産業廃棄物処理業界の顧客獲得は、これまでは既存の取引先からの紹介や、長年のお付き合いによるつながりが中心でした。そんな中、当社では特定の取引先への依存度を下げ、事業の持続性と成長を確保するため、約7年前からウェブマーケティングに本格的に取り組んでいます。
そこで協業しているのが、宮崎に拠点を置くウェブマーケティング企業「Life Style Innovation」。業界特有の課題を乗り越えながら、着実に成果を上げてきました。
前回(#1)の対談では、Life Style Innovation代表の石川知佳氏をお迎えし、竹下産業株式会社 代表取締役の竹下敏史と共に、両社の出会いから現在までの歩みについて語ってもらいました。
今回の対談では、二人三脚で推進してきた産業廃棄物処理業界におけるウェブマーケティングのプロセスや、両社の協業から生まれた知見について意見を交わしました。
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専門業界におけるウェブマーケティングの壁
——前編では、Life Style Innovationとの協業の背景を伺いました。
協業が決定してからは、具体的にどのように取り組んでいったのでしょうか。
石川氏:まずは私たち自身が産業廃棄物処理という業界の勉強に時間をかけました。
業界への理解がなければ、竹下さんの意図を正確に汲み取れませんし、広告における適切なキーワード設定もできません。
分からないことがある度に竹下さんに質問し、その都度詳細な説明をいただきながら、運用に必要な知識を深めました。
1つ質問する度に、その背景にある意図や思いを丁寧にご説明いただいたのが、とても印象に残っています。
既存の広告運用を引き継ぐ形だったため、何を変えて、何を維持するべきか、細かく整理していく作業も必要でした。
成果が出るまでには6ヶ月から1年ほどかかりましたね。
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竹下:そうでしたね。
確かに時間は多少かかりましたが、石川さんたちが熱心に質問してくださる姿や、前向きに取り組む姿勢が伝わってきて、その熱意が嬉しかったです。
私たちの業界は、法律で個人向けの仕事ができないと決まっています。
そのため、個人がクリックするような広告出稿は無駄になってしまうのです。
毎週の打ち合わせでは「これは個人が使うようなキーワードに当たらないか?」を確認し、不要なものを除外する作業を続けましたよね。
例えば、「電池を処分する」という行為は個人と企業の両方で発生しますが、個人が検索しそうなワードは広告の対象から外す、といった工夫をしていました。
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石川氏:竹下さんは「そのキーワードにはどのような意図があるのか」「法人向けか個人向けか」「どのような需要を見込めるのか」といった点を明確に把握されていました。
ですから、私たちは竹下さんがお持ちの知見を最大限に活かし、同じ視点で広告運用を行うことを目指すことにしました。
実は、こうした業界分析や学習コストを手数料に含めない企業も多いのですが、当社は顧客満足度を何よりも重視することを大切にしています。
そうした姿勢が、竹下産業様との良好な関係性にも繋がったのかもしれません。
「実験の場として活用して」の一言が挑戦の後押しに
——石川さんにお聞きしたいのですが、BtoB企業のウェブマーケティングを支援する上で、成果を出すために意識していることや、Life Style Innovationとして大切にされているポリシーはありますか?
石川氏:BtoBマーケティングでは特に、問い合わせやコンバージョンが実際の成約につながるかが重要だと考えています。
そのため資料請求数を増やすといった中間目標だけでなく、最終的な成約率を高めるための分析を徹底するようにしています。
多くの広告代理店は「コンバージョン獲得まで」を業務範囲とすることが一般的かもしれませんが、当社ではさらにその先まで踏み込むよう心がけているんです。
そのためには、実際の問い合わせ件数や成約率のデータが不可欠。
お客様との信頼関係をしっかりと築き、通常は社外秘とされるような貴重なデータを提供いただくことで、より精度の高い広告運用を実現しています。
竹下:確かに、広告効果を本当に測ろうとするなら問い合わせ獲得だけでなく、最終的な成約までを見ることが大切だと思います。
ただ、そこまで踏み込むと広告会社の本来の業務範囲を超えてしまうでしょうし、単純に数字だけを追うと見えてこない課題や不都合な真実が出てくる可能性もありそうですよね。
石川氏:竹下さんのおっしゃる通りで、単に「問い合わせが◯件取れました」とご報告する方が、広告会社としては手間も少なく収益性は上がるのかもしれません。
でも、広告運用の本来の目的はお客様の成果を高めることにありますし、そこにこそ当社の価値があると信じているんです。この価値を実現するには、一社一社の特性をしっかりと見極めながら、限られたリソースで最大限の効果を生み出す工夫が必要です。
「この企業の強みを最も効果的に引き出すアプローチは何か」を見つけ出す過程は決して簡単ではありませんが、その分析と実践こそが私たちの仕事の醍醐味でもあるんですよね。
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竹下:そういった石川さんたちの真摯な姿勢を見て素敵だと感じましたし、信頼できると思いました。
だからこそ、「熱意と想いがあるなら、失敗してもいいから、とにかく挑戦してみてほしい」という気持ちで、当時お願いしたのを覚えていますね。
石川氏:私もその言葉は今でも本当に心に残っています。
広告主様からそこまで自由に挑戦させていただける機会はそうそうありませんから。
竹下さんは当時の担当者がまだ経験が浅いことを承知の上で、「私たちの会社を実験の場だと思って活用してください」と背中を押してくださいましたよね。
あの言葉は、担当者の心理的安全性を担保すると同時に、「新しいことに挑戦しよう」という前向きなマインドセットを育む上でも本当に素晴らしい言葉選びだなと今でも感じます。
ウェブマーケティングが成功する企業の共通点
——石川さんはこれまで多様な企業と協働されてきたと思います。協業を通じて業績が「グッと伸びる」企業には、何か共通する特徴があるのでしょうか。
石川氏:そうですね、個人的にいくつかの共通点があると考えています。
その一つがマーケティング担当者や経営者が明確なビジョンを持ち、それを自ら実践していることです。
特に中小企業のウェブマーケティングは、売上や利益に直結するため、依頼主であるお客様がどれだけ真剣に取り組むかが結果を大きく左右します。
例えば、広告に使う文言を少し変えるだけでも、お客様に与える印象はガラッと変わりますよね。そうした細部までこだわることが非常に重要なのですが、竹下さんはご一緒させていただく前からその点を深く理解し、徹底して取り組んでいらっしゃいました。
竹下:今おっしゃっていただいたように、ご依頼した当時は知識がないなりに力を入れてウェブマーケティングに取り組んでいましたし、自分なりに強いこだわりもありましたね。
頭の中に明確なターゲット像があり、そのお客様に向けたマーケティングのストーリーを自分なりに組み立てていたのです。
だからこそ、その考えや細かいニュアンスを石川さんたちに正確に引き継いでもらえるのか、正直最初は少し不安もありました。
でも私のようにある程度経験を持った依頼主は、広告代理店の方にとっては少し手強い顧客に映っていたかもしれませんね(笑)
石川氏:いえいえ、そんなことはありませんよ。
竹下さんからは「もっと良くするためにはどうすればいいか?」という強い意志と熱意がひしひしと伝わってきましたし、だからこそ、私たちも「よし、全力で応えよう!」と、より一層気合が入ったんです。
竹下:当時はまだ私も若く、熱量がかなりありましたから。
今では石川さんたちのサポートもあり、当時と比べると売上は3倍に増えましたし、最大の取引先への依存度も6%まで低下しました。ウェブマーケティングに取り組んだからこそ、今の成果があると実感しています。
業界内の「第一想起」を目指して
——最後に竹下産業のウェブマーケティングの今後について教えてください。
石川氏:まず、検索広告については一定の成果が出ており、産業廃棄物処理に関する課題をインターネットで検索すると、多くのケースで竹下産業様のウェブサイトが検索結果の上位に表示されるようになりました。
今後は新しいターゲット層をどのように開拓するかという点を話し合っているところです。
また「いかに市場での優位性を確立するか」というテーマでウェブマーケティングを進めてきましたが、結論「ブランディング」がかなり重要だと感じています。
特定の状況やニーズにおいて、消費者が最初に思い浮かべるブランドや製品のことを「第一想起」と言うのですが、竹下産業様もこの業界の中でまさに「第一想起」される存在になれるよう、マーケティング戦略を進めたいと考えています。
例えば、現在進めている週休2日制の導入や、竹下さんがMBAを取得された経験なども、企業の独自性を示す上でとても重要な要素ですよね。
個人的な思いとしては、将来、産業廃棄物処理の専門家として、竹下さんがテレビの情報番組でコメンテーターとして登場される…なんてことも目標にしているんですよ。
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竹下:そんな大きなビジョンを描いてくれているのですね。
私はかねてより、社会から信頼される会社になりたい、と強く思っていますが、そのためにはおっしゃる通りブランディングが不可欠だと感じています。
個人的には、ブランディングというのは「自社の価値をいかに魅力的に伝えるか」、マーケティングは「その価値を多くの人に知ってもらうか」ということだと考えています。
今日一番良いことを言えたかもしれませんね(笑) 今後もこの考えを軸に、さらなる成長を目指していきたいです。
当社はLife Style Innovation様との長期的なパートナーシップを通じて、新たな営業モデルの開拓のみならず、業界における「第一想起」というビジョンに向けて着実に歩みを進めています。
2社が大切にしてきた信頼関係とチャレンジ精神は、これからも様々な化学反応を生み出し続けることでしょう。
当社の今後の動向にぜひご注目ください。
最後に…
もし、少しでもご興味を持っていただけたら、
ぜひ一度、カジュアル面談してみませんか?
お気軽にご連絡お待ちしております!