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歴代LINE最年少執行役員対談。二木祥平×稲垣あゆみが語る「サービス企画者としてのLINE STYLE」

2019年に新しく29歳で最年少執行役員となったLINE企画センターの二木祥平と、「LINE」の立ち上げに携わり、2016年に33歳で当時の最年少執行役員に就任した現・上級執行役員の稲垣あゆみが、「サービス企画者としてのLINE STYLE」について語りました。

LINE STYLE」とはLINEらしいやり方、考え方を11項目にまとめたものです。まさに「LINEのスタイル」としか言いようのないユニークな価値観や方法が詰め込まれています。

今回は1項目ずつ、サービス企画者としての具体的な実践方法を語ってもらいました。

二木 祥平(にき しょうへい)
執行役員/ビジネスプラットフォーム企画担当。2012年、慶應義塾大学卒業後にリクルートに新卒入社。2015年、LINEに企画担当として入社。2019年1月に執行役員に就任。LINEのプラットフォームを生かして、企業やサービスとユーザーの距離を縮めることがミッション。主にLINE公式アカウントや広告プラットフォームの企画を担当している。

稲垣 あゆみ(いながき あゆみ)
級執行役員/LINEプラットフォーム企画統括。一橋大学卒業後にベンチャーの立ち上げなどを経て、2010年5月、ネイバージャパン(現LINE)入社。東日本大震災後、大急ぎでLINEを開発していたときの、3人の企画メンバーのうちの1人。2016年、執行役員に就任。現在は、上級執行役員としてLINE企画センターを統括している。プライベートでは2018年8月に長男が誕生。



二十九にして「悟りの境地」

──お2人はいまどんな仕事をしているんですか。

二木:(稲垣)あゆみさんが統括している、LINE企画センター内のビジネスプラットフォーム企画室で、LINEのプラットフォームを生かした法人向けのプロダクトを企画しています。あゆみさんとは「このプロダクト、企業は喜ぶかもしれないけど、ユーザーは本当にうれしいんだっけ」とか、よく議論していますね。

稲垣:二木さんが担当してくれているのは、LINEのビジネスのコアになる部分です。そこでのプロジェクトの進め方、プロダクトのつくり方、チームマネジメント、メンバーや他部署とのコミュニケーション、どれをとっても二木さんはすごく優秀。若いメンバーのロールモデル的な存在だと思います。いま29歳で最年少の役員ですよね(2019年4月時点)。その若さなのに、自分を客観視できていて、もはや「悟りの境地」にいるようにも見えるんだけど、何かあったの(笑)?

二木:ブッダの本は読みましたが、悟ってませんよ(笑)。小さい頃に黙々とガンダムのいろんな役になりきって遊んでいたので、割と冷静に第3者の目線で自分を見られるようになったのかもしれないです。仕事で難しい状況になっても、どこか「大変そうだなあ、オレ」と、他人の目で見ているというか。

――今回のテーマは「LINE STYLE」(LINEらしいやり方、考え方)です。お2人がLINEのサービス企画者として、どんな風に実践しているのか、お伺いしたいです。


LINE STYLE BOOK」を見ながら、話してもらいました。PDFデータを公開していますので、ぜひダウンロードしてみてください。

サービス企画者としてのLINE STYLE

「LINE STYLE」は11項目。今回は1項目ずつ、サービス企画者としての具体的な実践方法を語ってもらいました。


ユーザーニーズの見つけ方

1)Users Rule(全ての原点は、ユーザーニーズ)
WOWを生み出す源は「ユーザーニーズを把握すること」です。しかしユーザーに「欲しいものは?」と聞いても、答えは永遠に見つかりません。真のニーズは、ユーザー自身も言葉にできていない未知の部分にあり、それを捉えるのは至難の業です。隠れた真のニーズを見つけ出すためには、ユーザーへの深い洞察力と執着心が必要です。ユーザーのほんの小さな動きまで見逃さず、絶えず疑問を持ちながら、あらゆる方法で、奥底にあるニーズを徹底的に問い続けること。ユーザーへの熱すぎる思いがあってこそ、WOWへの道が開かれます。

二木:これはもう、日常生活そのものが、ユーザーリサーチになっている感じですね(笑)。何か課題があると、頭の中の15%くらいは、いつもそのことで占められていて、気づいたら家にいるときもずっと考えているんですよ。そうすると、日常のふとした瞬間がヒントになって、そこから企画が生まれたりするんです。なので、毎回特別にユーザーリサーチをする、ということはないですね。

稲垣:必ずしも「Users Rule」=ユーザーリサーチじゃないからね。リサーチしないと全然わからない、というのは困りますね。私もやっぱり、周りの人がどんな風にLINEを使っているか覗いてみたくなっちゃうし(笑)。友だちに会ったときによく「LINEの質問してもいい?」なんて聞かれたりするけど、そういう情報がけっこう大事なんだよね。

二木:定点観測的なユーザーリサーチも大事にしていますが、リサーチルームに呼ばれるユーザーは気負っちゃっているところもあるから……。自分の行動範囲や、見える景色のすべてをリサーチルームにしちゃう方が私には合っています。普段から考えているので、奥さんとデート中に「またどっか(意識が)行ってたでしょ」と言われたり(笑)。


編集担当メモ:
見える景色のすべてをリサーチルームにする。定点観測的なユーザーリサーチも大事だけど。

スピードを出す条件

2)Stay a Step Ahead(完璧さより、まず踏み出す勇気)
ユーザーニーズを満たすアイデアが生まれたら、いち早く形にするために、1分1秒でも早く、全速力で行動しましょう。WOWは「ユーザーを感動させる初めての体験」であり、ユーザーに「初めて」と認識してもらえるかどうかが、NO.1への分かれ道になります。世の中にはすでに同じ発想を持った人がいるはずです。だから、まずはユーザーに届けることが最優先。「すべてを揃えてから」ではなく、「WOWの最小単位ができたら」勇気を持って世に出す。誰よりも早く失敗し、誰よりも早く改善し続けること。小さく速く、動き続けるスピードこそが、LINEの競争力です。

稲垣:どんなサービスも「まず出してみる」という姿勢は大事。私の場合、最初のリリースでは理想型のだいたい6〜8割の状態でいいかなと思っています。もちろん、ニーズに基づいて、期待を込めて出すんですけど、正直そんなにキレイな効果がすぐに現れるとは思えない。むしろ、出した後が勝負。ユーザーから評価されなくても「ダメだった」で終わらせるんじゃなくて、そこから、いかに歯を食いしばってよくしていけるか、それがサービス企画者として一番大切なこと。

二木:ただ注意したいのは、スピード優先のときもコアな部分は、絶対に外しちゃいけないんですよね。ここはなんとしてもこだわる、ディテールまで突き詰めるみたいな。出すことを急ぐあまりに、いい加減な状態で出して、うまくいかなくて、すぐに閉じる、というのはもったいないと思います。

稲垣:おっしゃるとおりで、いかに素早く、しかも細かい部分にまで気を遣ったものを出せるかですね。理想のレベルに達していなくてもコアのしっかりしたものをまず出して、試す。その反応を見逃さずに、改善すべきポイントを見極めてすぐに直して、また試す。このサイクルを、スピード感をもって回すということですよね。

編集担当メモ:
「まず出してみる」が大事。でもコアな部分は絶対に外さない。

ディテールの精度の保ち方

3)Perfect Details(追求すべきは「紙一重」の違い)
スピードと両立させるべきは、職人的な細部へのこだわりです。速さだけを重視して大雑把な仕事をしては意味がありません。世の中のNO.1サービスは必ず、他とは差別化された細部への圧倒的なこだわりを持っています。最終的に選ばれる決め手は「紙一重の差」なのです。どうしたらユーザーが喜ぶか、あらゆる可能性・選択肢を試し、一度できあがったものに対しても、改善を重ねて完成度を高め続けていく。適当なところで終わらせず、最後の最後まで突き詰める姿勢が、製品やサービスに命を吹き込み、血の通ったものを生みだします。

二木:ディテールに関して言うと、ユーザーとしては、アプリを実際に使って感じるレイアウトの素人感だとか、ポップアップの文言のつたなさだとか、翻訳がヘンだとか、ちょっとした残念感の積み重ねでサービスを使わなくなる。そのポイントを意識したうえでの「踏み出す勇気」なんだと思います。

稲垣:というのが、「Stay a Step Ahead(完璧さより、まず踏み出す勇気)」と「Perfect Details(追求すべきは「紙一重」の違い)」の関係性ですね。

二木:もう1つ加えると、企画書も自分だけの力を過信しないで、いろんな人の頭脳を借りてつくるべきですね。あとは、書いた企画書は時間帯や場所を変えて、フレッシュな頭で見直してみる。画面だけじゃなくて、印刷してみるとか。メディアを変えて眺めてみると、ちょっとしたミスや違和感に気づきやすいですね。それもディテールの精度に影響してくると思います。

編集担当メモ:
ちょっとした残念感の積み重ねでユーザーが離れてしまう。フレッシュな頭で、時間、場所、メディアを変えて眺めてみると、ミスや違和感に気づきやすい。

データとの向き合い方

4)Always Data-driven(感覚ではなく、データ=事実を信じる)
LINEは全ての判断基準をデータに置いています。データは単なる数字ではなく、ユーザーニーズの総体であり、ユーザーの評価そのものであり、戦略と行動を決定する羅針盤だと考えているからです。仕事で苦労していると、見たいことだけを見ようとし、数字を客観的に分析しなくなる危険性があります。未知の市場で挑戦していくためには、固定概念をなくし、「真の答えはデータにある」と受け入れ、目標に向かって前進していきましょう。

稲垣:さっき、「Users Rule(全ての原点は、ユーザーニーズ)」のところで、日常でユーザーリサーチをするという話をしたんですが、もちろん定量調査、定性調査を通じてデータからわかることに真摯に向き合う姿勢も大切だと思っています。実際にユーザー調査をしてみて、「あ、私たちの感覚と全然違った」ということもよくあるよね。1年くらい前、「LINE家計簿」をつくる前にリサーチしたときがそうだった。みんな当然、家計簿アプリを使っていると思ったら、意外と紙の家計簿が多かったりして。

二木:そのサービスについて自分が詳しくなればなるほど、普通の人の感覚や使い方がわからなくなる。自分たちのバイアスを外していく作業は重要ですよね。

稲垣:ただユーザーの声から新たに見えてきたことがあったとしても、それにとらわれて思い込んでしまうのは危険です。それは1つの情報でしかないから。本当にそうなのか、実際にデータを見て確認しないと分からない。両方をバランスよくやらないと。

二木:大事なのは、データで何を解決したいのかという問いをどう設定するかということと、データの切り口を考えることですね。そうしないと、いくら良質なデータを集めても、ただの勘違いに終わってしまったりするので。

編集担当メモ:
データと向き合うのは、自分たちのバイアスを外していく作業。問いの設定と切り口が大事。

少数精鋭が成り立つには

5)Build Lean and Exceptional Teams(最高を目指す、少数精鋭のチーム)
会社としてのLINEは成長を続けています。しかしチームが2倍に大きくなったからといって、成果も2倍になるわけではありません。かえってスピードが2倍遅くなることもあります。NO.1サービスのほとんどは、「それなりで満足する多数」ではなく、「最高を目指し続ける強い意志を持った少数精鋭」によってつくられます。組織が拡大しても小さなチームを保ち続けることによって、LINEは、強いリーダーシップをもった「100のスタートアップ」が切磋琢磨する場になります。規模ではグローバル巨大企業にかなわなくても、多くのリーダーシップを活かし、卓越した小さなチームの集合体として勝負していきます。

稲垣:LINEの組織づくりの観点からすると、「Build Lean and Exceptional Teams(最高を目指す、少数精鋭のチーム)」を実感することはけっこうありますね。チームのメンバーが相応の裁量を持って、自分の持ち場で頑張るんだって意識しているから、少数精鋭が成り立つ。




二木:個人に与えられる裁量の範囲は、たしかに大きいですね。LINEに来てそれは感じました。中途採用で入ってくる人もだいたいそれで驚きます。「これ、やってみたんですが、どっちがいいですか」「いや、そこは自分で責任持って決めて」みたいなやりとりはよくあります。

稲垣:ただ、個人の裁量で進めるのが行き過ぎて、人の意見を受け入れなくなっちゃうのは問題。「ここは私のテリトリーだから」って他人を寄せ付けなかったり、「じゃあ、どこまでが私なんですか」と言ってみたり。そうじゃなくて、お互いに「こうしたい」というのをフランクに言える雰囲気を保ちながら、一定の領域では自分が責任を持つ。その個が全部つながって1つのプロジェクトが動いているのが理想ですね。

二木:私のチームは新卒のメンバーが多いので、その時点の実力で物事を判断しないようにしています。今は力が足りなくても、その後の伸び方がスゴいので。人は常に成長するものだと思うから、そのときのレベルよりも少しハードルの高い仕事を担当してもらいます。「できそうにない」と言われても、「大丈夫、来月にはできるようになる」って。悩みながら工夫していく中で、能力も効率も上がっていくんですよね。

編集担当メモ:
人は常に成長するもの。少しハードルの高い仕事を担当してもらう。悩みながら工夫していく中で、能力も効率も上がっていく。

リーダーとしての役割

6)Open Communication, Vertical Decision-making(オープンな議論と、リーダーによる決断)
人は誰でも間違った判断をすることがあり、一人の人間があらゆる分野に長けているわけではありません。それはリーダーもメンバーも同じです。互いに間違っていることは率直に指摘し、答えを探すためのプロセスとしてオープンに討論できる環境であることが成功の確率を高めます。そのプロセスを経て、チームは多くの可能性の中からひとつのゴールを設定します。最終的な決断を下し、結果に責任を持つのが、リーダーの仕事です。ほかのメンバーは、リーダーの判断を信じ、同じ目標に向かって最大限に協力しましょう。成功にはリーダーシップとフォロワーシップの両方が不可欠です。

稲垣:みんなの総力で、企画を創り上げていくことはもちろん大切なんだけど、意識決定がない議論はLINEではあり得ない。プロジェクトが前に進まないから。適度なトップダウンがないとダメなんだと思います。それが「Open Communication, Vertical Decision-making(自由な議論と、リーダーによる決断)」ですね。

二木:その点で言うと、リーダーの役割として「雰囲気づくり」も大事だと思っています。会議でも、LINEのコミュニケーションでも。あゆみさんがめっちゃうまいですよね、場の空気をほぐしてみんなに話させるの。

稲垣:そう(笑)? みんなして一緒に笑うって大事だよね。そういうのは、たしかに意識している。

二木:景色がパっと変わるんですよ(笑)。



編集担当メモ:
意思決定がない議論はありえない。適度なトップダウンが必要。みんなで笑う「雰囲気づくり」も大事。

ゴールを共有する感覚

7)Keep in Sync, Aiming for the Same Goal(同じゴールを目指し、同期し続ける)
チームには多様な才能が集まるからこそ、バラバラな方向に進まないように、丁寧に気を配らなければなりません。まずは全員が確実に同じゴールを描くことから始めましょう。ユーザーニーズは常に変化しているので、ゴール地点は刻々と変わるかもしれません。日々の軌道修正をリアルタイムに確認し合い、歩調を合わせて進むことが重要です。始まりから終わりまで、全ての行程で細かく情報共有し、ひとつの目的地に向かう。同期する作業を日々繰り返すことで、一人では到達できない、チームとしての成功が見えてきます。

稲垣:会議のときはもう1つ、私は「ゴールを共有する感覚」も意識しています。それがこの項目かな。それぞれが対立したことを発言していても、最後は「でも、やりたいことはみんな一緒だからね」って丸めるような。

二木:それはリーダーの決断にも通じますけど、最初にリーダーが「これで行くぞ」って方向性を合わせておくといいですよね。ただ、チームの中だけでやっても、他部署と連携するときにズレたりするので、垣根を越えて人を巻き込む力は必要ですよね。

あとは、一度のインプットでは浸透しないから、同じことを何度も繰り返して伝える努力は、意外と重要だと思います。1人だけで完璧な企画をつくろうとするのは間違っているので、メンバーとできるだけ思考レベルを合わせておくことが必要です。

編集担当メモ:
一度のインプットでは浸透しない。同じことを何度も繰り返して伝える努力をして、メンバーと思考レベルを合わせておく。

仕事を断捨離する基準

8)Work Intensely and Be Focused(目的なき「一生懸命」は、いちばん危険)
時間をかけて熱心に働いたからといって、成功する保証はありません。「盲目的に一生懸命」は危険です。目の前の業務に追われていると、「何のためにこの仕事をしているか」という本質を見失いやすいからです。競争の中で抜きん出るには、平等に与えられた24時間を賢く使う必要があります。5時間「漫然と続ける」より、1時間でも「疲れ果てるほど集中する」。そのためには、自分が今「誰のために、何を、なぜしているのか」を常に意識しなければなりません。それが明確にわかってこそ、時間を有意義に使えるのです。

二木:そもそも、目的が曖昧な業務は、メンバーに落ちてこないように私のところで断捨離しています。本人もどこかで疑心暗鬼のままやっているから、問題が起きるんですよね。誰が言ったから、というのは参考にせず、そこはちゃんと判断するように気をつけています。

稲垣:私もメンバーが解決したい課題を見失っていると思ったときは止めます。「企画のための企画」になっちゃうとダメなので、そこはいつも問い直さないといけません。

LINE企画職の面白さ

9)1% Problem-finding, 99% Solution-making(「できない」から「できる」をつくる)
問題が出てきた時、「なぜできないんだ?」と分析だけで終わっていては、前に進めません。できない理由を探すために使うエネルギーは1%で十分。「どうやって、できるようにするか?」に、99%のエネルギーを集中させましょう。グローバル市場でチャレンジすることは、とても大変なことです。できない理由を並べるのは誰にでもできますが、プロなら「誰も思いつかない新しい解決策」を探し出さねばなりません。不可能を可能にするために本気で考える、その努力がWOWを生み出します。

稲垣:これは二木さんが本当によくやってくれていると思います。LINE公式アカウントのプラットフォーム全体のリデザインなんかまさにそう。

二木:できないように見えて、実はあれとこれを組み合わせればできるじゃん、というケースは多いですね。無理だと思って、そこで思考停止に陥るのは避けたい。もう一度、深掘りしてみると、ブラッシュアップできる要素が見つかったりしますから。

稲垣:プロジェクトの仕事って、難易度の違うパズルをこなしていくゲームみたいなところあるよね。

二木:大きなプロジェクトも、小さなタスクの積み重ねなので、必ずできるところに落とし込めるはずなんです。それと、ノウフー(Know Who)も大事だと思います。「誰が何を知っているのか」「どこにどんなエキスパートがいるか」を社内で把握しておくこと。そうすれば、自分にできないことでも、誰かにやってもらえます。

稲垣:たぶん20代の若い人に多いのが、何でも自分でできなきゃいけないという思い込み。そうじゃないと一人前にはなれないと思っている。


二木:ありますね。私自身もそうでした(笑)。全部1人でやろうとして潰れたことがありまして。LINEは、これだけいろんな分野のプロフェッショナルが集まっている会社なんだから、その頭脳を拝借しないのはもったいない。自分にはわからないことでも、詳しい人が必ず社内にいるんです。めっちゃ恵まれているなと思います。その人がやってくれるのを見ながら、自分も吸収できますしね。

稲垣:できない理由を挙げて、結果やらない、というのが一番よくない。これは特に企画の人には気をつけてほしいですね。もっともらしく分析めいたことを並べ立てて、できない理由ばっかり、だったり……。「できない」とみんなが思うことを「できる」ようにするから価値があるわけだからね。

二木:特にリソースとか、外部要因のせいにするのは簡単ですからね。解決策のアプローチは1つじゃないはずだし、できないことをなんとかするのが企画職の面白さですね。

編集担当メモ:
プロジェクトは難易度が違うパズルをこなすゲームのようなもの。大きくて難しいプロジェクトも、小さなタスクにおとせば必ずできる。Know Whoを把握して、プロの頭脳を拝借する。

自分を過小評価しない

10)Go Brave. No Fear. No Regrets(世界を変えるのは、大胆で勇気ある挑戦)
WOWは「新しい感動の経験」であり、イノベーションです。小さいことばかり気にしていては絶対に生み出せません。常に大胆で勇気ある挑戦が求められます。今の仕事がWOWだと確信したら、失敗を恐れず、思いきった勝負にでましょう。ホームラン王は勇気をもってフルスイングをするから、ホームランが打てるのです。サービスをつくる過程も同じです。LINEでは、もしうまくいかなくても、そのことで責められることはありません。責められるとしたら、「挑戦しないこと」です。多くの挑戦と多くの失敗の先に成功があるからです。

二木:これは失敗を恐れずにチャレンジしろ、ってことですよね。大事だと思うのは、自分を過小評価しないで「絶対にできる」と信じることです。みんな同じ人間なんですから、天才なんてそういないし、正直なところ大した違いはないと思うんですよ(笑)。自分の課題は自分が一番よく考えているんですから、そこから生まれた企画は、自信を持って出してみる。心のハードルを下げてみる。自分の中で企画を止めちゃっている人……いますよね(笑)。やればいいのに、と思います。



稲垣:「WOW=NO.1」を目指そうと思ったら、それは絶対に必要だよね。アントレプレナーシップ(起業家精神)みたいな。自分が本当にいいと思ったことは、やればいいだけ。実際に開発できるかできないかは、考えない。だって、できるから。私、最初のLINEアプリを開発する過程で、「何でもつくれるから大丈夫だ、つくれないなんて思うな」ってみんなで話していたのが、今でも強く残っていて、それがこの会社の面白み、醍醐味だなって思うんですよ。

編集担当メモ:
天才なんてそういない。自分の課題は自分が一番よく考えているんだから、企画は自信を持って出してみる。

ワクワクは自分でみつける

11)Enjoy the Challenges(ワクワクしなければ、仕事じゃない)
LINEは前例のないことに挑み、失敗しても、くじけずに生き残ってきた会社です。そして、この挑戦はこれからも続きます。うまくいかないことの方が多いかもしれません。だからこそ敢えて、挑戦を楽しみましょう。LINEはチャレンジする人を全力で応援します。小さなことでも本気で取り組む。やらされているのではなく、自ら進んでやる。苦労の先にあるユーザーのWOWを想像し、仕事に没頭してみてください。そのプロセスには必ず楽しさが潜んでいます。

二木:それこそ、「Enjoy the Challenges(ワクワクしなければ、仕事じゃない)」ですよね。ワクワクはもらうものじゃなくて、自分でみつけるもの、だと思っています。1日の大半を仕事に費やすわけですから、そう思わないともったいない。

稲垣:企画や開発をする私たち自身が「これ、面白いね」って心から思えないと、ユーザーもワクワクするサービスにはならないからね。そこは1つの基準になると思います。

二木:反対に、実現可能性を考えすぎて、その範囲に収まった企画にしかならない、というのもありがちですよね。特に仕事に慣れて、ベテランになればなるほど……。

稲垣:小さくまとまっちゃうのよね。「絶対にこれは必要です」と胸を張って言えるものを見つけることが、サービス企画職の人には大事。それで周りを説得するには、ユーザーを知らなければならないし、データも必要だし、スピードも、こだわりも、チームワークも、意思決定も……全部必要。

二木:そう考えると、サービス企画の仕事って全部入っているんですね、LINE STYLEの11項目が(笑)。恵まれた職種だと思うんですよね、サービス企画って。特定の領域に縛られないで、運用にも開発にも関係するし、法務のことも、分析も、デザインにも関わる。しかもLINEにいたら、各分野のプロからいろいろ教えてもらえる。これほど、いろんなことができる仕事はないと思います。

稲垣:そうだね。プロジェクト全体を見渡して進める役割を持つ、すごく大事な存在。これからも、二木さんがやりたいことを見つけて、どんどん実践していってほしいです。

編集担当メモ:
実現可能性を考えすぎて、小さくまとまらない。自分たちが心から面白いと思えるものをつくろう。



もう1つのEnjoy the Challenges

――プライベートでも「Enjoy the Challenges」していることは、ありますか?

二木:イヤイヤ期の娘に取り入ることですかね(笑)。もうすぐ2歳でイヤイヤの盛りなんです。大抵、イヤイヤ中はじっと横で観察して、とりあえずうなずいてあげますが、公共施設でぐずってしまった時は強制連行。でも、あとでかわいそうになってジュースとか、お菓子を買い与えてしまう甘々な父親です……。仕事ではたいてい平常心ですが、娘の機嫌を損ねて「パパあっち(いって)」とか言われると1日中引きずります。


写真提供:二木祥平

以上、「サービス企画者としてのLINE STYLE」について語ってもらいました。もし参考になりそうなエピソードがありましたら、ぜひワークスタイルに取り入れてみてください。

「取材・編集:編集工学研究所」

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