はじめに
株式会社HAMONでインターンをしている伊東です。
2期目を終えた株式会社HAMON。
事業としては一定の手応えがありながら、代表の小笠原は「このままでいいのか」という違和感を抱えていました。
今回は、今のHAMONについて、代表の小笠原にじっくり話を聞きました。
なぜ今、事業部を再定義したのか。
なぜ山梨に支店を出すのか。
そして、HAMONはこれからどんな会社になろうとしているのか。
事業部再編の背景、来年予定している山梨支店のこと。
人と組織、そして会社のあり方を見直すための判断について、代表自身の言葉で、時間をかけて語ってもらいました。
「順調に見える会社の内側で、何を考えていたのか」
「どんな違和感を抱え、どんな判断をしてきたのか」
そういった部分を中心に聞いています。
少し長めのインタビューですが、HAMONという会社の輪郭を知ってもらえる内容になっていると思います。
2期目が終わり、今あらためて思うこと
伊東:
まず、2期目が終わりましたね。
今の率直な気持ちを教えてください。
小笠原:
会社としては「ある程度うまく回っている」状態です。
売上は立っているし、案件も継続して動いている。
ありがたいことに、仕事が急に止まるような不安もありません。
社員に案件を任せられることも多くなって来ました。
ただ、やはり最後は自分が前に出れば、プロジェクトは進む。
営業も、設計も、意思決定も、最後は自分がやれば止まらない。
これは、創業期の会社としては、すごく分かりやすい状態だと思っています。
伊東:
外から見ると、かなり順調にも見えると思います。
その中で、代表が3期目において考えていること。思っていることは何でしょうか?
小笠原:
そうだと思います。
実際、クライアントから評価していただける機会も増えましたし、信頼して長く任せてもらえる仕事も増えてきました。
ただ、その一方で、ずっと自分の中に引っかかっている感覚がありました。
それが「この状態は、本当に健全な組織なのか」という問いです。
創業してからここまで、HAMONはスピードを最優先してきました。
- まずやる。
- 考えながら走る。
- うまくいかなければ、その場で直す。
このやり方があったからこそ、ここまで来れたのも間違いありません。
でも同時に、自分が前に出続けないと成立しない構造が、当たり前になっています。
伊東:
それは、最初から意図していた形ではないですよね。
小笠原:
むしろ「その方が早い」「その方が確実」という判断を積み重ねてきた結果だと思います。任せきれなかったこともあれば、急ぐあまり、抱え込んでしまったこともある。
それを「責任感」や「優しさ」だと思っていた時期もありました。
でも、今振り返ると、足りていなかったのは、次の三つの覚悟だったと思っています。
- 人に任せる覚悟
- 失敗を許容する覚悟
- 組織として成長する覚悟
会社は、誰か一人が無理をすることで成り立ち続けるものではありません。
3期目が終わり、ようやく「次のフェーズに進む準備が整った」と感じています。
それは、売上を伸ばすとか、規模を大きくするとか、そういう話だけではありません。
人と組織のあり方を、本気で見直すフェーズに入る、という意味です
創業からここまで。HAMONが通ってきた道
伊東:
そもそも、HAMONはどんな考えでスタートした会社なんでしょうか。
小笠原:
HAMONという名前は、「波紋」から取っています。
誰かの小さな行動や選択が、静かな水面に落ちた一滴のように、少しずつ周囲に広がっていく。その広がり方って、派手ではないけれど、確実で、止まらない。自分は、そういう変化の起点になれる会社をつくりたいと思っていました。
直接すべてを変える会社ではなくて、「きっかけ」をつくる会社でありたい。
それが、HAMONという名前に込めた意味です。
一言で言うなら、HAMONは「価値が届く構造をつくる会社」だと思っています。
良いものがあっても、伝わらなければ選ばれないし、選ばれなければ続かない。
商品でも、地域でも、人でも、その価値がちゃんと届くところまで設計する。それが、創業当初から今まで、一貫してやってきたことだと思っています。
伊東:
その考え方があったからこそ、創業当初はECを軸に事業を始めたんですよね。
小笠原:
そうですね、HAMONは、創業当初からECを軸に事業をつくってきました。流行っていたからでも、市場が伸びていたからでもありません。自分自身のキャリアが、ずっとECの現場にあったことが大きいです。
ECは、すべてが数字と行動で突きつけられる世界です。
- 売れるかどうか
- 続くかどうか
- ブランドとして残るかどうか
誤魔化しがきかない。
言い訳ができない。
だからこそ、事業の本質と向き合わざるを得ない。まずは、そこから逃げない会社をつくりたいと思いました。
その中で、
①EC事業部 ②自治体事業部 ③クリエイティブ事業部
この三つを立ち上げ、約2年弱走り続けてきました。
何でも屋をやりたかったわけではありません。
- 売る力。
- 伝える力。
- 文脈をつくる力。
この三つが揃って初めて、本質的な価値提供ができると考えていました。
それでも、なぜ違和感が生まれたのか
伊東:
その体制で進む中で、どんな違和感が出てきたのでしょうか。
小笠原:
やっていること自体は、間違っていなかったと思います。ただ、続ける中で言葉と実態のズレが、少しずつ大きくなっていきました。
- 外から見ると分かりづらい。
- HAMONは何の会社なのか。
中にいる自分たちですら、事業部という言葉に引っ張られて、思考が分断されてしまう場面がありました。
だから「事業部の呼び名」を変えることにした
伊東:
そこで、事業部を再定義する判断に至ったんですね。
小笠原:
はい。
やり方を変えたかったわけではありません。
やってきた実態に、言葉を合わせ直したかった。
2年間、現場でやり続けてきたからこそ、ようやく整理できる段階に来たと思っています。これは、過去の否定ではなく、未来に進むための整理です。
今回、HAMONは事業部をこう再定義しました
伊東:
改めて、全体像を教えてください。
小笠原:
HAMONは、事業部を次の三つに再定義しました。
- プロダクトマーケティング事業部
- 地域コミュニケーション事業部
- グローバル・カルチャー事業部
短期で成果を出す領域。
中長期で関係性を育てる領域。
未来に向けて価値を仕込む領域。
役割という軸で整理し直しています。
プロダクトマーケティング事業部が担う役割
伊東:
プロダクトマーケティング事業部について教えてください。
小笠原:
これまでのEC事業部は、すでにEC運用の枠を超えていました。
単にモールを回すとか、広告を運用するといった話ではなくて、事業として「なぜ売れないのか」「どうすれば続くのか」を、構造から一緒に考える仕事になっていたと思っています。
数字も見るし、クリエイティブも見るし、オペレーションにも入る。
売上が伸びない理由を、広告が弱い、商品が悪い、価格が高い、そういった一つの要因だけで片付けない。複数の要素がどう絡み合っているかを見ながら、全体を設計し直す役割です。
HAMONにとってこの事業部は、「売上をつくる責任」を明確に持つ部門です。
同時に、短期で結果を出すだけでなく、その事業が半年後、1年後もちゃんと続いているかまでを含めて考える。短期で成果を出す責任と、事業を続ける責任を同時に背負う部門だと思っています。
地域コミュニケーション事業部という選択
伊東:
地域コミュニケーション事業部についてはどうでしょうか。
小笠原:
自治体事業部も、もう単なる業務支援ではなくなってきました。
言われたことを形にする、発注されたものを納品する、そういう関係性だけでは、地域の価値はなかなか外に届かないと感じています。
地域の魅力をどう見つけるか。
それをどう言葉にするか。
そして、それがどう人の行動につながっていくのか。
そこまで一緒に考えないと、意味のある仕事にはならない。
HAMONにとって地域は、支援先ではありません。
一緒に考え、一緒に悩み、一緒につくっていく共創のパートナーです。
短期的な成果を追うというよりも、時間をかけて信頼関係を積み上げ、地域と事業の基盤を一緒につくっていく部門だと思っています。
グローバル・カルチャー事業部は未来の話
伊東:
グローバル・カルチャー事業部についても教えてください。
小笠原:
ここはHAMONの未来事業です。
グローバル・カルチャー事業部は、日本の文化や価値、地方に根づいた文化や価値を、
どう翻訳して、どういう文脈で、どう届けるのか。そこを考える役割だと思っています。
すぐに売上が立つような仕事ではありませんし、短期で分かりやすい成果が出るものでもありません。ただ、中長期で見たときに、HAMONという会社の価値やスタンスを形づくっていく、とても重要な領域だと考えています。
単発の施策ではなく、世界観やストーリーをどう設計するか。
日本の価値が、国内だけでなく、世界にもちゃんと届く形をどうつくるか。
そういったことを、腰を据えて考えていく部門です。
事業部再編はゴールではなく、スタートライン
伊東:
今回の再編は、HAMONにとってどんな意味がありますか。
小笠原:
ゴールではなく、スタートラインです。自分が前に出続ける会社ではなく、組織として価値を出し続ける会社になるための準備です。
来年、HAMONは山梨に支店を出します
伊東:
ここで少し話題を変えて、来年予定している山梨支店について教えてください。
正直、なぜ山梨なのか気になっている人も多いと思います。
小笠原:
結論から言うと、これは単なる拠点拡大ではありません。
効率だけを考えれば、東京を拠点にしたまま、必要な時だけ地方に行く、という選択肢もあります。実際、これまではそうやって仕事をしてきました。
でも、それではどうしても
「支援する側」と「される側」
「外から来る人」と「地元の人」
という関係性から抜け出せない感覚があったんです。
伊東:
一緒に仕事はしているけれど、距離はある、という感じでしょうか。
小笠原:
まさにそうです。
自治体支援や地域の仕事を続ける中で、現場に入らないと見えないこと、住んでみないと分からないことが本当に多いと感じるようになりました。
だから今回は、「たまに行く場所」ではなく、「ちゃんと拠点を持つ場所」として山梨を選びました。
なぜ、西桂町なのか
伊東:
山梨の中でも、西桂町を選んだ理由は何だったのでしょうか。
小笠原:
西桂町は、正直に言うと、最初から完成された場所ではないと思います。
人口も多くないし、派手な観光資源があるわけでもない。
でもその分、「これからどうしていくか」を、一緒に考えられる余白がある場所だと思っています。
ふるさと納税の支援や、地域の事業者の方々とのやり取りを通して、西桂町には、まだ言語化されていない価値がたくさんあると感じました。
それは特別な何か、というよりも、暮らしの延長線にある価値だったり、地元の人にとっては当たり前すぎて、外に出ていない魅力だったりします。
伊東:
外から来たからこそ見える部分もありそうですね。
小笠原:
そうですね。
だからこそ、外から来て、すぐに答えを出すのではなく、ちゃんと時間をかけて関係性をつくりながら、一緒に考えていくことが大事だと思っています。
西桂町は、HAMONが「地域とどう向き合う会社でありたいか」を、創っていける場所です。
山梨支店は「地域コミュニケーション事業部の共創拠点」
伊東:
今回の山梨支店は、事業部再編ともつながっているんですよね。
小笠原:
はい。かなり強くつながっています。
先ほどお話しした、
- プロダクトマーケティング事業部
- 地域コミュニケーション事業部
- グローバル・カルチャー事業部
この中で、地域コミュニケーション事業部が担う役割を、言葉だけではなく、実体としてつくっていく場所が、この山梨支店だと考えています。
これまでは、東京を拠点にしながら、自治体や地域と関わってきました。
それ自体は間違っていませんが、どうしても「プロジェクト単位」の関係性になりやすい。
伊東:
支援が終わると、関係も一区切り、という形ですね。
小笠原:
そうなんです。
でも本来、地域の価値づくりは、短期で完結するものではありません。
時間をかけて、信頼関係を積み重ねながら、少しずつ形になっていくものだと思っています。
山梨支店では、シティプロモーション、ふるさと納税、観光、移住、地域ブランディングといった取り組みを、机上の設計ではなく、現場から考えていきます。
ここで「事業部の型」をつくっていく
伊東:
上で話していた「事業部の型」を、ここで創っていく、ということですか。
小笠原:
まさにその通りです。
これまでHAMONは、個々のプロジェクトでは価値を出せていましたが、それを組織として再現できる形には、まだ落としきれていませんでした。
山梨支店では、地域コミュニケーション事業部として、
- どんな役割を担うのか
- どこまでをHAMONが引き受けるのか
- 誰が、どの判断をするのか
こういったことを、現場の中で整理し、型として残していきたいと思っています。
伊東:
単なる地方拠点ではなく、組織づくりの拠点でもあるんですね。
小笠原:
山梨支店は、3期目のHAMONを象徴する場所になると思っています。
ここでつくった型は、将来的に他の地域にも展開できるはずですし、HAMONが地域と向き合う会社として、どう在るべきかを示す基準にもなる。
正直に言うと、こちらが「支店を出したい」「一緒にやりたい」と言ったときに、快く受け入れてくださった西桂町の皆さんには、感謝しかありません。
まだ何かが完成しているわけでもないし、これから試行錯誤することの方が多いと思っています。それでも、「じゃあ一緒にやってみましょう」と言ってもらえたことが、すごく嬉しかったし、心強かった。
ここから先は、短期的な成果だけを見る関係ではなくて、時間をかけて、同じ方向を向いて、一緒に悩みながら前に進んでいけたらと思っています。西桂町の皆さんと、これからもずっと、一緒に頑張っていけたら嬉しいです。
HAMONって どういう会社?
伊東:
ここまで事業部や組織の話を聞いてきましたが、改めて聞きたいです。
HAMONは、どんな会社で、何をしたいと思っている会社なのでしょうか。
小笠原:
HAMONは、「小さなきっかけを、大きな波紋に変える」ことを大切にしている会社です。これまでも、価値が届く構造をつくることをやってきましたが、これからはそれを、より意識的に、組織としてやっていきたいと思っています。
誰かの想いや、まだ世の中に届いていない価値を、一時的な施策で終わらせるのではなく、ちゃんと届き、選ばれ、続いていく形に設計し直す。
それが、これからのHAMONの役割です。
商品でも、地域でも、人でも、良いものがあっても、伝わらなければ選ばれないし、
選ばれなければ続いていかない。
だからHAMONは、表現だけをつくる会社でも、
施策だけを回す会社でもありません。
どうすれば価値が正しく伝わり、
どうすれば行動につながり、
どうすれば事業として続いていくのか。
そこまで含めて、一緒に考える会社でありたいと思っています。
何を目指しているのか
伊東:
その上で、これからHAMONが目指している姿を教えてください。
小笠原:
事業や地域の成長にとって、
一番信頼される伴走パートナーでありたいと思っています。
短期的な成果を出すだけではなく、
時間が経っても「一緒にやってよかった」と思ってもらえる存在。
売上をつくる場面でも、
地域と向き合う場面でも、
文化や価値を未来に残す場面でも、
HAMONが関わることで、
小さな一歩が、ちゃんと次につながる。
そんな波紋を、いくつも生み出していける会社でありたいです。
ここから、人を増やしていきます。
伊東:
山梨支店の話を聞いていると、
これからのHAMONは、今まで以上に組織としての動きが求められそうですね。
小笠原:
まさにその通りだと思っています。
西桂町に拠点を出すという判断もそうですが、
これからのHAMONは、「代表が頑張れば何とかなる」フェーズではありません。
地域と向き合い、事業部の型をつくり、それを組織として積み上げていく。
そのためには、ちゃんと役割を持った人が必要だと、はっきり感じています。
正社員を2名、迎えることにしました
伊東:
そこで今回、正社員を増やす判断をされたんですね。
小笠原:
はい。
3期目に向けて、正社員を新たに2名迎えることを決めました。
なので、これで自分含めて5人の組織になりますね。
まだ分からないですけど、もう一名増えるかもしれませんw
正直に言うと、「今すぐ人がいないと会社が回らない」という状態ではありません。
自分が前に出れば、まだしばらくは何とかなると思います。
でも、それを続けることが正解だとは思っていません。
これからやりたいのは、個人の頑張りに依存しない会社をつくることです。
西桂町をはじめとした地域と、長く向き合い続けるためには、属人性ではなく、チームとして価値を出せる状態が必要になる。
そのために、腰を据えて一緒に考え、一緒に悩み、一緒に形をつくっていける仲間が必要だと考えました。
伊東:
どんな人に来てほしいと考えていますか。
小笠原:
完成されたスキルを持っている人、というよりは、
「まだ整っていない状況を、一緒に整えていける人」です。
正解が用意されている環境よりも、自分で考えて、試して、失敗して、少しずつ形にしていくことを面白がれる人。
西桂町での取り組みも、事業部の型づくりも、最初から答えがあるわけではありません。だからこそ、そういう不確実さを前向きに受け取れる人と、一緒に進みたいと思っています。
最後に
伊東:
最後に、この記事を読んでいる方へメッセージをお願いします。
小笠原:
HAMONは、まだ未完成な会社です。
仕組みも、組織も、正直に言うと、整っていない部分の方が多いと思います。
決して、楽な環境ではありません。
でも、だからこそ面白いとも思っています。
誰かがつくった完成形に乗るのではなく、これからどういう会社にしていくかを、自分たちで考え、自分たちで決めていける。
事業部のあり方も、地域との向き合い方も、組織の形も、まだ途中です。
その「途中」に、当事者として関われること。
それは、今のフェーズだからこそ得られる経験だと思っています。
完璧な会社を探している人よりも、未完成な状態を前向きに楽しめる人。
答えがない状況の中でも、考えることをやめない人。
そういう人と、これからのHAMONを一緒につくっていけたら嬉しいです。
最後に
伊東:
ありがとうございました。
2期目の終わりという節目で、今のHAMONが何を考え、どこに向かおうとしているのか、とてもよく分かる時間でした。
少し真面目な話も多くなりましたが、この記事を通して、HAMONという会社の空気感や考え方が、少しでも伝わっていたら嬉しいです。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。