今回は、イングリウッドで人材開発プログラム×転職支援の新規事業「ビズデジ」の立ち上げを行う、メインメンバー3名にお話を伺いました。事業責任者・データサイエンティスト・エンジニア、それぞれの立場からみる、「ビズデジ」について、対談形式でインタビューした様子をご覧ください。
全社一丸となって取り組んできた人材開発プログラムをより広く・多くの人に届けたい!
ーーまずは岸本さんに質問です!「ビズデジ」立ち上げの経緯を教えて下さい。
岸本:「イングリウッドでは長年、IT業界未経験者を含む社内のあらゆるポジションのメンバーを対象に人材開発プログラムを提供、改善を続けてきていました。」
岸本:「通常、会社の人材開発プログラムは既存の社内事業や組織ルールにあわせたものが多いと思いますが、イングリウッドでは少し異なります。
各事業が着実に成長し続けているイングリウッドでは、新入社員へのOJT(On Job Trainigの略。現場での実務教育のこと)については、全社としての課題感はなく、現場で回せている状態でした。
その結果として、全社で取り組む教育の仕組みとしては、より市場目線というか、ビジネスに必要なスキルを長期目線で身につけることが意識されており、社内で新たに展開される事業やPJへ入る際も、すぐに手を動かし(主体的に)自走していくことを目標とした人材開発プログラムになっています。
一見すると非効率ですが、いざ結果をみてみると、イングリウッドが15期連続で増収増益できているのは、さまざまな事業領域で適切にチャレンジした結果です。それができたのは、こういったユニークな人材開発プログラムにより支えられている人材の強さがあるためだと思います。
このようなユニークな目標設定で構築され、結果を出しているプログラムをみたとき、これを事業化し、より広く・多くの人に提供しながらブラッシュアップしていくことは、会社にとっても、世の中にとってもメリットがあるのではないか、という考えに至ったのが、ビズデジ立ち上げの経緯です。
いわば『ビズデジ』は、全社一丸となって取り組んできた人材開発教育プログラムが、さらに進化したものということになります。」
なぜ、イングリウッドは社内でうまくいっていることを外部に提供するのか
ーー15期連続増収増益を続けるイングリウッドでは、こうした“人材開発”がきちんと行われていたんですね。けれど、社内でうまくいっていることを外部に提供してよかったんですか?
岸本:「やはりそう思いますか?(笑)」
ゾルタン:「確かに、うまくいってることって、自分たちだけで独占しておきたくなるよね。」
岸本:「実際、私も身近な人に『うまくいっていることを、なんで外部の人に提供するの!?』って言われました。」
岸本:「これは個人的見解ですが、現代の、特にIT業界において、うまくいっていることを独占しようと隠すほうが、結果的にはビジネスがうまくいかなくなると思っています。
VUCA※時代などといわれていますが、こんなに変化が大きく、成功要因が分からない世の中で。閉じた世界だけでPDCAをまわす(自分たちの会社だけで活用する)のは、規模が大きくなればなるほど、うまくいかなくなると考えています。
だから私達は、自社の人材開発プログラムを世の中に広く提供することにしました。それによって、研修内容のレベルは上がっていくし、他の会社、他の事業領域でも意味があるのかどうかをフィードバックとして知ることができますし。」
※VUCA(ブーカ)…Volatility(変動性・不安定さ)、Uncertainty(不確実性・不確定さ)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性・不明確さ)という4つのキーワードの頭文字から取った言葉。現代の経営環境や個人のキャリアを取り巻く状況を指す。
ーーな、なるほど!!短期的には懸念されることがあっても、視野を広くすればメリットが多いんですね。
岸本:「また、経済産業省が発表しているように、IT人材不足、もっというとスキルのミスマッチが予測されていることから、ビズデジを転職支援事業としても推進しています。※
我々は直接顧客に商品を販売する事業だけではなく、企業向けのビジネスも展開しています。EC化率は諸外国と比べてまだ低く、日本は10%未満。そんなIT業界全体の人材不足は、弊社にとってマイナスしかありません。
それゆえに、自分たちのビジネスをさらにスケールアップするためにも、社員全員で作り上げてきたといっても過言ではないプログラムを、外部の方へ提供することを選択しました。
また、特に変化の激しいIT業界において、求人の内容や企業を正確に理解するのでさえ難しい場合もあります。ビズデジは、ビジネススキルとして幅広いテーマを俯瞰して身につけられる内容になっているので、求人内容や企業を理解する上でも、結果的に有効に働くと思っています。
もちろんいわゆるキャリアアドバイスや、転職に必要な履歴書作成、面接対策なども徹底サポートさせて頂きます。」
※経済産業省が平成28年6月に公表した「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査1」
によれば、IT需要が今後拡大する一方で、日本の労働人口(特に若年人口)は減少が
見込まれる。そのため、IT人材の需要と供給の差(需給ギャップ)は需要が供給を上回り、2030
年には、最大で約79万人に拡大する可能性があると試算されている。また、IT技術の進展は
早く、人材に求められるスキル等も急速に変化するため、IT人材の需給は、IT需要の構
造変化にも影響すると考えられている。
▶▶詳しくは「経済産業省委託事業 - IT 人材需給に関する調査 - 調査報告書2019」をご覧ください
今後AIの活用で「ビズデジ」を更にアップデート
ーー今後、この新規教育事業とAIをどのように掛け合わせていくんでしょうか?
岸本:「AIを活用するフェーズ(時間軸)が異なるんですが、大きなポイントとしては2つあります。一つは、転職支援部分。興味のある求人情報から、類似の求人/企業を判定し候補を出したり、スキルから年収を推計しつつ将来のキャリアを考える等の方向性です。
もう一つは、人材開発プログラムに対するもの。研修のつまずきやスキル別の得意不得意判定など、研修効果を最大化するためのAI活用です。」
ゾルタン:「ビズデジは今、ある程度内容が固まってきて、色々なことを手動で行っている段階。今はこれを、システム、データとAIを活用して仕組み化していこうとしているところです。
また、将来的には人材紹介の際にAIを活用して、募集中の求人情報と求職者のスキル・経験をマッチングしてピックアップできる仕組みを作りたいですね。両者が求める求人・人材をお互いに、簡単にみつけられたら最高じゃないですか。」
ーー長谷川さんはどうですか?(AIの活用について)
長谷川:「直近、僕の役割はAIを活用する前段階にあると思っています。
まずは、研修をいかにシステマチックかつ、効果があるものにするかという部分を考えながら、AI活用ありきではなく、付加価値の高い要件をきちんと満たしたシステムを構築するのが、現在の僕のミッションです。
今は実際にどんなことをやりたいかについて考えながら、現状あるものの中から必要なものと不要なものを見極めていく作業を行っています。最終的な目標としては、研修がうまく(滞りなく)進むシステムを作り上げたいです。
あ、もちろん、僕1人だけでビズデジを作るのではなく。みんなで考えながらシステムを構築していきますよ。メンバー全員で作ったほうが、よりよいものができますし。」
岸本:「確かに。今の少人数チームだと、役割分担をきっちりするというよりは、お互いがお互いのことを理解して(仕事を)依頼することを大切にしているよね。
例えば、ゾルタンさんがアルゴリズムで悩んでいる場合は、私がアドバイスをしたり。自分の得意なこと・不得意なことを共有するメリットを日々実感しています。」
長谷川:「これってイングリウッドの良さでもありますよね。僕自身、この点はすごくいい文化だと思っています。」
岸本:「確かに!役職や部署が違うことを言い訳にせず、求める結果を共通に見据えて、お互いの専門性をぶつけ合いながら(議論しながら)成果をちゃんと出す。これが社内でごく当たり前に行われているのはすごいよね。」
ーーすごくいい感じに会社の魅力まで…!ありがとうございます。それでは長谷川さん、『ビズデジ』のシステムを作る上で一番大切にしていることはなんですか?
長谷川:「『ユーザーファースト』です。これを一番に考えて、システムを構築しています。」
ゾルタン:「長谷川さんは、実際に自分でもオンラインの教育プログラムを受講しているよね。ユーザー目線を大切にしているのがよく分かるよ。」
長谷川:「ユーザーの立場になって使いやすいシステムかどうかを見極めるためには、実際に使用するという経験も必要だと思いました。もちろん、受講するビズデジユーザーだけではなく、ビジネスとして『ビズデジ』を動かしていく運営側の人も使いやすいシステム作りを心がけています。」
岸本:「そうそう!長谷川さんだけじゃないけれど、メンバー全員に共通してやりやすいな(一緒に働きやすいな)と思うのは、『要件をくれればそれを作ります』というタイプの人間じゃないところですね。
要件をどうやったらいいかを一緒に議論してくれるし、そのために(ビズデジの)講習を実際に受けたりしてくれますし。」
それぞれが考えるビズデジの魅力
ーーそれぞれの立場から考える『ビズデジ』の魅力を教えて下さい。
長谷川:「(ビズデジのコンセプトでもある)『1人が10人分の引き出しを持つ』という軸が魅力だと思います。
元々僕は、エンジニアなので専門職。ですが、僕は専門職という枠に収まるのが嫌なんです。エンジニアの人の多くは、ビジネスやマーケティングなどはあまりみずに、専門職の範囲内で収まってしまいがち。
だからこそ、これからの時代にあった全体を俯瞰してみられる人材になる、というのがすごくいいなと思っています。」
ゾルタンさん:「私は、ビズデジのカリキュラムがすごい好きです(魅力だと思います)。今は、一つのことを覚えればずっとそれで働いていける、という時代じゃない。21世紀はそれだけでは、やっていけないと思っています。
例えば、デザイナーはひたすらデザインを、エンジニアはひたすらコーディングをするというような。
ビジネスモデルをどうマーケティングすればいいのか、物を動かすときの商流はどうなっているのかなど、IT人材に求められる要素が全て詰まっているカリキュラムは、こんな時代だからこその魅力だと思うんです。
あと、人にメリットのある、この事業自体も好きです。サービスを提供する側もされる側もWin-Winなビジネスモデルがいいですね。
今の人材紹介業界って、エージェントの1人が年間数件担当しておしまいというのが一般的。これを、データに基づけてAIを活用し、マッチングを効率化させていける点にも、とても魅力を感じています。」
岸本:「自分が立ち上げた事業なので、悪いところがみつからないくらい魅力はたくさんあると思っています(笑)
すいません、冗談はおいておいて。これという魅力を挙げるとしたら、“ ビズデジがあることで、IT業界全体が盛り上がる点 ”ですね。
実は『教育』という言葉がこの事業にあっているかは(自分的には)分からないんです。教えるというより、『(スキル・知識の)身につけ方が身についていく場』、それをビズデジにしたいと思っています。
偉そうに『教える』ではなく、誰かの思想に引っ張られずに、仕事で活かせる業界の知識・スキル・能力をちゃんと身につけられるような場にしたいです。
しっかりと知識を持って、自分が関わる会社や事業をちゃんと選ぶ。これって当然やるべきことなんですが、情報が足りなかったり、会社側がうまく求人を出せていなかったりして、実はすごい難しいことだと思います。
究極、ビズデジはそのへんについても、役に立つスキルがちゃんと分かるようにしたい。それを自分の事業に意味があるものかどうか、個人も会社側も見極められるようになる、これが実現できるようになる点が最大の魅力。
さらに、ビズデジの利用によって、“自分の頭で考えたことを、自分の人生で実現できる”ようになれば最高ですね。」
ゾルタン:「(思想っていうと)多いよね、最近そういうの。『〇〇イズム〜』とか。」
岸本:「そうなんですよね!知識として知っていて、選んでいるならいいんですけど、それ(一つの思想)だけを信じ込んでしまうのは、仕事をする上で少し危険だと思います。」
「ビズデジ」が気になる人&こんな新規事業を作り出すメンバーが気になる人をウォンテッド!
岸本:「最後はWantedlyの記事らしく『〇〇をウォンテッド!』で締めたいですね。」
ゾルタン:「私達は個別のインタビューでもやりましたもんね(笑)」
長谷川:「では、ここは代表して、岸本さんお願いします!」
岸本:「『ビズデジ』が気になる人や、こんな風に新規事業を作り出す我々メンバーが気になる人をウォンテッド!!」
3人は、『ビズデジ』が気になり説明会や受講を検討したいというユーザーの方、そして、イングリウッドで岸本・ゾルタン・長谷川のように新規事業の立ち上げに携わりたいというメンバーをウォンテッドしたい!と対談を締めくくってくれた。
岸本 裕史(Yuji Kishimoto)
経営企画室 マネージャー :ビズデジの事業責任者。立ち上げ段階ということもあり事業責任者だが、オペレーションを含め基本全てに責任を持ち、自分でも動かせるようにしている。
DeNAに新卒入社。モバイルゲーム事業で、事業部側の仕事を多く行ったうえで、経営企画部に異動し、経営会議の管理やM&Aなど経営企画としての仕事も幅広く経験。その後、スタートアップ企業への転職や、フリーランスを経てイングリウッドへジョイン。
▶▶岸本について詳細はこちら
ヴァーラディ ゾルタン(Varadi Zoltan)
AI戦略事業本部 ゼネラルマネージャー:データサイエンティスト。データから得られる情報を活用する役割を担っている。例えば、企業がどのような人材を求めているのか、どのように教育していけばいいのか、教育を行うことでどれだけ人にメリットがあるのかなどについて、データ分析やAIモデルを組むことで得ようとしている。
大学卒業後は日本企業に就職。エンジニアとして3年のキャリアを積み、支社長としてカンボジアへ渡る。カンボジアに赴任中、“AI”との出会いがきっかけで独立する道を選択。その後、イングリウッドへジョイン。
▶▶ゾルタンについての詳細はこちら
長谷川 雄紀(Yuki Hasegawa)
AI戦略事業本部 サブマネージャー:ビズデジシステム担当。現状のシステムが使いやすいかについての調査や、システムの構築を行っている。将来的には、システムの使いづらい部分などがあれば、独自でシステム開発も行う予定。
大学在学中にエンジニアとしてのキャリアをスタートさせる。卒業後は、スタートアップ企業にてシステム開発を経験。その後、ITコンサル企業で、大規模開発・ PM・オフショア開発・ マネージメントなど、開発に関わるキャリアを幅広く積む。そして、フリーランスを経てイングリウッドへジョイン。