美大出身で、PR・マーケティング領域のキャリアを持ち、“人の心を動かすこと”に長年向き合ってきた代表の牛山。訪日・在日外国人をターゲットとした事業に強みを持つENGAWAは、With・Afterコロナの変革が求められる世の中で、どのように世界に心を動かすを仕掛けを作っていくのか、今後の展望を聞いた。
▼ 牛山 隆信
ENGAWA株式会社 代表取締役 兼 AnyMind Japan 取締役
長野県生まれ。武蔵野美術大学デザイン情報学科卒。デジタルサービスの開発支援会社を経て、PR会社サニーサイドアップに入社。大手企業のデジタルマーケティング、PR業務に従事し、2015年にENGAWA株式会社を設立し、代表取締役社長に就任。現在は、AnyMind Japan株式会社の取締役を兼務。
日本の魅力で世界の人の心を動かす
ーー牛山さんが、ENGAWAを創立した背景を教えてください。
社会人になってからデジタル・マーケティング領域に携わってきました。国内の人に対しての広報・広告業務や商品・サービスのブランディングなどを行っていましたが、前職にて外国人の訪日促進を目的としたプロモーションを担当し、言語を日本語から外国語に広げた途端、伝えられる人の数や得られる反応が圧倒的に変わったことに衝撃を受けました。
プロジェクトは、日本在住の外国人編集者がWEBサイトとSNSを通じて季節に合わせて全国各地を取材し魅力を発信するという内容でした。閲覧数が多かったことに加え、日本に対してポジティブな反応が外国の方からたくさん寄せられるなど、世界という広いマーケットに対して日本ならではの価値を伝えることの影響を、ダイナミックに感じることができました。
PR・マーケティングの仕事は、ポジティブな心の動き(感動)を生み出すことが使命だと思っているので、そういった経験から日本×海外のコミュニケーションにおいては大きな感動が生み出せる余地が非常に大きいと感じましたね。
当時は、Tokyo 2020 オリンピック・パラリンピックが決まり、「爆買い」に象徴されるようにインバウンド旅行客が増えている状況でした。
35歳を前にして、自力で最大限に責任とコミットを持ったチャレンジとして、経営に取り組みたいと思った時に、ENGAWAをスタートさせることを決めました。
ーー事業について教えてください。
ENGAWAは、「外国語メディア事業」、「外国人インフルエンサー/SNSマーケティング事業」、「多言語クリエイティブ/プロダクション事業」、「ジャパンブランドの育成/物販事業」など4つの事業を軸としてます。
ENGAWAという会社は、「魅力的な日本のモノ・コトを発信する」という共通の目的があるので、部署の垣根なく仕事することを大切にしていますね。
例えば、日本の隠れた良いものを発掘・認定し、広報・販促支援していく「OMOTENASHI Selection」は、地方や中小企業の魅力的な商品を持つ会社を支援するという位置づけとなっていますし、TokyoWeekenderは1971年から続く歴史のある英語のメディアで、東京に住む外国人の交流のコミュニティの役割や国内外の外国人の方に日本ならではの魅力を発信する役割を担っています。
東京はもちろん、全国の地域のモノ・ヒト・コトにも様々な魅力があって、それをできるだけ多くの海外の人に伝えていくことが会社の大きな軸になっています。
ーーどんなクライアントが多いのでしょうか。
幅広い業種・規模のお客様がいらっしゃいます。
特徴としては、東京にある大手の会社様だけではなく、官公庁や地方自治体、伝統工芸や産品を扱っている地方の中小企業メーカーなど、「日本ならではの魅力」を扱っている幅広い団体・企業の方々にサービスを提供していることですね。
ーーENGAWAは、メンバーもかなりインターナショナルですよね。
TokyoWeekenderの編集部は、ほとんど外国人メンバーです。
僕はもともと、日本人の社員が大半を占める環境で働いていたのですが、TokyoWeekenderがENGAWAにジョインをしたことを機に、海外出身のプロフェッショナルメンバーと働くことの楽しさや会社環境として他にはない価値を感じました。
人にモノを伝えるという仕事をする中で、外国人の方が持っている文化背景、スキルや価値観など日本では出会えない才能を持つ人が多く、言語・文化は違えど同じ目標に向かっていく一体感が、環境として非常に魅力的に感じました。
感動を最大化する【深い経験】への追求が鍵
ーーENGAWAの今後の方向性を教えてください。
世界的に新型コロナウィルスのワクチンも普及しつつあり、年明け以降、徐々に状況が回復することを願っています。
ENGAWAの重要な事業領域のひとつとして、海外の人に日本に旅行に来てもらうインバウンドマーケティングの事業があります。
コロナの影響で消費者のデジタルメディアへの接触が以前よりもさらに増えており、デジタルマーケティング・SNSマーケティングの案件が以前にも増して多い状況です。旅行でもオンライントリップ(Zoomなどの動画サービスを通じて行う旅行の疑似体験)など、以前にはなかった新しい手法が生まれてきています。
今までよりも、消費者は旅行の前に、「人生を豊かにする体験として何が得られるか」といった視点で、その意義について深く考えるようになってきているように感じています。その上で、デジタルに求められる情報は、以前よりも多彩なアプローチが必要になってきています。
変化する世界・消費者に合わせて、ENGAWAならではの新しいマーケティング手法の創出に力を入れていきたいです。
ーーでは、デジタルに注力されるのでしょうか?
いいえ。デジタルが重要だからといってリアルの価値が相対的に下がるわけではないです。
リアルの重要性も、実は一緒に上がっています。
人と会うことが制限された背景から、人が実際に触れ合ったり、集まって何かイベントをすることは、コロナ前よりも付加価値が高い取り組みになってきています。訪れて意義や学びを得られる【深い経験】を求める消費者行動に注目しています。
ENGAWAの強みを活かして、外国からいらっしゃった方と在日外国人の方々との交流の場作りであったり、地域の生産者、サービス業、ブランドの方々との交流など、滞在中に心が動く豊かな体験を提案してきたい思っています。
オンライン・リアルの両方を組み合わせて統合的に戦略を考えていくというのがとても大切だと感じています。
社会課題に挑む【楽しく働くプロフェッショナル】
ーーENGAWAメンバーに共通する部分はありますか?
仕事を選ぶのは、会社の規模だったり、給料だったり、環境として心地よいとか、いろんな軸があると思います。
うちのメンバーは、「社会課題に対する貢献」と「自分の仕事のやりがい」が合致している人が多いですね。「魅力を伝えきれていない対象を社会に発信して支援したい」、「日本と海外のコミュニケーションギャップを解消したい」、「地方創生・地域の中小企業に貢献したい」などの思いがモチベーションになっている人が多いと思います。
それもあって、仕事をするのに誠実で実直な人が多いですね。
ーーENGAWA向きの方とは?
一言でいうと「楽しく働くプロフェッショナル」です。
プロとしての自覚を持ち、甘えず、おごらず、自分の成長にコミットし、困難な場面でも楽しんで働ける人とご一緒したいと思っています。
これは自分のスタンスでもありますが、仕事はお金をもらうことなので、【プロフェッショナル】であってほしいという思いがあります。【プロフェッショナル】は、能力・スキルが秀でていることはとは別に、「自らをプロである」と定義し、自覚をもてる人のことだと思っています。
やったことない事でも、学んで、聞いて、自分のすべてを出しきり、成果をだす。そうやってプロとして設定した理想を追い、足りないスキルを取り入れながら全力投球で進化していくことが一番大切だと思います。
また、【楽しく働く】とつけた部分に関しては、何の業種・職種にせよ仕事はすべて大変なので、チャレンジングな局面、ストレスがかかる状況においても、「まずは、楽しんでやってやるか!」と笑顔で取り組めるポジティブな人が、僕は好きです。
成長したいという思いがある方がENGAWAに向いてますし、挑戦を応援する環境がENGAWAにはあると思います。
ーー牛山さん、ありがとうございました。
▼ 愛猫を抱っこするプライベートの牛山さん
<代表の牛山さんはこんな人!>
▼ 社員より
・とにかく社員思いな人で、あらゆる場面で社員を守ろうとします。また、器用でなんでもできるオールマイティーなタイプです。
・非常にロジカルな論理的な面と、社員思いの温かい面を持ち合わせた代表。社員と仕事に対し、誠実に向き合ってくださいます。