初めまして。株式会社KIDです。
設立から約20年。営業活動を行わず、口コミと紹介だけで国内外の大手企業との直接取引を続けてきました。私たち、株式会社KIDです。代表の高橋が大切にしてきたのは、自分の表現を見せることではなく、相手が持つ価値を、最も伝わる形で届けること。その裏側には、未知の依頼にもチームで向き合い、実現する方法を探し続ける熱量と泥臭さがあります。
音楽ディレクターとして始まった仕事は、映像、イベント、空間演出へと広がり、現在では海外から数百名を迎える国際プロジェクトまで動かすようになりました。しかし、高橋自身は「事業を広げようと思って広げたわけではない」と話します。
自分の専門性を武器に、まだ知らない領域へ踏み出したい。決められた役割の中だけでなく、プロジェクト全体を動かす仕事がしたい。そんな方に、ぜひ読んでいただきたいインタビューです。
プロフィール
- 名前:高橋 慧
- 役職:代表取締役 兼 クリエイティブディレクター
- 経歴:
- ライブハウスの音響スタッフからキャリアをスタート
- レコード会社でディレクターを務め、2006年に株式会社KIDを設立
- 映像制作、イベント企画、空間演出など、領域を問わず企業の課題解決に伴走
- 現在もプレイングマネージャーとして、最前線でプロジェクトを牽引
タカハシ ケイのプロフィール - Wantedly
手段を限定しない。「どうすれば伝わるか」を探求し続けた変遷
――KIDは、最初から映像会社として始まったわけではないそうですね。音楽ディレクターの仕事から、映像、イベント、空間演出へ。どのように仕事の境界を越えていったのでしょうか?
KIDは、最初から映像制作会社としてスタートしたわけではありません。もともと私はレコード会社でディレクターとして働いていて、そこでの縁もあって他社のアーティストのディレクションも依頼される機会が増えたことをきっかけに、会社員を続けながら、自分の活動の受け皿としてつくったのがKIDです。今でいえば、完全に副業ですよね。しかも他社所属のアーティストの仕事ですから、よく会社も許してくれたと思いますね。
レコード会社のディレクターは、楽曲制作だけを担当する仕事ではなく、作品を世の中へ届ける段階では、ジャケットやアーティスト写真、ミュージックビデオ、販促物、コンサートなど、さまざまなクリエイティブに関わります。法人設立後も、その延長線上で作品全体のクリエイティブについてご相談いただく機会が増えていきました。
その後、東日本大震災をきっかけに、会社として非常に厳しい時期を経験しました。大きな仕事が突然なくなり、一人で続けられる規模の仕事を、もう一度一つずつ積み重ねていったんです。そこで生まれたご縁が、次の仕事や、現在まで続くお客様との関係につながっていきました。
そして、もう一つ大きな転機になったのはCOVID-19です。世界中で人が集まることが難しくなる中、世界各国に拠点を持つ企業から、「毎年開催しているグローバル会議を、この状況でどのように実施すればよいだろうか」というご相談をいただきました。印象的だったのは、「配信をつくってほしい」というように、手段があらかじめ決められた依頼ではなかったことです。この状況でも、参加者へ必要なことをきちんと伝えるにはどうすればよいか。その根本から一緒に考える仕事でした。
映像を制作するだけでなく、「こう表現した方が、より伝わるのではないか」と、伝え方そのものまで提案する。そうしたやり取りを積み重ねる中で、海外で開催するイベントでどのような手土産を渡せば、その思いが伝わるのか、参加者にどのような時間を過ごしてもらうべきかといった、映像と直接関係のないプロジェクト全体の設計に関わる相談もいただけるようになりました。
振り返ると、KIDは「事業を広げよう」と考えて分野を増やしてきた会社ではありません。目の前のお客様が実現したいことに向き合い、「もっと良い伝え方はないか」と考え続けた結果、相談される範囲が広がり、今の形になりました。
過去に携わった作品たちの一部
――とはいえ、経験したことのない仕事を引き受けるのは怖くなかったのでしょうか。それでも断らず、実現する方法を探そうと思えたのはなぜですか?
正直に言えば、不安よりも自信が勝っていたことは、一度もありません。むしろ、「できません」と断ったら、この方はもう二度と私たちに相談してくれないかもしれない、という思いの方が強かったのだと思います。せっかく私たちを思い出し、期待して相談してくださった。その時に、経験がないという理由だけで最初から線を引きたくなかったんです。
ただ、私は、もともと自分一人の能力だけで仕事を成立させようとは考えていないんです。レコード会社にいた頃から、ディレクターという仕事は自分一人で何かを完成させる仕事ではありませんでした。目的を共有し、異なる専門性を持つ人たちをつなぎ、一つの方向へ進めていくことだと思っています。最初に考えるのは、「なぜできないか」ではなく、「どうすれば実現できるか」ということです。
自分に足りない知識があれば専門家を探す。体制がなければ、信頼できる人に相談してチームをつくる。不安があるからこそ、準備を重ねる。その考え方は、今も変わっていません。未知の仕事に踏み出せたのは、必要な人たちと適切なチームをつくれば、実現できる可能性があると信じていたからだと思います。
自分たちが主役じゃない。クリエイティブの起点は、いつも相手にある
――営業活動をしないまま約20年、口コミと紹介で仕事がつながり続けています。なぜKIDは「また一緒に仕事がしたい」と思ってもらえるのでしょうか?
最初に思うのは、本当に人に恵まれてきたということです。そのうえで、自分たちが意識してきたことがあるとすれば、できることとできないことを曖昧にしないことです。
お客様からご相談いただいた際、技術的にできないこと、予算やスケジュールの条件から実現が難しいことは、理由を含めて正直にお伝えします。ただし、「できません」で終わらせることはしません。その方法では難しくても、目的を実現する別の方法はないかを考えます。
場合によっては、私たちの売上が小さくなる提案をすることもあります。それでも、最終的にお客様にとって良い結果になるのであれば、その方が正しいと思っています。過去の仕事そのものが、次の仕事に対する信頼材料になっているのだと思います。
――高橋さんは「クリエイティブディレクター」と名乗りながら、自分の表現を前面に出すタイプではないと話します。クリエイティブの仕事なのに、自分を主役にしない。その感覚は、どこから生まれたのでしょうか?
まず、「クリエイターではない」と言いたいわけではありません。クリエイティブディレクターと名乗っているのは、その方が仕事の内容を分かりやすく伝えられるからですし、私自身、自分なりの考えや美意識を持たずに仕事をしているわけでもありません。何も考えず、言われた通りにつくるだけでは、良いものにはならないと思っています。
その原点は、レコード会社に入る前に働いていたライブハウスにあります。ステージでは、当然アーティストが主役です。音響スタッフが目立つ必要はありません。アーティストが最も良い状態でステージに立ち、演奏や歌がお客様へきちんと届くことが、裏方としての理想でした。
その考えや技術を、自分の名前や作家性を見せるために使いたいわけではありません。クライアントやアーティスト、商品やサービスが持っている価値を見つけて、どうすれば相手に伝わるかを考える。そのために必要な人や手段をつなぐことが、私にとってのディレクターの役割だと考えています。
私にとって、クリエイティブとディレクションは矛盾しません。誰かが持っている価値を見つけ、それが人の心へ届く形を考えることがクリエイティブ。そのために必要な専門性や手段をつなぎ、全体を前へ進めることがディレクションです。映像でもイベントでも、私たち自身が主役になることはありません。
もちろん、お客様から「KIDに任せて良かった」と言っていただけるのは嬉しいです。でも、それだけではありません。イベントの参加者やゲストの方々から「こんな経験をしたことがない」と言っていただけた時に、この仕事の意義を実感します。
私たちの名前が評価されることよりも、その先で、参加者や視聴者の方に「この企業や商品は素晴らしい」と思っていただける状態をつくりたい。私たちと関わったさまざまな人の心に、これまでにない驚きや感動が残ることの方が嬉しいですね。
――周囲からは「期待に120%で応える」と言われる一方で、高橋さん自身は、少し違う捉え方をしているそうですね。これまで特にハードだった仕事とあわせて教えてください。
私自身は、120%を目指しているという感覚はありません。お客様が本当に求めている100%を見つけ、そこに自分たちの100%で応える。その結果が、外から見ると120%に見えるのだと思います。
ハードだった仕事は数多くありますが、最近では、海外から約300名の重要なお客様をお迎えした国際プロジェクトが特に印象に残っています。約100名のお客様には大阪・関西万博をご視察いただき、残る約200名は東京のカンファレンスから参加されるという、大阪と東京で異なる動きが同時進行する数日間のプロジェクトでした。
各空港から大阪のホテルへの送迎、ホテルの手配、万博視察、荷物の東京への輸送、大阪でのパーティー、そして東京への移動。その一方で、東京では会場設営やリハーサル、約200名の受け入れ準備が同時に進んでいました。さらに私は、このプロジェクトに入る直前まで、別の大型音楽ライブの収録も担当していました。
それぞれが独立した仕事ではなく、一つの行程としてつながっています。どこか一つの時間がずれれば、その後の移動や会場進行にも影響します。
ただ、そのような時ほど、自分一人で抱え込まないことが重要です。大阪と東京、それぞれの現場に信頼できる責任者を置き、プロジェクトの目的と判断基準を共有する。私がその場にいなくても進められることは任せ、私自身は全体をつなぐために必要な判断に集中しました。
プロジェクト本番を終えた時も、「これだけの仕事をやり切った」という達成感より、参加された皆様が無事に行程を終え、お客様の目的を達成できたことへの安堵の方が大きかったと思います。
とはいえ、私たちの仕事は本番で終わりではありません。本番後には成果を分析し、お客様と振り返りや改善を重ねます。定期的に開催するプロジェクトでは、すでに翌年分のキックオフが始まっていることも多く、実際には安堵に浸っている余裕はあまりないんですけどね(笑)。
相手が本当に実現したいことが見えてくると、そのために必要なことをどこまでできるかを考えてしまいますね。
――そこまで相手のことを考え続けられるのは、クライアントに喜んでもらうこと自体が、この仕事の面白さだからでしょうか?
クライアントに満足していただくだけで、仕事が成功したとは思っていません。その先には、イベントの参加者や映像を見る人、音楽を待っているファンがいます。伝えたかったものが届いたか。驚きや発見があったか。誰かの心が動いたか。最後に向き合っているのは、いつも一人ひとりの感情です。そこまで想像できることが、この仕事の面白さだと思います。
執務エリア
全員がプロデューサーであり、ディレクターである組織
――KIDでは、メンバー全員が「プロデューサーでありディレクター」というスタンスだと伺いました。特定の職種に特化させず、幅広い領域を任せるスタイルをとっている理由を教えてください。
映像やイベントの業界では、プロデューサーとディレクターの役割が明確に分かれていることが一般的です。しかし、私は、クリエイティブだけを理解しているディレクターと、ビジネスだけを理解しているプロデューサーが完全に分かれてしまうと、どこかでお客様の目的からずれてしまうことがあると感じています。
良い表現をつくれても、予算やスケジュールの中で実現できなければ仕事になりません。反対に、進行だけ成立しても、伝えたいことが届かなければ意味がない。その両方を理解し、最後までつなげられる人が必要だと考えています。
お客様からご相談を受けた人が、目的や背景を理解し、適切な方法を提案し、その意図をクリエイティブへ反映し、最後まで責任を持って進める。そのため、KIDでは、全員が何らかの専門性を持ちながら、プロデューサーとディレクターの両方の視点を持つことを大切にしています。
――時間や場所に縛られない自由な働き方を取り入れられていますが、自由と責任のバランスを保つために意識していることはありますか?
自由があるということは、自分の都合だけで仕事を進めてよいということではありません。KIDの仕事は一人で完結するものではなく、自分の判断や行動が、誰に、どのような影響を与えるのかを理解していることが前提になります。
私が意識しているのは、まず仕事の目的と判断基準を共有することです。そこが共有されていれば、同じ場所にいなくても、それぞれが考えて動くことができます。相手の話をきちんと聞き、約束を守り、できないことをごまかさない。もう一つは、人との信頼関係を築けることです。その信頼があるからこそ、時間や場所に縛られずに働く自由も成り立つと考えています。
――新卒の方からフリーランス出身のベテランまで、多様なバックグラウンドを持つメンバーが同じ方向を向いて走れる秘訣は何でしょうか?
経歴や得意分野が違う人たちが同じ方向を向くために、全員が同じ考え方や同じ仕事の進め方になる必要はないと思っています。むしろ、異なる専門性や経験が必要になりますから。
大切なのは、やり方を揃えることではなく、その仕事で何を実現したいのかを共有することです。自分の専門性をどこで使うべきかを考え、知らないことがあれば知っている人に聞く。立場や経験年数に関係なく、目的のために必要な意見を出し合う。そうした基本的な行動を積み重ねることで、背景の違いは分断ではなく、チームの力になります。
広々としたコミュニケーションスペース
課題解決のための「クリエイティブのハブ」へ
――事業拡大に伴いオフィスも移転され、まさに次のフェーズに向かおうとされていますね。数年後、KIDをどのような組織にしていきたいとお考えですか?
オフィスの移転は、KIDにとって一つの節目だと思っています。ただ、次のフェーズで本当に考えたいのは、場所を変えること以上に、どのようなチームでありたいかです。
組織といっても、KIDは数人のスモールカンパニーです。いまの段階で、縦割りの意思決定や固定された役割を持ち込む必要はないと考えています。まずは、一人ひとりが自分の専門性を持ちながら、その枠を越えて動けるチームにしていきたいと思っています。
目指しているのは、「映像の人」「イベントの人」と役割を固定せず、目の前の課題に対して、自分に何ができるかを考えられるチームです。必要であれば周囲の力を借り、自分も誰かの力になれる。そうした人たちが集まることで、KIDにできることはもっと広がっていくはずです。
私たちは、自分たちを映像会社だとも、イベント会社だとも考えていません。私たちが向き合いたいのは、クライアントが抱えている課題や、これから実現したいことです。
「自分たちに何がつくれるか」ではなく、「クライアントが何を実現したいのか」から考える。そのためには、社内にすべての機能を抱える必要もありません。KIDが中心となって課題を理解し、必要な専門家を集め、チームをつくり、最後まで一貫して責任を持つ。そうしたクリエイティブのハブとしての役割を、さらに強くしていきたいと考えています。
理想は、クライアントが新しい挑戦を考えた時や、まだ解決方法が見えていない課題に直面した時に、「まずはKIDに聞いてみよう」と真っ先に思い浮かべていただける存在になることです。
撮影後やリフレッシュしたい時に利用できるシャワールームも設けています
――今回新しい仲間を募集されていますが、ずばり、KIDで最高に輝けるのはどのようなキャリアや経験をお持ちの方だと思いますか?
求めているのは、何か一つ、自分の軸となる専門性を持っている人です。映像でも、編集でも、デザインでも、音楽でも、イベントでも、テクノロジーでも構いません。
そのうえで、「自分はこの仕事しかやらない」と線を引くのではなく、別の領域にも興味を持ち、新しいことへ挑戦できる人と一緒に働きたいと思っています。自分の職種や担当範囲だけで物事を判断せず、クライアントの目的に対して何が必要かを考えられることが大切です。
そして、人との信頼関係を築けること。相手の話をきちんと聞き、約束を守り、ごまかさない。そうした小さな行動の積み重ねによって、「この人になら任せられる」と思っていただける方と働きたいですね。
――最後に、この記事を読んでエントリーを迷っている方へ、背中を押すメッセージをお願いします!
応募を迷っている方にお伝えしたいのは、KIDで働くために、最初から映像もイベントもデザインも、すべてできる必要はないということです。
今の自分にできることだけで、これから先の可能性を決めないでほしいと思います。
私自身も、最初から映像やイベント、空間づくりのすべてができたわけではありません。相談を受け、そのたびに「どうすれば実現できるか」を考え、必要な人と出会いながら、できることを増やしてきました。
だから、今の専門性を深めたい人はもちろん、まだ知らない領域へ踏み出してみたい人にも来てほしいです。
自分の仕事で誰かの課題を解決し、その先にいる人の心を動かしたい。少しでもそう思った方とは、ぜひ一度お話ししてみたいです。そんな仕事を一緒に面白がりながら、これからのKIDをつくっていけたら嬉しいですね。
少しでも興味を持ってくださった方は、ぜひ こちら からお気軽にご連絡ください!