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「伝えること」を仕事にし続けて、今、京都発のコンテンツディレクター

※この記事は2019年に公開されたものです。

今回のインタビューはインフォバーンの京都支社でコンテンツディレクターとして縦横無尽の活躍を続ける平岡さつきさんです。京都の大学を卒業後、紙の編集者としてキャリアを積み、Web領域での経験やスキルを求めてインフォバーンへ転職し、入社5年を経過した今では京都支社の顔と言うべき存在です。

今回は、これまでのキャリア遍歴や仕事を進めるうえでのこだわり、京都で働くこと、「コンテンツディレクター」という言葉について思うことなどいろいろ語ってもらいました。

「伝えること」を仕事にしたくて、雑誌の編集者に

ーーー大学が京都だったんですよね?

そうです。専攻は文学部で、卒論のテーマは「江戸時代の雑誌」でした。なんでそのテーマになったのか、あんまり覚えてないんですが、「伝えること」に興味があったんでしょうね。

後、学生の時は、国内国外を問わずよく一人旅をしていて、旅先できれいな景色や美味しい食べ物に出会った時に、それらを写真に撮り、旅から戻った後に現像して、自分でキャプションつけたオリジナルアルバムを作って、家族や友達に見せていました。まだ、SNSが普及する前だったので、周りの反応も良く、それを見た人が喜んでくれたり、楽しんでくれたりするのが嬉しかったです。

そういう経験を通して、自分の見聞きしたモノゴトを「伝えること」を仕事にしたいと思い始めました。その時、思いついたのが雑誌の編集者という仕事でした。

ーーーそこから雑誌社を中心に就職活動をされたんですね。

そうですね。何となく東京の生活は、ごちゃごちゃしてそうで嫌だなって思って(笑)、関西で就職活動をしました。求人を出していた大阪の某有名情報誌とかを、受けたりしてたんですけど、やっぱり狭き門だし、通っても雇用形態が社員じゃなかったり、お給料も低かったりで、なかなか思うような就職活動はできませんでした。

そこで発想の転換をして、そもそも社員募集をしていない会社を狙って、手紙を添えて履歴書を送り付けました。そこは私の戦略的かつ大胆な性格が出てるというか(笑)。「募集を掛けてる会社はたくさんの応募者の中から優秀な人が選ばれるけど、募集していない会社は応募者が私しかいないから有利に違いない!」と、考えていました。

結果的には、「まぁ特に採用の予定はなかったけど、面白そうなやつやし採用しとこうか」と考えてくれた会社があって、雑誌の編集者としてのキャリアをスタートすることができました。

ーーーなるほど、現在の仕事にも通じるところがありそうですね(笑)。実際に編集者の仕事をやってみてどうでした?

地域情報誌の編集者として、大阪と京都で合わせて10年ちょっと働きました。他の編集出身の人々から「下積み時代が辛かった」とかよく聞くんですが、私自身は、扱っていたコンテンツの特性かとも思いますが、「自分の好きなものや興味あるものを世の中に伝える」という好きなことがやれて、お給料までもらえて、誤解を恐れずに言うと、遊んでお給料を貰っているみたいな感覚でした。もちろん、肉体的にも精神的にもかなりハードな遊びでしたけど(笑)。

「伝えること」を続けたくて、紙からWebへ、インフォバーンへ

ーーーそんな楽しい環境を手放すきっかけは?

さっき少し触れましたが、地域情報誌、いわゆる「街の雑誌」を編集してたんです。長いことやっていると、伝えたい世代は変わらないのに、自分は徐々に歳を重ねて行くもんなんですね。徐々に「やっぱりこういう雑誌は若い人が作った方が良いな」と思うようになりました。そんな時に、会社の下の世代の社員と話していたら「本当は編集部に行きたいんだけど、ベテランの人たちがいなくならないから入る隙がない」と言われて。「それはかわいそうだな、じゃあ私は引退しよう」と思いました。

「伝えること」を仕事にし続けたかったので、そのためにこれまでと違うスキルを身につける必要性を感じていました。そのための手段としてデジタル領域への挑戦がありました。雑誌の仕事をしている時も、記事を企画する段階で情報源となるのは既にWeb上のコンテンツでしたし、その重要性や存在感は認識していました。

ーーーそこからインフォバーンに入った経緯は?

人材紹介のエージェントに紹介された企業の中の一社でした。

最初は京都の井登さん(インフォバーン取締役、京都支社長)と遠藤さん(インフォバーン京都ソリューション部門マネージャー)とお会いしました。私はすぐ緊張するタイプなのですが、会話形式の面接で全く緊張せず話せました。終始和やかに進行していたのを覚えています。そして、次の日くらいには「東京で最終面接を受けて欲しい」と連絡があったかと思います。

最終面接は今田さん(インフォバーングループ代表取締役CEO)と小林さん(インフォバーングループ取締役CVO)でした。編集者だったので、WIREDは知ってましたし、それを日本に持って来たお二人に会うのは少し緊張しましたね。そのせいか、あまり何を話したか覚えてないのですが、今田さんの質問で印象的だったのが、「紙で書く仕事とWebで書く仕事、何が決定的に違うか?」というものでした。その時、私は緊張もあってか答えられなかったんです。

答えは「SNSを経由して、どんどん拡散されていくこと」ということだったんですけど。今でこそ当たり前のように聞えますが、当時はそこまでSNSが世の中に影響力を持ってなかったですし、未だに本質を捉えた適切な問いと答えだと思ってます。

その日は朝一の新幹線で東京に行って、面接を終えてからすぐに京都にとんぼ返りだったんですが、帰りの新幹線で当時の会社を辞める決心をしました。

「伝えること」を続けるために身に着けたのは、「お客様仕事」と「Webでのお作法」

ーーーインフォバーンに入社してみてどうでした?

最初に驚いたのは、「クライアントの数が少ない」ということでした。この数でビジネスが成り立つのか?と不安にもなりましたが、すぐに分かりました。クライアントとのお付き合いの仕方が違う、ということが。

前職は自社媒体、インフォバーンはクライアントの媒体、作るものに違いがあることは理解していたんですが、改めてクライアントワーク、「お客様仕事」なんだなと実感しました。まず、案件毎にいただく金額の桁が違います。それに応じた成果を出そうとすると、当然クライアントの数も限られてくるし、広告を一回掲載してもらうだけみたいな単発の案件はほとんどなくて、クライアントと継続的な関係性を築き、成果を出し続けることが求められます。

インフォバーンに入社してから、クライアントワークのイロハみたいなものを教わりました。自社媒体時代は、そうは言っても媒体側の立場が広告主よりも強いケースもありましたし、そこは一から修行しましたね。前の会社では「FAX送ったんで、見といてください」で終わったことが、インフォバーンでは、お客さんに配慮して、見てもらうのに一番負担が掛からない方法は何だろう?どのタイミングなら見てもらえるだろう?とか考えるようになりました。今となっては当たり前ですが(笑)。

ーーーなるほど、それ以外で戸惑われたことはありますか?

入社してすぐの頃、私が発注したライターさんの原稿を、さっき面接で登場したマネージャーの遠藤さんにチェックしてもらう機会があったんですが、ほとんどの箇所に直しが入って戻って来ました。その後もそういうことが頻繁に起こり、「なんでこんなにいつも直されるんだろう?」と最初は思っていましたが、毎回やり取りすることによって、徐々にその直しの意味が分かるようになりました。

最終面接で今田さんから受けた質問に通じるところもあるんですが、紙とWebでは記事コンテンツの書き方を大きく変えなければならなかったんです。紙、特に雑誌だと「その情報を知りたい人」が読むけど、Webだと「そもそも読みたいかどうかわからない」人も読むんです。この記事は何の記事かな?ってはてなの状態の人に、友達みたいに一から教えるという感じですね。紙とWebだとお作法が違ったんです。

ーーー今のお仕事の状況はいかがですか?

インフォバーンに入社して5年と少し経ちました。

さっきお話ししたように、クライアントとの新しい関係性に戸惑ったり、ある程度できると思っていた記事の書き方でも厳しい指導を受けるところから始まって、ここ1、2年くらいは、プロジェクトを一人で任せていただくようになりました。

今は、自分の力でプロジェクトをコントロールできている感覚があり、気持ちが入った仕事ができていると思います。クライアントに喜んでいただくことも多くなりましたし、何よりあんなに厳しかったマネージャーの遠藤さんからも最近は褒められることも珍しくなくなり、楽しいですね(笑)。

ーーー今の肩書はコンテンツディレクターですが、それについては?

そうですね。ただ、その後に「エディター」って入れてもらってます。京都の場合、まだまだ「デジタルマーケティングの相談に乗ってもらいたい」というものより、「オウンドメディアを作りたい」というようなメディアありきのご相談というのが多くて、仕事の中心も記事コンテンツの企画と制作、いわゆる書き物が中心となってます。

私にとって、インフォバーンのコンテンツディレクターは、記事コンテンツだけでなく、動画とか広告とか、時にはイベントとか、デジタルマーケティング領域で活用できるあらゆるコンテンツを取り扱える人、というイメージです。先ほど、京都の仕事はまだまだ記事コンテンツの企画と制作が中心という話をしましたが、今後は徐々にデジタルマーケティング全般の相談に乗って欲しいというような案件も増えてくると思いますし、そこは東京(本社)のノウハウ等を学んで、自分としてもう一皮剥けられればと思っています。

「伝えること」を通して「変革すること」に関わって行きたい

ーーー今後、インフォバーンで働く上でチャレンジしたいことはありますか?

現場で仕事をしていて、これまでのマーケティングの考え方の前提が変わってきているかも?と感じることがあります。それを良い機会として、今後は「クライアントの意識や行動の変革」に関わって行きたいと思っています。

今企業には、とりわけ地域に根を張る大企業には、地域活性化や社会問題の解決が役割の一つとして期待されてますし、長い目で見るとその役割を担うことが最も有効的なマーケティング戦略かとも思います。自分が提案して、そういうプロジェクトを推進できると面白そうだなと思っています。実際に東京(本社)の人々と連携して、動いているプロジェクトもいくつかあります。

ーーー経験やスキル取得以外の面で、「インフォバーンで働いていて良かった」と思うことは?

CVOの小林さんのお話にはいつも刺激をいただいてます。IoT、AI、ブロックチェーン、テックカンファレンスなど、世界的に最前線のテクノロジーやビジネスを知り、そのトレンドの難所とか位置づけとかも同時にインプットしてもらえる。世の中の人が今後どんな情報を求めるのか、いま何を欲しているのかという大きな流れをつかめる位置にいます。このリテラシーは編集という情報業のみならず、企業の新規事業とか、製品・サービスを生み出すヒントなどにもなりうるので、今後どんな職種に鞍替えしたとしても、一ビジネスマンとして非常に大きな武器になると思っています。

ーーー京都支社で働くことについては?

「働く」ということについて言うと、新しい能力を手に入れたいと思ってる人には最適な環境だと思います。紙しか扱ってなかった人が、Webコンテンツに関する能力や知識を身に着けられるのはもちろんですが、京都にいながらデジタルマーケティングやメディア業界の最新リテラシーが培えるというところは魅力的だと思います。

ーーー平岡さんにとって京都で働くこととは?

京都の生活はいいですよ。朝のラッシュもないし、空も高いし、物価は、、、どうなんでしょう?とりあえず、東京より住み易い!(笑)

後、世界が狭いのかプライベートの繋がりから仕事に繋がることも多いですね。パートナーになったり。そういえば、今京都支社で働いてくれているアルバイトの人も、私の知り合いからのご紹介でした。人間関係ができてから、仕事が始まるというのは東京に比べると多いかもしれませんね。

ーーー最後に、どんな人に仲間になってもらいたいですか?

さっき話したことと被りますが、成長意欲が高い人が良いですね。そのための機会を得るには最適な環境です。裏返しで、指示を待つばかりの人は自分も周囲も苦しくなるかと思います。

後、個人的には、地道な積み重ねができる人が向いているかとも思います。私たちの仕事の本質は、あくまでも「伝えること」です。ズルをせず、正しい情報を適切な方法で伝えることを意識し、地道にやっていける人と一緒に働きたいですね。

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