こんにちは。カラクリ People & Culture Team です。
みなさんは「インターン」という制度について、どんなイメージがありますか?
学生であれば 1DAY インターンといった会社説明会の延長や、選考の一環として想像することもあれば、数ヶ月にわたり業務の一部を経験する機会...のようなイメージでしょうか?(最近では厚生労働省により明確に定義されることになりましたね)
社会人の方であれば「そもそも社会人のインターンって何?」といった反応も多いのではないでしょうか?
カラクリでは、社会人・学生関係なく、限られた時間で一部業務を担っていただくことで、自身の能力開発機会を提供する ”長期インターン” を創業初期より導入しています。もちろん顧客とサービスが存在し、その範囲で業務を担っていただくので、選考基準は厳正であり、報酬についても入社後のパフォーマンスを査定し、半期に 1 回の評価会議時に昇給も議論されます。また、業務についても事業のフェーズと本人のスキルセットや向上意欲を考慮し、より難易度の高いものにチャレンジできる環境となっています。
これまでカラクリ社員のインタビュー記事を多数掲載してきましたが、カラクリにはこれまでも、そして現在も、多くの優秀な “インターンメンバー” が在籍しています。今回は、彼ら・彼女らにスポットを当てていきたいと思います。
Vol.01 は、2021年〜2024年3月まで R&D チーム(以下 AI Team)でインターンをされていた卒業生、森口さんのインタビューです。
ー本日はよろしくお願いします。簡単に自己紹介をお願いできますか? よろしくお願いします。森口です。インターン在籍時に創業した 株式会社 a.s.ist の代表取締役を務めながら、東京大学大学院 博士課程 2 年目となります。研究室では「ベイズ統計を用いたスペクトルデータの解析手法」の研究をしています。
物理の実験などで「物質の構造を測りたい」という際に、X 線を当てて出てきたデータを測定し、特定することがあります。しかし、そういった解析は属人的になりがちで、解析する人によって結果が変わってしまうこともあるのです。そのため、属人的な解析に代わる手法として、ベイズ統計を用いたデータドリブンな解析手法の研究を行っています。
ーインターンを始めて間もなく、自身で会社を創設されたということですが、どんな事業を起こされたのですか? 創業当初は、生成 AI の受託開発がメインでした。研究室の後輩がメンバーとしてジョインした創業 2 年目から、研究室で使っている技術(=統計的な解析技術)を一般の企業向けに販売する形にピボットしました。現在は、正社員を含めて常時勤務メンバーが 5 名、インターンを含めると 9 名の会社となっています。
正直なところ、設立当初は普通の生成 AI 受託開発だったこともあり、拡大を目指していたわけでもなく、継承しようかと思っていた時期もありました。しかし、そんな時に研究室の後輩(現メンバー)から現在の事業モデル(解析技術の販売)を提案され、背中を押される形で現在に至っています。研究室の技術を売ることは、自分の研究の普及にもつながりますしね。
ーなるほど...!インターンとして勤務しながら、大学院での研究もあり、自身の会社も経営するとなると、かなりハードな毎日だったのではないですか? そうですね。インターンについては、週あたり 8 時間(1 日 / 週)程度の稼働でした。カラクリの AI チームには、同じ研究室出身のメンバーも多く在籍しています。「研究」の大変さを皆さん理解しているからこそ、かなり配慮いただいた稼働になっていたと思います。
また、当時 CTO(現 CPO)の中山さんの理解も大きかったと思います。実は、起業のきっかけのひとつは中山さんの存在でした。中山さんも研究室の先輩として在籍しながらカラクリの経営を担われていますし、研究室の先輩には、同じように在籍しながら起業し、上場まで遂げた方もいます。自分の父も会社を経営していたため、「起業」自体は身近なものでした。それでも、インターン・研究・自身の会社の 3 つに注力できたのは、同じような経験を先立ってチャレンジしていた中山さんの理解が本当に大きかったと感じています。
ーそもそもインターンを始めたのはどんな経緯なんですか? 研究室の同期に、大学院入学以前からカラクリでインターンをしているメンバーがいたので、そのつながりだったと思います。それと現在、東京大学で助教を務めながらカラクリに勤務している片上さんにも、お声がけをいただいた記憶があります。うっすらとですが(笑)。
ーインターンではどんな業務を担われたんですか? 最も大きな業務としては、カラクリのブレイン V3(=エンジン)の開発にあたって、モデルの性能検証を担当しました。質問に対して出すべき回答カードを、質問文からいくつ予測できるか、正解率を上げるための性能検証を、半年ほどの期間で行いました。別のモデルの検証なども並行していました。基本的には、新しい手法や AI モデルを探したり組み合わせたりして、性能を検証することが自分のミッションでした。
それと、会話の流れや文脈を考慮して回答ができるチャットボットの開発にも携わりました。自分が在籍していた期間では完成には至りませんでしたが、現在は GeN というプロダクトに反映されるようになりました。
ープロダクト開発の根幹を担う、重要な業務ですね。 そうですね。でも自分としては本当に楽しい時間でした。AI チームには優秀な人材が揃っています。自分のマネジメントも担い、ブレイン V3 の開発を主導した中嶋さん。業務上コミュニケーションを取ることも多く、数学オリンピックのメダリストで現役の医師、そしてカラクリの AI 開発のキーマンである吉田さん。彼らは先日、AWS LLM 開発支援プログラムに採択され、国内最高性能を獲得した KARAKURI LM の開発を主導したキーマンです。
彼らを筆頭に、全員が「優秀」という素晴らしいチームのなかで業務ができたのは、本当にいい機会でした。機械学習の検証を多くこなす中で、自分自身も技術の幅が大きく広がった実感がありますね。
他にも、業務内外でのコミュニケーションも含めて、非常に雰囲気もよかったなと思います。修士論文の時など、どうしても自身の研究で忙しくなりそうな時期は、自分が言わなくても「タスク減らすよ!」のようなコミュニケーションがあったり。やらなければいけないタスクの範囲のなかで、特にやりたい仕事をやらせてもらえたのも、後の経験につながったのでよかったです。
ただ、こういった配慮あるコミュニケーションは AI チームに留まらず、カラクリ全社の文化なんだと思います。懇親会だったり、業務で他部門と関わる時も、とにかく人の良さ、接しやすさを感じました。
ーカラクリのインターンを通じて特に「学んだ」ことを教えてください。 そうですね...前述した「技術力(技術の幅)」ですね。特に実装に関しては、中嶋さんの仕事を目の前にして多くを学びました。そして中山さんからは「リーダーシップ」を学びました...というよりは、2 人から大きな刺激を受けました。
中嶋さんの実装力は本当にすごい。インターン在籍当時、カラクリのインフラをほぼ 1 人で管理・構築していたんですが...特に複雑なシステムを使っているんです。割と新しいシステムなので、アップデートも頻繁にあり、仕様もめちゃくちゃ変わる。それを独力で管理しているんです。あとは、先ほどの AWS LLM 開発支援プログラムの話ですが。自分を含め多くの参加者が苦戦していたシーンで、難なく順応していたんですよね。そこから KARAKURI LM の開発。そういったものを(ほぼ)1 人でやりきる技術力、もっと言うと「責任」を果たしている力は、自分にとって貴重な刺激になりましたね。
そして中山さん。AI チームや研究室のメンバーと同じように「技術」目線での意見はもちろんですが、「ビジネス」の目線で意見をいただきます。研究者・技術者ではよくある誤認の中に「技術がいい=売れる」と考えてしまうことがあると思っています。そうしたものを、ビジネスや市場のニーズなどを考慮しながら意見を言えるのは、やはり若くして経営という役割を担ってきたからなんだと思います。あとは、自分で会社を経営してみたからこそわかるのですが、人が増えていく過程で「どうやって引っ張っていくのか?」に迷ったり苦労したりすることもあります。もちろん本や論文からインプットはできますが、それを実行し、上手くいくかどうかは別物。中山さんがどこまで意識的にやっているのかはわかりませんが、少なくとも AI チームのメンバーは中山さんに引っ張られていると思いますし、そう思わせるだけのものを持っているのだと思います。
もちろん、他のメンバーも優秀ですし、何かに熱中している人が多い印象です。熱中しているからこそ、負けず嫌いな一面も垣間見えることもいいですよね。そんな環境で、かつ博士課程との両立にも理解がある。そして機械学習という分野では国内でも最高峰のレベル。本当にいい機会だったので、ぜひ後輩にもおすすめしたいインターンでした。
ー森口さん、ありがとうございました。
いかがでしたでしょうか?インターンとして重要なプロダクト開発に携わってくれた森口さん。カラクリのインターンでは、大きなチャレンジが可能です。
これまでの経験を活かしながらも、実務を通じて新たな世界を見たい社会人の方も。最先端に触れながら、優秀なメンバーと働き、成長していく喜びを知りたい学生の方も。
カラクリのインターンなら、それが叶います。ぜひ、お気軽にご応募ください。
森口椋太。1998年7月29日生。慶應大学物理学科を卒業後、東京大学大学院に進学。修士課程を修了、現在は博士課程。2021年6月 株式会社 a.s.ist を創業。代表取締役を務める。