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【 ヒューマンシップと私の10年、これから社会へ出る人たちへ : 山根佑子 】

ヒューマンシップは今年、2023年に創業10周年を迎えました。新卒から20代の7年間をリクルート社員として働き、30歳を目前に代表の池野谷からの声がけで、ヒューマンシップを共同で創業した山根佑子。当時の想いや、今でも変わらない仕事のスタンス、また2児の母として働く「これからの世代に届けたい想い」について、ざっくばらんに語ってもらいました。

山根 佑子 ( Y : 株式会社ヒューマンシップ取締役執行役員 )
小林 久実 ( K : インタビュアー)

* * * * *

水面下のバタ足で前進してきた10年

小林 (K): さて今日は、山根さんの「創業当時と今の想い」について詳しく伺えるのが楽しみです。

山根 (Y): よろしくお願いします。こうして向き合って話を聞いてもらえるのは久々ですよね。

K : 最近は新コーポレイトサイトも無事に完成しましたし 、今日は思う存分に語っていただきます!


Y : つい話し過ぎてしまいそうですが(笑)、そこは編集に期待します!新しくしたコーポレイトサイトに、ヒューマンシップの想いを込める作業…時間はかかりましたが楽しかったですね。
「人が主役」という創業当時から大切にしてきた想いや、個人にとことん向き合って伴走するヒューマンシップらしさが、良く伝わるサイトになったかなと思います。

K : サイトづくりの時も、前回の池野谷さんと山根さんの対談の時にも想ったのですが、ヒューマンシップが一番大切にしているのは「1対1で向き合って語る」ということですよね。


Y : 確かに、それは一番と言って良いほど私たちが大事にしていることかなと思いました。先日の対談は、その点においても公開後の反響が大きかったです。

「2人がこんな風に赤裸々に語り合っているインタビューに、心動かされて一気に読みました」とか「久しぶりにまたお会いしたいです!」といったコメントを周りの方々から複数いただけて本当に嬉しかったです。(*前回の創業者2人の対談記事もよろしければご参照ください)


K :せっかく話すなら「あぁ、この1時間、この人と話せて本当に良かった」という【満足できる想い】を残せるよう、誠心誠意聞いて話すようにしている、と対談中にお2人が話していましたよね。その姿勢って、何事に於いても大切だなぁと思います。

自分のことも開示しつつ複数の人と話すってエネルギーが要ることだし、それを10年間ほぼ毎日ずっと続けている山根さんって、めちゃくちゃパワフルと思いきや、すごく自然体!というのが私が受けた印象です。


Y : そうですか?個人のお客様には「どうして大企業をやめてヒューマンシップを始められたんですか?」とか「お子さんがいらしたんですね!!」など言われることが多いですね。
将来の起業に向けてすごく計画してきた人物に見えたり、涼し気な顔で白鳥みたいにスイ〜と優雅に進んでいるように見えるところがあるのかもしれないのですが・・。まあ、自分を白鳥に例えるのもどうかと思いますけど(笑)実際にはそんなことは全くなく水面下では・・・

K : めちゃくちゃバタ足していますか?(笑)

Y : たまに両足をつりそうになることすらありますよ!!(笑)

K : ものすごい親近感 (笑) でもそうやって自己開示できるところも、山根さんの魅力の大きな一つだなあと思います。29歳でリクルートを退社して、池野谷さんとヒューマンシップを創業された時に比べると、今は何か変わりましたか?


Y : そうですね、30代中頃から子育ても加わったことによって、当時と比べると仕事と生活のバランスの面はかなり変化しました。それまでは仕事中心の日々でしたが、時間的な制約も増えたことで、逆に工夫も生まれて、どうすればうまくいくかを考えたり。

「今、この10分何に集中しよう」みたいな頭の使い方をするようになってきました。そうやって目の前のことに瞬間瞬間で向き合いながらも、この1年ぐらいは会社のこれからや、自分が仕事を通して何により広く役立てるか?といった広い視点も徐々に持てるようになってきたように思います。

今年で不惑の40を迎えたので、もうこのまま惑わずに…とは、いかないかもしれませんが(笑) 、まっすぐ目指す方向に突き進んでいきたいと思っています。

(写真 : 今春に2人目を出産し、今は2人の子どもたちは同じ保育園通い。「同じ園に入れて本当にラッキーでした。育児しながら働くお父さんお母さんたちをさらにリスペクトするようになりました。」)

【 ロールモデルも環境もないなら自ら作ろうと思った 】

K : 起業された頃は、広い視点ではなく、どんな風に自分自身の目標をとらえていたのか、覚えていますか?

Y : ヒューマンシップを始めたばかりの頃は「この会社を成功させよう」といった大きな意識は、正直言って欠如していたと思います。それよりも当時の自分が大事にしようと意識していたのは圧倒的に【自分軸】でした。当時29歳でしたが、自分らしいキャリアっていうのは何なのか?というところに焦点を当てていたし、それを体現することに対して必死でした。

創業当初は本当に何もなかったので、高い理想を掲げながら足元の業績を上げるということに対してひたすら前進というか、一プレイヤーとして試行錯誤の繰り返し。会社の経営的なことは、人生経験・ビジネス経験両面において大先輩の池野谷さんを信頼し、託している感じでしたね。

K : なるほど。そう言えば前回の対談でも、そんなお2人の様子が垣間見られました。女性の29歳って、プライベートでも色々と悩み多きタイミングでもありますよね。

Y : そうですね、当時は今より自由な時間がたっぷりありましたし,仕事をする上での制約はありませんでした。俗に言う結婚願望(?)みたいなものも一応はありましたけど、そこに向けては特段何もせず、昼夜問わず仕事をしていました。

20代後半ぐらいから「いつかは結婚するかも」「子育ても経験したいかな」なんて思う方が少なくない気がしますが、私もまさにそんな感じです。ただ、「仕事やキャリアを理由に何かを諦めるとかはしたくない」という気持ちはどこか持っていたので、「自分らしく生きていくにはどんな働き方がより自分にフィットするのだろうか?」などと考えていましたね。

前職のリクルートは本当に大好きな会社でしたが、自分自身の至らなさもあって、そのままの環境で継続したとして、バランスよくやっていける自信を持ちきれていませんでした。今まではこれで良いけれど、この先を考えると悩む…そんな感覚です。

それまで大きな悩みなく猪突猛進に進んできていたのに、30歳を目前にそういった想いがふつふつと湧き出てきてしまって。今が良いだけではダメだ、先を見据えた時に思考停止して留まるのではなく、私には何かしらの変化が必要、一歩踏み出すことが必要、と思い、大袈裟ではなくまさに清水の舞台から飛び降りる気持ちで、池野谷さんと一緒にスタートすることを決断した、という流れでした。

K : 人材紹介の仕事は初めての挑戦だったとのことで、勇気が要りましたか?

Y : かなり要りましたね。ただ、スタートしてから見えてきたのは、HR領域での知識や経験というのが求職者の方々にお役に立てる知見だということと、法人向けの顧客折衝力は自身の強みの一つだと思っていたので、走り出したら徐々に感覚も掴めてきたというか、お役に立てる実感が湧いてきてというところです。

「今、自分の周りに思い描く働き方が見えていないのであれば、何かを真似するのではなく、ヒューマンシップの中で自分自身が試しながら新しい形を作っていけばいい」という気持ちを支えに、少しずつ前に進んでいきました。

まあこう言うとなんだかカッコイイ響きのようですが、それまで経験もなかったことではあるので、実際には不安たっぷりでしたし、大丈夫かな?という思いと常に隣り合わせでしたけどね…ただ、これは性格的なものだと思いますが、やり始めてからはあまり悲観的に考えないというか、その状況も楽しめていた自分がいたように思いますね。


K : プールで十分に練習する前に、大海原へ泳ぎ出して、バタ足で進むうちに「おっ、いけるじゃん!」といった感じでしょうか。

Y : そうそう、そんな感じです!振り返れば、リクルートでは新人の頃から6年間は仙台・広島・静岡と地方配属で、中小企業の経営者の方々と、1対1の関係で向き合う機会が多かったんです。もちろん仕事ではありますが、単純に人として「会って話して信頼される関係」が築けていた実感を持っていました。

今でもご縁が続いている経営者や当時のご担当者の方もいらして、毎年クリスマスにカレンダーをお送りさせていただいたり、SNSでメッセージをやり取りすることもあります。そういった部分も自身の特徴の一つなのかもしれません。

相手が法人でも結局は個人同士、1対1の関係なので、お互いに気づきのある関係性が築けていれば、良い仕事にも繋がっていく。そうやって一期一会を大切に積み重ねられる自分の強みを前面に出して働けることが、「自分を活かせている」という実感へとつながり、楽しむことができるタイプなのだろうと思います。

その後、自ら希望を出して東京に異動させてもらったのですが、より広いマーケットに対峙することになり、目の前の人との関係構築を得意とする自分の本来の力を活かし切れていないという無力感や力不足を感じ、仕事に対して自信を無くしていた時期でもありました。

最初から今の形を目指したり、明確に未来を描けていたわけでは決してなくて、自分自身にも悩みや葛藤があったけれど、正解も何もない中でヒューマンシップという大海へ飛び出して泳いでみたら、創業当初より目標にしていた「ご紹介」の連鎖が繋がっていき、そこで自身の本来の強みにも気づくことができ、身体中からエネルギーが湧いてきたんですね。

自分が活かされていることが心から実感でき、そう思うことができる仕事がやれるのは本当に有難いことだなと。これが私のモチベーションの源泉であり、パーソナルエージェントという仕事の根幹にはわたし自身も投影されているんです。ここまで10年間、前を向いてやってこれた背景にはそんな感謝の気持ちがありますね。

K : そういうストーリーだったんですね。すごく等身大というか、自然体なところがやはり山根さんらしくとても素敵だなぁ。

Y : 最初は自分軸を大切に「キャリアチェンジ」「会社創業」というイベントを経験できたことは、その後のパーソナルエージェントとしての成長においてもとても重要なことだったなぁと、振り返って感じています。

K : それはそうですよね、キャンディデイトの方々へ語る言葉も、実感のこもった「本当の話」として伝わる気がします。転職を目標にせず、まずは「自分がどうしたいか?」というところと徹底的に向き合って、自分自身の客観視を促す役割が、ヒューマンシップが大切にするパーソナルエージェントとしての役割ですものね。

【 自分軸で働く根幹にあったのは、昔聞いた父の一言 】

K : そうやって人生に於ける「自分軸」を大切にすることって、山根さんが前職のリクルートの環境で学んだことの一つですか?

Y : いえ、それがもっと前なんですよね。私の父親は、普段仕事のことをあまりベラベラと話す人ではないのですが、そんな父に確か中学3年ぐらいの時に、進路を考える授業の一環として「人生における働くことの意味」みたいなことについてコメントをもらう課題があって…そこに父が書いてくれた言葉がこういったものでした。

「人生に於ける幸せとは、良き仕事、仲間に恵まれ、良き伴侶を得ることである。人生の成功は仕事の成功だけではない」

中学生の私は「父=仕事一筋、会社一筋」と見えていたので、予想外の親のフィロソフィーみたいなものに触れて、何だかハッとしたことを今でもよく覚えているんですよ。

K : さすが山根さんのお父さん!という感じが私はしますけれど。普段はそんな風にお話しになる方ではないのでしょうね、予想外というぐらいだから。

Y : 父は国立大学を出て大手情報通信企業で働いていました。毎晩帰りも遅かったですが、あまり仕事や会社の愚痴や文句も聞いたことがなく、きっと仕事が好きなんだろうな~と勝手に思っていたので、この時の言葉にいつも見ていない父の一面を垣間見た気がしたんです。

リクルートで働いていた29歳の自分が、改めて自分の生き方について考えた時も、この父の言葉が浮かびました。リクルートで問われていた「おまえはどうしたいんだ」という問いかけの言葉とも相まって、「私自身がこれからどうしたいか、どう在りたいかと向き合った結果、現状から飛び出して自分が在りたい方向へ進んでいこう」と思いましたね。

【 これから社会で活躍する、若い世代へのメッセージ 】

Y : 今は小さい子どもを2人育てながら本当に毎日バタバタですが、やっぱりいつも「どうして自分は社会で働くのか?」ということを考えて、自分軸を見失わないようにしておきたいなぁという想いはあります。
だから子どもたちにも、働く理由はお金を稼ぐためだけではないんだよ、という姿を見せてあげたいなと考えています。「ママのお仕事は人の役に立つことなんだよ」と伝えるようにしていますね。

K : それってとても大切なことですよね。ともすると物事って『働く=お金を稼ぐこと』といった図式のように説明されがちだけれど、「役に立っている」という自分の実感や、「本当に助かった」という感謝の気持ちって、どうしてもその図式の中からはみ出るというか、溢れ出してしまうものかもしれません。
でも実は、その溢れ出してしまうものにこそ、生きる喜びがあったり、子どもたちに伝えたいことの本質があったりするものですよね。

Y : 本当にそうですよね。小さな子どもたちだけでなく、転職のサポートを経て慕っていただける20代や30代の若い方たちに対しても届けたいメッセージとして…
「自分はどうやったら役に立てるのか?どうしたら人に喜んでもらえるのか?」ということと同時に
「自分はどうしたいのか?」「何をしている時が幸せなのか?」ということに対して真剣に向き合って、
じっくり考えてみて欲しい、ということです。それはつまり自分自身との対話をすることでもあります。


K : 人生に於ける自分軸を大切にするということですよね。でもその自分自身との対話って、わりと多くの人がうまくできていないという感じがします。日々を回すのに忙し過ぎて、どうやってタイミングを作れば良いかわからないまま、自分と向き合うタイミングを逃してしまうというか。


Y : もちろん、それが簡単なことではないと思っているからこそ、善意の第三者として対話をしながら少しだけアシストができればと思っています。
誰もが自分との対話を得意としているわけではないけれど、他者のちょっとした介在によって、その人がガラリと変わったり、相談前よりもうんとスッキリされた表情で、次のステップへ進んでいかれたりしますしね。そんな姿を拝見することができるのは、私自身とても嬉しいことなので。

K : こうして聞いていると、本当に天職ですね、山根さんにとってヒューマンシップでの働き方は。でも与えられたものではなく、ご自分で池野谷さんと創業されてゼロから作り出した環境だからこそ、ここまでフィットしているのは自然な流れなのでしょうね。


Y : とはいえ水面下ではまだまだバタ足継続中ですけれど(笑)これから先、仕事にも子育てにも悩んだり、壁にぶつかることが沢山出てくると思いますが、喜怒哀楽も含めて自らの足で切り拓いていく、乗り越えていけるということは、俯瞰でみると本当に幸せなことでもありますよね。

もしも一日48時間あって、他の職業も経験できるならあれをやってみたい!とたまに空想したりもするのですが、それは自分に2周目の人生があった時に経験するとして(笑)
やっぱり、今の自分を最大限に活かせるのは「パーソナルエージェント」としての仕事だと思えています。そこに迷いはないので、これからも日々を味わい、楽しみながら、前進していけたらなと思っています。

インタビュー記事を最後まで読んでくださり、ありがとうございます:-)
リニューアルしたコーポレイトサイトも是非ご覧ください!



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