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DECODE TOKYO 201805に代表の林がモデレーターとして登壇しました。

生活のデジタル化、モバイル化が進み、金融サービスも大きな変革の時代を迎えています。オープン化を進める従来型のサービスと、新しいサービスで生活者に利便性と接点を提供しているフィンテックが出てきているなかで、今後金融サービスはどのように変化していくのか。

今回のDECODEは金融サービスのデジタル化をメインテーマに、金融業界のエキスパートにご登壇いただいて基調講演とパネルディスカッションを行いました。

今回は弊社の林がドイツ銀行に入行して以来、金融業界を見てきて、その中で、金融業界がどう変わっていったのかをパネルディスカッション形式で紹介していきます。

Finatext 代表取締役 林 良太

2008年東京大学経済学部卒業、日本人初の現地新卒でドイツ銀行ロンドンに09年入社。
Electronic Trading System部門を経て、Global Equity部門にてロンドン、ヨーロッパ大陸全域にて機関投資家営業に従事。
2013年より国内ヘッジファンド大手のGCIに参画。1年で同社の海外ビジネスを急拡大させた後、2013年12月 Finatext を創業

横浜銀行デジタル戦略プロジェクトチーム 原様

銀行の新しいサービスを作成、価値を提供。また、銀行内部のバックオフィス業務の削減を推進し、効率的な銀行業務の提案を担当。

マネックス証券 システム開発部 企画設計グループ 法貴様

株やFXといった色々なアプリのランチャーとしての機能のアプリの開発を担当。
また、マネックスアドバイザーというロボットでの買い付けサービスのAPI窓口の開発を担当。
マネックスのサイトをスマホ用サイトへの対応を担当。
Os2、オープンAPIとして外部に公開するときの認可の基盤、マネックスとしてオープンAPIを公開していく予定で開発を担当。

セゾン自動車火災保険 綿貫様

4.50代に格安の保険を提供→事故率が低いからこそ、低価格を実現。
昨年7月からアプリを提供(繋がるボタン)、ioTデバイスとアプリを接続していて加速度や位置情報を把握し、ドライビングスコアを算出。
また、事故現場にスムーズにアルソックが駆けつけるサービスを提供。
他社アプリのシェア率や使われ方、状況、自社アプリのシェア率等の把握の為、アップアニーを利用。

以下、敬称省略



林)ファイナンスのアプリのシェア率が向上したものの、現場では、開発したけれど、利用促進の課題感が多いと思うのですが、 アプリの利用促進に対しての対策はありますか?

綿)弊社のアプリは繋がるボタンというものがありDL数は伸びています。最初は使っていただけるものの、日常で使い続けていただいているかが、課題だと認識しています。そのために、データ解析等で対策を練っています。

林)マネックス証券のインターアプリ内での送客等の課題の対策はありますか?

法)証券アプリからそれぞれの項目を押すとそれぞれのアプリが立ち上がります。
このように、アプリ間の連携の促進によって、送客を促しています。

林)横浜銀行で30万ダウンロードいただいている残高照会アプリは、時折は見るものの、アクティブレートを上げる対策はしているんですか?

原)担当初期はアップアニーさんを利用して計測したところ平均一週間一回、起動されていました。アプリは銀行とユーザーの重要なチャネルなので、月に6回ほど、開いていただきたいという思いがあります。

アプリを起動するタイミングはユーザーが残高を確認したい時なので、その機会を作らなければいけません。その対策として、昨年目的預金というものを立ち上げました。これは自分の目的に対して、リアルの口座を作り、目的に対して必要なお金を元の口座から移動させて貯金するシステムです。これをアプリ上で行えるようにし、「楽しい、知りたい」をモットーにこのシステムを開発しました。

林)つまり新しい機能を追加することでアクティブレートを高めたということですね。私、自身もアプリ開発をしていて、どのようにしたらアクティブレートが上がるか聞かれると答えはないと思っていて、データでユーザーの情報を確認しバグを潰し、新しい機能を追加する。これに尽きると感じています。

今日のテーマにもなっている「オープンイノベーション」。直近ではUFJがJDDというIT子会社を作りましたね。金融機関でのオープンイノベーションが増えました。

私自身が思うオープンイノベーションは金融機関とベンチャーや外部が組んでPDCAサイクルを早く回していく事だと思っています。そこに対して今アプリを自社でやられている中で、外部の企業とどのように連携しているのか?また、どのようにしていくべきだと思いますか?


法)フィンテックベンチャーと協業していくのに、基幹システムに対するAPIという形で窓口を開いていかなければならないと感じていますし、そこが必須となってくると思っています。銀行法の改正により、銀行の方が早く協業の形がとられていくけれど、証券としても追いついていかなければならないです。それはベンチャー企業と繋がるだけではなく、自社で新しいサービスを立ち上げる際にそのAPIがあれば、立ち上げのスピード感の向上も測ることができます。

林)銀行はAPIを公開しなければならないと義務付けられ、どのようなビジネスモデルにするか、どう収益化するかまで担保していただけない中、今後、銀行がAPIを公開する中で銀行はどのような世界を作っていかなければならないのか、また、どのようなチャレンジをしなければならないのかと思っていますか?

原)銀行の経営資源にも限りがあり、企画力やエッジの効いたサービスを生み出すパワーはフィンテックやスタートアップの方が強いけれど、我々は金融業のプラットフォーマーとして、APIを公開し、品揃えを良くして、面白いアイディアをもらった時に対応できるようにすることが大切だと思っています。


林)金融業から他の業界に展開していますが、セゾン自動車保険は業法上、保険業しかやってはいけないと思うのですが、保険業での外部企業とのパートナーシップはどう考えていますか?

綿)保険業は業法に固められていますが、昨年、今までお客様に加入していただくにあたって、金券類をお客様にお渡ししていただいたことが全面禁止になりました。その時に我々として何ができるのかと考えた時、デジタルギフトのギフティーと提携し、いち早く対応することに成功しました。

林)伝統的な業界の中で先進的なベンチャーとの提携は嬉しい限りです。
金融機関ではAIの使用促進が促されていて、法律化や新しい機能を作ることに関してのポテンシャルがありますが、AIの取り組みで注目していることはありますか?

原)キャッチーなことでいうと新卒のESの判定です。また、営業担当の応接記録簿をAIに通してスコアリングして管理コストの削減を図るなどのAIを導入しています。このほか、 資産運用の中でウェルスナビと協業し、ロボアドバイザーを導入しています。

林)AIは業務の効率化と攻めの部分があるのですね。セゾンさんでは、効率化の方に注力を置かれていると思いますがどうですか?

綿)弊社は通販型の保険でコールセンターを利用していて、そこでの導入事例があります。例えばチャットボットにAIを取り入れてお客様に提供する、コールセンターお客様対応中に、正解の回答をAIが導き出してくれます。また、天候など様々な状況を分析し入電予想をしてくれるAIの導入をしています。

林)セゾンさんは所謂RPA的な路線でやられていると思いますが、マネックスさんではコインチェックの買収などからも伺え、先進的なAIの導入をされていると追いますが、法貴さんが注目されているものはありますか?

法)弊社でも攻めのAIと業務効率化でのAIが二種あり、実際導入しているものと攻めのトレードカルテというものがあります。将棋AIのHEROZと提携して、FXのトレーダー向けサービスで過去のトレードデータから、トレーダーの取引の傾向を出し、オススメの通貨ペアの提案をするといったものです。

林)皆さん様々な取り組みをされていますね。ここにいる方々はサービスを指揮して実現している方々ですが、大きな会社で外部と組んでテクノロジーを利用する、また、新しいものを利用するというところにおいて、チャレンジされていると思います。新しいものを組織で通すにあたってどのように実現していったか、また難しかった点はありますか?

原)弊行は大きな組織なので部署がたくさんあり、ウェルスナビを導入するにあたってはその点が苦労し、議論になりました。

ダイレクト営業部でウェルスナビを導入すると、個人営業部という対面型投信販売を阻害するという懸念点がありました。

しかし、それはデジタル化から来るフリクションではなく、例えば、従来からあるような融資の稟議であっても、出せると判断する人もいれば、すぐ断る人もいる、また議論を重ねて融資をしてもう人もいるので、このケースにおいても議論に議論を重ねてウェルスナビの導入に至りました。

林)時代的には実際の大きな会社でも新しい取り組みがなされていて、理解されやすい雰囲気になっているように思います。やっているなかで、この挑戦は僕は面白いと思うんですが、苦労することも多いなどセゾンさんは苦労した点はありましたか?

綿)アプリ開発ではスムーズ行きました。また部署間での摩擦の懸念は、様々な部署を囲い込みプロジェクトチームにすることで、物事を進めていたのですぐに進みました。

林)マネックスさんは?

法)弊社の環境は恵まれていて、新しいことにチャレンジしようという意識が社内にあります。また、私自身マネックスアドバイザー用のAPIを担当していて、その時はオープンなAPIではなかったので、オープンな物にしたいと主張しました。

しかし、出来るだけ早くサービスにしたい、という意見があり断られました。こまめに発信したものの目に見えてお金にならないため、中々通りませんでしたね。その後、どうしても実現させたかったため、勉強会など社内啓蒙活動をすることでやっと認められ、オープンAPIにすることに至りました。

林)今後、皆さんが会社で積極的に取り組んでいきたいものは?

原)業務効率化を生業としているのでバックオフィス業務の省力化ですね。銀行が提供しているサービスはコモディティ化してしまうでしょう。そこから残ったサービスの価値が、鍵になってきます。そこに人員を割くべきなので、業務効率化を遂行するべきです。

林)投信や保険などは対面販売がほとんどですが、時代に合わせて人がいるべきところに置くべきだと私自身そう思いました。

法)何か新しいことを始める時にAPIの基盤があれば何でもできるので、APIの構築を進めていきたいですね。

林)今のフィンテックの流れで法貴さんが注目しているところは?

法)スウェーデンの中央銀行がデジタル通貨を発行するということに注目しています。なぜスウェーデンでこのような流れになったかというと、日本だと国土も狭く、現金での貯蓄が沢山ありデジタル決済が進んでいないと思いますが、スウェーデンでは、国土が広く、現金の流通も難しいのでデビットカードを導入しました。しかし、手数料が多いのでデジタル通貨を発行したそうです。そういったところに注目しています。

林)日銀さん含めてブロックチェーンの研究が進められていて、クロスカントリーでの研究が進んでいます。私個人としては、硬貨は必要ないと感じているが日本はまだ硬貨が使われているので、国主導でそこを変えていくべきだと思います。

綿貫さんはどう考えていますか?

綿)直近の課題はお客様の走行データは溜まるものの活用できてない。今後どのように活用していくかを他社と提携して見出していきたいです。また、アメリカのレモネードという会社では査定含めてアプリで完結するという会社が増えているので、査定や加入、更新をアプリで完結させていきたいと思っています。

〜質疑応答〜

事前質問

フィンテックは業務の効率化等、前向きに活用されているが、マイナス面はありますか?

綿)デジタルが進むのは良いことですが、デジタルに走りすぎないことだと思います。対面型の保険のシェア率が9割なので、ネットばかりに注力しすぎるとお客様を置いてきぼりにしてしまう恐れがあります。

林)フィンテック企業が増える中、マネックスは脅威に思いますか?

法)林さんのスマートプラスなどからインスパイアを受けながら一緒に盛り上げていきたいと考えています。フィンテックベンチャーが増えることで投資に対するハードルが下がることがいいことだと思います。

林)銀行という視点から脅威だと思うサービスはありますか?

原)フィンテックは銀行の脅威ではないです。ATMは便利なので、社会基盤としての銀行業は脅かされないと思います。エッジの効いたサービスの提案などは他の形態であるフィンテックの方が、競争優位性があるので、お互いが足りない経営リソースを補っていく関係を構築すべきです。

アプリとリアルの連携は?

綿)用語等がとても難しいので必要な時に必要なサポートをするのでチャット、電話など色々な接点を提供す流ことが大事だと思います。

林) 私自身、対面の大事さを感じています。なので、銀行のリストラや店舗削減には反対ですね。アプリと店舗の関係の展望はどうお考えですか?

原)銀行が100年で培ってきた信頼は資産なので日常に発生するトランザクションは非対面で完結すべきですが、人生において重要な局面では信頼をプラスしないと決断できないので対面で寄り添う機会も大切だと思います。

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