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~次世代クリニックを東京中に~ 元コンサルタント・糖尿医が語る創業の経緯と展望

株式会社Linc’well(リンクウェル)の共同創業者でありCEOを務める金子和真さんに創業に至るまでの経緯や事業の展望について語ってもらいました。

-経歴-

金子和真(CEO、共同創業者)
医師、医学博士
新潟大学医学部・東京大学医学部博士課程卒業、糖尿病専門医

2003 - 2011 東京大学医学部附属病院を中心に臨床・研究活動に従事
2011 - 2018 マッキンゼー・アンド・カンパニー勤務(元東京オフィス アソシエイトパートナー)
2018 -     株式会社Linc'wellを創業。代表取締役に就任

-株式会社Linc'well-

医療におけるリアル×オンライン事業の展開を行う
(1) デジタル化・オンライン化されたクリニックの設置・運営:
クリニックの運営支援と、そこで使われる経営効率・患者体験を向上するための主要システム (自動受付・予約・事前問診・決済システム) の開発

(2) ヘルスケアデータの活用:
クリニックで使われるシステムで蓄積されたヘルスケアデータとテクノロジーを活用し、ユーザー (患者)の医療情報の徹底的な可視化と健康促進・疾病予防をおこなう
所在地:東京都港区芝浦3-1-32 なぎさテラス5階
資本金及び資本準備金:約7,000万円
設立:2018年5月


医療現場で解決すべき多くの課題があると感じていた

私は医学部を卒業し博士号(医学)を取得した後、東大の研究室で研究を行いつつ、臨床医として主に東京大学医学部付属病院で8年間、働いていました。医療の現場で実際に働いてみると現場の外からはわからない、多くの課題があることを実感しました。

患者視点では、夜や休日などに病院に行きたい時に病院が開いておらず、診察を受けられないといった課題があります。特に忙しいビジネスマンは平日の日中に病院に行くことは難しく、比較的時間の取りやすい夜や休日にはどの病院も開いていません。私の専門である糖尿病などの生活習慣病の治療を受けにくる患者は年配の方が多いのですが、本来生活習慣病の予防・早期治療は若い時に行う必要が高いです。にもかかわらず、若い方がなかなか診察を気軽に受けることができない現状に大きな課題を感じていました。

一方、医師視点の課題としては、医師1人にかかる労働時間と事務の多大な負担があります。私が働いていた現場では、当直になると40時間連続で勤務することもしばしばありました。人命を扱う職業のためやむをえない部分も大きいですが、労働環境は良いものだとは言えませんでした。また、医師の業務としては診察だけではなく、書類作成などの事務にかかる時間も多くを占めていました。事務にかかる時間が多くなるほど患者に向き合う時間も削られることとなり、医療の質が低下してしまうことも重大な課題だと感じていました。

病院の経営においても、約8割の病院は赤字です。このような現状でも病院経営を続けていけるのは、国の医療に対するサポートが手厚いからです。しかし、多くの医師が膨大な時間をかけて勤務し、それでも赤字という現状は、病院の経営だけでなく国の財政状況の観点からも望ましいものとは言えず、解決しなければいけない課題だと考えています。

このような現状を改善するために改革しようとする医師はほとんどおらず、医療現場の内部から変えていく必要があると感じ、私はハーバード大学への留学を辞退し、経営を学ぶためにマッキンゼー・アンド・カンパニーで勤めることとなりました。


2018年に田町・芝浦エリアの再開発によって完成した新築のオフィスの下に第1号のクリニックを作ります

テクノロジーを活用し、患者・医師・医療機関が幸せになる次世代クリニック

マッキンゼーで7年間勤めた後も、医療現場の課題は依然として存在していました。マッキンゼーで共にヘルスケア領域で働いていた山本と相談し、タイミングも良かったので会社を設立しました。

医療現場の課題に対して、私たちはテクノロジーを最大限活用することでアプローチしていきたいと考えています。

私たちがつくる理想のクリニックでは、患者はスマホ1つあるだけで十分です。これまでの病院で必要だった紙の問診票も必要なく、事前にオンラインで医師に体調を伝えることができます。来院時もスマホをかざすだけで受付を済ませることができ、事前に混雑しない時間を予約できるため待ち時間も少なくすることができます。診察料金はオンラインで自動に引き落とされるため、診察後の支払いもすることなく、すぐにクリニックから出ることができます。そして、医師からのフィードバックもオンラインを通じて受けることができ、過去の診察内容についても閲覧できます。また、平日夜遅くまでと休日も開いているので、働く世代にとっても立ち寄りやすいクリニックになることを期待しています。

医師の視点としては、複数の医師が共にクリニックを運営していくグループ診療を目指していきます。従来のクリニックでは、主に一人の医師が多くの患者に対応していましたが、医師一人の負担は大きなものとなってしまいます。私たちのクリニックでは、複数の医師で運営するため、長時間の勤務が難しい子持ちの女医さんでも勤務することができます。患者にとってもセカンドオピニオンを一つのクリニックで受けられるというメリットがあります。また、カルテなどの書類もオンラインで完結し、事務作業の自動化・簡素化も積極的に進めることで、医療従事者の事務負担も低減させることができます。

医療機関経営の観点からは、医師の開業を最大限サポートできる環境を提供します。これまで、医師にとって自身のクリニックを持つことはハイリスク・ハイリターンであり、なかなか足を踏み出しにくいものでした。私たちの会社では、クリニックのハード(クリニックの設計・施工や医療機器)とソフト(経営戦略、人事、システム管理)の設計・実装・コストの負担の一部を医師の代わりに行うことで、医師は開業にかかるほとんどのリスクをとることなく、診療のみに時間をかけることができます。

このようにテクノロジーを最大限採用して、どこよりも便利な次世代クリニックを都心のビジネスエリアを中心に数年のうちに、数軒、数十軒と拡大させていくことを目指しています。


医療データを蓄積し、応用していく

将来的には、これまで扱うことが難しかった医療データをクリニックで蓄積させ、活用していくことを考えています。

これまで、患者の医療データは健康診断書など紙媒体で保管されてきました。これを電子化し、医療データを蓄積していくことで、様々なサービスに活用できると考えています。例えば、本来は服用する薬によって食事の内容も慎重に検討する必要があります。服用する薬の成分には、一緒に摂取することが望ましくない食べ物があり、一般の患者が判断することは困難です。医療データをオンライン化することで、食生活に関しする情報を個人の状況にきめ細かく提供することが可能になります。また、製薬会社にとっても、医療データを活用することでより良い薬の開発ができるようになるでしょう。人工知能(AI)を用いた医師の診療補助も将来的に導入できると考えています。


社内ミーティングの様子。雰囲気はなごやかです。


多様な人と思いを共有しながら一緒に進んでいきたい

一緒に事業を進めていく仲間は多様なバックグランドを持っており、今後ともいろんな価値観を持つ方々を求めています。まだ社員の人数も少ないので、この小さな船に一緒に乗って、思いを共有しつつリーダーシップを発揮して共に歩んでいける人と事業を進めていきたいと考えています。

医療のデジタル化を進めていく仲間として、共同創業者の山本はマッキンゼーで共にヘルスケア領域のコンサルティングを務め、医療に関する知見と問題解決において高いスキルがあります。エンジニアの戸本はAIやブロックチェーンにおいて講演会の登壇者を務めるなど造詣があり、製品開発を進めていきます。第1号のクリニックである田町院はオフィスの下の階にあり、実践と検証を高速に回していくことができるという点で、他のクリニックでは味わえない面白さがあると思います。

一緒にクリニックの運営をしてくれる医師には、大学病院で内科を担当していた医師、子供のいる医師、将来自分のクリニックを開設することを考えている医師もジョインしてくれています。

私たちのビジョンに興味を持ってくれた方は、ぜひオフィスに足を運んでみてください。


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