株式会社情報戦略テクノロジー(以下、IST社)において、新卒3年目ながら「アジャイルコンサルティング」という新機軸のサービスを自ら立ち上げ、現場の最前線で旗を振る若きエンジニアがいます。T.Kさんです。
大学時代は法学部で弁護士を目指しながらも、同時に「ギャング・ダンス」にのめり込み、情熱を燃やし尽くしたという異色の経歴を持っています。そんな彼がなぜ、ITの世界に飛び込み、巨大企業のDXという難題に挑み続けているのでしょうか。
「AIとヒューマニティー」を武器に、顧客の中に眠る「潜在能力」を解き放とうとするT.Kさんの思考と、その根底にある「正義と愛」について、じっくりとお話を伺いました。
目次
弁護士を目指した青年が、ダンスで学んだ「本質のぶつかり合い」
「アジャイルコンサル」という0からの立ち上げ。3年目の決意。
大手銀行の立て直しと、40代の顧客からいただいた「先生」の称号
大手製薬会社との巨大プロジェクト。「現物」の中に真実がある。
正義と愛を胸に、荒波の中の「羅針盤」となる。
未来の挑戦者へ。40時間の労働を「ウィン・ウィン」の幸福へ。
(写真:T.Kさん)
弁護士を目指した青年が、ダンスで学んだ「本質のぶつかり合い」
T.Kさんのキャリアの原点は、意外なところにあります。大学時代、彼は法学部に籍を置き、本気で弁護士を目指していました。しかし、その生活を180度変えたのが「ダンス」との出会いでした。
「法学部で法律を学んで、将来は法科大学院に行って弁護士になろうと考えていました。そのために大学受験も法学部一本に絞っていたんです。でも、大学で始めたダンスにハマりすぎてしまいました(笑)。私がやっていたのは『クランプ』という、アメリカのロスのギャングが、殺し合いの代わりにダンスのケンカで収めようとしたことから生まれたジャンルです。相手と、文字通りエネルギーを激しくぶつけ合う。そんな世界にどっぷりと浸かっていました」。
東京六大学のダンスリーグでも活動し、野球の早慶戦さながらに情熱を燃やしたT.Kさん。その圧倒的な熱量は、次第に彼を「法律の書面」から「生の人間とエネルギーのやり取り」へと引き寄せていきました。
「弁護士になるには膨大な時間とお金が必要です。でも、ダンスを通じて、もっとダイレクトに何かが形になること、何かが達成されることに喜びを感じるようになっていました。今の御時世、多額の投資をして弁護士になったとして、それをどう回収し、どんな価値を生むのか。そう冷静に考えたとき、法律の道ではないなと。ポジティブに諦めたんです」。
就職活動においても、T.Kさんの視点は鋭いものでした。多くの学生が大企業を目指す中、彼はあえて「完成された時計の歯車」になることを拒みました。
「大手IT企業も検討しましたが、結局どこに行っても既存の業界構造、つまり、一次受け、二次受けというヒエラルキーの中で、決められた役割をこなすだけになってしまう。自分の性分としては、もっと自由に動きたいんです。大手はすでに完成された時計があって、その中で動く歯車を100人単位で募集しているイメージでした。でも、自分はビジョナリーな達成したい世界観から逆算して、取りうる戦略を一個ずつ泥臭く潰していく。そういう仕事がしたいと思ったんです。IST社を選んだのは、まさに『上流から顧客と共創できる』という確信があったからです」。
「アジャイルコンサル」という0からの立ち上げ。3年目の決意。
入社後、エンジニアとして研鑽を積んだT.Kさんは、3年目にして「ラボ開発部」の中で自ら「アジャイルコンサルティング」というグループを立ち上げました。現在は自ら外部のビジネスパートナーを採用し、リーダーとしてプロジェクトを牽引しています。
「アジャイル開発とは、最小限のコストで最大の成果を狙う戦略です。でも、私がやっているのは単なる開発マネジメントではありません。ビジネスと開発はそもそも切り分けるものではなく、融合しているものだと考えています。顧客企業の業務フローを整理し、ビジネスの視点と開発の視点、その両方の視点を持って、中間にある正解を狙いにいく仕事です」。
新卒3年目でこの新しいサービスを立ち上げ、大手企業の重役や担当者と対等に渡り合う。そのプレッシャーは想像に難くありませんが、T.Kさんはそれを「最高に楽しい」と笑います。
「IST社は、社長の高井さんが掲げるビジョンがものすごく高いんです。でも、すごい偉そうなことを言うと、実態がまだそこに伴っていない部分もあります。だからこそ、自分の動ける領域が無限にある。完成された時計ではなく、『こういう時計を作りたい』という理想に向かって、何の歯車が合うかも分からない状態から組み立てていく。会社のビジョナリーな部分から自分の役割を引き出して考えられる。それがこの会社の面白さです」。
大手銀行の立て直しと、40代の顧客からいただいた「先生」の称号
T.Kさんの仕事の凄みを感じさせるエピソードがあります。ある大手銀行のプロジェクトでのことです。
「今年の5月頃から入ったプロジェクトは、まさにカオスでした。現場の歯車はぐちゃぐちゃで、何をしたいのかも明確になっていない。弊社に対しても厳しい指摘が来ているような最悪の状態からスタートしたんです。私はそこに入り、一つひとつ絡まった糸を解くように、現状(As-Is)を整理していき、そして、あるべき姿(To-Be)を再定義していきました」。
25歳の若者が、一回り以上も年上の、銀行の責任者たちと向き合います。T.Kさんは臆することなく、顧客が言葉にできていない「暗黙知」を拾い上げ、システムの形へと落とし込んでいきました。
「『自分たちは何を成し遂げたいのか』を問い続け、粘り強く対話を重ね、方向性を示していきました。チームを立て直していくうちに、次第に関係性が変わり、今では40歳前後の顧客担当者の方から『T.K先生』と呼ばれるようになったんです。もちろん冗談めかした部分もありますが、そこには確かな信頼があります。自分たちが何を目指すべきか、目の前にパッと光が見えた瞬間の顧客の顔を見るのが、何よりのやりがいです」。
T.Kさんは、単にシステムを売っているのではありません。顧客の中に眠る「潜在能力」を信じ、それをテクノロジーの力で引き出すプロデューサーのような役割を果たしているのです。
大手製薬会社との巨大プロジェクト。「現物」の中に真実がある。
現在、T.Kさんが全力を注いでいるプロジェクトの一つが、製薬大手企業における「薬を作るプロセス」のDX化です。製薬という専門性が高く、かつ膨大な業務フローが存在する領域で、彼は自ら研究所へ足を運びます。
「薬を作るプロセスは、途方もなく複雑で巨大です。でも、DXを進めるためには、まず現状(As-Is)を完璧に把握しなければなりません。私は実際に研究所へ行き、一次情報としてその現場をこの目で見に行きました。薬はこうやって作られているのか、と。自らのヒューマニティーで現場の空気を感じ、暗黙知を活かす。ホワイトボードの前で議論するだけでなく、現場の熱量に触れることでしか得られない知見があるんです」。
膨大な業務の中から、どこをシステム化すれば最大の効果が出るのか。T.Kさんは「MVP(Minimum Viable Product:最小限で存立可能な製品)」の定義に心血を注いでいます。
「お客様自身も、自分が毎日当たり前にやっている業務を言語化するのは難しいものです。自分がやっていることを客観的に見つめ直す。 As-Isの洗い出しをしているときに、『あれ、いつもやってるこれ、何のためにやってたんだっけ?』と、お客様の中でも分からなくなったりします。私たちはコーチングのように対話を重ね、お客様の頭を整理していきます。そうして、暗黙知として現場に漂っていたものを、誰もが扱える知恵へと変えていく。このAs-Isを固める作業こそが、予測を超えるDXを生む土台になります」。
当初は3ヶ月の様子見契約だったお客様との関係も、T.Kさんの圧倒的な「当事者意識」によって、今では「次もT.Kさんたちにお願いしたい」という強い信頼関係へと発展しています。
「『やっとここまで来られたね』と、お客様と達成感を共有できた瞬間、私たちは単なる業者ではなく、共に歩む『仲間』になったと感じます。同じ方向を向き、同じ未来を夢見る。それが私の理想とする共創の形です」
正義と愛を胸に、荒波の中の「羅針盤」となる。
T.Kさんがなぜこれほどまでに情熱を傾けられるのでしょうか。その背景には、IST社が重んじる「正義」への共感があります。
「IT業界には、多重下請け構造や、形骸化した受注の仕方など、どこか歪んだ部分があります。社長の高井さんをはじめISTという会社は、そこにクリティカルシンキングを持って切り込み、この業界構造を変えようとしています。その正義感に惹かれて、私たちはこの船に乗っています。IT業界に対する違和感、それを変えたいという想いが、私たちのDNAにはインストールされているんです」
しかし、理想を掲げる船の旅は決して穏やかなものではありません。
「目的地ははっきりしていても、現実は荒波です。時には目的地を見失いそうになる仲間もいます。でも、だからこそ自分の心の中に『羅針盤』を持っておきたいんです。短期的なお金の話に逃げるのではなく、本当にお客様のためになるのはどちらか。他の会社にはできない、自分たちだからこそ提供できる価値は何か。そこから目を逸らさずにいたい。その旗を振る舞台を拡充させていくのが私の使命です」。
T.Kさんは、IST社のバリューである「PANACHE」の7つ目、「正義と愛を胸に、突き進む」という言葉を体現しています。
「愛というのは、単に優しくすることではありません。私にとっての愛は、お客様と同じ方向を向いて歩くことです。お客様と同じ解釈を共有し、同じ結果に喜び、時には相手を尊重するからこその厳しい意見もぶつけ合う。そのパートナーシップこそが、知と知、心と心が化学反応を起こし、価値あるものを生み出すのだと信じています」。
T.Kさんの話は、星の王子様の作者サン=テグジュペリの名言である「愛は見つめ合うことではなく、同じ方向を一緒に見ること。」を彷彿とさせます。
未来の挑戦者へ。40時間の労働を「ウィン・ウィン」の幸福へ。
インタビューの最後、T.Kさんはこれから社会に出る、あるいは就職活動に迷っている学生たちに向けて、熱いメッセージを贈ってくれました。
「会社というのは、お金を稼ぐ場所ですが、その手段は無数にあります。中には相手を騙すような稼ぎ方もあるかもしれません。でも、IST社が目指しているのは、相手もハッピーになり、自分たちもハッピーになる、究極のウィン・ウィンです。1週間のうち40時間、人生の大部分を費やす仕事という時間が、誰かに幸福を与え、その対価として自分たちも潤うものだったら、こんなに面白い人生はないと思いませんか?」
T.Kさんの言葉には、嘘がありません。彼自身が現場で悩み、行動し、自ら行動で示して解決することで、その正義を証明し続けているからです。
「AIという強力な武器を使いこなしながら、同時に、人間だからこそできる熱い意志を大切にしたい。お客様の横で伴走し、かつてないスピードで、この国に関わる人たちの多彩な潜在能力を解き放っていく。今はまだ数人のチームですが、将来的にはこの思想に共感してくれる仲間を増やし、IT業界の中に『攻め』の舞台をもっと広げていきたいと考えています」
T.Kという男の胸に灯る「正義と愛」の炎。それは、停滞する日本の産業界を照らし、次世代のリーダーたちを鼓舞する「羅針盤」となっていくに違いありません。荒波を恐れず、彼は今日も、理想の旗を掲げて突き進んでいます。