創業後、勢いよく成長を続けるエバーリッジ社。それを支えるのは少数精鋭の社員のみなさんです。今回インタビューするのは、他業界で主に管理職として活躍したのち、クリエイターとして参画した助川さん。デザインの道を志したきっかけ、業務委託から正社員となった経緯、業界特有のモノづくりについてなど、幅広くお話しいただきました。
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助川 友孝
北海道工業大学(現 北海道科学大学) 未来デザイン学部メディアデザイン学科を卒業。新卒では小売業界に就職。広告代理店、イベント会社を経て、2021年から業務委託としてエバーリッジ社に参画。2022年6月、正社員として入社。現在は、デザインおよびウェブマーケティングの統括として活躍している。
時代に左右され、一度は諦めかけた道
人生を変えたのは“出会い”と“踏み出す勇気”
ー助川さんは工業大学でデザインを勉強されたんですね。
そうなんです。ちょうど私が入学する年にデザイン科が出来たんです。地元の青森か北海道での進学を考えていたので、そこに決めました。イラストレーターも、フォトショップも、プログラミングやホームページ作成もやりましょうという学校だったので、幅広く学びました。音楽作りに動画作り、なんでもやりましたね。
ーそもそもデザイン系に進まれた理由を教えてください。
実は、デザインやモノづくりへの興味の原点は“お祭り”なんです。もともとはお祭りを作る人になりたくて。物心ついたときから、地元のお祭りがとても好きで、山車なんかをデザインして製作するのが夢でした。でも、もちろんそれだけでは仕事にはならないので、仕事として何をやろうかな?と考えて。お祭り以外にもいろいろ作るのが好きだったので、“何かを創る人”になろうと思ったんです。
ーそこからどんな流れでエバーリッジ社に入社されたんでしょうか?
ちょうど就活中の2011年、東日本大震災を経験しました。地元で就職する話なんかもあったんですが、そういった仕事の話が全て無くなってしまったんです。それでリファラル採用で、調剤薬局をやってる会社の小売りの部署に入りました。
そのあと大学時代のキャリアアドバイザーに誘われて広告代理店に転職したんですが、その会社が買収によって人材派遣会社に変わってしまって…そのときに、お客様だったある企業の社長さんに「うちに来ない?」って声をかけてもらって、京都にあるイベントなどを請け負う会社に入りました。入社のタイミングで東京の営業所ができたので、そこの所長をやっていたんですが…またもタイミング悪くコロナ禍になってしまったんです。イベント事業はことごとく無くなってしまって。その当時は、今までのお客さんから制作系の仕事を請け負いながら、なんとか食いつなぐような状態でした。
そんななかで知人から「起業するんだけど、会社のロゴとかホームページ作れない?」と声をかけられて。それがエバーリッジ創業者の秋野さんと萩原さんだったんです。大学を卒業して、一度はデザイン系の仕事を夢見たものの震災で夢かなわず、でもやっぱりクリエイティブなことは変わらず好きで…。コロナ禍でたまたま少しづつデザイン系の仕事をやる機会があり、それを増やしたくて依頼を受けたのが、今の仕事に就くきっかけですね。最初は前の会社に在籍したまま業務委託という形で仕事を受けていました。
ーそんなスタートだったんですね!どうして社員になろうと思ったんですか?
制作の仕事を生業にしたいと思ったからです。1年くらい業務委託をやっていたんですが、制作系の仕事をメインの仕事にできたのは、その時が初めてだったんですよ。それまではデザインの仕事は受けていても全体の仕事の一部であったり、あくまで趣味でやっていたことだったので。初めて自分の本当にやりたいことでフルに対価をいただけて「やっとここまで来たか」と思って嬉しかったんですよね。
あとは、もっとこの会社の力になりたいなと思えたのも理由の1つです。それで、こちらの仕事を本業にしたいと申し出て、2022年から正式に社員になりました。
ー時代やタイミングに左右されて違う方向にいっていたけれど、エバーリッジ社に携わったことで本当にやりたいことにたどり着いた、と。仕事としては制作ほぼ未経験での転職、勇気が要りませんでしたか?
業務委託として仕事をしていた1年間は、ずっと迷っていましたね。自分はちゃんと本業としてやっていけるのか、それを見極めている期間でした。でも1年経って、いける!と思ったんですよね(笑)。会社のみんなが望むものを作り出せている感覚があったので。あと制作なので自分の仕事が実際に形になったり印刷されたりするんですが、経営陣を含むメンバーの、出したものに対するリアクションで手応えを感じたんです。すごく褒めてくれるんですよ。だから、入社しても迷惑はかけないだろうと思いました。実は今までの会社では、仕事に関してあまり褒められることがなかったんです。私があまり成果を出せていなかったのかもしれないですが(笑)。
ーいえいえ、これまでの会社でも大きな役職を任されていらっしゃったわけですから、評価の仕方が違ったのかもしれないですね。エバーリッジ社では褒めて評価してくれた、と。
そうだったらいいですね(笑)。だから正直、こんなに褒めてもらえて嬉しかったんです。褒められるとやっぱり「自分はこの仕事に向いているのかな」「これでやっていけるかも」と思いますよね。社員になりたいという話を経営陣にしたときも、もう「そう言ってくれるのを待っていたよ!」くらいの感じで、すぐに受け入れていただきました。その時は、感動しましたね。
ーそれもまた嬉しいですね。入社してみていかがでしたか?
何をやってもいいし、何を提案してもいいんだ!と驚きはありました。話をしっかり聞いてくれますし、ちゃんと自分の中で根拠やロジックを組めば意見が通りますし。やりたいことができる会社だなって。
ー入社後の業務内容を教えてください。
今はデザイン・マーケティング統括という肩書きで、デザインとマーケティングを兼任しています。具体的にはWebページ作成、招待券などの紙媒体作成、広告運用などのWebマーケティング、あとは広告のクリエイティブを作ったりもしています。
ーマーケティングも兼任されているんですね。マーケティング経験がおありだったんですか?
いえ、ほとんどなかったですね。マーケティングに関しては、初期段階で代表の石山さんに「やったほうがいいよ」と言われて始めた形です。デザインとクリエイターできる人はたくさんいるけど、同時にマーケティングもできる人ってなかなかいないですよね。「希少な人材になれるはずだから、やっておいたら?」と。確かにそうだなと思って、それからコツコツやっています。
実際「やっていてよかった」と思います。Webを作るにしても、何か他のものを作るにしても、“誰に対して作るのか”というマーケティング観点って絶対に必要なんですよ。だから結構、必須スキルなんじゃないかなとすら思いますね。でも他の企業をみても、デザインとマーケティングどちらもやっている人は少ないと思います。石山さんはそこまで見越して提案してくれたということでしょうね。
ー発想がすごいですね!みなさん同じ部屋で仕事をされていると聞いたんですが、助川さんも同じ部屋ですか?
私もリモートではなく出社して仕事をしているので、同じ部屋です。結構コンセンサスをとらなくてはいけないことも多いので、話をしてすぐその意見を反映させられた方がやりやすいんですよね。本当に集中したい時は、ノイズキャンセルのイヤホンとかをして…社内にあまり厳しいルールがないから出来ることですよね。なにかあるとその都度規定が定められて…といった感じで、服は何を着て来てもいいし、結構自由なんです。
会場まるごとデザインも!
展示会デザインならではの面白さと難しさとは
ー助川さんは創業直後からエバーリッジ社にいらっしゃいますが、会社の魅力をどういう風に感じますか?
社員みんなおもしろいですね。普通の人がいない、変わった人の集まりみたいな感じが個人的には魅力だなって思っています(笑)。
ーそうなんですね。でもそういう方が複数集まってまとまるのかな?と思いますけど…
いや、それはまとまりませんよね、みんな個性強いんで(笑)。でもそこは石山さんと秋野さんが中心に、うまいこと取りまとめてくれていますね。決定事項に関しては、もうその2人が最終的に決めますよっていう体制が出来ているので。基本は、担当者がどちらかと相談して決めたことが反映されていくという感じなんで、そのあたりはスムーズですよ。
ー仕事の具体的な流れをお聞きしたいんですが、どなたからどんな指示をされるんですか?
指示はされないですね。各担当者から「こんなものを作りたい、内容はこういう感じで◯◯に使う」というのを聞いて、3パターンくらい作って出す形です。色やデザインも自分で決めますし。そこから修正を重ねるんですが、最近は修正もかなり減りましたね。
ー仕事でこだわっている事ややりがいを教えてください。
“一番良いものを出す”ということです。やれることは全部やって、技術的にもセンス的にも今できる最高レベルで出すようにしています。毎回全力投球じゃないと、うまくならないので。やっぱり本気出して創ったものは、最初からOK貰えるケースも多いですね。
やりがいとしては、評価されればもちろん嬉しいですけど、加えて自分の腕が上がっていく感じですかね。個人的には周りの評価と同じぐらい、自分を高める方に醍醐味を感じるんです。
ー仕事上で印象に残ってるエピソードなどはありますか?
デザイン会社やWebマーケティング会社と一緒にやる仕事もあるので社外との関わりも割とあるんですね。ある仕事で一緒にやっていたデザイン会社の若いスタッフさんが、展示会を見たいと言ってくれたんです。興味を持ってくれたこと、そして自分の意志で実際に展示会会場まで来てくれたことはとても嬉しかったですね。
私はデザイン担当ですが、展示会会場にも行くんですよ。電話を取ったり、次の会期に向けてウェブページを作ったり、展示会の速報ページを作ったり…いろいろやってます。あとは展示会当日の写真を撮影することもあります。これは制作の素材集めですね。もちろん展示会の様子は、プロのカメラマンと契約してきちんと撮影してもらうんですが、細かい部分は自身で撮ったりもします。
ー他の業界では味わえない展示会デザインの面白さはありますか?
ゆくゆくは会場のデザインができるというのはすごく面白い部分だと思います。看板とかだけじゃなくて、やろうと思えば会場まるごと作りこむことができるんです。Webだけではなく、紙媒体だけでもなく、そういった空間デザイン含めていろんなデザインができるのは魅力ですね。だからコレだけやりたい、アレだけやりたいという人よりも、いろいろやってみたい!という人の方が楽しめると思います。
ー今後の個人的な目標を教えてください。
エバーリッジの展示会には、展示会プラットフォームとして『ビズクル』という名前をつけたんです。その中に細かい展示会がある形になっていて、展示会をブランド化しつつあるんですよね。このビズクルをもっと浸透させていかなくてはいけないし、そこからビジネスを拡張する案もあるので、そっちもやりたい。最終的には、ブランドプロデューサーみたいな立ち位置になりたいんですよね。デザインとマーケティングを極めないとできない仕事なので、そこを目指しています。
いろいろ言いましたが、つまりは「自分の作ったものをもっと世に出していきたい」ということです。見てくれる人が多い、手にとってくれる人が多いと、それが会社の為になるじゃないですか。役に立ちたいという気持ちが強いのかもしれませんね。会社に尽くすタイプなので(笑)。
ーいまデザインはお1人で担当されているとのことですが、一緒に働く人は欲しいですか?
めちゃくちゃ欲しいです(笑)!デザインする人が一人しかいないと相談ができないじゃないですか。自己完結になっちゃって、それはあまりよくないなと思うので。基本的に自分の思うように作るけど、行き詰まった時には違う観点が得られるというのが良いですよね。
ーでも、デザインはセンスに頼る部分がありますよね。これから一緒に働く方ができたら、どう棲み分けするんでしょうか?
その方が出来るなと思ったら、まるっとお任せします。自分もそうだから分かるんですが、クリエイターはその方がいいんじゃないかな。お任せして、その人も自分自身が今できる最高のものを出し続けられる、というのが良い形なのではないでしょうか。
ーこういう人と働きたい、こういう人に来て欲しいというのはありますか?
さきほどお話ししたように、私は「地元の祭りを作る人になりたかった」というのが、デザインや制作に携わった原点なんですね。だから、あくまで個人的にはですが…本当は何か作りたいものがあったけど事情があって違う道にいっている人には是非挑戦してほしいと思っています。例えば、実は職人になりたかった…みたいな気質や想いを持っている人は、こだわりが強いし細かいので向いていると思うんですよね。
あとは、素直な人がいいかな。勝手に自分の感覚で判断せず、相談してくれる人ですね。あとは言われたことを“とりあえずやってみてくれる”人は向いていると思います。それはチームだからというのもあるんですが、展示会のデザインって少し特殊なんですよ。そのノウハウがある人って多分ほとんどいなくて…。だから最初は、その独自性を素直に飲み込んでくれる人だと嬉しいです。
ーその特殊さというのはどういう部分にあるんでしょうか?
ただ格好良く作れば良いというわけではないんです。若いお客様だったらそれでもいいかもしれないですが、例えば年齢層が高い方が多い展示会であれば、あえてお洒落さを減らすというか…そのターゲットに受け入れられやすいデザインにしなければならない。自分のデザインを変えるというのは、クリエイターによってはプライドが邪魔することもあるんです。だから、そういうことを受け入れられる人でないといけない。
私は「お客様のニーズに合わせて作る」というのも立派なデザインだと思います。でも、そういう観点がまったく理解できない人は、なかなか難しいと思います。もちろん、自分のアイデンティティーや今まで生きてきた中での想いを、創作物として世に出せるというのは、デザインの仕事の大きな魅力です。だけどそれは細部に、バレない程度に忍ばせるくらいで良いと思います。
ー展示会デザインならではの部分があって、慣れるまでは素直にそれを習得していける人が向いていると。
そうですね。私も1年半ほどは一筋縄ではいかなくて大変でしたね。例えば、とにかく文字は大きく!みたいな。最初は「でもデザインとしては…」とか思うことももちろんあったんですよ。でも実際に、その通りにした方が効果が出るわけです。そういう経験をして徐々に自分の中でも納得できるようになりましたね。
ちゃんと理由や理屈があるという前提で、そういうことを飲み込めるようになったのは、私が成長した点かなと思います。職業としてのデザイナー、クリエイターというのはそういうことなのかなと学びました。スキルはもちろん磨かれていくんですが、それだけでなくマインドも変わったなと思います。
ー展示会に詳しくない、仕事としてはデザインをしたことがない…などをハードルに感じている方もいらっしゃると思いますが、それでも大丈夫でしょうか?
やってみたらやれますよ!展示会の業界経験はそんなに関係ないですから。単純にデザインが好きな人、作るのが好きな人、大歓迎です。
デザインの基礎知識はあったほうがいいですし、ツールはある程度使える必要はあります。でもやる気があれば、細かい部分は私がサポートします!ひたむきに作ってくれるだけでいいです。好きなことを仕事にして、それで評価もしてもらえるって、やっぱり良いですよ。
作るのが好きな人であれば、ここでさらに自分の力を高めていけるよということを伝えたいですね。スキル的にもメンタル的にも、一緒に高めていきたいです。
ー仕事としては未経験だった助川さんが活躍されている姿が一番説得力ありますね!ありがとうございました!