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【インターンレポート】東京なんて都会すぎて住めなさそう……。そう思っていた、生まれも育ちも奈良県の大学生です。

2022年11月下旬から12月下旬までの約1か月間、奈良から上京してオフィスのそばにあるホテルで暮らしながら働いていたインターン生が、木下商会の学生インターンを通して思ったことや、青山の名建築を巡るツアーのレポートを書いてくれました。ぜひご覧ください!

はじめまして。就活絶賛頑張り中の芸大生です。

私は芸大の工芸学科で陶磁器を専攻しています。自分で制作した作品を展示する際に、作品の世界観を表現できないかと空間全体での表現を考える中で空間デザインに興味を持っていました。

就職活動を進めるにあたり、専門的に空間デザインを学んだことがない私が、その分野で仕事をすることができるのかとの迷いもあり、まず第一歩となる経験をしてみたいと考えていました。

また、志望する企業を選ぶにあたり、気になるのは勤務地でした。クリエイティブな職種の求人は、東京勤務が多い傾向があります。しかし、生まれも育ちも奈良県の私が東京で就職することには不安がありました。

そんな中、Wantedlyで「思い切って地方から上京してみたい学生インターン、大募集!」をしている木下商会さんと出逢いました。


空間デザイン、オフィスデザインの現場を体験させていただける上に、東京に1ヶ月滞在できるという魅力的な内容で、これは私のためのインターンなのかと思うほどであり、思い切って応募すべきと、すぐさま選考を受けました。

こうして、年末も間近な11月下旬。東京に縁もゆかりもない私が、1ヶ月東京に住みインターンさせていただくこととなりました。

今回は、インターン最終日に連れて行っていただいた「青山散策ツアー」をレポートさせていただき、私のインターンの感想についてお話したいと思います。

「青山建築ツアー」

木下商会では、地方からのインターンがいる際に、恒例で都内の名建築を見ながら街を歩くという企画をしてくださっているそうです。今回は、社員の皆さんと建築マニア垂涎の青山を散策しました。巡った建築の中から、印象深かったものをいくつか紹介させていただきます。


◯プラダ 青山店  東京都港区南青山5丁目  2003年竣工

港区を象徴する最先端の建築美「プラダ青山店」

スイスの建築家たちの手による個性的な建築です。

プラダのブティック建築への革新的な取り組みにより登場したアートの様な店舗エピセンター・ストア(エピセンター=震源地)と名付けられたストアは世界に3つしかないそうです。

ニューヨーク、ビバリーヒルズ、そしてもう一つがここです。

こちらの店舗のファザードはガラス製になっています。斜め格子から張り出すガラスは窪みをおびて、有機的な力強さを感じました。窪んだガラスは熱に弱く、過去に何度か割れて張り替えが行われているそうです。ビル内は6階建てになっており、階段はガラスの枠に沿って設置されていました。

壁の全てがこのガラスで、どの角度からもビルの内部が透けて見えます。ビルの中に入るのは、ちょっと敷居が高く(笑)ガラス越しに憧れのプラダ店内を覗いて見ました。

この空間の全てにプラダの世界観が表現されていると感じました。


◯コレッツィオーネ   東京都港区南青山6丁目  1989年竣工

出典:https://www.blancnoirjapan.com/wedding/party/site/la-collezione/

このビルは安藤忠雄建築です。彼の作品らしさでもあるコンクリート打放しの仕上げが、クールで心惹かれます。そのコンクリートをスクリーンにするかの様に、建築のあちこちに施された隙間から注ぎ込む光の陰影の美しさに魅了されました。


フロアから外部に吹き抜け空間へ向かう階段はいきなり現れます。
手すりもなく向こう側の世界に落っこちていくようなドキドキ感もこの建築を楽しむポイントでした。


ビル内の階段。建物と階段の間には隙間があり、階下が見え空間の立体感を感じます。
階段を下りる時は浮遊感があり、足がすくみました。


コンクリートを注入する穴の位置までこだわられている安藤忠雄建築。
穴の位置は全て等間隔だそうです。


地下3階・地上4階建ての商業施設であり、内部は、階段や通路が複雑に入り組み、迷路のようでした。

「迷っちゃいそうだね」と話ながら、散策して回りました。

無機質にも感じるコンクリートの壁の中に差し込む光と風は、時間や季節、天気によって違った表情を見せるのだろうなと思います。秘密基地にしたい建築でした。


◯フロムファーストビル 東京都港区南青山5丁目  1975年竣工

出典:https://aoyama-fudousan.com/id/2057417/304

山下和真が設計。1976年に日本建築学会賞を受賞しているそうです。

こちらのビルの外壁は煉瓦造りであり、煉瓦が陽の光に照らされてテクスチャーの生まれるおしゃれな建築でした。斜めに設置されたハイサイドライトが特徴のある外観です。


このビルが建設された当時は現代のような耐震技術がなかったため、建物と建物がゴムで繋がれていたそうです。これが繋ぎ目です。
これにより、地震などで力が加わったときの力の分散が図られているのだそうです。


建物の内部は中庭を囲むように店舗が配置され、真ん中は吹き抜けになっています。
上階からもパティオを見下ろせる回廊の作りです。


幼い頃、ブロックで作った建物を思い出す様な懐かしさと、重厚感を感じる建物の中に差し込む光にあたたかさを感じる建築でした。

現在このビルにはブランドの店舗の他に、いくつかオフィスが入っていました。「歴史のあるおしゃれなビルのオフィスに勤務できるなんて羨ましいなあ」と思いました。


◯根津美術館  東京都港区南青山6丁目  2009年竣工

出典:https://www.nezu-muse.or.jp


この美術館は2009年に隈研吾によってリニューアルされ、現在の本館が建築されました。

和風家屋を思わせる大屋根が印象的です。



エントランスを入ると、まず目に入るのは、40m近くある軒下の小道。

竹の植え込みと丸竹の壁、硯石のように見える石畳という景色で東京の喧騒から切り離されます。

竹、石畳、玉砂利という素材を使い日本庭園のようなでありながら、見上げるとシャープなスチールの軒桁のデザインであり、それが不思議とマッチしていました。

この建築の屋根には、あえて雨樋が付けられておらず、屋根をつたった雨水が植木の土に落ちる構造になっています。

村山代表が「雨水が落ちる様もデザインされている」とおっしゃった言葉がしっくりきました。村山代表の表現もかっこいい!


建物内側にも切妻屋根の形状をそのまま感じられるような天井が作られています。
天井は二重の構造になっていて。竹を使った板の隙間からライトが差し込みます。


日本庭園の中の和風建築のような建物。大屋根のダイナミックな傾斜。

和風でありながら、直線的でスタイリッシュな印象を受けました。

竹や玉砂利など和の素材とスチールという逆の効果を感じるような材料を組み合わせ、このスタイリッシュな表現をする建築は、美術館という入れ物ではなく、この建物自体が美術だと思いました。

「隈研吾の建築は若者に人気があるが、根津美術館はどんなところが魅力的だと思った?」と村山代表に尋ねられました。

どんなところと言葉にするのが難しいのですが、私はとても居心地が良いと感じました。

それはふんだんに使われた和風素材が生み出す温もりや、大きな窓から差し込む光の効果なのでしょうか。

隈研吾は、木材を使用した日本的な建築作品を手掛ける方です。

私はインターンで東京に来てから、休日にカフェ散策をしていましたが、その第一弾に訪れたのが目黒のStarbucks reserve roastery Tokyoです。こちらの外観設計も隈研吾さんです。

木材を巧みに使い店内の随所に和が感じられるスタバでした。

1日中過ごしたいような場所でしたが、休日は行列するほどの人気!!

また、私の住む奈良県では「ふふ奈良」というホテルをデザインしています。ここには奈良に古来より伝わる伝統や技術が用いられているそうです。近くまで行ってみたことがあります。いつか泊まってみたいホテルです。

古来より日本人が大切にしてきたものを現代に魅せてくれる隈研吾建築。それが若者にも人気なのは、やはり日本の良さが感じられることに居心地の良さを感じられるのかなと思いました。

建築には素人なのでこれくらいの表現しか・・ですが。

これらの名建築巡りで目の保養をした以外にも様々なところに連れて行っていただき、青山を満喫しました。


HAYやspiralなどのインテリア雑貨屋も訪れました。写真は、MoMAで見かけた可愛い木彫の小鳥です。木の温もりが感じられる!


今回の散策ツアーで、普段何気なく訪れている建物は、それぞれの建築家がこだわりを持って設計し、高い技術を持って再現する職人がいることに気づかされました。

たくさんの要素について配慮しなければならない建築物のデザインは、どうやって統一感を持たされているのかなどといった、設計の視点を得ることができました。

建築に対して見方が変わった状態で街を歩くと建物のおもしろさに気づき、新しい世界が見えてきそうで、ワクワクしています。


インターンを終えて

今回の長期インターンを終えて、私の中で意識が変わったことは以下の2つです。

  • 社会に出て働くことが楽しみになった。
  • 東京も含めてどの地にも自分の居場所は作れる。

現在、一生懸命就職活動をしながらも、社会に出て働くということに不安を持っていました。

しかし、木下商会のオフィスで過ごさせていただいた1ヶ月、新しい出会い、人との出会い、仕事との出会いが楽しくてあっという間に過ぎてしまいました。

代表から「急に仕事が早くなったね」と声をかけていただいた時の嬉しさは心に残っています。

自分が仕事で役に立てたなら、もっともっと深い充実感を得られるのだろうと思い、そんな日が来るよう頑張りたいと思えるようになり、働くことへの目標や希望を見つけた気がします。

今は、働くことは日々学びであり、新しい仕事を覚えること=新しい知識を得ることは、自分を深める行為であると気づきました。

社会人は、学びを得て実践するという行為に+で会社という組織での責任が伴ってくる点が学生時代との大きな違いであると感じました。だからこそ、知識を自分のモノにでき、実践を完遂できた時の達成感は計り知れないであろうと思います。

そして、東京の地も初日は人の多さや電車の複雑さに戸惑いましたが、そんなものにはすぐに慣れました。自分から求めていけば、楽しいことがたくさん見つけられました。

未知なことを恐れて縮こまっていないで、思い切って踏み出す。そんな行為の繰り返しで、自分の世界は広がっていくのだと実感しました。

このインターンに参加させていただき、何事にも進んでいく勇気を得ました。

年末の慌ただしい時期、私のような何もできない大学生をインターンに受け入れていただいたことに心から感謝を申し上げます。

この経験を糧として、これからの就職活動を頑張り抜き、木下商会の皆さんのように楽しく働き日々成長できる社会人になりたいと思っています。

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