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Q_0005:搭乗型よりも遠隔操作型(テレオペレーション)の方が現実的では?

確かに、原子力発電所などの危険箇所にロボットだけが入って、人は安全なところから遠隔操作することができれば便利です。確実な通信手段が確保されているならば、依然として操作者が危険に晒される搭乗型より、遠隔操作の方が良さそうにも思います。そもそも、我々のパワー増幅マスタスレーブ技術の本来の使い方は、遠隔操作だともいえます。すなわち、ロボットの使い方として遠隔操作を否定するものではありません。

人機一体社は「搭乗型」の人型重機を目指す

しかし、株式会社人機一体が目標とする人型重機の社会実装においては、最終的な完成形として搭乗型を目指します。その理由は、自動車や重機が一般には遠隔操作型でないのと同じです。

操作者自身を運ぶことを目的とする自家用車は別として、操作者以外の人や荷物を運ぶことを目的とするタクシーやトラックなどは、遠隔操作にできるならした方が、本来は合理的に思えます。でもそうはなっていません。人が搭乗しています。個別の理由の詳細について当面ここでは考察しませんが、技術的な観点からの最大の理由は、やはり確実な通信手段が確保できないことでしょう。

同様に、パワーショベルなどの重機も、作業さえできればいいので、遠隔操作型が一見良いように思います。でも一般には、そうはなっていません。人が搭乗し操作しています。例外的に一部で遠隔操作型の重機が実用化されています(福島第一原発でも活躍したようです)が、重機の基本は搭乗型であり、遠隔操作型は搭乗型をベースに改造されたものです。もし放射線被曝という制約が無ければ当然、搭乗型が使われていたはずです。

本プロジェクトで目指す人型重機は、筆者が提唱する Man-Machine Synergy Effector(マンマシンシナジーエフェクタ、人間機械相乗効果器)という概念に基づいています。人と機械の力学的な相乗効果を重視するマンマシンシナジーエフェクタにおいては、操作者が「その場に居ること」が重要です。操作者が搭乗しているのと遠隔操作しているのとでは、(たとえ確実な通信手段が確保できたとしても)明らかに前者の操作のクオリティの方が高いはずです。逆に言えば、操作者が搭乗していることによって生じる操作者と作業機の物理的相互作用を、積極的に活かそうとする概念がマンマシンシナジーエフェクタなのです。

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人機ウェブ:人機一体社 公式

▶︎ 2012/07/20(金)15:04:00 = uploaded
▶︎ 2012/08/13(月)18:02:00 = revised
▶︎ 2018/01/08(月)12:12:16 = last revised
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