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【FUNDBOARDリリース3周年】代表の神先に聞いた「プロダクト誕生秘話」/スタートアップ・投資家・大企業の協業をさらに進化させるプロダクトへ

こんにちは。ケップルPRチームです。ケップルが提供するベンチャーキャピタル・事業会社向けの未上場株式管理ツール『FUNDBOARD』がβ版リリースからついに3周年を迎えました!

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000049.000026987.html

今回は『FUNDBOARD』の発案者であるケップル代表の神先へ、その誕生秘話についてインタビューを行いました。『FUNDBOARD』というプロダクトがどのように生まれ、どのように成長してきたのか、スタートアップやベンチャーキャピタルに興味がある方なら必見の話です。ぜひご覧ください!

株式会社ケップル 代表取締役社長 神先 孝裕(カンザキ タカヒロ)
高校まではサッカー一筋の生活を送る。大学卒業後に公認会計士の資格を取得し、大手の監査法人に入所。3年後に独立をして、神先会計事務所を立ち上げる。その後、法人化し、スタートアップに特化した会計事務所である株式会社ケップルコンサルティングを設立。2015年にはベンチャーキャピタルやスタートアップ向けのサービスを拡大するため株式会社ケップルを創業。2018年にはアフリカ地域特化のベンチャーキャピタル、株式会社ケップルアフリカベンチャーズを立ち上げる。現在もケップル及びケップルアフリカベンチャーズの代表を務める。

Q.3周年を迎えた『FUNDBOARD』はスタートアップに投資を行うベンチャーキャピタル(VC)や事業会社向けのプロダクトですが、そういった皆さんの抱える課題感にはなかなか気付きにくいのかなと感じました。そこに気付いたきっかけは何だったのでしょうか?

神先:ケップルグループはもともと会計事務所としてスタートしました。スタートアップを顧客として仕事をするうちにVCをはじめとした投資家のサポートもするようになったのですが、彼らのファンド決算をサポートしていると「投資するお金があっても、それを管理するミドル・バックオフィスの人材が不足している」という問題があることに気付いたんです。ファンド決算、管理に関する知識やノウハウを共通化できるソフトウェアを作っていければ、投資家の皆さんもスタートアップの成長にむけてもっと積極的に動けるのではないかと考えはじめたのがきっかけです。

例えばVCの業務を具体的に挙げると、投資先に対して定期的に財務関連資料を請求したり、その資料をもとに表計算ソフトに情報を打ち込んだり、それらの情報をもとに時期が来たら決算作業をしたり、多くの煩雑な業務が存在しています。投資先とのコミュニケーションも含めた、ファンド管理業務はそのほとんどが手作業で行われていました。ここには効率化の余地があるんじゃないかと。

そんなことを思って、サービスの構想をはじめたのが2016年ぐらいですね。まだ日本では現在ほどスタートアップマーケットが盛り上がっていなかった頃でした。そのとき、ある知り合いがケップルの新機軸を深掘りする壁打ち相手になってくれたんです。現在は上場したスタートアップで役員をされていますが、独立後に関わったとあるプロジェクトでともに仕事をする中で仲良くなった方でした。そんな彼と一緒に合宿をやるぞ!ということで盛り上がり、オーシャンビューのタワーマンションの1室を借りて、コンビニでお菓子とジュースを買い込んできて、海外の先行事例をとにかく多く読み込んでいきました。そうやってさまざまなスタートアップの成功例を見る中で、Carta(カルタ)という会社を知りました。未上場株式の管理用SaaSを開発している会社で、アメリカでは今やユニコーン企業にもなっているスタートアップです。当時はまだシリーズAラウンドぐらいの規模ですかね。

この時点ではCartaはアメリカでもまだまだ認知されていない段階でしたが、このサービスがターゲットとする未上場株式、つまりスタートアップ投資という分野については日本においても大きな成長性を持っていると常々感じていたこととも結びつき、現在のFUNDBOARDにもつながるプロダクトのイメージをつくっていきました。開発したサービスが今すぐにマーケットに普及しないとしても、会計事務所も運営していたことからそちらとの相乗効果を狙っていけるのではという見込みもありました。

 △ケップル創業当初、一人で会計事務所を構えていた頃

Q.構想から実際のソフトウェア開発に向けて、どのように進めていったのでしょうか?

神先:その時点で社内にゼロからソフトウェアを作れる人材、技術は無かったので、外部の開発会社に依頼しました。ただ、扱う業務の複雑性から来るプロダクトの構造の難しさもあり、なかなか開発が進まず…。結局、その会社とは半年で契約を終了することになりました。今度はフリーランスのエンジニアに加わってもらい、より近い距離でともに開発を進めていきました。半年ほどの開発期間を経て、2017年の7月ごろに現在の『FUNDBOARD』の基礎とも言えるプロダクトをローンチしました。この時のプロダクトは投資家だけではなく、スタートアップにも利用してもらうことを想定したサービスでした。

プロダクトとしてはまだまだ未熟な部分もありながらメディアにも掲載していただく中で、スタートアップや投資家からの登録が200社ほど集まりました。そこでつながりができたスタートアップや投資家へユーザーインタビューすることができたんです。その結果、投資家側の負担感は非常に重いことが再確認できました。その時のプロダクトにはバグも非常に多くあったこともあり、2017年末にそれは一旦クローズし、ターゲットを投資家だけに絞った新たなプロダクトを作ることに決めました。設立時に調達した資金はこの頃には半分以上消化してしまっていたので、改めてここで資金調達を行い、投資家の課題感にフォーカスするプロダクト『FUNDBOARD』の開発を開始しました。

この頃には現在のCTO山下や開発部マネージャー池浦なども加わりはじめ、これまでよりもシッカリとした開発体制を内部でつくれたこともあり、2018年8月に『FUNDBOARD』をローンチすることができました。最初の構想からカウントするとここまで2年。それも含めると私にとっては3周年ではなく、5周年のような気もしています(笑)。

Q.二度の試作を経て現在の『FUNDBOARD』がリリースできたんですね。ユーザーインタビューを通して、印象的だった意見はありますか?

神先:一番印象的だったのは、とあるVCの責任者を務めていたキャピタリストが「このサービスは絶対にこのマーケットに必要なものになるから頑張れ!」と熱く語ってくれたことですね。投資家が抱える問題の根深さやソフトウェアによる効率化の必要性は彼自身もすごく強く感じていたようで、そこに深く共感してもらえたのは心強かったです。実は後日、彼はケップルにジョインし、現在は執行役員・事業責任者を務めてくれています。3回目のプロダクト開発にチャレンジしようと思えたのは、投資家の皆さんからそんな熱いフィードバックを多くいただいたおかげでもあります。

Q.『FUNDBOARD』をリリースした後のセールスはどう進めたんですか?

神先:急ピッチで開発を進めたこともあり、初期の『FUNDBOARD』には必要最低限の機能しか備わっていませんでした。投資先ごとにファイルを格納するストレージ機能や、投資先にURLを渡して資料をアップロードしてもらう機能、投資先との面談記録を書く機能ぐらいだったんです。正直これらの機能だけであれば汎用的なオフィスソフトでも代替可能であり、それらの機能だけを売り込んでも導入いただくことは難しかったです。一方で開発メンバーを拡充したことにより、バーンレートは上がってきており、資金ショートもそう遠くない未来に来ることが分かっている状態でした。何が何でもこのサービスを売らなくてはいけない状況だったんです。

そんな背景もあり、その時に実装できている機能だけではなく、このソフトウェアによってスタートアップマーケットがどう変わっていくのかというビジョンや熱意を伝えながら、そこに共感していただける皆さんに向けて営業を展開していきました。当時の『FUNDBOARD』はカスタマイズもできない簡易的なプロダクトでしたが、自分たちが困っている課題を解決しようと努力を続けているスタートアップには協力したいと思ってくれる人たちが多くいました。投資家は未来を作ろうとする人に成長資金を供給する仕事をしています。我々は幸いにもそういう方々をクライアントとしているので、目先のことよりも未来がどうなるかというビジョンを熱量を持って話せれば、そこに共感してくれる方は必ずいると信じていました。その結果、いくつかの投資家の皆さんに導入をいただき、なんとか会社を続けることができ、日本経済新聞社などからの資金調達までたどり着くことができました。

Q.『FUNDBOARD』のビジョンとは具体的にどんな話をされていたんですか?

神先:二つの軸がありました。一つは投資前から投資後までの業務を全てデジタル化することです。ファンド決算やファンドに出資されている方への報告など、それまで手作業で行われていたことを効率化すること。もう一つが、投資先が提供する各種データが投資家側にシステムを通じて自動で共有される機能です。この二つを構想してプレゼンしていました。

より多くの資金がスタートアップに流れることによって新しい産業をうみだしていくことは重要ではありますが、「これ以上投資をすると、ミドル・バックオフィスが破綻してしまう」と投資家の皆さんが感じてしまうような状況があったんです。決算時期を12月としているファンドが多いのですが、完了するまでに2~3ヶ月かかります。そうすると12月から3月ごろまでは決算業務で非常に忙しくなり、投資がストップしてしまいます。一方で「すぐに資金調達をしないと会社が続けられない」という状況にあるスタートアップは存在します。投資家側の業務を支援することでより多くの資金を必要なタイミングでスタートアップに提供できるような社会を産み出していくのが我々の目指しているところです。

Q.『FUNDBOARD』はどのようにサービスを強化してきたのでしょうか?

神先:最初にフォーカスしていたのは投資後の業務でした。投資先への資料請求の効率化や、それを落とし込ませて毎年の決算・レポーティングを楽にしていくところからはじまりました。そのうちクライアントから「投資後の業務だけでなく、投資前の情報収集までできる機能も欲しい」という意見も多く出てきたことも踏まえつつ、資本業務提携先の日経新聞社と共同でデータベースを構築し、独自のニュースを配信するなど投資業務の前半部分である情報収集機能も強化していきました。

   △日本経済新聞社との資本業務提携を発表するプレスリリースより

Q.『FUNDBOARD』は投資家に存在する管理業務の負担に着目して生まれたサービスですが、ローンチしてから新たに発見した課題はありますか?

神先:もともとVCとは繋がりがありましたが、事業会社の投資部門とのつながりは薄かったんです。『FUNDBOARD』をローンチしてからは事業会社からの引き合いも強くなり、彼らが持つニーズも見えてきました。現在はオープンイノベーションを進めたい企業が増えていますが、そういった事業会社と話していると一定の知名度がありそうなスタートアップでも意外に見落としていらっしゃったりするんです。投資業務をしているならスタートアップの情報収集は万全にできているだろうと思い込んでしまっていたのですが、ここ最近で新たにスタートアップへの投資をはじめた事業会社などの場合では、それが当たり前ではないと気付いたことが最近の発見でした。

Q.『FUNDBOARD』がローンチしてからの3年間を総括していただけますか?

神先:『FUNDBOARD』をリリースしてから3年となりましたが、ここまでの機能改善で投資家の業務フローの一部を改善するものから業務フロー全般をカバーできるようになってきたことが大きな進化だと思っています。これまでは投資先を数多く抱えているような投資家を主な顧客としていましたが、現在では「投資業務を行っている全ての会社に使ってほしい」と言えるようなプロダクトになってきています。また、『FUNDBOARD』の活用方法をカスタマーサクセスチームが日々サポートする中で、投資業務のナレッジが社内に蓄積されてきた結果、業務フローの設計などもご支援できるようになってきました。これはもはやソフトウェアを提供するだけというレベルではなく、ファンドをはじめる方々に対して我々がトータルでサポートできるような状況になってきていることを意味しています。ソフトウェアの成長だけでなく、社内メンバーの成長やスタートアップマーケットにおけるネットワークの広がりも3年間の大きな変化ですね。

Q.今後の『FUNDBOARD』の展開について教えてください。

神先:事業会社の皆さんが自社で新規事業を開発したり、デジタル化を推進したりといったことに苦労されている状況があります。そういった状況に対して、我々は「スタートアップと投資家、そして大企業との協業をさらに進化させるための存在」として大きな期待を背負わされているのではないかと思っています。投資前の情報収集を支援するデータベースの拡充や大企業向けのCVC運営支援などにもフォーカスしながら、今後も『FUNDBOARD』をスタートアップ投資やオープンイノベーションをサポートするツールとして強化していくのが一つの方向性ですね。

最後まで記事をご覧いただき、ありがとうございました!
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皆さんとともにスタートアップマーケットの発展にチャレンジできること、楽しみにしています。

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