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僕らが作ろうとしているのは、ECじゃないのかもしれない。「北欧、暮らしの道具店」エンジニアの仕事・働き方

こんにちは、人事の筒井です。
私たちのオフィスがある国立は、駅前からの銀杏並木が見事なのですが、今はすっかり黄色に紅葉して、クリスマスのイルミネーションも準備されています。

そんなここ最近のクラシコムで、ポジティブなエネルギーや存在感を感じるなぁと思うのがエンジニアたち。

たくさんのお客様が訪れる「北欧、暮らしの道具店」を支え、スタッフが働きやすいよう環境を整え、さらには新しい挑戦への意欲を持ち、日々働いています。

とは言っても、なかなか表には出ないその仕事ぶり。今回は、この1年で入社した2人のエンジニアが日々を振り返りながら、クラシコムのエンジニアの仕事・働き方について、リアルな声をお届けしようと思います。

(書き手 クラシコムジャーナル 編集スタッフ 馬居/写真 佐々木孝憲)

ラッパー、劇団出身…たどり着いたクラシコム

──佐々木さんも廣瀬さんも経歴がちょっと面白いとお聞きしました。佐々木さんはラップをやっていらっしゃると。

佐々木
はい(笑)。最近はあまりやっていないのですが。

地元は宮城県なんですが、仙台の高校に行っていて、その頃に始めました。大学で東京に出てきてからも活動をしてきましたが、30歳を越えるとみんな結婚して子供ができて忙しくなってきちゃって。でも、今も時々はステージに立っていますよ。

(左・佐々木 右・廣瀬)

──それが一体、なぜエンジニアに?大学ではそういう勉強を?

佐々木
いえ、大学は経済学部で。卒業後は着うたや着メロを配信してる会社でディレクターのような仕事をしていました。

でも、当時スマホが出てきて、ガラケーがどんどん売り上げが立たなくなってしまったので、エンジニアのリソースはスマホに集中させることにしたんです。でも、それではガラケーは誰が保守するんだよ、ということになって...じゃあ、佐々木くんにって。

──すごい、そんなことってあるんですね。よく挑戦できましたね。

開発していて楽しかったんですよね。手に職もつけたかったですし、合っていたんだと思います。そのあと、26歳くらいにちゃんとエンジニアとして就職をしました。

──廣瀬さんはもともとエンジニアの勉強をしていたのですか。

廣瀬
いや、僕も大学は文系です。教育学部で国文学を勉強していました。

僕は高校の時に演劇部で、卒業後も続けたくて、一浪して東京の大学に入って学生の劇団に所属しました。そこで、劇団のホームページの更新を担当していたので、すごく簡単なものですが、HTMLをかけるようになりました。

本当は演劇で食べて行きたかったんですが、なかなか難しいな、いい加減働かなくちゃいけないなと思って、4年通った大学を中退して、地元の名古屋に戻って、ホームページ制作会社にバイトで入りました。そこから自分で勉強して、少しずつプログラムがわかるようになって、転職を重ねて、だんだんとエンジニアと呼べるようになってきた、という感じです。

──お二人とも、ちょっと変わった流れでエンジニアになったのですね。そんな方々が、どうやってクラシコムにたどり着いたのでしょう。

佐々木
僕は、前職で働いていた時にマーケッターの同僚から「北欧、暮らしの道具店」っていういいサイトがあるよ、と聞かされていて、ちょこちょこチェックするようになっていたんです。

そんな時に、エンジニアチームのマネージャーである濱崎が書いたブログ記事を読んで、「あ、クラシコムもエンジニアがいるんだ!」って。

──あまり表には出ないですもんね。

そうなんです。その頃からエンジニアを募集していたので、僕も入れる可能性があるんだなと。でも最初は、ただ興味本位で話を聞きに行った、というくらいで。

──クラシコムのどこに興味を持ったのですか。

佐々木
コンテンツが魅力的だなと思っていましたし、トラフィックをどう捌いてるんだろう、というところにとても興味がありました。

──入社の決め手になったのも技術的なところですか。

佐々木
そうですね。あとは、どうしてもこれまでの仕事では、四半期など短いスパンで決めた目標に向かって働く、というスタイルが多かったので、これからはもっと長期的に何かに挑戦したいと考えていたんです。それが、実際に話を聞いてみて、クラシコムならできるな、と感じました。

──廣瀬さんはどんなきっかけで?

廣瀬
僕も佐々木さんと同じ頃の入社なんですけれども。僕の奥さんが北欧の雑貨を好きなこともあって、もともと「北欧、暮らしの道具店」は知っていました。

そんな中で、僕も、佐々木さんも言ってたブログ記事を読んだことでエンジニア募集を知って、話を聞いてみようと。その後、何度か代表の青木や濱崎と話をする機会をもらって、転職を決めました。

「北欧、暮らしの道具店」はECじゃない!...のかも。

──「北欧、暮らしの道具店」は一昨年からASPではなく、独自のシステムに切り替えましたが、お二人の仕事はその運営ということでしょうか。

佐々木
そうですね。「北欧、暮らしの道具店」のシステムの運用や保守管理をしています。あとは社内でスタッフが使うシステムも同様に僕らが担当しています。

──では、クラシコムのエンジニアの仕事は、主にECシステムの運用ということですね。

廣瀬
そうなんですけど……でも僕、「北欧、暮らしの道具店」をECだとはあまり思っていないんです。

──といいますと?

廣瀬
そもそも、僕がこの会社に入りたいと思った一番の理由は、入社前に青木や濱崎と話す中で、クラシコムが作ろうとしているものはECじゃない、ということを感じたからなんです。それが何かはまだわからないけど、まだ誰も作ったことのないものを作ろうとしているというか。

そして、入社後、ますますその思いが強くなりました。

──どんなところで感じられますか。

廣瀬
代表・青木や店長・佐藤から、「北欧、暮らしの道具店」が提供したい価値は「フィットする暮らし」であって、商品を売るということももちろん大切だけれど、それは一つの手段でしかない。他の手段があるのなら、それもチャレンジしていきたい、という方針が明確に伝えられていることは大きいですね。

現に、最近では、ラジオやドラマも作っていますし。

もちろん今は、お客様が買おうと思った時に、きちんと買うことができて、確実に商品が届いて、ということが大事です。でも、同時にもっと大切なことは、「北欧、暮らしの道具店」に訪れてくれる人に、僕らが提供できることはなんだろう、と常に会社全体が考えていることだと思います。

ですから、僕はその中で、エンジニアとしてどんな技術で答えられるだろう、と考えるんです。そんな風に、僕もスタッフの誰もまだ見たことのないものを、みんなで力を合わせて作ろうとしている、それに関わることができているというのは、エンジニアとしてすごくワクワクします。

佐々木
わかります、ワクワクしますよね。

好きな人たちを喜ばせる、というやりがい。

佐々木
とはいえ、現状はECの仕事が主なのですが。僕らは記事を書くわけではないですし、商品開発をするわけでもない。でも、そういう同僚たちをエンパワーメントするというか、もっと力を発揮できるような底の部分を作っていく仕事としてのやりがいも感じています。

──「北欧、暮らしの道具店」は年々お客様が増えて、支える側も大変ですよね。これまでにトラフィックが集まりすぎて、やばい!ということはありますか。

廣瀬
うーん。あ、LINE@は……

佐々木
あぁ、ありましたね。

廣瀬
LINE@は、毎晩21時に配信すると決まっているので、どうしても一気にアクセスが集中してしまうんですよね。それで、重くなってしまって…ということはありました。

──「北欧、暮らしの道具店」はLINE@もメルマガも、曜日や時間を決めて配信しますもんね。夜はそうでなくてもアクセスが増えるし、ちょっとその時間に配信するのはやめてよ、なんて思ったりしませんか。

佐々木
いや、それはやっぱりエンジニアの、こう…

──腕の見せどころ?

佐々木
そう、ですね。頑張りたいところです。

──現状のECや裏側の運用システムに関する仕事にもやりがいがあるし、その先への展望も感じているということですね。

廣瀬
あ!そういえば、僕は入社してから「北欧、暮らしの道具店」の記事に、何度か出たんですけど、その記事を見た高校時代の女の子の後輩から連絡がきたんです。

佐々木
それは、すごい!

廣瀬
高校を出てから付き合いがあったわけではないけれど、結婚して子供が生まれた、というようなことをは何となく把握していて。僕にとっては、幸せな人生を送っていたらいいなぁと思う相手の一人。

そういう人が「北欧、暮らしの道具店」を、僕の記事に気付くほど見てくれていたっていうことがすごいなって。僕の場合、奥さんもそうですが、僕の周りの大切な人たちに、自分の作るものが何かプラスのものを届けられているのなら、それほどやりがいのあることはないな、と思うんですよね。

仲良く、でもぬるま湯にならないチームって?

──クラシコムのエンジニアチームの特徴ってありますか。

佐々木
雑談は多いですね。

廣瀬
ああ、多いですね。

エンジニアチームは毎日「朝会」をやっているんですね。一応30分とっておいて、実際は15分くらいで終わらせようと思っているのですが、15分で終わらないことが多くて。みんな小話というか、雑談を組み込んでくるので。

うっかり盛り上がりすぎて、10分ぐらいを雑談に使ってしまっていたので、一度反省して、必ず話さないといけないことを共有してから雑談をしましょう、と決めました。でも、そうしたら、大体いつも10分ほどで仕事の話は終えてしまって、あとの20分くらいは雑談するようになってしまったんです。

(▲エンジニアチームのメンバーたち。新しくできたカフェスペースに集合してもらいました)

佐々木
結果、雑談の時間が倍になってしまうという。あと20分喋れる!みたいな。

──女子高生のようですね(笑)。何をそんなに話すことがあるのでしょう。

佐々木
本当に雑談ですよ。「支払い方法を変えたのを忘れていて、週末ガスが止まっちゃってさ」とか。でも、もちろん仕事の話もします。

というのも、具体的な質問であれば日中にもできるのですが、「これってどういう仕組みなんですか」とか「どういう考え方をしたらいいですか」という、そもそも論のような質問は、答える方も時間がかかってしまうので、なかなか聞きづらいと思うんです。

ですから、会社やシステムの歴史の共有には、朝の20分をたっぷり使います。プライベートな話も、仕事の話も、なんでも話していいよっていう空気になるといいなと思っているんですよね。

廣瀬
エンジニアは、作業自体は個人プレイが多いので、この時間があると、チームということを意識できますね。

──チームづくりは、お二人も関心がありますか。

佐々木
そうですね。僕も入社してからずっと、エンジニアが働きやすくて、活躍しやすいチームを作りたいなと思っていて。

──それは、仲良くするということですか。

佐々木
それは大切ですね。でも、ただの仲良しクラブではいいものは作れないですよね。ぬるま湯になってしまってはまったく意味がない。

──ぬるま湯にならない仲の良さって、どうしたら保てるのでしょう。

佐々木
難しいことではあると思いますが、刺激し合える関係を築くことは大切かなと思います。

僕らは、それぞれに微妙に興味が違っていて。サイトの表側、インフラ側、トラフィックの捌き方など、突き詰めたいことが違うので、お互いに自分の担当している業務でこうしたらうまくいった、いかなかったという情報交換をすることで良い循環を生んでいるように思います。

廣瀬
同じエンジニアでも、ワクワクするポイントがみんな違うと思うんです。でも、それがうまく組み合わさって全体として良いアウトプットが出せるというのが理想だとは思います。

僕はこれがやりたいんだ!ってお互いが殻に閉じこもってもつまらないから、どう連携すればもっといいものができるだろう、と意識したい。そのためのコミュニケーションは大切ですね。

──コミュニケーションの取り方で気をつけていることはありますか。

佐々木
HRTの原則は大事にしていますね。

──HRT?

Humility=謙虚、Respect=尊敬、Trust=信頼。 『Team Geek ― Googleのギークたちはいかにしてチームを作るのか』(オライリージャパン)という本のなかで、すぐれた開発チームが持つべき要素として書かれています。

たとえば、僕らが触るのは、入社した時にはすでに出来上がって、運用されているシステム。これを改善したいときにどう動くべきか、ということはすごく考えるんです。ここダメっすよね、とダイレクトに言ってしまうと、今までいた人たちはなんだこいつ!みたいに思うかもしれません。

──それは、歴史のあるサービスであれば、多分に起こりうる問題ですね。

佐々木
ダメなところはだめだよっていうのは大事。でも。伝え方は考えないといけない。

廣瀬
現にお金を生み出しているシステムですから、単純に否定するものではない。でも、このままでは良くないということが明白なのであれば、言わないといけない。そこで遠慮していたら、本当にただの仲良しクラブになってしまいますから。

佐々木
「北欧、暮らしの道具店」には、ありがたいことにたくさんのお客様が来てくださっていて。でも、システムという意味では、お客様が増えると必要な技術力も変わってくる。今のシステムで来年も再来年も動くかというと、それは動かないだろうと。

廣瀬
常に今よりも良くしていかないといけないんですよね。

佐々木
作った人を否定しているわけでも、歴史を否定しているわけでもない。だけど、常に改善は必要。そこには、Humility=謙虚、Respect=尊敬、Trust=信頼が大切だし、普段のコミュニケーションが大切だと思っています。

──それで、毎朝の長い雑談が効いてくるんですね!

廣瀬
まあ、それでも長すぎるとは思いますけどね(笑)。

残業なし、18時退社ってどう?

佐々木
とにかく、朝たくさん話して、そのあとは1日集中するという毎日です。

──確かに、クラシコムは基本的に残業なしで18時退社が原則なので、日中はみんな黙々と働きますよね。エンジニアさんって、夜型の人も多いという勝手なイメージもあるのですが、この生活を一年間続けてみていかがですか。

廣瀬
僕も、もともとは夜型ですし、本当はずっと仕事をしていたいタイプです。でも、クラシコムに入って18時退社になってからは、2歳と4歳の子供たちをお風呂に入れて絵本を読み聞かせて…ということができるようになりました。

前職のときも、週に2回は早く帰るようにしていたんですが、それはなかなか大変で。今はみんなが早く帰るので、その辛さはないです。仕事と家庭の両立という意味では、とても助かっています。

まあ、それでもまだ妻も僕も毎日大変ですし…、育児っていうものはなかなか(笑)。

──2歳と4歳の育児、大変ですもんね。佐々木さんはいかがですか。

佐々木
実は、僕、来月入籍の予定で。

──まあ!

廣瀬
今、すごくプライベートが忙しいんですよね。

佐々木
そうなんです。二人の新居に先に僕だけが住んでいるんですが、彼女の荷物だったり組立式の新しい家具がどんどん届いていて。僕は退社後、家に帰って荷物を受け取って、開けて、片付けて、ダンボールを捨てて、ということを繰り返しています。

こういったことだけでなく、今後プライベートでも何が起こるかわからないですし、限られた時間で集中して働けているのは、安心がありますね。

──ラップや演劇、これからまた別の楽しみが生まれるかもしれませんしね。

──では、最後に。どんな人は、クラシコムのエンジニアとして幸せに働くことができそうですか。

廣瀬
一つは、やはり技術力は必要ですね。ECという意味でも、先ほど言ったように、今動いているからといってずっと動くわけではない。常に改善していかなくてはなりません。

佐々木
うまく言葉にできないのですが、自分の強みや興味は特定の範囲で持ちつつ、エンジニアとして芯のある人は合っているかなと思います。

廣瀬
確かに。言われた仕事をとにかく早くやるぞ!ということも大切だとは思うのですが、それ以上に、何か理想を持っている人、ワクワクしたい人の方が、働いていて楽しいんじゃないかなとは思います。

何しろ、エンジニアはこれをやってくれればいいよ、なんていう風には言われないですから。クラシコムのみんながやろうとしていることがある中で、エンジニアとして何ができるだろう、ということを常に考えられる人が必要だし、そういう人ならすごく楽しいと思うんですよね。

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