんですけど、職種が違い過ぎてビザの許可が下りなかったんです。
僕がモーションデザインをやるには、ビザの要らない国―――つまり日本に行くしかありません。そのときにはプロダクションの仕事にも情熱を持てなくなっていたので、日本に帰ってモーションデザイナーの仕事を探すことにしました。
――なるほど。エムスリーのことはどのようにして知りましたか?
後藤:実はあまり覚えていなくて(笑)。検索して知ったのだと思います。
でも、医療業界にしようというのは決めていたんです。医療は誰にでも必要ですし、今後も発展性が見込める業界。僕もそういう将来性のある会社で働かないと、自身の将来が見えないと思いました。
――他にもいくつかの企業を検討されていたと思うんですが、エムスリーを選んだ決め手は?
後藤:CDOの古結さんがもつ夢ですね。僕は当時、AIを扱うIT企業と、デザイン事務所に近い制作会社、そこにエムスリーを含めた3社を検討していました。カジュアル面談で話したときに、古結さんが「エムスリーをグローバルスタンダードなブランドにしていきたい」という夢を語ってくれたんです。その夢に僕の持っている動画のスキルが必要なんじゃないか、僕が活躍できる場所なのではないかと感じました。
――ありがとうございます。では、今担当されている業務について教えていただけますか?
後藤:メインの仕事は動画の作成です。採用の動画やプロダクトのプロモーションなどを作っています。外注するときには、僕がスーパーバイザーになって仕事をすることもありますね。
エムスリーは「動画の必要性は感じていたけど、それが数字になって現れていなかった」という印象ですね。実際にやってみるとすごく有用性が高い。それが分かって「うちも欲しい」って、色んな部署から仕事を頼まれている気がします。
――なるほど。今はどのような仕事をしているんですか?
後藤:デジスマ診療の患者体験デモ動画を作っています。デジスマ診療を利用している患者さんがどういう体験をしているか、導入を検討しているお医者様に見ていただき、理解してもらうための動画ですね。
――後藤さんがエムスリーでやってきた仕事とこれまでの仕事で共通していること、また違うことはありますか?
後藤:共通しているのは、使用しているソフトウェアが同じってことだけですね。あとは全部違う(笑)。
僕がこれまでやってきたことは「映像を作る」という1プロセスでしかなかったけど、それが今は、企画・キャスティングからナレーション入れるところまで、何もかも全部自分でやっています。最終的にYouTubeにアップして、事業部にリンクを回すところまで僕の仕事です。
――全く違うんですね。そういった違いをどうやって乗り越えたんですか?
後藤:乗り越えるというか、僕の代わりにやってくれる人がいないので、もうやるしかないって感じです(笑)。最初は戸惑いましたが、そのおかげで色んなことを学べるようになったので、それは良かったと思います。
――でも一般的にそこまでギャップがあると、越えられる人とそうじゃない人がいると思います。後藤さんはなぜ乗り越えられているのだと思いますか?
後藤:多分ですけど、そういう状況を楽しめるかどうか?じゃないでしょうか。僕は知らないところに行ったり知らないことを知ったりするのが、そもそも好きなんですよ。戸惑ったけど、ネガティブにはならなかった。楽しめたのが1番大きいと思います。
――なるほど!後藤さんはもともとの経歴もすごいですが、エムスリーに来てどう成長したと思いますか?
後藤:人の話を素直に聞くことの大切さを再認識しました。僕はこれまで「動画を作る」というひとつのプロセスの中の限られたニーズしか知らず「井の中の蛙」みたいなところがありました。でもエムスリーに入って、自分の世界が狭く、知らないことが多いことに気付かされました。人の話をたくさん聞く機会が増えましたね。
――今の仕事の面白さはどんなところでしょうか?
後藤:僕は、ニーズの本質の見方が変わりました。それぞれのニーズの本質を理解して、それをタイムリーに出すというところに満足感を感じています。何より、頑張った分だけ自分や自分の大切な人に返ってくるのが良いですね。
デジスマ診療もそうです。広がれば広がるほど世界が良くなるのが分かります。エムスリーは直接的に皆の利益になることをやっている会社なので、仕事にも価値があると思います。
――価値を感じられるとやりがいに繋がりますよね。そんなエムスリーで仕事を楽しめる人はどういう人だと思いますか?
後藤:あくまで僕の経験ですけど、どういう状況でも楽しめる人はエムスリーに向いていると思います。自分の世界を広げられるので、社会人として成長できます。エムスリーは、狭い範囲だった僕に色んな経験を与えてくれました。そういう成長がしたい人には向いていると思います。
あと、皆の距離が近いですよね。上司とか部下とか、そういう階層を感じることなく色んなフィードバックを聞ける。僕はあまり日本の会社を知らないけど、縦社会をほとんど感じない会社は日本では珍しいと聞きます。そういうところは、エムスリーの魅力ですね。
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後藤 大輔
モーションデザイナー
ロサンゼルスで映像を修学。アメリカと日本で映像制作のキャリアをもつ。前職のLOGAN社ではApple社をはじめとするグローバルテック企業のプロダクトプロモーションの映像を多く担当し、2021年にはApple TV+の配信ドラマ 「CALLS」でアニメーターとしてエミー賞を受賞。2021年エムスリー入社。現在はサービスやプロダクトのプロモーション映像制作を担当している。
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