エフ・コードは、マーケティングとAI・テクノロジーの力を活用し、企業の未来を切り拓くパートナーとしてこれまで成長を遂げてきました。規模や業種、地域を問わず、企業がデジタルトランスフォーメーション（DX）を推進し、競争力を高められるよう、お手伝いをしています。

こちらの記事では、エフ・コード創業のメンバーであり、現在はM&AとPMI／バリューアップを統括する荒井さんに、「これまでのキャリア」「エフ・コード創業秘話」「M&A戦略と企業価値向上の取り組み」についてお話しいただきました。

荒井 裕希 / 取締役

愛媛県出身。エフ・コードにおいては、営業やプロダクト開発、カスタマーサクセス、IPO前後等幅広くカバーし、現在は成長戦略の1つであるM&Aおよびバリューアップの責任者を務める。趣味はキャンプや登山、シュノーケリング、ゴルフなどのアウトドアな遊び。

未知から広がったビジネスの世界。成長を経てインターネット業界へ

ーーでは、簡単にこれまでのご経歴についてお話しください。

大学生当時、早くビジネスをしたい！とはやる気持ちもあって、インターンをはじめました。インターン先は、まだ社名も決まる前の創業のタイミングで数名の小さな会社でした。「せっかく働くのだから濃密な経験がしたい」「ゼロから会社・事業を作っていく経験をしたい」と思ってその会社の門をたたき、運良く受け入れていただきました。

そこで、工藤と出会いまして。当時の私たちはビジネス経験のないただの大学生だったのもあり、まさに「丁稚奉公」と表現できるような、目の前にある大量の仕事にとにかく懸命に取り組んでいました。

当時お世話になっていた会社の代表と副代表は、戦略コンサルティングファーム出身の方々で、ビジネスの基礎を徹底的に叩き込んでいただきました。もちろんとても厳しくご指導いただくこともあり（笑）、少しずつビジネスパーソンになっていった感じですね。

事業内容は、ベンチャー向けの経営コンサルティングと実行の支援、これに加えて中堅・大手企業さま向けの教育研修という2つの事業を展開しており、私は主に教育研修事業の新規営業を担当していました。

法人営業の経験は全くなかったのですが、本を読んだり人に話を聞いたりしながら、ただただ必死に営業していましたね。ビギナーズラックだったと思うのですが、営業をはじめて間もない頃、大手のシステム開発会社さんから初のお仕事をいただくことができ、本当にうれしかったのを覚えています。20年以上経った今もこちらの会社の方々とは個人的にお付き合いもさせていただいていて、ご縁に感謝です。

右も左もわからない中で決してスマートとは言えませんでしたが、行動量だけはなんとか、と思って営業し続けていました。結果としてある時期においては会社の新規売上の9割以上を受注でき「なるほど、やってさえいればなんとかなるんだ」とこの時学びました。

また、営業だけでなく、お客様へのサービス提供のところも、採用も、その他総務的な諸々なども分からないながらいろいろとやらせてもらいました。まだ創業間もなかったこともあり、自分が出来ることは最大限までやるのだ！とにかく価値を出すのだ！と、ベンチャー、スタートアップならではのゼロからイチを作っていく醍醐味をビジネスパーソン人生の最初に経験させてもらえました。この4年間があったから今がある、と言える非常に濃密な時間でした。

ーーその後、どのようにエフ・コードの立ち上げに関わることになったのでしょうか

工藤は一足先にインターンを卒業し、その後別の会社で役員をやっていました。その当時も連絡を取り合い、お互いの近況は共有していまして。ちょうどその頃、ビジネス界隈ではインターネットビジネスの波がさらに大きくなっていて、今では大手企業となった当時の名だたるベンチャー企業が市場を席巻し始めていた時期で。私自身もその可能性に強く惹かれていました。より大きなスケールで、多くの人や企業に貢献できるビジネスに挑戦したいという思いを持つようになっていったんですよね。エフ・コードもまた、その可能性を広げられる会社だと確信した次第です。

ーーでは改めて、エフ・コードの創業期についてお教えください。また、当初はどのような役割だったのでしょう

創業当時のエフ・コードは20代前半のメンバーが大半だったこともあり、活力に満ちていました。私はその時には一応、法人向けの営業をしていたこともありましたので、そのままエフ・コードでも法人向けの営業として業務を開始しました。ただ営業といってもお申込をいただいて担当部門に引き継いでというよりも、そのまま自身でウェブコンサルティングのサービスを提供していました。営業を重ねる中で結果的により多くのお客様をご担当することにもなり、営業兼デジタルマーケティングのコンサルタントとして経験を積んでいった次第です。

その後、SaaSの事業を展開することになり、私も企画や開発の段階から携わることになりました。私自身はエンジニアリングはできないので、お客様やパートナーの視点に立ち「こういう課題やご希望がある、こういうものを作ろう」と、エンジニアリングチームと一緒にプロダクトを作っていきました。プロダクトが出来た後は、マーケティングとセールスを担当しました。部門を立ち上げ、毎月新規顧客を獲得し、販売し、定着を図る仕組みを作っていきました。

最終的にはカスタマーサクセスとして、お客様に継続的に価値を感じてもらうための取り組みを中心に行っていました。お客様のご要望やご利用状況を見ながら、プロダクトを継続的に改善していくことに注力しました。

自社としてはじめてのSaaSプロダクトで、失敗も多くありましたが、当時気がつけば数百を超えるお客様、1,000を超えるサイトでご利用をいただくことができていました。多くのお客様にプロダクトをお届けすることが出来てうれしいな、自社のことながらすごいなと感動していました（笑）。

企業及び個人の成長戦略としてM&Aへの拡張

ーー多方面でのご活躍ですね。その後、M&A・バリューアップ部門を管掌されることになった背景を教えてください。

M&Aの手前の状況も関わるのでそのあたりもお伝えします。2018年から19年頃が上場準備を始めた時期でした。IPOをするということは、資金調達して、その資金を世の中への提供価値を増やすことに投資し、結果として企業価値を高めていくこと、それらの活動をスピードアップさせることを意味しています。当時も今も行っている事業活動への投資を通じてスピードアップを図ることはもちろんのこと、さらに成長角度を高めていくために、M&AをすることもIPOの主要なねらいのひとつとしていました。

多くの人や事業を仲間として迎え入れ、お客様により良いサービスを、より多く、よりはやく提供していくことに寄与するM&Aをしたい、と考えていました。また、会社としては、M&Aは非常に大きな投資であり、今後の成長を大きく左右する要の戦略でもあるため、これはもう経営陣も全力でコミットするべきである、と考え経営陣の中から専任を置くことを決めました。その上で私になった背景は、一言でいえばエフ・コードを語りやすいから、というのがあります。

M&Aは”企業と企業が融和する”側面があります。例えばそれは事業やサービスであったり、組織や人もそうです。そして必然的に文化や価値観もそうなります。M&Aについて協議しご一緒していく過程において、また、ご一緒した後も継続して、お相手方のカウンターパートであるオーナーさん経営者さんと、相互にどういった会社か、何を大事にしているか、どうしていきたいかといったことを多く会話し、相互の考えを丁寧にすり合わせていく必要があります。当社のM&Aチームもそのあたりに留意してお話しすり合わせることはできますが、やはり創業メンバーである工藤や私が直接お話することも大事であると思っていて、結果として私が管掌している形です。

ーーあらためて、M&Aに積極的に取り組む理由は何でしょうか？

教科書的にはなりますが、お客様にお役立ちでき、結果として企業価値向上に寄与するから、というのが理由になります。

上場企業は、株主価値を継続的に高めていく義務があります。そのためには、優秀な人材と、相互にシナジーを生み出せる事業をエフ・コードに迎え入れ、より早くより良いサービスを作り出すことが必要です。特に一定以上M&Aに取り組んで来た今、あらためてM&Aするねらいとして言えることとしては、

1.企業価値向上のスピードアップ

成長企業を当社の”仲間候補”として考えています。そういった企業に多く加わっていただくことで、企業価値向上がスピードアップしていくと考えています

2.顧客への提供価値の拡大

現在の当社グループから提供できる価値も日々大きくなってきていますが、まだ手が及ばないところもあります。グループ内での事業開発も有効ですが、M&Aによって素敵なサービス、プロダクトをお迎えすることで、さらにお客様への提供価値が大きくなりお役立ちができると考えています

3.優秀な人材・チームの参画

起業家・経営者人材、そして成長事業を作ってきたチームごとグループに参画いただけるのはM&Aならではと考えています。短期的にも中長期的にも企業価値を高める最大要因になる人材・組織の強化につながるものと考えます

4.グループ経営による効率化と機能強化

開発や営業、AI活用、経営管理機能等の連携により、グループならではの効率化と強化を実現できます。それぞれの会社がそれぞれの機能を個別に持つのが通常ですが、グループ経営にすることで機能やアセットの共有化・共通化できるところもあり、効率を高めることにつながります

これらがM&Aに積極的に取り組む理由になります。

ーーM&Aの実績はいかがでしょうか？

2021年12月にIPOし、はじめてM&Aをした2022年2月から2025年2月までのおよそ3年間で、15件のM&Aを実行してきました（事業譲渡5件、株式譲渡10件）。投下した金額は約100億円以上です。

発表している今期2025年12月期の業績予想をふまえると4年間で売上15倍、営業利益14倍という成長になります。上場企業としての重要指標であるEPSも8倍の見込になっています（EPS：1株あたりの純利益）。元々あった事業の成長ももちろんありますが、M&Aも大きく寄与している結果となっています。

ーー売上15倍、営業利益14倍…！すごいですね。バリューアップで特に意識していることは何ですか？

基本的なことですが、各事業をきちんと因数分解し「成長のための方程式」を理解することです。市場、競合、自社の立ち位置を把握し分析し、各社の強みと弱みを言語化していきます。その中で各社各事業が持つ成長ドライバーを特定し、それがより大きく振れていく環境を共に作ったり、あるいは、成長を阻害するボトルネックがあれば共に解決をしていきます。

元々、各社ともに成長企業のため魅力的な事業を作っています。そのため、なんでもかんでも私たちが関与することはないのが前提にありますが、一方で、いろいろな人の目や手が入ることで、さらに洗練され、成長スピードが速くなることもあるため、そこを模索しつつ各社動きやすいように動いていくことが大事と思っています。

ーー実際にシナジーを感じる場面はありますか？

従来のお客様が求めていたサービスで、エフ・コードだけでは提供できなかったものを、グループで連携することで解決できるケースが増えています。今まであれば複数の会社に依頼していたことを、私たちグループから一気通貫でご提供できることで、お客様から喜んでいただいています。ただサービスを多く持っているということではなく、1つひとつのサービスに特長や魅力がありご期待に応えられるものになっている、というのがポイントです。マーケティング領域、AI・テクノロジー領域それぞれで専門性高い会社が集まっていることが理由になります。

様々な色を取り入れたカオスの中で、企業価値を高めていく

ーーグループ各社さんとの向き合い方で大切にしていることは何でしょうか？

当社グループとして、”連邦制”の運営方針をとっています。1つのグループとしてまとまりながらも、各社それぞれの独自性を保ちつつ、さらに研ぎ澄ましていけるのが理想と思っています。

世の中には、例えば支配・吸収型として、社名もグループを冠するものに変えて、人事制度も合わせたりする方針もあったり、あるいは、放任型として特段の関与なく進む方針もあったりします。どれが良くてどれがわるいというものではありませんが、あくまで私たちの場合は、各社の魅力・独自性を最大限尊重し、”連邦制”でいくことが企業価値最大化に資すると考えています。

元々グループに参画いただく前から各社ともに成長企業のため、それぞれ”秘伝の技”と呼べる独自の強みや取り組みを持っています。例えばそれはマーケティングであったり、採用であったり、あるいは、時代の先端を行くAIの活用であったり、特定市場内では企業やサービスが有名ブランドになっていたりと、エフ・コードよりずっと上手くやっていることが多数あり、尊敬し尊重しています。そのため、無理に統一化を図ることはせず、タッグを組むような感覚で関与・相互サポートしながら各社の独自路線を極めていくのが良いと思っています。

参画いただいたグループの皆さんからも、想像以上に自由度高くやれて良かったとか、尊重されてると感じますとか、偉そうにされなくて良かったとか（笑）、言ってもらってます。もちろん、公開会社としてグループのガバナンスが効いている状態は作っていますし、何より各社の事業計画達成というのが大前提ですが、できる限り今の方針で企業価値を高めていきたいと考えています。

ーーエフ・コードの色を浸透させるのではなく、互いに混ざり合っていくイメージですね

まさにその通りです。私達のグループは今年で創業20年目に入り、3年前に上場しありがたいことに業績も伸びています。ただし、世の中へのお役立ちの総量はまだまだ小さいと思っています。これからもグループを大きくしていき、貢献をさらに増やしていきたいですし、それが義務と思っています。

多様な文化を取り入れ、これからもベンチャーマインドを持ち続けながら、成長していきたいです。社会にもっと貢献したい、お役立ちしたいという意志が強くあります。

ーー最後に、どんな人と一緒に働きたいですか？

まだまだ成長途上の会社なので、スピード感を持ってカオスを楽しめる人がフィットすると思います。先ほどお話ししたように、36ヶ月で15件のM&Aを実行してきたということは、およそ3ヶ月に1件以上M&Aの実行があり、その後PMI/バリューアップを進めていることになります。期間や件数は結果論で、本質は企業成長のスピード感にありますが、今後さらに速く進んでいきたいと考えているためです。このスピード感がカオスその1。その2は、先ほどお伝えした連邦制の運営方針です。連邦制は各社それぞれの運営が成されていて、それゆえの難易度もあり、ともするとカオスに映ります。整然とした環境で粛々とペースを保って仕事をすることを好む方にはおすすめできない環境と思っています。

まとめると、求職者の方には整った安定した会社を期待しないでほしい、むしろ、成長の過程を一緒に楽しめる方に来てほしい、腕をふるっていただく機会は山ほどありますから！と思っています。自分がエフ・コードをバリューアップさせてやる、くらいに思っていただける方、心よりお待ちしています。