「お茶を飲む間もなく、銃声と爆弾の音が聞こえ、朝食もとらずに私たちは逃げなければなりませんでした。お茶を沸かす火もそのままでした。その日、子どもたちは何も食べることができませんでした」
スーダンからエチオピアへ逃れた日のことを語る難民のハワさん
こうしてスーダンから逃れてきた子どもたちが大勢いるのです。
その子どもたちが、隣国に到着する姿を、どうぞ想像してみてください。
昨年4月にスーダンで発生した武力衝突から1年以上が経過し、スーダンとその周辺国では1000万人以上*が避難を余儀なくされています。こうした緊急事態下で、難民をはじめスーダンの戦闘の影響を受けている人々の命を守るために、UNHCRは各国やパートナー団体と連携し、同国と周辺国で医療や栄養、水と衛生関連の支援にも尽力しています。
出典:SUDAN SITUATION Regional Displacement Update as of 30 June 2024
2023年4月以降に避難を強いられた人の数。それ以前に避難を余儀なくされた難民や国内避難民は含まれていません
2023年、UNHCRの医療情報システムは、憂慮すべき傾向を指摘しています。子どもの死亡率の上昇、子どものワクチン接種率の低下、マラリア、デング熱、コレラの報告の増加、栄養失調の増加、心のケアの必要性が高まっていることなどが指摘されており、避難を強いられている人々は、いま切実に、医療や栄養、水と衛生関連の支援を必要としています。
身ひとつで逃れる。
それは決して大げさな話ではなく、避難を余儀なくされるとき難民となった人たちの多くが経験していることです。
スーダン・白ナイル州/栄養失調の検査を受ける子どもたち
「その日、子どもたちは何も食べることができませんでした」
ある朝、家の近くで突如戦闘が起こり、スーダンからエチオピアへ逃れてきたハワさんが、子どもを連れて避難したときのことを語った言葉です。こうした過酷な避難を経てたどり着いた先で、心身の状態を取り戻し健康を維持していくこと。
それは、難民となった人たちが生活を再建していくうえで、まずはじめに必要なことです。 しかし、そこには、さまざまな困難が立ちはだかっています。
難民となった人々が直面している困難
- 過酷かつ危険な避難の道のりで、身体的にも精神的にも深刻な影響を負いやすい
- 受け入れ国で医療サービスを受けられないことが多い*
* 言語やその国の政策、経済的な障壁、距離の問題など、さまざまな要因があります - 非感染性疾患*や栄養失調など、進行中の疾病の治療が中断してしまうことが多々ある
* がん、循環器疾患、呼吸器疾患、糖尿病をはじめとする慢性疾患 - 骨折などの重傷を負ったまま、適切な治療を受けられずにいる
こうした健康や医療に関わる障壁を取り除くためにも、UNHCRは支援活動を行っています
スーダンと周辺国
医療、食料、水… 高まる支援ニーズ
スーダンから逃れてきた人であふれかえる南スーダンの国境付近
街に立ちのぼる黒煙。2023年4月にスーダンで発生した武力衝突は日本でも広く報道されましたが、いまも戦闘が続き、避難を強いられる人が増え続けていることは、ほとんど報じられていません。1000万人以上*が避難を余儀なくされているスーダンとその周辺国でもっとも必要な支援のひとつが、医療や食料、水・衛生関連の支援です。
*出典:SUDAN SITUATION Regional Displacement Update as of 30 June 2024
2023年4月以降に避難を強いられた人の数。それ以前に避難を余儀なくされた難民や国内避難民は含まれていません
スーダン危機背景情報
2023年4月15日、首都ハルツームでスーダン軍と準軍事組織「即応支援部隊」の武力衝突が発生し、戦闘は急速に他の都市へと拡大。いまだ状況改善の見込みはなく、さらに多くの人々が避難を強いられることが予想されています。
スーダン国内
継続中の戦闘、食料や水、燃料の不足、電力の制限、通信環境の悪化、必需品の価格高騰の影響により、スーダン国内の人道状況は深刻化しています。医療システムは危機的状況にあり、医薬品は大幅に不足。栄養失調に苦しむ人も増加しています。
人口の約3分の2が医療にアクセスできない状況に
医療施設で順番を待つ人たち
2023年、スーダンでは戦闘の影響を受けた州で医療施設の約4分の3が使用できなくなりました。UNHCRは、パートナー団体や世界保健機関(WHO)と協力してキャンプの関連病院や診療所に医薬品が行きわたるよう努め、発電機や救援物資を保健医療施設に届けるなど対応に追われました。しかし、極限状態で失われた多くの命があります。5月から10月までに白ナイル州の難民キャンプだけで、はしかの流行と重度の栄養失調が重なった結果1900人近くが命を落とし、その大多数が子どもでした。同国は人口の約3分の2が医療を受けられない状況下で、食料不足による栄養失調も深刻化しています。
スーダン周辺国
2023年4月以降スーダンから多くの人が逃れてきている周辺国では、保健・医療、水や食料のニーズが一層高まっています。いまも逃れてくる人々は後を絶たず、新たに到着している難民の深刻な健康状態がとりわけ問題となっています。
バングラデシュ
大規模火災により難民5000人が被災し水・衛生関連施設と保健医療施設が焼損
過密状態にあるコックスバザールの難民キャンプでは昨年も火事が発生(2023年3月撮影)
バングラデシュで大多数のロヒンギャ難民が暮らすコックスバザールのキャンプは、その立地と混み合った住環境により疾患の流行や火事などの緊急事態にさらされやすく、サイクロンやモンスーンの季節には地滑りや洪水などの自然災害に見舞われます。今年1月にもキャンプ5で大規模な火災が発生し、多くの人々が再び住む場所を失い、生活に不可欠なトイレなどの水・衛生関連施設213か所と保健医療施設1か所が焼損しました。
バングラデシュ背景情報
同国には約98万人のロヒンギャ難民が身を寄せています。水や衛生、医療をはじめとする命を守る支援とサービスを維持し、政府や各方面と協力して災害対応のための準備と緊急計画を強化することが不可欠です。
難民とUNHCR、パートナー団体は、一丸となって火事に対応しました。
再建は進んでいますが、強風や洪水、地滑りにより新たな被害が発生しうるサイクロンやモンスーンの季節、命を守る事前の備えと迅速な対応のために、支援が必要とされています。
レバノン
幾重にも危機がかさなり、医療へのアクセスがさらに困難に
浸水したレバノンの非公式の難民居住地で、水を掻きだす子どもたち
レバノンでは経済悪化の煽りを受けて、難民や脆弱な状況にある受け入れコミュニティの人々が医療を受け医薬品を入手することが難しくなっています。さらに、南部における戦闘の激化と拡大は、両コミュニティに深刻な影響を与えており、9万人以上が避難を強いられています。戦闘の影響を受ける地域では、経済的な理由のほか、医療サービスの中断により医療へのアクセスがさらに困難になっています。
レバノン背景情報
政府の推定では、同国には150万人以上のシリア難民が身を寄せているとされています。新型コロナや最近のガザ情勢などの影響に加え、社会経済の低迷により、シリア難民の10人中9人が人道支援を必要としています。
南部の衝突の影響を受けている人々の声
「治安情勢は、難民や住民の精神面に深刻な影響をおよぼしています。とくに子どもたちは、常に爆弾の音に怯えています。」
南部・スール地区のシリア難民の女性
「皮肉なことに、爆撃から逃れて滞在している所の近くで、きのう爆撃がありました。昨晩怖くなり、もし爆撃がここで続いたら、再びどこへ逃げればいいのだろうと思いました。」
南部・サイダー地区のシリア難民の女性
コレラ流行の際にもレバノン政府の対応計画を支援
UNHCRは、2022年10月からレバノンでコレラが流行した際、トリポリ政府病院とレバノン北部の都市ハルバの新型コロナ対応施設をコレラ治療センターに転換するための工事を担うなど、政府の対応を支援。保健省の後援のもと、パートナー団体や国連機関と協力して経口コレラ予防接種キャンペーンも実施しました。
もしも大切な人が、体調を崩し、それが避難生活のさなかだったら。
そうした想像が、ハナさんやマジダさんと私たちをつなぎます。
私には息子と娘がいましたが、2人とも亡くなりました。どうか2人が安らかに眠りにつくことができますように。
― 戦闘が続くスーダンで子どもを失ったハナさん
数か月前、子どもたちは皆体調が悪かったのですが、一番体調の悪かった子ども一人分の薬しか買う余裕がありませんでした。
― レバノンに身を寄せるシリア難民のマジダさん
救うことのできる命が、失われることのないように、 どうぞUNHCRの医療や栄養、水と衛生関連の支援にご協力をいただけますよう、よろしくお願いいたします。
生活の再建や自立した暮らしは、安全や健康があって、はじめて成り立つものです。
それは、私たちも難民も同じです。
UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)は、 難民の命を守り、保護する機関です。
UNHCRは、シリア・アフガニスタン・ウクライナなど世界中で家を追われた難民・国内避難民を支援・保護し、水や食料、毛布などの物資の配布や、難民キャンプなど避難場所の提供、保護者を失った子どもの心のケアなど、最前線で援助活動に尽力しています。1991年から10年間、緒方貞子さんが日本人として初めてUNHCRのトップである国連難民高等弁務官を務めました。
※紛争や迫害などのため命の危険があり、国外へ逃れた人を「難民」、国内で避難している人を「国内避難民」と呼びます。
国際情勢が激しく揺れ動く時代、今、私たちにできること
フィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官は「私たちは国際情勢が激しく揺れ動く時代を生きています。現代の紛争は、人々に深刻な苦しみをもたらし、脆弱かつ悲惨な状況を生み出しています」と訴えます。
日本から届ける支援は、避難を強いられた人々を援助するUNHCRにとって、なくてはならない支援です。継続的な支援を続けていただくことにより、迅速な緊急援助、水・食料の安定した供給や、長期の資金計画が必要な学校教育や難民への職業訓練や自立支援などを進めることが可能となるのです。故郷を追われ難民となった人たちは、極限の状況下で支援を待っています。
ひとりでも多くの難民となった人たちに寄付という形で支えていけるよう、私たちは今日も街頭で一人ひとりに声をかけています。
「今日、ここで、あなたと会えたから一歩踏み出すきっかけになった」。新たに国連難民サポーターに参加くださる方からのお言葉です。
ひとつひとつの積み重ねが大きな力となって、難民の命を救うことができる。日本から届ける難民支援。私たちと一緒に難民支援の輪を広げていきませんか?
☆ファンドレイザーを募集中☆
https://www.japanforunhcr.org/about-us/career/fr_recruit/
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