皆さん、こんにちは!
今回は、業界をリードするパイオニアたる管清工業の技術力・技術開発力について紹介します。普段は地下の下水道管で働いている、なかなかお目にかかることのできないロボットたちが登場しますので、皆さんにとっては興味深い内容だと思います。楽しんでいただけると嬉しいです!
高い技術力と革新的な技術開発力
管清工業の前身である日米産業株式会社(現:株式会社カンツール)は、下水道管路清掃機材の商社であり、欧米からの技術や機械の輸入を行なっていました。同社の工事部門が独立する形で設立されたのが、現在の管清工業です。当時、日本の下水道業界は欧米の先進技術に大きく依存しており、日本には独自の技術がほとんど存在せず、海外製の機械をそのまま導入して使用するのが一般的でした。しかし、日本の国土やシステムにそぐわない点も多く、より実用的な技術へと発展させていく必要があったのです。海外の優れた技術を取り入れながら、現場に最適化された独自の技術を開発していくことで、管清工業の技術開発力の基盤が確立されていきました。
現在使われている様々な技術は、現場で活躍する若手社員からのアイデア・提案により生まれており、「管清工業にできないものはない」と市場からの高い評価を得ています。ご依頼にリピーターが多いのも、私たちの技術力に信頼を寄せていただいている証です。日々の現場で感じる小さな気づきから生まれるものや、「あんなこといいな、できたらいいな」と夢物語的なものまで、現場部門と開発部門の距離が近いからこそ実現できた技術を開発秘話と共に一部紹介します!
大きな下水道管を隈なく調べてくれるロボット グランドビーバーシステム
こちらのグランドビーバーシステムは、直径800mm以上の大きな下水道管(大口径管)での詳細調査で活躍するロボットです。大口径管は口径が大きいだけでなく、長さも長く、1区間が2km以上ある場合も多いのですが、市場に流通するテレビカメラシステムは500m~1kmケーブルのものがほとんどで実用性に欠ける…。そこで、管清工業のグランドビーバーシステムには2kmケーブルを実装!他社では実現できない長距離調査が可能となりました。
4点のレーザー光を不良箇所に当てることで、ひび割れなどの寸法を計測するシステムが搭載されており、次のステップである補修作業のための確実な情報を効率的に集めることができます。また、酸素・硫化水素濃度を計測できるセンサーの搭載により、下水道管内の異常箇所の他、環境調査が可能となりました。8つの独立駆動の車輪がついているので、曲り管や段差があっても自由に動きまわることができます。片方の自走ユニットだけで80kg以上の重量があり、大人を乗せて動けるほど、見た目以上の頑丈さです。
毎年、管清工業の横浜技術センターで開催されるお祭り「横浜カンフェア」では、これらのロボット展示や操作体験コーナーが子どもたちから大人気!そんな様子をお伝えできる写真を探したのですが、大人がはしゃいでいる写真しか残っていませんでした…(笑)(左:東京本部長&右:本社生産技術部長)
\やっぱり管清!2人乗っても大丈夫!/
粉砕・吸引までできちゃうお掃除ロボット グランド・スウィーパー
生活排水に含まれる油や、雨で流れ込んだ土砂が下水道管内に堆積すると、下水道管が正しく機能しなくなってしまうので、定期的な清掃作業が必要です。そんな時に活躍するのがお掃除ロボットのグランド・スウィーパーです!
高圧で水を噴射し、堆積物を粉砕!バキュームもついているので、粉砕された土砂を吸引することもできます。管内に作業員が入ることなく、地上の操作車両からカメラ映像を確認しながら遠隔でここまでできるなんて驚きですね!
\操作の様子/
開発秘話
1983年頃、管清工業が自社での技術開発をスタートさせた際に、一番最初に作ったのがグランドビーバーの原型「ビーバー」でした。当時流通していた欧米の調査システムは、小口径管用のものしかなく、大口径管調査用のものは存在しなかったそうです。しかし、日本では大口径管調査のニーズが高まっていたため、独自で開発する必要が出てきました。その原型は、ゴム型のボートにカメラシステムを乗せただけの簡易的な船形タイプのもの。ビーバーのごとく、水面を泳いでいく様子から「ビーバー」と名付けられました。1994年頃に製品化し、その後長い間全国の大口径管調査で活躍したそうですが、多くの難点があり、また多くのニーズが現場からあがったといいます。そこで、改良版である大口径管調査用カメラシステム、グランドビーバーの開発が始まったのです。現場からのあがった要望には以下のようなものがありました。
- 現場の声① たるみでも走行不能にならない
- 現場の声② 直径4mの大口径管でも使えるもの
- 現場の声③ 2kmの距離を走れるケーブル付き
- 現場の声④ 管内の酸素・硫化水素濃度をリアルタイムでモニタリングできる
開発者曰く、途方もないレベルの要望だったそうですが、かかった開発期間はわずか半年!開発プロジェクトチームの努力の賜物ですね!
開発当初はもちろん、最近でも、業界で流通している調査システムのケーブルの平均的な長さは600m程度だそう。ほとんどの下水道管は1区間30m程度、大口径管でも100m程度ですが、中には1km,2kmに渡って曲がりくねった下水道管もあり、そういった現場での長距離調査へのニーズに対応するため、最大2kmの長距離調査が可能なケーブルを開発しました。このケーブルは、長距離の下水道管の調査を一度に行えるため、作業の安全性の向上と調査効率に大きく貢献しており、その背景には以下のような技術的工夫が隠されています。
- 多重伝送方式により、映像信号やモーター用電力などを1本のケーブルでまとめて伝送。
- 車両のドラムに2km巻き取れるよう、軽量化・スリム化を実現。
- 作業中の強いテンションにも耐える、高い耐久性を確保。
このように、1本のケーブルにも多くの技術が凝縮されており、現場のニーズに応える革新的なソリューションとなっています!
グランドビーバーの流通が一気に進んだ背景には、2002年に愛知県で発生した硫化水素による下水道管路関連の重大事故をきっかけとした、下水道作業における安全性向上への強い社会的要請がありました。この事故を受けて国が設置した安全委員会では、半年間にわたる議論の末、作業安全性向上のための提言がまとめられました。委員会の重要な提言の一つが、直径80センチメートル以上の管渠であっても、人間の立入りを極力避け、機械による調査を推進するというものであり、この提言は、従来の人力による目視調査から機械による調査への転換を促す重要な転機となりました。
機械による調査の利点は安全性の向上だけではありません。調査結果が動画として記録に残るため、調査員の主観に左右されることなく、客観的な調査データを蓄積できます。人による目視調査では、調査員が問題ないと判断した箇所の記録は残らなかったところが、機械による調査では全区間の状況が証拠として保存されます。
こうした安全性と記録性の向上により、機械による調査は業界内でも徐々に普及していきました。
以上、今回はテレビカメラ調査システム「グランドビーバーシステム」・無人化清掃ロボット「グランド・スウィーパー」を中心にご紹介いたしましたが、いかがでしたか?
ここまで機械化が進んでいる下水道管の調査・清掃ですが、業界ではまだまだ作業員が管内に入って人の手で行なうことも多いのが現状。しかしながら、管内での作業は、有毒ガスの発生や酸素欠乏、突然の大雨による水位の増加など常に危険と隣合わせです。管清工業は作業員の安全を守りながら、同時に効率性をも追求した開発に取り組んでいます。
今回紹介したもの以外にも、現場で活躍しているロボットがまだまだありますので、次回の続編
【会社紹介Vol.3 管清工業の技術力にせまる②】で紹介します。是非ご覧ください!
私たちの事業に興味を持っていただけたなら、まずはお話してみませんか?