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Q_0004:搭乗型よりも装着型(パワードスーツ)の方が現実的では?

パワードスーツという言葉の定義に依りますね。パワードスーツという言葉を、モビルスーツまで包含するような広義の概念として捉えることもできます。しかし、ここでは「搭乗型よりも装着型」ということなので、ほぼ人間サイズで、強化服として人体に被せて着るようなロボット(ウェアラブルロボット)を示す、狭義の概念としてお答えします。アイアンマンのようなイメージですね。

狭義のパワードスーツは、現在のロボット工学技術では実現しないと筆者は考えます。つまり、筆者の結論は、装着型よりも搭乗型の方が現実的だということです。

ロボットの安全規格の権威である名古屋大学の山田陽滋教授によると、ウェアラブルロボットの機能は、リハビリテーション rehabilitation とオーグメンテーション augmentation とに大別されます。前者のリハビリテーションについては、現在のロボット工学技術でも有効だと筆者は考えています。ウェアラブルロボットのリハビリテーション応用では、筑波大学山海研/サイバーダイン社の HAL などが有名ですね。

しかし、後者のオーグメンテーション(パワー増幅)についてはどうでしょうか。筆者は、ウェアラブルロボットのオーグメンテーション応用については、限定された増幅に止まると考えます。定量的な表現は難しいですが、人の高々数倍程度の増幅が妥当な範囲であり、人の数百、数千、数万倍のパワー増幅は困難です。まず、アイアンマンのようなサイズに、オーグメンテーションのための多数の大出力アクチュエータと、それを駆動・制御するための機器を搭載するのは、スペース的に無理があります。不可能とまでは断言できないにせよ、設計に苦心することは確実です。

さらに、ウェアラブルロボットのオーグメンテーション応用が困難である、もっと本質的な理由があります。それは、大出力のアクチュエータが人の肉体を直接動かす構成であるため、安全確保が困難だからです。

リハビリテーション応用なら小出力のアクチュエータでよいため、暴走しても人力で抑えられるように出力を絞れば、安全確保は可能です。しかし、オーグメンテーション応用では大出力のアクチュエータを使います。万が一、ロボットが暴走した場合、大出力アクチュエータが人体を暴走させることになります。そうなったら目も当てられません。

一方、搭乗型であれば、コックピットの中に操作者をパッケージすることができます。ロボットの動作と操作者の動作とは機械的に分離されており、電気的にのみ繋がっています。万一ロボットが暴走したとしても、その瞬間に電気的な接続を切れば、操作者の最低限の安全性は確保することができます。

以上の理由により、装着型よりも搭乗型の方が現実的だと筆者は結論します。圧倒的な力が欲しい、すなわち、人の数百、数千、数万倍のオーグメンテーション(パワー増幅)を実現したいなら、搭乗型です。

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▶︎ 2012/07/17(火)14:28:00 = uploaded
▶︎ 2014/12/05(金)20:15:00 = revised
▶︎ 2018/01/07(日)17:38:33 = last revised
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