はじめまして、フィードフォース 取締役の喜多と申します。
実は2017年5月末をもって、創業時にリリースしたプロダクトである「RSS Suite」の提供を終了しました。
2006年創業時から2017年の現在まで、何と10年戦士のプロダクトです。
今回終了したプロダクトを振り返ることで、これまでRSS Suite をお使いいただいたお客様に感謝の気持ちをお伝えしたく、筆をとりました。
(TOPの写真は社内表彰でRSS Suiteチームが社長賞をいただいたときのものです)
はじめに、RSS Suiteとは
RSS SuiteはRSS 統合管理ツールです。企業の方に導入いただくことで、エンドユーザーが各社のブログやサイトの更新情報などを簡単にチェック出来るサービスでした。
リリースした2006年当時は、企業サイトの立ち上げがひと段落し情報発信手段としてはメルマガが主流だった時代。
「各社サイトの更新情報をメルマガ以外の方法でいかに早くエンドユーザーに届けて、認知や購買意欲を促進していくか」という点に目をつけて提供した自社プロダクトです。
全ての要望を取り入れたプロダクト ≠ お客様の本質的な課題解決をするプロダクト
今では笑い話に聞こえるかもしれませんが、創業間もないということもあり、当時はリスティングも知らないリテラシーの自分が「紙の提案資料のみでRSSを販売する」という営業手法で提案していました。リリース当初はRSS自体が世の中に認知されていなかったため、「RSSとは何か」「どうしてこの技術が今後サイトに必須なのか」と、RSS自体の啓蒙活動も行い、かなり苦労しながらサービス提案を行っていたことを覚えています。
その後、テレアポやメール営業、セミナー、プレスリリース、メディア取材、書籍出版等を活用して徐々に認知されるようになると、競合も現れ営業合戦も盛んになってきました。競合が次々に現れる状況ではありましたが、いち早くRSSに目をつけていたフィードフォースは業界No.1というポジションを確立し、何とか0-1というフェーズまで到達しました。
しかしそれ以降、なかなか 1-10、1-100 といったフェーズにスケールさせることが出来ません。
当時の自分は「スケール出来ない要因はプロダクトの機能がpoorだから」と錯覚をしており、営業メンバーがお客様からいただいた要望を持ち帰っては、その要望を最優先としてエンジニアが開発を進めるサイクルを繰り返していました。その結果、営業ですら知らない機能があるほど機能リッチなプロダクトになってしまい・・・勿論そんな難しいプロダクトがスケールすることはありませんでした。
プロダクトを開発するうえでお客様の要望をお伺いすることは当然ですが、「全ての要望を取り入れてプロダクト開発をすることと、お客様の本質的な課題解決をするプロダクトにすることは必ずしもイコールではない」という学びは、 RSS Suite を提供してきたからこそ得られたものだと思っています。
そんな学びを得ながら10年間サービスを提供しつづけたものの、やはりプロダクトをスケールさせることは出来ませんでした。
社内で何度も話し合いを重ねた結果「RSS自体は姿を変えて既に根付いている」という結論に至ったため、2017年の5月末をもってRSS Suite の提供を終了しました。
自社プロダクト開発の裏には、その売上を支える事業がある ~RSS Suite が残してくれたもの~
今回「RSS Suite のサービス提供を終了する」という決断をしましたが、10年間サービス提供を続けたことで素晴らしい経験を得ることができました。
今のフィードフォースで知っているメンバーはごく少数ですが、以前、RSS Suite の技術を活かして VerticalRSS というプロダクトを開発していました。これは検索結果に連動したRSSを動的に生成する、主に求人サイトを運営しているお客様からの要望をベースにして出来上がったプロダクトです。
実はこの VerticalRSS が後に ContentsFeeder というプロダクトとして生まれ変わってリリースされ、更に今では飛ぶ鳥を落とす勢いの DF PLUS が生まれました。一見すると全く異なるサービスに見えますが、フィードフォースの主力プロダクトは RSS Suite を基礎にして誕生してきたのです。
また、RSS Suite が売上を支えてくれたお陰でSaaSプロダクトに挑戦し続けられた点も、RSS Suite の大きな功績だと思っています。
最近では「フィードフォースはSaaSプロダクトを提供している」とお伝えしているため、一見すると「提供サービスはSaaSのみ」に見えるかもしれません。しかし振り返ってみると、SaaS以外のプロダクトで売上を立て、立てた売上を投資して、新たなSaaSプロダクトを育ててきた歴史が現在に繋がっています。
ごく当たり前のことかもしれませんが、新しいマーケットの開拓に挑戦し続ける、プロダクトを開発し続けるためには、開発を支えてくれる売上が必要です。
「他の事業による売上があるからこそ、新規プロダクトの開発に挑戦できる」ということ、そして10年にわたって売上を支えてくれたのが RSS Suite であり、RSS Suite を支えてくださったのは他でもないお客様だということ。
そのことを深く心に刻んだ上で、今後もより良いプロダクトを生み出し続けたいと思います。
最後に、RSS Suite をご利用いただいた皆様への御礼
フィードフォースの今があるのは、新しいことに挑戦するメンバーは勿論、既存プロダクトを支えてくれるメンバー、そして何より、フィードフォースを信じて支えてくださったお客様のお陰ということを絶対に忘れません。
また、今後も「顧客視点を大切に、営業から開発まで風通しが良く物作りができる」というフィードフォースの強みを活かし、DF PLUS をはじめとした各プロダクトを更に成長させていきたいと思います。
RSS Suite を今まで支えていただいた関係者の皆様、本当にありがとうございました。
そして、これからもフィードフォースを宜しくお願いします。