株式会社Lumos 代表取締役
岩渕響聖 (いわぶち なりまさ)
学生時代に株式会社ゲームエイトにエンジニアとして参画。月間2,000万人が訪れる国内最大級のゲーム総合情報サイトの実装と開発ディレクションを担当。その後、株式会社リクルートホールディングスに新卒入社し、住宅領域の新規事業のエンジニアとして従事。2016年に株式会社Gunosyに入社し、Web開発部・新規事業開発室で複数のメディア立ち上げを経て、2019年株式会社WARCへ入社しエンジニアマネージャーから事業部長まで幅広く経験。2024年株式会社Lumosを創業。
過去の経験から、スピード感とビジネスサイドの視点を取り入れたプロダクト開発が武器に
ーまずLumosを起業する前の経験について教えて下さい。
新卒でリクルートに入社し、不動産系の新規事業立ち上げに関わりました。半年経たないうちに、学生時代に参加していたベンチャーであるゲームエイト社がM&Aされ、そのタイミングで親会社となった株式会社Gunosyに第二新卒という形で転職。Gunosy社では広告・メディア、Web/アプリ開発と幅広く携わっていました。その後、転職サービスを立ち上げようとしていた株式会社WARCを経て、今に至っています。
現在まで様々なプロダクト開発をしてきましたが、当初からビジネスサイドとのコミュニケーションを通して得たものを、しっかりプロダクトに落とし込むことを大切にしていました。
ー新卒から技術職ということですが、プログラミングとの出会いは?
高校の授業内でプログラミングに触れる機会はありましたが、そこまで適正は感じていなかったというのが正直なところです。
転機になったのは、大学時代に経験した「大学対抗競技用プログラミング」のコンテスト出場です。今でこそ競技用プログラミングは一般的になってきましたが、当時はなかなかニッチな領域で、一部の界隈で賑わっているものでした。なので、大学の代表として出場することはハードルの高いことでしたが、そこに熱中して取り組んだことが発射台になったと感じています。
そして、この時一緒にチームを組んでいた先輩が、ゲームエイト社に誘ってくれたことが契機となり、今の人生につながるプロダクト開発領域に足を踏み入れました。
より人の人生を変えるサービスに携わりたいという想いから転職、そして起業へ
ーメディアから人材領域への転職に至ったきっかけは何だったんでしょうか。
Gunosy社の「情報を最適に届ける」というミッションには共感しつつも、学生時代から数えると4〜5年ほど同じことをやっていたので、何か新しいことにチャレンジしたくなっていました。
ちょうど30歳という節目の歳に近づいていたという背景もあり、より人の人生を変えられる領域である「人材領域」に着目。そんな時、知人の紹介で新しい転職サイトを立ち上げようとしていたWARC社と出会い転職を決めました。
エンジニア職としての入社でしたが、マネージャー・PM、徐々にビジネス領域にまで責任範囲が広がり、事業部長として事業計画や営業、組織設計、採用等にも関わりました。ハードでしたが幅広い領域の視座を得ることができた時期でしたね。
ーでは、そこから起業に至った経緯について聞かせてください。
前職時代、隣の事業部がエージェント事業部だったのですが、その業務をみていて、本来不要なコストをかけて仕事をしている同僚の姿を目の当たりにしていました。同時に、自身の業務領域が広がったことで、エンジニアとして意思決定することは多くなる一方、プロダクト開発自体をする機会が少なくなっていたんです。
社内メンバーの助けになりたい想いと、趣味的に開発したいモチベーションから「エージェントハブ(現在Lumosが提供するサービス)」の土台となるプロダクトの個人開発をはじめました。
このプロダクトについて、いろいろな人からレビューを受ける中で、徐々に複数の会社から「使ってみたい」というお声をいただくように。ただ、個人開発では導入の壁が大きかったため、法人化と「エージェントハブ」のサービス化を決意しました。
ープロダクトが先立っての起業だったんですね。「Lumos」という社名や「テクノロジーで光を灯す」という理念に込めた想いを教えて下さい。
「Lumos」は、ラテン語で光を意味し、社名と理念はセットで考えました。世の中は、考えられないほど非効率な業務で溢れています。コードが書けなかったり、プロダクト開発ができなかったり、自動化できなかったり、そもそも自動化しようという考えに至らなかったり。そんな領域の光になりたい、という想いをこめました。
原体験である学生ベンチャー時代の経験を、次の世代に還元したい
ー立ち上げから現在を振り返ってみるといかがですか?
過去の経験から人材紹介のビジネス構造や、課題、本質的なニーズは把握できていました。また、それらを落とし込んでのプロダクト開発はずっと得意としてきた領域なので、他社よりは苦労が少なかったと思います。
しかし、「エージェントハブ」のプロダクトターゲットは、求職者でもなく人事担当でもなく、転職エージェントです。代理店的側面を持つターゲットに対するバランス感覚を持った開発者に出会うのが難しい点に、現在も苦労しています。ターゲットが特殊な分、しっかり理解しないと開発デザインに落とし込めず、自分が丁寧にレビューしなければ開発が進まない場面もあり、この点は大きな課題の一つです。
また、プロダクト改善を優先する今は営業も最小限ですが、次のフェーズに向けては営業体制の強化も必須だと感じています。
ーもともとは岩渕さん個人開発からのスタートでした。現在共に働いているチームメンバーとの出会いや、今後のチームづくりについてはどう考えていますか?
エンジニアとデザイナーについては、現在はリファラルなど人のつながりを重視しています。一方、インターンについては、どんどん新しいメンバーを迎え入れたいです。
私自身、学生ベンチャー時代の経験が自分を形づくる原体験になっており、恩返しというか、この経験を次世代のエンジニアに還元したい想いがあります。
ただ、現在の就職活動では「インターン」がいわば必修科目化しているところがあると思っていて。インターンに行くことが当たり前になっている分、本当に貪欲なモチベーションを持った人を見極めるのが難しくなっています。実際に、私達も最初の1人目のインターンとマッチングするのにすごく苦戦しましたが、現在はその1人目の縁から3人の優秀なインターンに出会うことができました。
“行って当然”という意識では、なかなか良いマッチングは生まれません。やりたいことや学びたいことへの情熱があるが、どうしていいかわからなくて迷っているような方のチャレンジに、組織として全力で一緒に向き合いたいです。
AIでプロダクトの価値を進化、そして仲間の幸せを実現する組織へ
ーこれからの業界、そしてプロダクトについて考えていることを教えて下さい。
業界的には、有料職業紹介免許の取得数が右肩上がりで増加する反面、埋もれていく事業所が多くいるのも事実です。求職者・求人会社、両方面への営業に苦戦したり、スキルが属人化しやすい分野なので、それが廃業の原因になることもあります。
ここを支援するのがエージェントハブの使命だと思っていて、その支援機能向上のためにAI領域を強化していく必要があると思っています。すでに社内業務効率化のためのAI活用はしていますが、プロダクトの本質的価値をより高めるためのAI領域に、今後チャレンジしていきたいです。
ー最後に、今後の組織に向けた岩渕さんの想いを教えてください。
私はLumosに関わってくれたすべての人に幸せになってほしいです。本気でそう思っています。例えば、入社してくれたメンバーには、最初に「Lumosで何がしたいか」を必ず聞くようにしているんです。叶えたい理想があるなら、そこから逆算や因数分解をしながら実現への道を一緒に考えたいと思っています。会社としても本気で向き合うから、その分、メンバーにも真正面からLumosに向き合ってもらえることを期待しています。
本気で自分の時間を使いたい方や、リスクを取ってでもチャレンジしたい人を、組織としても個人としても応援しています。チームメンバー・クライアント含め、Lumosに関わるすべての人と、楽しみながら熱狂できる未来を作っていきたいと思っているので、そんな環境を楽しめる方をお待ちしています。