フルリモート・フルフレックス形態を取る企業 K.S.ロジャース株式会社(以下K.S.ロジャース)。
創業者 民輪一博にフォーカスを当てることで紐解く「創業者インタビュー」シリーズの最終回は、リモートで動く組織としてコミュニケーションをどのように捉えているのか聞いてみました!
(過去の記事はこちら:第1回目・第2回目)
【profile】
K.S.ロジャース 代表 民輪一博(たみわかずひろ)
京都大学大学院工学研究科電気工学専攻卒業。
学部生時代にワインラベル画像認識アプリのスタートアップに従事。大学院一回生にて学生ベンチャーを立ち上げ、CTOとしてエンジニアリング領域を中心にR&D、コンサルティング、セールス、事業開発、プロダクト開発などに幅広く従事。
2016年3月大学院卒業後、学生ベンチャーを売却し、同年2社目のスタートアップに参画。
その後、大きなプロジェクトを複数こなしたのち2017年12月にK.S.ロジャース株式会社を立ち上げて独立。
また、IT文化を東京一極集中から地方に広げるため、スタートアップスタジオ事業とライフスタイルテック事業を運営する。
自分の理想の働き方は、他のエンジニアも同じだった
__K.S.ロジャースといえば、フルリモート・フルフレックスが前提であり、これらを強く発信していますね。このスタイルを取った理由は何でしょうか?
単純に「自分がそうしたかったから」です。
私が夜型人間のため、朝早く起きなくて良いという時間の面と、会社に通勤しなくて良い、という移動の面が主な理由です。
そこには理屈も何もなくて、完全に自分の希望を叶えたかったことが始まりですね(笑)
__めちゃくちゃシンプルですね(笑)リモートワークを好むのは同じように夜型の方が多いのですか?
そうですね、あくまで私の周りに限ってですが、圧倒的に夜型が多いと思います。
戦略的に見てもこのスタイルが正しいと早い段階で気づきました。人材募集をした時、反応が良かったからです。
__同じ感覚を持っている人が多かったのですね。
はい。自分と同じような働き方をしたいエンジニアは多いんだなと分かり、このスタイルで進んでいく確信を得ました。
3年前の創業当時は東京一極集中だったので、関東のプロジェクトが圧倒的に多い状況でした。
私が住んでいる神戸では、エンジニア人材の情報が入ることが少なく、いくら「勤務地は神戸です」と募集したところで人が集まらないのは目に見えていたんですね。
そのようなこともあり、最初から現地で採用することはまったく考えていませんでした。
同時に「どこで働いてもOK」という採用にすれば、アプローチできる母集団も比べ物にならないくらい大きくなるので、絶対に勤務地は自由にすべきだな、とも考えていました。
__集まったメンバー構成は、現在エンジニア人材が約8割と最も多く、デザイナーやバックオフィス、マネージャーなど他業種がそれ以外の割合を占めていますね。(※2021年7月現在)
コーポレートとしての機能を考えると、エンジニア以外の職種をもう少し増やし、エンジニアは7割ほどになるのが理想のバランスですね。
海外のベンチャー企業の場合もエンジニア比率が高いと言われており、海外の事例を基準に見ているところもあります。
リモートでの働き方は、コミュニケーションが大事。泥臭くてもしっかり向き合い意思疎通を図る
__フルリモート・フルフレックスの働き方はとても柔軟ですが、難しさを感じることはありますか?
当たり前ではあるのですが、全員が同じ時間に同じように働くという形態ではないため、すべての業務が非同期で進みます。
どのように情報共有や報・連・相をするか、また、どのように業務フローを構築するかといった辺りは、恐らく難易度が高いだろうと思っています。
そして現在まさにこれを課題として改善に取り掛かっているところになります。
__K.S.ロジャースの公式サイトには「チャット上でのコミュニケーションがしっかり取れる方を求めています。」とありますが、対面を重要視される方が募集に応募された場合はどう考えますか?
現在弊社が立っているフェーズから見ると、リモートワークの対応が困難な方は残念ながらお断りをしています。
因みに、リモートワークを希望しているものの弊社で成し遂げたいことが見えないという場合も、同様です。
__チャットでコミュニケーションを取るには気遣いも必要なスキルですよね。
コミュニケーションの取り方に関しては、国によっても文化が違ってきますね。
例えばオランダはストレートにビシバシと伝えます。日本はオブラートに包んでネガティブな伝え方を避けますよね。アメリカは中間で、最初に褒めておきながらも伝えたい点をはっきりと言います。
K.S.ロジャースの場合、日本人メンバーが多いため、現状はチャット上のコミュニケーションにも日本的な対応が必要となります。ここで誤解してほしくないのは、国籍は関係なく、あくまでコミュニケーションの取り方について言及しているという点です。
過度な忖度は不要ですが、言葉に気を配ることができる方かどうかは注目しています。
__コミュニケーションにおいても、ある程度はルールが必要だということですか?
最近は「ルール」と言うよりも「条件」を重要視しています。
コミュニケーションの仕方を「ルール」としてガチガチに固めてしまうと、クリエイティビティがなくなってしまうからです。
「こうした方が良いよね」「こうしたら駄目だよね」という条件を定義するようにしていて、この条件に基づいて各自が判断し、行動すれば良いと考えます。
K.S.ロジャースのような組織にとってはこれが正しい運営形態なのだと思っています。
__一方で、条件の解釈や行動は、人によって変わると思うのですが、その際に価値観の不一致なども発生することがありますよね?
そこは単純に、「合わなければ他の会社を探してみること」も良いと思います。
これからは雇用流動性が大きくなるべきだと考えているので「合わないので転職する」「メインで稼働する会社を自分で決める」というのはあって然るべきだと思っています。
例えばプロジェクトの進行中にコミュニケーションのズレが起こることもありますが、その時は絶対にコミュニケーションをきちんと取りに行きますね。
会社が行ってほしいこと、その人個人としての考え、そういったお互いの摺合せは泥臭くやっていくべきだと思いますし、絶対にやるようにしています。
__まずはお互いにきちんと向き合うんですね!
そうですね。それでも結果的に合わなければ、これはもう性格の不一致ということですから「今回は縁がなかったね」ということになるだけです。
自分が所属したくて、かつ組織からも求められる形が良いでしょうし、そこにネガティブな要素というものは全くないと思うんです。
「家族」ではなく「プロ集団」として
__フルリモート・フルフレックスの環境下では「帰属意識」も得られにくそうな気がしますが、これについてはどのように考えますか?
先ほどお話ししたように、他の会社に軸足を移すことはあっても良いと思います。複数の会社に所属するのが当たり前の社会になって然るべきだと考えているからです。
会社のビジョンを深く理解してくれて、ビジョンを達成していくために共に取り組んでくれることを「帰属意識が高い」とするならば、そのような方と一緒にチームとしてやっていけたら嬉しいです。
私自身は、メンバー全員を“家族のように扱う”というのはしないと決めているんです。
__組織=ひとつの家族とする考え方もありますが…
どちらかというと、メンバー全員がプロ意識を持ったチームとして活動してほしいなと思っています。
ビジョンという達成すべき目標に対して、プロ意識を持って組織を改善しながらアプローチする、“プロ集団”のイメージです。
だからこそ、プロ意識のない人がいたら「それは違うよ」と伝えていこうと思いますし、逆に「組織としてこうあってほしい」という意見があれば、フィードバックをいただきながら改善していきたいと思います。
また、個々がプロとして活動しやすいように、組織としてできることは順次取り組んでいきます。
何事も合理性を持って判断をしていきたいと考えていますね。
__現在は社内コミュニティの形成に力を入れていますが、こちらは合理性というよりも、感情的なアプローチですね。
K.S.ロジャースの特性上、個人プレーをしやすい環境でもあるんですね。
会社のビジョンがしっかりと定義されている一方で、ビジョンを浸透させたり、組織立ってプレーをしたりするためには、感情面からのアプローチも会社として必要だと考えており、コミュニティ形成も大切な要素だと考えます。
大切なのは、自分の考えを持ち、コミットする力
__先ほど話題にも挙がったように、K.S.ロジャースにマッチする人はコミュニケーションをしっかり取れる方でしょうか?
そうですね。あとは「しっかりとコミットできる」というのが大切だと思います。
実力のある人に入ってきていただけるのはもちろん会社としては有り難いですが、それだけではなく、面談の中で「この人はカルチャーフィットして伸びるな」と思った方も、採用するようにしています。
__伸び代があると感じさせるポイントはどこにあるのでしょうか?
素直さと、自分自身の考えをしっかりと持っている点です。これらはとても重要だと思っています。
考える力は、自分で考えないと身につきません。私あてに相談が来たときも「この悩みだったら、1日考えてみなさい」と敢えて突き放す場合があるのですが、その時にきちんと本人が悩みきれるかどうかは重要だと考えます。
__では、最後に読者の方へ一言お願いします!
K.S.ロジャースは、圧倒的に自由な要素が強みであると同時に、表裏一体で、“責任”もしっかりと付いてくる会社です。
頑張れば頑張る分だけ、成長できる環境ですので、興味がある方は是非一度お問い合わせください。
__ありがとうございました!