生成AI活用法についてのニュースが飛び交う中、DMMグループの生成AI教育事業が注目を集めています。社会人からは「オンラインスクールで学びたい」、大手企業からは「ぜひセミナーを受講したい」など、問い合わせが相次いでいます。
この問い合わせを増やすための仕組みを作るのが、DMMグループの生成AI教育事業でマーケティング責任者として働く小出紘大です。参画当初はChatGPTの無料版を活用するレベルだった彼は、どのような経緯で現在のポジションに就いたのでしょうか。生成AI関連企業が多数存在する中でDMMグループに参画した理由や事業のやりがい、求められる人材について聞きました。
プロフィール|小出 紘大
2018年、ヤフー株式会社(現LINEヤフー株式会社)のアカウントマネージャ―(広告営業)として入社。2019年インハウスを支援する広告代理店のコンサルタント、2022年時間外救急診療を手掛けるファストドクター株式会社マーケティング責任者などを経て、2025年2月よりDMMグループの生成AI教育事業に参画。マーケティング責任者として、生成AI事業のマーケティング戦略や施策を牽引する。
DMMグループの生成AI教育事業で働けることに、可能性を感じた
—まずは、小出さんのこれまでの経歴について教えてください。
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新卒でインターネット広告会社に入社し、アカウントマネージャー(広告営業)に就きました。クライアントの課題分析から広告の企画提案、実行支援まで関われる環境だったのですが、自社広告に留まらず幅広く提案を行いたいと思い、約一年半後に独立しました。
独立後は、インハウス支援を行う広告代理店にてWebマーケティングコンサルタントとして約2年従事しました。大手広告会社の営業プロセスを標準化して営業工数を3割削減する、Web広告を効果的に運用してスタートアップの前年比成長率300%を達成するなど、仕事の幅を広げていきました。ちょうどその頃プライベートで医療業界を志すきっかけがあり、せっかくなら一から学びたいとオンライン診療を行う会社に転職しました。
—働き方も、業界も、かなり大きく方向転換されましたね。
そうですね、広告主、広告代理店、広告媒体と広告業界を一巡してきたので、それぞれのプレイヤーの立場を理解している点が自分の強みだと思っています。オンライン診療会社でも過去のキャリアを活かして、往診事業のマーケティング責任者を務めました。事業の認知拡大に役員と二人三脚で取り組み、自社アプリの累計ダウンロード数を100万超にまで伸ばすほか、数千か所の保育所との連携体制による収支改善、検索広告のチャネル黒字化などに貢献してきました。
—マーケティング領域で活躍されてきましたが、DMMグループの生成AI教育事業にジョインすることになったきっかけは何ですか。
生成AIの有料プランを使いこなすYouTubeを見て、ディープリサーチ(高度な情報収集や分析、調査を行う手法)についてより学びたいと思ったことがきっかけです。当時はChatGPTの無料版を個人的に仕事で活用するレベルでした。DMMグループが生成AI教育事業を手掛けていることは求人サイトで知ったのですが、スケールの大きな業界でマーケティングに携われることも楽しそうだと思いました。
—現在の小出さんの役割と、業務内容について教えてください。
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マーケティング責任者として、全社のマーケティング戦略と運営を担当しています。生成AIを取り巻く環境は日次で変化するほど目まぐるしいため、中長期の戦略を立てるというよりは、各事業の中に僕が入り込んで高速でPDCAを回して施策の効果を検証しています。
注力している施策は、従来のデジタル広告から先進的なマーケ手法まで多岐に渡ります。まずはDMMグループの生成AI教育事業が提供するサービスについて知ってもらい、ユーザーやクライアントを増やすことがミッションです。
—2025年2月に参画されてからまだ数カ月ですが、既にかなりの成果を上げられています。最初から現在のポジションに就いていたのでしょうか?
いえ、全く!(笑)最初はリスティング広告(検索結果に対して表示される広告)担当として、広告の効果検証や会議の運営を行っていました。働く中で事業責任者の塚田(雅也)さんから「もっと全体を見てほしい」と打診があり、現在の職務に就きました。
生成AIを使いこなすために、「各業界・職種で求められるベーススキル」についても学びを提供
—DMMグループの生成AI教育事業では、どのようなサービスを提供しているのでしょうか。
個人向けサービスとしては、オンラインスクール『DMM 生成AI CAMP』と、生成AI学習コミュニティ『DMM 生成AI 学び放題』があります。いずれもビジネスの現場での生成AI活用法を知り、日常業務に活かすことが目的です。
法人向けサービスでは、デジタル人材を育成する『DMM 生成AI CAMP DX研修』を提供しています。受講者の目標や企業のニーズに合わせて内容や期間をカスタマイズし、オーダーメイド方式で学べることが特徴です。
学習内容に関しては、受講者の生成AI使用頻度や生成AIを活用して身に付けたいことによって決まります。そもそもどのように生成AIを使ったらいいか分からない、生成AIで何ができるのか分からない、という段階から始める方も多いです。逆により高いアウトプットを目指したいという玄人向けコースも用意されています。
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—生成AI研修は現在多くの企業が行っており、内容も千差万別です。DMMグループが提供する生成AI研修の特徴について教えてください。
最大の特徴は、職種や業務理解に重点を置いている点です。生成AIに触れたことのない人ほど、「ChatGPTを使いこなせるようになりたい」など「生成AIを活用したい」と考えます。しかし生成AIを活用するためには、業務について深く理解している必要があります。業務についての知見がなければ、生成AIにタスクを指示するためのプロンプトを入力できません。
また現在の生成AIは完璧ではなく、たびたび事実とは異なるハルシネーションを起こします。もし使用者に間違いだと気付けるだけの知識がなければ、生成AIの誤った回答内容を鵜呑みにしてしまいます。生成AIは一問一答形式ではなく複数回のやり取りを通じて回答を導き出すのですが、この点も初心者にはよく誤解されがちです。
そのため私たちのサービスでは、まずは受講者の所属する業界や業務について理解を深めるところからスタートします。業界や業種で知っておくべき基礎知識からインプットすれば、結果的に未知の領域でも高品質なアウトプットを出すことができるようになります。
—なるほど、基礎から学ぶことで結果的に高品質なアウトプットを生み出せるのですね。参加する企業の特徴や共通項はあるのでしょうか。また、受講者はどんな方が多いですか。
企業規模や業種業態を問わず、幅広くお問い合わせをいただいています。最も生成AIへの関心が高いと感じるのは企業の経営層で、「事業の課題を、生成AIで解決できないか」といったご相談はよくいただきます。経営者自身が弊社の研修を受講して生成AIについて学ぶ必要性を感じ、現場の従業員にも受講させるケースは多いです。それ以外では、経営企画部や営業部、部長職以上の受講者も増えています。
—研修を受講するとどのようなアウトプットにつながるのか、これまでの実例を教えてください。
分かりやすい例としては、数時間のセミナーを受講した結果資料作成時間が削減できた、担当者が数日かけていた分析が数時間でできるようになった、という業務効率化がよく聞かれます。
あるマーケティング会社では、広告出稿先のターゲット選定に生成AIを活用することで、一週間要していた草案を一日で作成出来るようになり、チーム内での意思決定が早まったと伺いました。また別の会社では、営業担当者が二週間かけて顧客向けに作成していた提案書を、自動化により一日以内でできるようになったと報告を受けています。
サービスへの情熱や倫理観を持つ、プロフェッショナルが多い職場
—生成AI事業のチーム編成について教えてください。
スクール、法人研修、新規事業開発と三つの事業部があり、全体では約100人程度の組織です。業務委託の方も多いですが、責任者などの権限を持つ方も多いので、社員との違いが分からないくらいです。
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—コミュニケーションが取りやすいのは魅力的ですね。社内の雰囲気や、チーム内の印象はいかがですか。
とても「勢いがある」と思います。毎週のように新しいプロフェッショナル人材がジョインしてきて、そのたびに新しいプロジェクトが立ち上がる。また、学びを応援する会社ということもあって情報収集への投資も積極的です。僕もシンガポールで開催されたアジア最大のAIイベント『SuperAI』に参加しました。生成AI教育事業では「実践しながら学びたい」と考える方が多く、「新しく出たツールを使ったら、こんなアウトプットができました」など、最新情報が自然に入ってくるのも特徴的だと思います。
あとは、誠実な人が多いです。良いものを提供するという思いが強い一方で、遵守すべき倫理観はしっかりと根付いている。先日もチーム内で「広告のコピーが誇張表現ではないか」という議論を行いました。
—優秀な人材が多いとのことですが、中でも、「この人と働けて良かった!」と思える人は誰ですか?
先程もお話した生成AI事業全体を統括している塚田さんは、1年前の事業の立ち上げから現在まで生活のほぼ全てを事業に捧げているのではと思うほど熱量があり、自分も感化されています。そもそも、僕がDMMグループの生成AI教育事業へ本格的に参画することを決めたのも、塚田さんと一緒に働きたいと思ったことがきっかけです。各分野のプロフェッショナルの仕事に対してのリスペクトがあるので、とても気持ちよく仕事ができる。事業のトップと一緒に事業拡大の戦略や戦術を考えられることは、自分の成長にもつながっています。
また、セールスリードの横山啓之さんも、試行錯誤したうえで生成AIのオリジナルの使い方をされていると感じます。最初はあまり生成AIの知識がなかったそうですが、to doリストに生成AIを活用して業務の進捗状況をモニタリングするなど、今では生成AIを使いこなしています。スタッフとの1on1ではあえて生成AIに改善点を指摘してもらうことで場が円滑に回る仕組みを作る、逆に営業の商談ではクライアントとの感情でのやり取りに時間を割いて成約につなげるなど、新しい営業の形を作られていて学ぶことが多いです。
急成長する会社で、生成AI領域の知見を深められるチャンス
—多様なスキルを持つ方が働いている印象を受けますが、小出さんから見て、DMMグループの生成AI教育事業で活躍できる方はどんな人だと思いますか?
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まず、何よりも大事なのは各職種のスペシャリストである人。マーケティングや営業、事業開発などこれまで何らかの分野で目に見える成果を残した経験があることが重要です。二つ目は、生成AI領域に興味があり、自分も生成AI技術を高めたいと考えている人。私たちの提供するサービスの顧客と同じ視点を持つ人は良い施策やアイデアを生み出せますし、生成AI教育事業は学びの宝庫なので、意欲のある人ほど成長できる環境だと思います。
三つ目が、最後までやり抜く実行力のある人。生成AIはある程度の戦略や考え方をアウトプットしてくれますが、その戦略を最終的に実行するのは人間です。DMMの生成AI教育事業は他社が1ヶ月かけてやる仕事を1日で完了させるほど何よりもスピードを重要視している会社なので、自分のペースで仕事を進めたい人は向いていないと思います。
—DMMグループの生成AI教育事業で働くにあたり、生成AIの知識はどの程度必要ですか。
生成AIはまだ新しい技術ということもあり「知識がないから、自分にはとても無理」と敬遠される方も多いのですが、新しい技術だからこそ今がチャンスだと思います。僕も、業務を通じて自然と知識が身に付きました。それよりも、自分だけの強みやプロフェッショナルとしての技術を持っていることが大切です。生成AI領域への興味と学ぶ姿勢があれば、知識は後から身に付けることができます。
—心強い言葉ですね。最後に、小出さんの今後の目標について教えてください。
塚田さんとの雑談で、「将来的には、生成AI×マーケティングでの起業も『アリ』だよね」と言われたことがあって。まだ生成AIを活用している人が少ないからこそ、これからはそういった新しい道も開けると思っています。社内には、先駆者になれる起業の種があちこちに転がっている。「これだけは人に負けない」という強みを持った人と一緒に働けば、知識やスキル、経験が身に付き、事業も成長させることができる。そうすれば、自ずと次のステップは見つかると考えています。
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