HIKEが運営するグローバルアニメーションレーベル「100studio」(ワンダブルオースタジオ)。TVアニメ、映画、ゲームプロモーション映像など多岐にわたるプロジェクトを手掛け、2D作画と3DCGを融合させたハイブリッドアニメーションを得意としています。
今回のインタビューでは、まもなく設立5周年を迎える同スタジオの、第一線で活躍する3DCGグループの4名が集結。入社の経緯から制作の舞台裏、社内の雰囲気や機材環境など、現場のリアルな声を語ってくれました!前後編でお届けします。
※このインタビューは期間限定で公開したスペシャル動画の内容を再構成したものです。写真左から
大島 寛治(進行 / 3DCGグループ)
内山 寛基(3DCGグループ / レイアウト担当・監督経験者)
田中 祐輔(3DCGグループ / CGディレクター)
鳥居 豪(3DCGグループ / CGディレクター・ゼネラリスト)
決め手は自宅からの近さ?!十人十色の入社経緯
大島: まずは、皆さんがどういった経緯で100studioに入社したのか伺えればと思います。
田中: 前職からの転職を考えていた時期に、個人的にBlenderで映像を作っていたんです。ちょうどその頃、100studioが映画『数分間のエールを』の制作で「Blender使いを求めている」と知り、作業に参加したのがきっかけです。実は僕、絵の勉強もしたことがなく、30歳を過ぎてから未経験でCG業界に入った人間なんです。そういった経歴でも、CGでサラリーマンとしてしっかりやっていけています。
鳥居: 私は前職でお世話になっていた先輩が、HIKEで活躍しているという記事を見たのがきっかけです。色々とHIKEについて調べていくうちに、アニメ関係の仕事も手掛けていると知り興味が湧きました。勉強もしたいと思い、思い切って先輩に「雇ってくれませんか」と声をかけさせてもらった形です。
大島: 鳥居さんは入社してまだ半年ほどですが、入社直後に制作の佳境を迎えていた『BLACK TORCH』の現場で、ご自身で作られたツールを駆使して大活躍してくれました。内山さんはいかがですか?
内山: 僕は人の紹介ですね。「レイアウトを手伝ってくれないか」とお話をいただいたのですが、実は一番の決め手は「家が近かったから」なんです(笑)。以降、こちらの会社でレイアウトを主に担当し、今に至っています。
大島: 内山さんには、ある作品で作業難易度が一番高い「Sランク」の難しいカットを全振りして担当していただきました。ちなみに私の入社経緯ですが、100studio代表の堀口が前職の上司でして、彼から「新しくアニメスタジオを作ったから来ないか」と誘われたのがきっかけです。なんだかんだで13年くらいの付き合いになりますね。
映画やゲームの衝撃から目指した3DCGの世界
大島: 続いて、皆さんが3DCGの世界に入るきっかけになった出来事を教えてください。まずは内山さんから。
内山: 僕はもともと『スター・ウォーズ』シリーズが好きで、ミニチュア撮影の世界に入りたかったんです。でも、僕が就職しようとした時代にはすでにミニチュアというものが衰退期になってしまっていたので、「じゃあ似たようなことを何でできるか?」と考えた時に、3DCGの世界にたどり着きました。最初はモデラー志望だったんですが、なんの因果か今はレイアウトをメインに担当しています。
田中: 僕は趣味のゲームがきっかけです。ファミコン世代なのでずっとゲームをして育ちました。手描きのアニメの方がいいって言う人が多分多いと思いますけど、僕はゲームの表現がドット絵からCGへと進化していく過程を見て「絶対に手描きよりもCGの方がかっこいい・可愛いじゃん」と衝撃を受けました。そして「よし、こっち(CG)を目指してみよう」と思ったのが原点ですね。
鳥居: 私がCGを意識した瞬間は、映画『ジュラシック・パーク』です。今の目で見れば技術的な時代感はあるかもしれませんが、それでも恐竜が「本当に生きている」と感じられる表現力に圧倒されました。「アニメーション(animation)」という言葉には「生命を与える(anima)」という意味が含まれていますが、自分でもCGを使ってゼロから何かを生み出す仕事をしてみたいと興味が湧いて、この業界に入りました。
大島:ありがとうございます。 私の場合はもう22年前になりますが、押井守監督の映画『イノセンス』のオープニング映像に憧れてCGを始めました。新卒で入った会社に、まさにその映像制作に携わっていた人物が転職してくるという運命的な出会いもあり、そこからのめり込んで今に至ります。
制作の流れと裁量権
大島: 続きまして、普段、どのような流れでアニメ制作を進めているのか教えてください。
田中:まず100studioでは作画チームがメインとして活動しています。その中にCGグループも含まれており、作画をサポートする形でCGを使う場面が多くあります。最近は、背景やキャラの置き場所といった画面の構図、カメラアングルを決める「レイアウト」をCGグループが担当することも多いですね。
参加する人数や規模感は作品・案件によって大きく変わります。「藤本タツキ17-26」において、100studioは『人魚ラプソディ』と『予言のナユタ』のアニメーション制作を担当しました。CGグループはその際、『人魚ラプソディ』では少人数で背景の一部やピアノ、魚などの小物を担当しました。一方『予言のナユタ』では、宙に浮く剣や戦車など動きのある要素が非常に多かったため、スタジオ内の多くの人数が参加して制作にあたりました。
大島: 作品におけるCGディレクターの裁量権についてはどうですか?
田中: 監督からどこまで任されるかは作品次第ですが、「良くなるんだったら全部お願い」と言われることもあります。基本的にはグループメンバーが作ったものを、そこから「どういうクオリティに仕上げていくか」を決めていく立場ですね。ツールに関しても、CGだと3ds MaxやMayaなどが主流と言えますが、指定がなければ自分たちのワークフローに乗せやすいもの(Blenderなど)を選択することも可能です。
フラットで一体感のある現場
大島: アニメ制作は部署内外との連携が必須ですが、社内のコミュニケーション環境はどう感じていますか?
鳥居: 私は入社して間もないですが、会社やグループの状況を探りながら仕事をする中で、上司との距離感やグループ内の壁のようなものは特に感じません。フラットで話しやすく、みんなで協力し合う一体感がある現場だと思います。
田中: アニメ制作会社ということもあり、業務中にアニメの話をしていても怒られない環境ですね(笑)。「あのアニメのあの動きが良いから、ちょっと真似してやってみよう」といった前向きな会話が常に飛び交っています。
内山: 鳥居さんが言う通り、非常にコミュニケーションが取りやすくやりやすい環境です。極端な話、私のように実はそこまでアニメに詳しくない・興味がない人間でも(笑)、楽しく働ける懐の深さがあります。
クリエイターの向上心を刺激する環境
大島: 普段使用しているCG関連の機材や作業環境について教えてください。
田中: PCは最新のCPUを積み、グラフィックボードは「GeForce RTX 4060」や「4070」クラスを配備しています。CGツールだけでなく、ポスプロ的な作業時にはAfter Effects(映像加工・コンポジットソフト)なども一括で立ち上げるため、メモリの使用量が激しいんです。そのため、メモリを多めに積んだ強めのPCを使わせてもらっています。ソフトは現状『3ds Max』や『Maya』も使いますが、今後は『Blender』も主力にしていきたいと考えています。
鳥居: 新しい会社ということもあり、古いPCを使わされるといったことがなく、性能の揃った機材が用意されているので不満はありません。
田中: キーボードやペンタブレットなどは会社から支給されますが、クリエイターはこだわりが強いので、自分が満足いく機材を持ち込む人も多いですね。私はBlender使いなので、右側にテンキーがあるのが嫌で、テンキーレスのキーボードを自前で買い、左側に別のテンキーを置いています。
制作ツール以外ではデスク周りも自由ですね。フィギュアを置いたり、アニメを流すためのタブレットを置いたり、各自が好きなものを配置しています。一般的なアニメ会社のイメージよりも、綺麗で整ったオフィスだと思いますよ。
鳥居:機材もそうですけど、オフィスの設備も含めて環境が整っていますし、その環境に沿ったような仕事ができればなという、向上心が湧いてくるところはありますね。
田中:CGチームが作業拠点としている オフィスが新宿にあるので、ランチの選択肢が豊富なのも良いですね。すぐ近くにコメダ珈琲があったり、食べすぎないように気をつけないといけませんが(笑)。
大島:あとHIKEならではの制度として「私物購入補助制度」がありますよね。
田中:HIKEはゲームとの関わりも深い会社なので、ゲームソフトやイベントのチケットなど、エンタメ関連の購入費用を会社が半額負担してくれるというものです。インプットのための補助が出るのはありがたいですね。