きのもと商会とは2023年末の入社前よりもずっと前からつながりがあり、仕事を共にする機会もあった石倉さん、現在はデジタル・ディレクション事業部のマネージャーとしてWeb制作を中心に活躍しています。
空間デザインからWeb制作まで、多才な石倉さんのこれまでの経験や、マネージャーとしてのこれからの展望についてお話を伺いました。
石倉 まさたか
デジタル・ディレクション事業部 / マネージャー・ディレクター
愛媛県出身。家具屋の息子。生活感がある心地よい空間が好きです。 2011年よりシェアハウス情報サイト「ひつじ不動産」で全国500以上の物件を取材をしながら、コワーキングスペース運営に従事。株式会社LIGでフィリピンと広島にコワーキングスペース「いいオフィス」の立ち上げを経験した後、株式会社ヒトカラメディアにてオフィスデザインおよびPMを担当。2022年には、コーポレートサイト及び採用サイトに特化したWebデザイン会社を設立。 座右の銘は「sunshine to you」。仕事で関わる方全員が、プロジェクトを進めていくコトにワクワクしていただける、そんな状況をつくって参ります。
クライアントの想いを形にする責任・使命、仕事の原点とチームへの想い
-石倉さんといえば、いつも楽しそうに仕事をされている姿が印象的ですが、そのモチベーションはどこから湧いてきているのですか?
今はWeb制作をメインでやっていますが、その前は空間デザインの仕事をしていました。だんだんとどっちが本業かわからなくなってきているんですけど(笑)やっぱり「空間デザインや設計をやってきた」というのが自分のアイデンティティとしてありますね。そしてWeb制作でも空間デザインでも、一番ワクワクする瞬間は「提案のフェーズ」なんです。
クライアントの想いを整理し、言葉にして形にし、そして提案を通して腹落ちさせる。その過程が仕事の中で一番楽しく、モチベーションが最も高まるところです。
もちろん初めからそうだったわけではなくて、こう思うようになったのはひつじ不動産にいたときの経験が大きく影響していると思います。
ひつじ不動産というのは日本全国のシェアハウスを丁寧に取材して空間のレビューを掲載しているシェアハウスの専門メディアで、僕はそこでライティングもカメラマンもやるエディターとして働いていました。そして、その空間をつくった人たちの企画書よりも、と言ったらおこがましいですけど、それくらいの気持ちで全国を飛び回り、シェアハウスの魅力を伝えるために言葉を尽くす仕事をしていました。
あらゆることにアンテナを張り巡らせて、五感を研ぎ澄まして、空間を感じ、その空間をつくった人の想いをとりまとめる。失敗も重ねつつ、ありのままの空間を伝えるという仕事が面白いのと同時に、それに対してなにか責任感・使命感のようなものを感じるようになっていったんですよね。
コピーライティングは言い過ぎかもしれませんが、その端くれくらいではあったと思っています。言葉をつくってお金をもらっていることにプライドを感じていました。
-現在はWeb制作をメインとされていますが、そこから何がきっかけでWeb制作を始めたのですか?
ひつじ不動産での経験もあって、僕はクライアントに光が当たってほしい、輝いてほしいの一心で仕事をしています。
これまでは空間や言葉を通じてその手助けをしてきましたが、Webというツールに出会ったときに、これでもいける! という確信がありました。
ひつじ不動産のあとにヒトカラメディアやLIGを経て、「我ながら色んなことができるようになったなあ」と。そんな自分のスキルを使ってもっといろんな人の役に立てるんじゃないか? みんなに僕を便利に使ってもらいたい! と言いたくて「よふかし」という会社をつくりました。
よふかしのミッションは「あなたのファンになる、あなたのファンをつくる。」です。Web制作をメインに置き、デザインと編集を得意にしていると言ってはいたものの、クライアントが一番輝くためには方法にはこだわらない、なんでもやる会社です。
個人でもやっていける仕事で会社というかたちをとったのは、「チーム」というものに憧れがあったからかなと思います。
チームへの憧れの根源はおそらく学生時代に所属していた吹奏楽部での経験ですね。
中学・高専時代は吹奏楽部に所属していて、僕はチューバとドラムをやっていました。中学校のときは部員が50人くらいいて、なかなか強い部活だったのですが、高専に入学して吹奏楽部に見学に行ってみたら部員が6人しかいなかったんです。
来年潰れるかも、みたいな状態でしたね。「この状況なら絶対部長になれるな」と思って入部したんですけど(笑)
目論見通り部長にはなれたのですが、僕はそういう組織のなかで部長になったとしても中心人物ではないことの方が多い自覚があります。今でこそ社長を経て事業部マネージャーのポジションについていますが、もともとは全然リーダータイプではないんです。
ただ、リーダーシップではない形でチームを率いてきたという経験はあると思っています。
-リーダータイプではないけど物事を率いているっていうのは石倉さんっぽいですね。どんな経験があったんですか?
やっぱりそうですか?(笑) 高専の部活はとにかく活気がなくて、吹奏楽部なのに部室から音がしなかったんですよ。僕は、部活の楽しさとはやっぱり、「たくさん人がいること」と、「毎日練習を重ねて新しいことができるようになること」だと思っていました。だからまずは毎日部室に行って音を鳴らして、僕たちの存在を学内に示すことから始めました。それも、できるだけ面白そうに見えるように。
毎日それを続けているとたまに人が訪ねてくるようになって部員が増え、「チーム」になっていきました。
その他にも、過去に出たことのなかったコンクールに出てみたりとか、文化祭を企画・開催したりとか……。もう20年近く前のことなんですけど、その文化祭は今でも続いているらしいです!
そういったところでチームを牽引してきたと思っています。
そしてその時に絶大な効果を発揮してくれていたのが、「しっかり者のサブリーダー」ポジションの人たちの存在でした。マネージャーになった今でもそういう人がいたらな〜という気持ちがあるのですが、それも部活での経験の影響だと思います。実際に僕が部長のときに、しっかり者の副部長と、スペシャリストタイプの同級生がいたんです。演奏の実力もあるし、僕の夢や妄想を実現できるように導いてくれるし。彼らに支えてもらっていたのって本当に大きかったなあと、たまに思い出すことがあります。
よふかしはそういう人に支えてもらいながら天真爛漫な社長になるっていうのが理想だなと思って始めたところもありますね。
専門と専門のあいだの橋渡し。「事業部」という形でのチームづくり
-石倉さんはリファラル採用ですが、村山さんとはどこで知り合ったのですか?
村山さんと出会ったのはヒトカラメディアにいた時です。当時村山さんはマネージャーで、周囲の人に怖がられている存在でした(笑)
実は優しいんだけど、甘くはない。ダメなことはダメと言ってくれる人だと思います。
あとは、なんて言うんでしょう。出し抜いてやろう感というか、目の前のものがどうしたら面白くなるかを常に探っている。村山さんに編集者としての経験があるからなんですかね、常に物事の切り口というか、見せ方、言い方とかを考えている人だなあと。そしてそれが結構攻めてる。
僕よりも早く「やってみよう!」って言う人にあまり出会ったとがないんですけど、村山さんにはいつも先手を取られている感じがします。
僕は人が好きと言いつつ、プライベートではあんまり人と関わらないタイプなんですが、そんな中でも村山さんは比較的連絡を取る人です。友達ともちょっと違う、珍しいポジションにいます。
よふかしのことで悩んでいた時に、どちらからともなく連絡を取り合って、村山さんに相談したらたちまちきのもと商会に入社する運びになりました。もしかしたら村山さんのなかでは少し前から考えていてくれたことだったのかもしれませんが、さすがのスピード感、決断力だと思いましたね。
-入社してから1年と少し、調子はいかがですか?
2023年末にきのもと商会に入社し、約1年ほどよふかし企画 by きのもと商会 としてやってきたのですが、会社の組織編成が変わり2024年10月から事業部化して「デジタル・ディレクション事業部」になりました。
僕としては、よふかしでは「会社」という形でチームをつくろうとしていたのですが、今はきのもと商会のなかで、「事業部」という形でチームになっていこうとしています。
事業部制が始まってきのもと商会のなかにいくつかの事業部がある状態になって、デジタル・ディレクション事業部もそのなかにいることで、会社を面白くするきっかけのひとつになれていると思います。これは事業部制をとると決まった時から狙っていた状態なので、いい感じです!
事業部としては、専門と専門のあいだの橋渡しをするような存在のチームというのが将来像のひとつです。ひとつの専門に特化せず、なんでもやる! という世の中の流れに逆らったスタイルの事業部ですが、メンバーひとりひとりがいろんな分野に知見があります。だからこその橋渡し役です。
ただ、僕自身にこれまであんまりチームを組んだ経験があるわけでもないので、大きな目標を掲げるよりもまず楽しいチームにしたいですね!
-石倉さんのチームらしい目標ですね。そういえば「デジタル・ディレクション事業部」、特徴的な事業部名だと思うのですが、由来を聞かせてください!
これは結構難しいなあ(笑)
まず、Studioを使ったWeb制作をメインにしながらも「Web制作事業部」と言うのは嫌だったんです。なぜかというと、Webの専門家っぽく見えすぎちゃうから。
さらに「Webデザイン」とも言いたくなくて。デザインというのは数ある方法のうちのひとつでしかなく、万能でもありません。なので、「デザインで課題解決します」と言い切っているような事業部名に見えてしまうのは気持ちが悪かったんです。
一般的には専門家っぽく見えたり、デザインで課題解決ができそうに見えたりした方が良さそうですが、そうするとクライアントからの相談の幅が狭くなっちゃうと思うんです。例えばクライアントが「採用を強化するためにWebサイトをつくりたいです」と言っていても、実際にはWebサイトではなくオフィスをつくった方が効果的、とか。「商品を売るためにInstagramをつくりたいです」と言っていても、まずはWebサイトからつくった方がいい場合もあります。
僕は色んな課題を色んな方向から、色んな方法で解決できると信じているので、なんでもいいから一度話を聞かせてほしいんです。なので事業部名のために相談の幅が狭まってほしくない。
なのでWeb制作やデザインに限らずデジタルにまつわることならなんでも! という気持ちで「デジタル」を置きました。
そしてさらに「ディレクション」加えて「デジタル・ディレクション事業部」としたのは、「ディレクター」として課題に向き合おうという心意気からです。あとは略したときの「DD」の響き!
僕は「ディレクター」というポジションはアウトプットではなく、課題に向き合うことが求められると考えています。プロジェクトの成功のためにクライアントの課題を引き出したり、方法を提案したり、とにかく課題に向き合う。クライアントに「これが解決策です」と押し付けることはしません。加えて、メンバーのモチベーションを高めることもディレクターの大切な仕事だと考えています。
課題を解決すればいいっていうわけではないのが僕の欲張りなところですね。何をやるにもスタンスとしては「やるなら面白く」。 その方が絶対に楽しいです!
-「クライアントを輝かせる」という点に着目するとコンサルに近いようにも思われますが、「ディレクション」に込めた想いはコンサルとは大分違いそうですね。
コンサルとは全然違うと思っています! コンサルっていうのはクライアントにとっての「最適解」は出してくれますが、それはあくまでも最適解でしかないんです。全員がコンサルの言うことを聞いたら全員が最適解のラインに横一列に並んでしまう。全体から頭一つ抜けないということがまた課題になってしまいます。
僕はクライアントが一番光るようにしたい! という想いで仕事をしているので、横一列に並んでしまっては意味がないんです。
例えば垢抜けない人に全身ユニクロの服を着せて「ほら、これでデートに行っても恥ずかしくないよ」と言うのでは違くて、その人の味を引き出すコーディネートを提案して「めっちゃかっこよくなったじゃん!」って言いたい。さらにそれがファッションに興味を持つきっかけになってもらえたらもう最高です。
このへんのニュアンスが伝わる人なら楽しんでもらえるんじゃないかと思います。改めて話してみるとニュアンスが強すぎないか不安にもなりますが……(笑)
世の中の色んなことに興味を持ったほうが面白い。仕事は本気で真面目にやったほうが面白い
-今はこれから事業部を大きくしていくというフェーズかと思いますが、事業部としての方針はありますか?
Web制作・デザインだけをやって先鋭化していくのも格好いいし、楽しいとは思うんですけど、自分がやりたい仕事とはちょっと違います。Webデザインのスペシャリストを目指すメンバーももちろんウェルカムですが、スペシャリストとして活躍できる人の席はごくわずか。サバイバルという自覚があるなら、ですね。
サバイバルと言えば、僕は今自分がやっている仕事についても数年後あるかどうかわからないという、うっすらした危機感を持っています。仕事で生き残るための「勝ち残らなければ」という感覚は常になければならないと思っています。
というのもあって、どちらかと言うとメンバーひとりひとりも、世の中の色んなことに興味を持っている人が集まったほうがいいんじゃないかと考えています。メンバーが増えて、メンバーそれぞれのできることも増えて、それらを組み合わせて「こっちもできる、あっちもできる、そしたらこれができるじゃん!」となったら絶対に面白いはず。化学反応というか、イノベーションというか、そういったことが起こりそうな期待ができるのが理想的ですね。
いろんなカタチの人が集まって、雑談や会議中に脱線したときに出てくる話題さえもすべて有益な状況になったらうれしいです。
-具体的には、メンバーにはどんな人が向いていると思いますか?
僕自身、空間デザインもWeb制作も誰かに教わってきたわけではないんです。本を読んだり詳しい人に聞いてみたり、上手な人の真似をしてみたり。それの繰り返しで気づいたら色んなことができるようになっていました。メンバーにも、そういう学び方ができる人が向いていると思います。
あとは、セオリーをちょっと退屈に思う人がいいですね。セオリーの中で勝てるのって全項目が合格点のスペシャリストだけじゃないですか。僕は全項目合格点の人よりは、ある分野で100点だけどある分野では20点みたいな、ちょっといびつな人のほうが面白いし、そのいびつさがその人の愛すべき素敵な個性だと思っています。そういう人こそ何かに引っかかってチャンスに巡り会えるんじゃないかな。
なので、逆に言うと興味関心や得意分野、やりたいことが一点集中型の人はあまり向いていないかもしれません。
プロジェクトにおいては献身的なだけではブレイクスルーしません。どんな仕事にも自分自身がやる意味を乗っけて、ちょっと突き抜けるドライブが必要な気がしています。そういう自我の出し方ができる人がいいですね。
最後に、仕事を本気で真面目に楽しむことを求める人かな。仕事はそうやった方が面白いです。そしてきっと、どんな人でも入ったら楽しく働けますよ、いつでも僕が楽しそうにしているので!
採用については、選ぶ・選ばれるよりも偶然の出会いが面白いと思っているので、お気軽にご応募ください。お待ちしています!
小物ひとつとっても溢れる石倉さんらしさ