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みんなの本棚<7棚目/選者 諸戸里帆さん>

リレー形式で様々なメンバーから、おすすめ本を3冊選書してもらうシリーズ企画「みんなの本棚」。7人目の選者は、太田優輝さんからバトンを渡されたUNIT2 デザイナー 諸戸 里帆(もろと りほ)さんです!
ぜひ、みなさんのインプットにお役立てください。

UNIT2 デザイナー 諸戸 里帆(もろと りほ)さん

▼プロフィール紹介
2020年に新卒入社。U2のデザイナーとして主にto C企業を中心にPOP-UPやイベントのデザインを担当しています。美術館巡りと読書が好きです。たまにピアノ弾いてます。

太田くんから「文体練習友達」(?)と認定されましてバトンが回ってきました。レーモン・クノー良いですよね。ジャンルをひとつに括ることはできないのですが、今まで読んできた本の中で印象に残っている3冊をご紹介させていただきます。

目次

  1. 1.狂気の卒制。素材から作ることに向き合う。
  2. 2.世界の日常と社会を動かす思いがけないデザインの話。
  3. 3.「時間」がテーマ。世界中で愛される不朽の名作。
  4. 4.次の選者について。

1.狂気の卒制。素材から作ることに向き合う。

「ゼロからトースターを作ってみた」(トーマス・トウェイツ【著】)

トーマス・トウェイツ、村井理子/訳 『ゼロからトースターを作ってみた結果』 | 新潮社トースターをまったくのゼロから、つまり原材料から作ることは可能なのか? ふと思い立った著者が鉱山で手に入れた鉄鉱石と銅からwww.shinchosha.co.jp

原著はこちら

ゼロからと言いつつ、さすがに材料はホームセンターで揃えるのかと思いきや、鉱山へ行って素材を採り、鉄から作る本格派。その過程で作者が七転八倒する様子が面白おかしく記録された一冊です。ぶっ飛び具合はもちろんなのですが、この一連のプロジェクトを卒業制作でやり切る執念にも驚きました。
こんなに身近にあって毎日使っているトースターでも、知らないことや先人の知恵がめいっぱい詰まっていることに驚きや愛しさを覚えると同時に、その知恵や労力の恩恵を破格の値段で手にしていることにも気付かされます。つくることに関わる全ての人におすすめしたい本です。

2.世界の日常と社会を動かす思いがけないデザインの話。

「名前のないデザイン」(Works That Works編集部 【著】)

名前のないデザイン 世界の日常と社会を動かす思いがけないデザインの話現場から生まれたクリエイティビティをテーマに世界各地の事例を伝えるデザインジャーナル『Works That Work』のhonto.jp

特に興味深く読んだ部分はトーレ・デ・ダビ(*1)やカジュアル・カープール(*2)など、最適化されていって風景として立ち現れているデザイン、システムについてです。誰かに指示されたわけでも、プランナーやデザイナーが居たわけでもない、必要から編み出されたものが、自分たちで決めたルールの中で問題なく運用できている上に理にかなっていることがとてもおもしろいと感じました。
デザインはデザイナーだけが特権的に手にしている手法ではなく、可変性があり、デザイナーではない人々が介在することにより、より最適化されていく、目に見えないクリエイティブの事例を知ることができた書籍でした。

デザイナーがいなくてもデザインは生まれる。そんな中でデザイナーとしてデザインをすることとは、またその役割とはについて考えさせられるきっかけにもなった一冊です。

*1)トーレ・デ・ダビ/開発途中で放棄されたベネズエラの超高層ビル。経済的に困窮している住民たちが住みつき、「世界で最も高いスラム街」として広く知られるようになった。
*2)カジュアル・カープール/運転手と乗客の間で事前の調整をせずに乗り物を共有する相乗りのこと。アメリカで特に混雑する道路であるサンフランシスコ=オークランド・ベイブリッジでは乗車率の高い車は優先的に通行できるため、カジュアル・カープールの利用は混雑緩和につながっている。

3.「時間」がテーマ。世界中で愛される不朽の名作。

「モモ」(ミヒャエル・エンデ 【著】)

モモ - 岩波書店時間どろぼうと,ぬすまれた時間を人間にとりかえしてくれた女の子モモのふしぎな物語.時間の真の意味を問う,エンデの名作.www.iwanami.co.jp

名著なので、読んだことのある方も多いかもしれません。
小学生の時に初めて読み、人の話をうまく聞くことってどういうことなんだろう?と考えるきっかけにもなった本です。(モモは人の話を聞く名人なのです。)時間を切り詰め、効率化しようとすることで、本当は全く別の何かが切り詰められていき、自分たちの生活が日ごとに画一的に、冷たくなっていくことが一つの寓意として描かれています。
子どもに対してこの寓意を理解してくれるだろうという信頼を持って書かれているところもこの本が好きな理由のひとつです。
効率だけではない豊かさを思い出させてくれる、この先も定期的に読み返したい一冊です。

4.次の選者について。

次のバトンは、コンテンツデザイン局の渡邉 実莉(わたなべ みのり)さんに渡します!
DI(デジタルインテグレーション)チームで渡邉さんが“輪読会”を開いているという情報を得まして、ぜひ聞いてみたく!
よろしくお願いします!

>>それでは、次回もお楽しみに!

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