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振り返り 第1回 機械学習をビジネスに応用するための要素技術と事例紹介(書き起こし:その2)

振り返り 第1回 機械学習をビジネスに応用するための要素技術と事例紹介(書き起こし:その1)

のつづき

ファーストアカウンティグ(以下FA)では、AIを利用したサービスの具体的な内容に興味のあるエンジニア向けTech Talkイベントを開催しています。2021年4月28日に第1回目のイベントを「機械学習をビジネスに応用するための要素技術と事例紹介」というタイトルで株式会社Ridge-iさんとFAの共催で行い、そこから現在(2022年5月)までに4回を数えています。

ここではパネルディスカッションの内容についてご紹介します。

パネルディスカッション テーマは「AIソリューション導入のリアルって?」

AIのソリューションを開発・提供に関わるエンジニア4人で、お客様へのデリバリー(導入)の実際の現場について4つの話題についてディスカッションしてみました。

第2部 パネルディスカッション「AIソリューション導入のリアルって?」
登壇者:Ridge-i CRO牛久、Ridge-i VPoE西野/、FA COO小嶋、FA CS部長 高塚

その1:顧客の期待値調整はどのようにしてますか?
その2:実装までに超えるべきハードルは?
その3:トレーニングデータの収集やアノテーションはどうする?
その4:アカデミアとビジネスにおける違い

その2:実装までに超えるべきハードルは?

小嶋:いろんなお客様がいて、さまざまな要求にお応えしてソリューションを提供していく中で、いつも同じことをすればOKということではなく、超えるべきハードルが出てくることがあるのではないかと思います。非常に抽象的なテーマで恐縮ですが、このあたりは実際の導入シーンではどんなことがあるでしょうか。高塚さんはデリバリーチームを担当しているので、どのようなことがありますか?

FA高塚:どんなハードルがあるかというのとはちょっと違う話かもしれませんがハードルが出てきたときの超え方として、我々が導入させていただくエンタープライズのお客様は先程の個別プレゼンでご紹介したような課題(紙の書類の扱い、月末月初の大量の処理、煩雑なルールなど)があり、AIに対する期待も非常に高く持っていただいてます。しかし、解決したい課題が今あるソリューションをそのままデフォルトで適用して全部すぐに解決出来るというわけではないので、最初の3ヶ月で取り組むこと、半年後にできること、1年後にできることなど順を追ってしっかりとした説明をさせていただきます。
AIのトレーニングが必要な場合には学習するためのデータをお客様から大量にご提供いただく必要が出てきますし、ある程度運用しないと検証ができて来ないところもありますので、検証結果として改善の効果をお客様と共有しながら進めていき
「これなら行けそうだね。このまま取り組めば成果が出そうだね。」
という感触をもっていただけるように、いっしょに取り組んで、納得感をもって頂きながら進めていくというのが重要だと考えています。
また、導入支援担当のチームだけではなく、AI開発のエンジニアを含め”どうあるべきか”ということを検討しながら、お客様にとってベストなのは何なのかをいっしょになって一丸となって検討して、改善策を見つけていくというのが何かハードルがあったときの超え方になっています。

小嶋:ありがとうございます。FAの場合は、会計分野に特化ということでお客様も我々を専門ベンダーとして見ていただいているので、期待値が高いということは当然あると思いますので最大限に答えられるように取り組んでいきたいですね。

西野:「実装までに」というゴールを考えると、順番として要件定義からスタートして開発してソリューション提供につながるわけですが、個人的な感覚では初期のフェーズである「要件定義」が圧倒的に重要だと考えています。

小嶋:確かにAIを利用したソリューションに限定された話ではありませんが、システム構築をするうえで要件定義の時点でボタンの掛け違いみたいなことが発生すると、あとから修正できないということになってしまいますからね。


西野:そうなんです。
当たり前ではあるのですが、先程のテーマで牛久も話しておりましたようにクライアント様から提示される要件は”ふわっと”していることが多くて、例えばですが不動産関係のお話で「間取り図を自動生成したい」とか「人が何人いるか数えたい」といったようなニーズや、小売店系であれば「窃盗犯を捕まえたい」といったお話をいただくことがあります。まだ漠然としていて方法論や実現可能性などはまったくわからない段階から依頼が来たりします。
それで、AIを作ることを検討する前に、現状の業務フローではそれをどのようにしてやっているか、人はどうやってその目的を実現しているのかを細かく理解する必要があります。要するに、業務フローを全部AI化するのではなく、現存の業務フローの中で人がやっているポイント・ポイントで適切にAIを利用していくということが重要なことで、どこにAIを入れたら有効なのかというのを見極める必要があり、それには詳細に業務を理解することがまず必要になってきます。
更にいうと、その業務ドメインに関する知識が必要になってきたりします。不動産関係であれば、不動産の業務であればどのようにAIを活用することで効果があがりそうかを押させていないと、うまく提案ができなかったりすると思います。そういう意味では、難しいところはいろいろあります。
要件定義が終わったあとには、ここにAIを活用しましょうということで適用するポイントを提案していく訳ですが、技術要素としては何を使ってどのような構成で実現していこうかという設計に入っていきますが、その技術設計は重要かつ難しい部分があります。
例えば商品の分類をAIで自動で行いたいという要件があったとします。いわゆるクラシフィケーションといった分類機を想定したとして問題設定をしてしまうと、新しい商品が来た時にそのモデルでは対応ができなくなってしまいます。これは、そもそも初期の段階で分類問題として設定してはいけなかった、解決方法としては間違っていたということになり、新しい商品がどんどん追加されるということを前提とした条件を問題に設定して、ソリューションを検討する必要があります。結論的には要件定義が間違っていると、そういうことになりますので、やはりそこが重要ということになります。
逆に要件定義がちゃんと決まってしまえば、あとはそれに対応したシステムを開発していくだけなので、あまり心配要素はないのではないかと思いますので、ハードルというか、いちばん重要な要素はやはり要件定義の部分かと思います。

小嶋:とても納得感があるというか、深く同意します。お話いただいた適用スコープに関するところは、FAのソリューション導入ときにも非常に似たプロセスがあります。まずはAsIsを正しく理解したうえで、どこにAIを活用すればどのような効果が期待できるかToBeを具体的にていくフェーズは重要で、ここで成功するか失敗するかが決まるといっても過言ではないかもしれません。
本当にシステム開発あるあるの基本的な部分が重要になってくる。これはAIなどの複雑高度なものであれば、開発開始してから方向転換は非常に負荷の高いものになりますし、工数的にもスケジュール的にもプロジェクトを成功させるには、ちゃんと骨子を固める最初のフェーズで急ぎ過ぎずにじっくり検討することが肝心ということですね。

その3へ続く

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