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- アトラクションができるまで - 「KAKU-LANE/デジタルかくれんぼ」

こんにちは!株式会社リトプラPR担当の松倉です。

弊社は、「遊びが学びに変わる」をコンセプトに、全く新しい次世代型テーマパーク「リトルプラネット」を企画・運営しており、デジタルコンテンツならではの体験の新しさ、可変性の高さを生かしたアトラクションを数多く生み出しています。

「-アトラクションができるまで-」第5回となる今回は、3月から「リトルプラネット KITE MITE MATSUDO」でテスト稼働がスタートした、『KAKU-LANE/デジタルかくれんぼ』(カクレーン)について、ご紹介します!

このアトラクションは、横浜市立東市ヶ尾小学校(ひがしいちがお)5年生のみなさんとの「未来学習」(※)がきっかけで誕生しました。東市ヶ尾小学校と連携してアトラクション開発をリードした、企画担当の「みやっち」、開発担当の「うーたん」とのインタビュー形式でお届けしますので、ぜひご覧ください!

※「未来学習」についてはこちらをご覧ください




開発者の紹介

企画担当:みやっち 東京都出身。大学在学中はこどもたちのキャリア教育を目的としたNPO法人の設立に関わる。探究型学習の企画、運営を担当しこどもたちが好きなことを主体的に学ぶ環境を作る。 新卒社員として入社後、リトルプラネットでパークアシスタントマネージャーを経て、2021年から主に学校連携など教育関係の取り組みを担当、現在に至る。

開発担当:うーたん 大阪府出身。業務システム系の開発会社で7年ほど開発を行う。趣味で作っていたVRアプリを携えリトプラの門を叩く。リトプラには5年ほど在籍し、十数種のアトラクションを開発。画像処理・センシングが得意。趣味は電子工作。


アトラクション誕生までの経緯

ーー 本日はよろしくお願いします!早速ですが、『KAKU-LANE/デジタルかくれんぼ』はどのような経緯で開発がスタートしたのか、教えていただけますか?

みやっち
未来学習の一環として、2022年6月から横浜市立東市ヶ尾小学校のみなさん(当時5年生)と「遊び×デジタル」をテーマにしたリトルプラネットのアトラクションを企画する取り組みを開始しました。

5年生一人ひとりが「企画シート」を使って、アトラクションのアイデアを考えました。
「テクノロジーとはなにか」「リトルプラネットはどんなところ?」など、さまざまな特別授業を経て、企画アイデアをグループでまとめ、最終的にはクラス単位でまとめていきました。
取り組みの最終授業ではリトプラの経営、および開発メンバーに向けてこどもたちが企画内容をプレゼンしました。

プレゼン内容は社内に持ち帰り、社内ハッカソン(※)のテーマとしてエンジニア、デザイナーの手によって形づくられました。そこから一番人気のあった「AI鬼かくれんぼ」が新アトラクションとして採用されました。
※エンジニアやデザイナーが集まり、一定期間集中的にアプリケーションやシステムなどを開発するイベントのこと

その後、リトルプラネットへの導入に向けて、AI鬼かくれんぼの企画をブラッシュアップし「レーンを使って体験するかくれんぼ」から『KAKU-LANE』と名付け、和名はAI鬼かくれんぼを参考に「デジタルかくれんぼ」としました。


ーー 私も先日こどもと一緒に『KAKU-LANE』を体験してきました。身体と頭をフルにつかって楽しめるアトラクションになっていて体験後は汗だくになりました(笑)。開発者目線ではこの企画はどのように感じましたか?

うーたん
私も東市ヶ尾小学校のみなさんのプレゼンに参加させていただいて、「AI鬼かくれんぼ」の企画にビビっと来ました。企画内容を簡単にまとめると以下になります。

1.壁面に鬼が投影されている
2.鬼には視界があり、こちらを見つけると攻撃してくる
3.鬼がこちらを見ていない時に、ボールを鬼に向かって投げると、鬼を倒すことができる


▲横浜市立東市ヶ尾小学校5年生が考案した『KAKU-LANE』の原案

▲センシング方法(※)の原案
※センサーと呼ばれる感知器などを使用して様々な情報を計測して数値化する技術の総称


うーたん
このプレゼンが非常に良くできていて、最後まで聞き終わる前に「作ってみたい」と感じました。
発表終了後、即座に社長・上司に「あれ、やらせて下さい」と言ったのを覚えています。

アトラクション開発チームが抱えていた悩みとして、壁面に映像を投影しタッチする形式のアトラクションが多く、壁以外の空間的広がりが無いというものがありました。

この「AI鬼かくれんぼ」は空間を上手く使い、その問題を解決してくれるように見えました。

また、以下の要素が含まれており、リトルプラネットが目指す「アソビ」になると確信しました。

  • 頭を使う 鬼の動きを予想して隠れよう
  • 体を使う ボールを鬼に当てよう
  • みんなと協力 簡単なルールだけど奥深い!



アトラクションを形にするうえでの大きな課題と向き合う

ーー 今回のアトラクションは『ZABOOM JOURNEY』と同じような動的アトラクションですよね。“デジタルかくれんぼ” ならではの開発が難しいポイントなどはありましたか?

うーたん
難しかった点は2つです。

1つ目が、開発期間の短さでした。実際の開発スタートからパークに設置するまでの期間が短く、試行錯誤する時間がほぼありませんでした。
この点はみやっちが、開発実装以外の業務を文字通り全て引き受けてくれたお陰で大分助かりました。

2つ目が、「AI鬼かくれんぼ」の企画をそのまま使えなくなってしまったことです。
「AI鬼かくれんぼ」の原案では、隠れながらボールを投げて鬼に当てる、という体験でした。
しかし、投げたボールが床一面に転がることによる安全性や片付けるコストの問題が議論され、パーク運営的にボール使用が難しいという判断になりました。このアトラクションを構成するボールという大きな要素が突然無くなり、途方にくれました。

ボールの代わりに手で壁面をタッチする方向で案を出してみましたが、体験者の動きが単調になるアイデアしか出てきませんでした。
一旦、かくれんぼ方式をやめて、「だるまさんが転んだ」方式でテストしてみることになりました。


▲「だるまさんが転んだ」バージョンを試しているうーたん。一つ目のキャラクターが怖すぎてボツになったそうです(笑)


うーたん
カメラで人の動きを検知し、キャラクターがこちらを向いている時に動いたらアウトになる仕組みになります。一人で遊ぶ分には楽しめましたが、多人数が同時に遊ぶと難易度が上がり、誰が動いたかも分かりづらく、こどもが楽しく遊べるものではありませんでした。

このように、だるまさんが転んだ方式があまりパッとせず「どうするんだコレ、、、」という空気感が漂い、なかなか代案が出ない状況でした。

しかし、この試作品を動かしながらチームでアイデアを出している時に、ふと1つの案が浮かびました。
段ボールで床を区切って複数のレーンを作り、レーンごとにアウト判定をしたら多人数でもストレスなく遊べるのではないかというものです。この案が出てきた瞬間のことはよく覚えていて、「これはいける!」と直感しました。

▲「カクレーン」の語源となるレーンを設置した際のイメージ図


うーたん
レーンの奥に入ってもらうために、壁面にお宝を設置し、タッチでお宝を回収する体験にしました。また、体験者を検出する方式も「動いたら」から「レーン範囲に侵入していたら」に変更し、段ボールを設置して横移動を防ぐことで体験者に動きが出るようになりました。

このアイデアが出てからは、ノンストップで開発が進みました。アトラクションの全容も見えるようになり、このアイデアが浮かんだ時に直感した楽しさがそこにあるように感じました。


▲床を区切り複数のレーンを作った形。レーンのなかにいなければ、「オニ」に見つかることはありません。この間に宝箱にタッチしてお宝をGET!


▲レーン範囲に体験者が侵入していたら、「オニ」がおもちゃのハンマーでピコっとしてきます。悩みに悩みぬいた先に新感覚の「アソビ」を発見!


みやっち
3レーン方式に加え、「おにごっこ」や「かくれんぼ」をベースにしているので、体験の流れもとてもシンプルでわかりやすいものになりました。
次はどこへ動くかわからない鬼の動きや、鬼から目が離せない仕掛けなど鬼の動きには特に注目していただきたいポイントです。

また、リトルプラネットでは数少ない縦横に大きく移動しながら体験ができるアトラクションになっています。身体を使って、みんなで体験できるので、あっちこっちへ移動しながら、お友達と声を掛け合ってハラハラドキドキしながら体験することができます。



東市ヶ尾小学校とのつながり

ーー 試行錯誤を繰り返しながら、アトラクションとしての形が見えてきましたね!これも東市ヶ尾小学校のみなさんが考えてくれた素敵な企画がベースにあってこそだと思いますが、導入が決まった際に、こどもたちにはどのようにお伝えしましたか?

みやっち
こどもたちには最終的にどの企画を採用したのかお伝えできていなかったので、アトラクションが完成する前に採用した企画や開発の進捗状況などをお話しに行きました。
約1年ぶりの東市ヶ尾小学校への訪問となるため、こどもたちに会う前は取り組みのことを忘れられていないかな…と不安になっていました。

授業が始まり教室に入ると「みやっちだー!」とみんなに声をかけられました。
そして、「遅いよ~」「かなり待ったよ!!」と言われました(笑)。
報告が遅くなってしまい申し訳ない気持ちとともに、企画に対する熱が冷めていないことにとても嬉しくなりました。当時はみんなマスクをしていたので、「みやっちこんな顔してたんだね」とか、「あの時こうだったよね」など、いろいろな話で盛り上がりました。
私が思っていた以上にこの取り組みがこどもたちの記憶に残っていると実感できたことがとても嬉しく、印象的でした。


うーたん
“餅は餅屋” 。こどもが楽しめるアトラクションはこどもに聞け。今回の開発で強く感じました。
当初の東市ヶ尾小学校のみなさんが企画してくれた「AI鬼かくれんぼ」の全てをそのままアトラクション化した訳ではありません。

しかし、「鬼」「かくれんぼ」というモチーフは、東市ヶ尾小学校のみなさんが必死に1年を通して考え、絞りだしてくれたものです。みなさんの経験、今感じているもののなかから、一番アツいもの、それらをいただいた時点でちょっとわくわくするもの、それが「鬼」「かくれんぼ」だったのだと思います。それをいただいた時点で、どのように開発が進んでも最終的にはおもしろいものになったのだろうなと。

私たち大人は「鬼」「かくれんぼ」というものがこども達にウケるということは知っています。しかし、数ある遊びやモチーフから「鬼」「かくれんぼ」を優先して企画として拾い上げることは稀でしょうし、例え拾い上げられたとして、それらのモチーフの良さを引き出したものを作るのは難しいと思います。

開発を進めていく中で、この2つのモチーフが私に対して、どのような機能・体験が必要か何度も教えてくれたような気がします。
頭で考えるまでもなく、自然と「こうだよね」と開発が終わっている様な。



ここまでお読みいただきありがとうございます。

リトプラでは、教育や保育に携わる公社・団体、企業と積極的に連携し「アソビでミライをつくる」という企業ミッションの実現を目指しています。

今回のアトラクション「KAKU-LANE/デジタルかくれんぼ」も、遊びの達人であるこどもたちのアイデアをベースに開発チームが試行錯誤を繰り返しながら、誰もが安心して楽しめるアトラクションに創り上げました。このような共創プログラムもリトプラならではのユニークな取り組みだと思います!

リトプラに少しでもご興味をお持ちの方は、カジュアル面談も実施しているので、ぜひお気軽にエントリーください!

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