【Meetupレポ】Nature Bath vol.10【一夜限りの特別企画!】DeNA南場智子師範がみんなの質問に一問一答!ベンチャー道のススメ
What's Nature Bath ?
「Nature Bath」とは、毎回様々なゲストをお呼びして各回のトピックについて語り合うMeetupです。カジュアルな雰囲気でインタラクティブに参加者のみなさまと親交を深められるような会にしたいと思っています。森林浴(Forest Bath)からとった「Nature Bath」はMeetupを通して、Natureについても少しでも理解を深めてもらえればという思いで命名しました。
2020年最終回となるNature Bath 第10回目は、ゲストに株式会社ディー・エヌ・エー 代表取締役会長 南場智子さんをお迎えし、「ベンチャー道のススメ」をテーマに、ズバり!南場さんに聞いてみたいことを伺わせて頂きました。
1.「南場智子」
株式会社ディー・エヌ・エー 代表取締役会長 南場 智子
1986年、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。1990年、ハーバード・ビジネス・スクールにてMBAを取得し、1996年、マッキンゼーでパートナー(役員)に就任。1999年に株式会社ディー・エヌ・エーを設立し、現在は代表取締役会長を務める。2015年より横浜DeNAベイスターズオーナー。著書に「不格好経営」。
-南場さんの変化の源泉に迫る-
塩出:今回のMeetupに向けて、南場さんについて本やWeb上の記事などを拝読させて頂きました。その中で気がついたのは、南場さんご自身の考えや意識していることが変化していることでした。いつまでも変化し続けられるのはすごい!南場さんの変化の源泉を教えてください。
南場さん:色々な経験をするからですね。大学生くらいに自分の考えが定まる人が多いと思いますが、私の場合は遅かったので経験によって考えが広がったと思います。見る世界が広がると自分の間違いに気がつくことも多いですね。
塩出:その変化がずっと続いていることがすごいなと思います。意識していることや大切にしているマインドなどありますか?
南場さん:私自身絶対に自分が正しいという考えが強くないかもしれないです。よくロールモデルについて聞かれますが、私の場合は会う人みんなのすごいところが目について、それを吸収する。塩出くんもすごいですよ。2015年に急にメールもらい、普通会わないのに会ってしまったんですよね。それから学ぶことの連続ですね、やっぱりそっちの方が面白い。
塩出:最初はすごい怒られてましたけどね(笑)。
南場さん:当時の塩出くんは今みたいに爽やかじゃなくて、色々プレゼンしてくれたけど髪型が気になって全然頭に入ってこなかった(笑)。最後に「とにかく髪型を直してきてくれ、そうでないと会いません。」と。今思うとひどいことを言ったね。でも塩出くんは髪型を直してまた訪れてくれました。それが応援するようになったきっかけです。
-「夢中になる」「役に立つ」ことが幸せ-
塩出:そんな南場さんの信念はなんでしょうか。
南場さん:私にとっての幸せは「夢中になること」と「誰かの役に立つこと」です。役に立つ対象は社会全体でも誰か1人でもよくて、誰かの役に立てていると実感できたときが、頑張れるし幸せです。信念として決めていることは、「苦境に陥った時に陰でなく陽で乗り切ること」などたくさんあります。あと、挑戦する後輩を応援したいですね。
塩出:たくさんあるなかで一つ信念を選ぶとしたら何になりますか?
南場さん:正直でいることですね。マッキンゼーの時は大きく見せないといけなくて、知らないことも知ったかぶりして後で必死に調べるなんてこともありましたので、前から正直だった訳ではないです。DeNA立ち上げて事業をするようになってから変わったように思います。
-その選択を最高のものにする努力を-
塩出:南場さんは迷ったときはどうしますか?
南場さん:迷ったときはエイヤーで決めるようにしています。実は私はクヨクヨ悩むので、決めた後も違う方がよかったかな...と迷います。人の意見に左右されていることも多かったですね。なので今大切にしているのは、自分の腹にどうしたいのかを聞くことです。あとは、選んだ選択肢を正しくすることに気持ちを切り替えることを意識しています。
塩出:その場で決めることが大事だともメディアで仰っていましたね。
南場さん:そうなんです。継続協議は、実は楽な逃げ場なんですね。コンサルティングをしていた時も、「もうちょっと調べてから」と言って決めるのを遅らせる場面をたくさん見てきました。それは本当に決定的な情報が欠落しているのではなくて、決めることが怖いだけな場合が多いように思います。そうやって決断を遅らせるとどんどんビジネスチャンスが逃げていってしまいます。早い決断はそれだけですごいバリューがあるんです。しかも、その選択を最高のものだったと言えるようにする努力を早くから始められるわけじゃない?だから、その場で決めるのはすごく大事だと思います。
-もし今、何もない中で起業をするなら、何をするか、誰とするか?-
南場さん:元DeNA取締役CTOの川崎修平さんとやってて楽しいことをしたいです。川崎さんはDeNAで長いことCTOをやっていた人で、腕がすごく良くて、UXに対するセンシティビティの高い天才エンジニアなのですが、そのポイントよりも、彼の性格が好きです。優しくて、正直で、真面目で、それでユーモアのセンスがあるんです。でも彼は絶対私とは起業しないと思います。なぜなら、彼が苦手なものは、MBA、バリキャリウーマン、コンサルティング会社、あとエスタブリッシュメント。だから私が伏してお願いしてもダメだね、きっとね(笑)。
-南場さんから見たSDGs-
塩出:南場さんについて調べる中で知ってしまったのですが、今話題のバイデン米次期大統領に7年も前にお会いされていたのですね。そんな南場さんにお伺いしたいのですが、スタートアップ企業でもSDGsへの取り組みは重要になると思いますでしょうか?
南場さん:そうですね、重要になると思いますが、SDGsは制約や負担でなく、ビジネスチャンスとして捉えるべきだと考えています。塩出くんがやっていることもそうですが、世の中のトレンドや、どこからが本当のビジネスチャンスなのか、人々の心がどこまで変化しているかを正確に捉えるセンシティビティを持ってる必要があると思いますね。
2.「人材」
-南場さんが採用/投資をしたいと思う人材とは-
塩出:次のテーマは「人材」です。南場さんは「リーダーに求められるのは、胆力ではないか」「優秀な人の共通点は素直だけど頑固、容易に成果に満足しない」「重要なのはスキルや個性や人柄の多様性」と言ったことを仰っていました。南場さんといえば人材や教育という側面もあると感じます。そこでぜひお伺いしたいのですが、南場さんが採用や投資をする際に人材のどのようなところを見ていらっしゃいますでしょうか?
南場さん:採用については、情報や新しいことに対して素直な吸収力があるか、根本の芯がしっかりしているか、苦境にいてもそれを面白がれるような人か、といったところでしょうか。姑息な嘘をつく人やこすい人は避けますね。新卒採用は私も最前線でやっていますが、若いとIPS細胞みたいに何かが出来上がっている訳ではないので、今何ができるのかは実はあまり見ていません。
投資をする時は、プロダクトで判断するなど色々な流派があると思いますが、私は人を見ますね。出来上がっている会社ではなくてスタートアップに投資をしているので、インパクトのある落とし穴にどんどん落ちていくと思うんですよね。それで落ちた時に、ただ這い上がるのではなくて、何かを拾ってくる人がいいですね。諦めないし、馬力があって、それでいてよく考えているので、拾い物をする人。そういう人って、普通に経験しているだけでどんどんすごい人に成長するような人ですね。
-どうやって判断するのか-
塩出:それをどうやって見極めていますか?
南場さん:採用の時は、さっき言ったポイントを確認する仕掛けを用意してますね。投資の場合は、できるだけ起業家と気軽に一対一で本音で話せるような機会を作るようにしています。本音の話をしてなるべくその人の人柄を知るようにしています。塩出くんは、採用するとき何を見てるの?
塩出:僕は、「好奇心」と「粘り強さ」を見ます。ベンチャーだと色々な新しいことが起きるので、好奇心を持って勉強しないと力を発揮できないんですよね。それに加えて、頻繁に問題が起こるので粘り強くないと成果を出せないので、そこを見るようにしています。最近「採用基準」というマッキンゼーの採用マネージャーだった方の本を読んだときに、リーダーシップポテンシャルについても大切だなと思いました。採用候補者が周りに対してどのような影響を与えられるかも考えるようにしています。
3.「挑戦」
-失敗するかもしれない新しくて未解なところ-
塩出:南場さんにとって挑戦とは何ですか?
南場さん:私にとっての挑戦とは「失敗するかもしれないこと」です。新しくてまだ確立されていないことをすることではないでしょうか。私は、夢中になっていると一歩踏み出してしまうけど、迷った時に踏み出すコツは、命取られるわけじゃないって思うことが大事。
-日本から世界へプレゼンスのある企業を生み出すには-
南場さん:世界で勝てるような企業はスタートアップから生まれると思います。今でも世界でプレゼンスのあるような会社はあるけど、ただ、圧倒的に量が足りない。まずはとにかく起業の数を増やすことがまず重要だと思いますね。加えて広い視野を持って、日本の1億ではなく世界の70億の市場を感じること、世界を見ることが大切です。世界をまたにかけて試合をする、あるいは世界のいろんな能力を恐れず使える人が強いですね。塩出くんみたいに、パッと中国へ行って中国のEMSに自分の製品を作ってもらうことは、世界へ出ることが億劫な人はできないです。そういった広い視野をもった人が重要ですが、そうでないのは日本の教育の問題もりますね。教育も変えなければいけないし、かつ起業家も増やさなければいけない。
塩出:弊社もハンガリー人の機械学習エンジニアやイギリス人のデザイナーがジョインしてくれて、すごく活躍していて、多様性や視野の広さは大切だと思います。
-スポーツと同じようにビジネスも日本人が勝ちやすい領域があるのか-
塩出:世界で勝つということに関連して伺いたいのですが、スポーツの世界ではバスケットボールでは日本はアメリカに勝てないけれど、柔道では日本はいつも上位にいるといった傾向にあると思います。つまり、日本人が勝ちやすい領域や難しい領域があって、それがビジネスの世界においても同様のところがあると思うのですが、どう思いますか?
南場さん:そうね。私はあまり腹落ちしていないけれど世の中の人は金融がジューイッシュには敵わないという定説があるよね。日本人は、ポテンシャルはあるけれど日本の教育の問題でバラバラの背景の人を束ねるのは日本人苦手だと思います。
日本は恵まれていて、基本的に文化的に憧れられる国で、教育を受けた人は日本に関心を持ってくれるような文化のバックグラウンドを持っていますね。なので、世界中から優秀な人材を集められる国だと思っています。
塩出:僕は日本からグローバルで勝つために尖っていくアングルとしてはハードウェアがあるんじゃないかと思っているんです。今のデバイスはライトですがヘビーなハードウェアも含めて今後の成長戦略を考えているところです。
南場さん:ものづくりだっていう人は結構いると思いますね。ただ、GDPの6-7割はサービス業なので、郷愁に浸るというか、日本がものづくりに固執しすぎるのもよくないのではとも思うね。
4.「ベンチャー」
-信念やビジョンがあって変化を起こしたい!という人を応援したい-
南場さん:投資判断のポイントは起業家に惚れ込むかどうかが大きいですね。信念があって、こういう変化を起こしたい!という相撲をとっている人を応援したくなりますね。例えば、金脈があるところに入って、一定のクオリティのものを出して、タイミングを逸することがなければ売り抜けることができるという考え方の手慣れたシリアルアントレプレナーもいます。ファンドのことを考えると必ずイグジットしてくれる重要な存在ではありますが、信念やビジョンがあって、この問題を解決したい!と思っている起業家、そしてそれが本物の人はやはりいいですよね。
-塩出くんの髪型は悪かったけど、応援している理由-
南場さん:塩出くんにはビジョンがあるんですね。私の尊敬する先輩は、人間一番大事なものは何かという話で「瞬間」と言っていました。確かに五感で瞬間が自分に語りかけることとか、感動をもたらすことがあると思います。塩出くんの原点も、ヨットが風で動いた瞬間に素晴らしい何かを感じたんだろうなと思っていて、そこから環境問題・エネルギー問題に発展していて、志は非常に高いところにあるんだけれど、同時に、深く考えて現実的に取れるステップをとっているところがすごいなと思う。
あとプロダクトのデザインにこだわっていることですね。塩出くんの髪型は非常に悪かったけど(笑)。機能だけでなくデザインにもこだわることでブランドになっていくので、そこも素晴らしいと思います。あとよく考えるだけでなくしっかり動くんですよね。これらの理由で私は塩出くんを応援したいと思ってNatureについて行っていますね。
塩出:南場さんにとっての「瞬間」はありますか?
南場さん:私はそんなにロマンチックじゃないんだけど(笑) 。それでも最初にビッターズというプロダクトを世の中に出した瞬間はすごく感動的でしたね。チームの意識の高揚感というか、その時みんなが清々しい幸せを味わったんですよ。それをたくさん味わう人生にしたいと思ったし、だから私組織づくりのことをよく言っているのかもしれないね。
-火事場の連続な起業は本当に楽しい-
塩出:南場さんの今後の成し遂げたいことを教えてください。
南場さん:今後成し遂げたいことの一つは、日本のスタートアップの層を厚くすることに貢献したいです。日本を変える原動力になると思うので、ビジョンのある人を応援したり、DeNAの人たちを起業に駆り立てたいと思います。起業は本当に楽しいです。火事場の連続でそれが楽しくてたまらないので、自信と責任をもてお勧めします!
趣味としては、小説書いてみたいなと思っています。
塩出:不格好経営の第二弾も南場さんの文章のファンとしてぜひ読んでみたいです。
南場さん:ちょっと頑張ってみたいですね。
ペンネームで本出して塩出くんが気づくかどうか試してみたり(笑)。
塩出:それ相当小説読んでいないと気づけないです(笑)。
それではそろそろ時間ですね。南場さん、参加いただいたみなさん、ありがとうございました!
南場さん:こちらこそありがとう!
おわりに
南場さんによるベンチャー道のススメ、いかがでしたでしょうか。火事場の連続なベンチャー企業は本当に楽しいです。弊社では、積極的に採用活動を行っていますので、Natureに興味を持っていただいた方はお気軽にご連絡ください。