みなさんこんにちは、クラビスでCOOをしている君島です。
今回、弊社のSTREAMEDが誰のどんな課題を解決するプロダクトなのかをお伝えしたいと思います。ユーザーが抱えている課題の全体像や、STREAMEDの導入が進んだ世界では何が実現されるのかについてお話していきたいと思います。
STREAMEDとは
STREAMEDとは、領収書や通帳のコピーをスキャンするだけで、会計ソフトに取り込める形に変換しデータ化するサービスです。領収書のような非定型であったり、手書きがまじる紙でもAI OCRだけではなくオペレーターによる入力を組み合わせて正確にデータ化をしていることがサービスの特徴です。
STREAMEDは一般企業や個人事業主向けのプランと会計事務所向けのプランの2つがあり、特に後者に力を入れてサービスを展開しています。サービス立ち上げ時も会計事務所に毎日のように私自身も足を運び、フィードバックを受け、会計事務所の実務に合うように作り上げました。
順番が前後しますが、会計事務所がどんな事業をしているのか、あまりイメージが沸かない方も多いかと思います。本記事では概要をお話していきますので、より詳しく知りたいという方はTACキャリアエージェント様の説明が分かりやすいのでご覧ください。
STREAMEDを使うユーザーの概略を理解いただくために、一部説明を抜粋すると
“会計事務所は、法人・個人の税務相談、各種税務申告業務、記帳代行といった税務・会計に関するサービスを展開します。
税務・会計に関する専門知識がある公認会計士・税理士資格を有する方が、独立・開業し運営しています。
税理士が行える独占業務をはじめ、経理部が確立されていない中小企業への会計代行業務・経営分析。さらには、株式公開支援・企業再編支援など、年々情報提案型のコンサルティング業務を行う会計事務所の増加が目立ちます。”
という記載があります。
一部正確性は欠きますが分かりやすさを重視して説明しますと、主に個人事業主や中小企業をお客様として、税務相談や経理業務の代行、経営相談を請け負っています。
なぜ会計事務所を顧客とするのか
では、なぜSTREAMEDは会計事務所への提供に力を入れているのでしょうか。
そのためには、まず中小企業の経理の実態を理解して頂くのが近道です。
よく言われる話ですが「日本の企業の99.7%は中小企業」です。
では、その中小企業は経理の専門的な知識を習得し、会計ソフトに取引情報を入力している(専門用語では「記帳」と呼びます)のでしょうか。実はかなりの割合で記帳を会計事務所にアウトソース(専門用語では「記帳代行」と呼びます)しています。
少し古いデータですが、2017年の中小企業白書では、中小企業の約3割が記帳代行しているといわれています。しかし、弊社が独自の営業活動でヒアリングした結果では約6割が記帳代行を依頼していることがわかりました。日々会計事務所と接し、中小企業白書では正確に拾い切れていない現場の感覚では、この割合が実態に近いように感じます。つまり、会計事務所の業務のかなりの割合を記帳代行が占めています。
そんな記帳代行は、中小企業から送られてくる資料をもとに進められます。記帳代行の基となる資料としては、領収書や通帳、クレジットカード明細、請求書などがあります。では、中小企業は会計事務所に記帳代行を依頼する際に、どのように資料を渡しているのでしょうか。昨今、クラウド会計ソフトの普及が著しいので、インターネットバンキングのデータやWEBのクレジットカード明細といったデジタルデータを想像するかもしれません。しかし、実態は領収書や通帳のコピー、クレジットカード明細など、まだまだ多くの資料が紙での提出になっています。2020年に行われた日本銀行の調査によると、法人でのネットバンク普及率はまだ27%にとどまっているようです。想像よりも少ないと感じられるのではないでしょうか。このデータからも資料の受け渡しがデジタルになるには、時間がかかることが予想できますよね。更には紙も数枚ではなく、毎日のようにタクシーに乗り飲食店に行く中小企業もあるので、月に数百枚に上ることもザラにあります。
会計事務所では各スタッフが約20-30件のお客様(中小企業)を担当しており、弊社のデータを採用すると、そのうちの6割にあたる12-18件の記帳代行をしていることになります。つまり、お客様からたくさんの紙を集め、会計ソフトに手入力することに多くの時間を費やしているのです。想像しただけでも大変な作業ですよね。
そこに大きな課題があると感じ、つくられたプロダクトがSTREAMEDです。これまで、紙に書かれた情報を手入力することに忙殺されていた会計事務所が、紙をスキャンをするだけで情報のデータ化を完了することができます。それは、6割にも及び手入力業務からの解放につながります。
こうした、現場に即した課題解決の手法として、お陰さまでSTREAMEDは会計事務所で広く受け入れられました。
会計事務所は日本に3万事務所あると言われていますが、STREAMEDは既に4,460の事務所にご利用されており、サービス満足度も96.5%と非常に高いです(いずれも2022年4月時点の実績)。会計事務所に訪問すると当たり前のようにスキャナが置いてあり、領収書をスキャンしている光景を見ると、少しだけ会計事務所の業界を変えられたかもしれないと嬉しく感じます。
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H30/PDF/shokibo/04sHakusyo_part2_chap2_web.pdf
会計事務所への期待
中小企業白書では、日常的な経営に関する相談相手として第一位に「税理士・公認会計士」が挙げられています。よく経営者は孤独だと言われますが、そんな経営者は会計事務所に相談をしたいと感じています。他にも事業計画策定やバックオフィスのDX化を支援したりと幅広く中小企業の経営をサポートする会計事務所も出てきています。
しかしながら、会計事務所は日々の記帳代行業務に多くの時間を費やしており、求められている経営相談に時間が割けない状態になっています。この状態をSTREAMEDで解消することができれば会計事務所を通じて日本の中小企業はきっと今よりも元気になると信じています。
クラビスは「働くを再構築し、価値を最大化する」をミッションに掲げています。STREAMEDによって微力ながら会計事務所の「働くを再構築」することができてきたように感じています。そして、「価値を最大化」するために奮闘している会計事務所と出会うことができました。私たちがサービスを磨き続け、ミッションの実現度合いをもっともっと深めていくことで、目の前にいる会計事務所とその先にいる中小企業まで、価値が最大化される未来をつくってきたいと考えています。