大ヒットした「仕事サボる!」や「学校サボる!」などのカジュアルゲームを手掛けるエウレカスタジオ 。その累計ダウンロード数は2,000万を突破しています。
世界的にブームが起こっているカジュアルゲーム。働くエンジニアにとっての魅力は「1人のエンジニアが全工程に携われる」こと。ゲーム会社の多くが分業制である中、企画やマーケティングにもタッチできるのです。
今回は代表の馬場に、ゲーム業界全体の動向や、自社ならではの開発の面白さについて話を聞きました。
カジュアルゲームの波が世界でも?現代人は小さな満足度を求めている
ーー世界的にカジュアルゲームの需要が高まっていますが、どれくらいのブームになっているんですか?
Logmi Techによれば、2017年以降のUSランキングTop100では、およそ8割がカジュアルゲームです。
また、産経新聞によると、世界でハイパーカジュアルゲームのダウンロード件数(2019年)が約6億3,000万件、アプリ内課金の売上が5,300万ドルと言われています。
ーーすごいですね...。需要が高まっている背景には何があると思いますか?
やはり大きな要因は「忙しさ」ですね。現代人は1日24時間という限られた時間を、仕事や家事、SNS、趣味といった、たくさんのことに使っていて、1つのことに時間を割くことができない。その結果、現代人の大半が多くのことに「手軽さ」を求める傾向があります。
これは、ゲームでも同じことが言えます。かつては、RPGなどの超大作のように、長い時間をかけて集中してプレイするのが主流でした。でも、今は何かをしながらの「ながらプレイ」が増えています。VentureBeatによれば、「待ち合わせ中の暇つぶし」のほか、「移動中」や「休憩中」・・・そして「トイレ中」ってこともあるみたいです(笑)とにかく、ちょっとしたスキマ隙間でゲームを楽しむ人が多くなったんですよね。
▲出典元:VentureBeat「The truth about hypercasual games」(参照 2019-12-25)
あとは、動画広告の台頭もカジュアルゲームの盛り上がりを後押ししたはずです。今までのバナー広告と違って、動画広告はカジュアルゲームの面白さを短時間で訴求できるため、ユーザー獲得がしやすくなりました。
ーーたしかに、時代の流れと合っているように感じますね。
そうですね。ここ数年では、カジュアルゲームをもっとシンプルにした「ハイパーカジュアルゲーム」が大きなムーブメントを起こしています。日本Top10ランキングに入るほど、じわじわ人気がでているジャンルです。1分あれば1ステージクリアできちゃうような小気味好いゲームなので、電車の待ち時間で遊べます。
こんな背景から、短時間でサクサクと遊べる、カジュアルゲームを好むユーザーがより一層増えていくのではないか、と考えています。
グローバルで通用する日本のカジュアルゲーム会社は出てくるのか
ーーまだグローバルで成功している日本のカジュアルゲーム会社は、少ない気がします。なぜでしょう?
それは、日本企業の組織文化が大きく関わっていると思いますね。
というのも、カジュアルゲームは、プロトタイプを何十本も作って高速でPDCAを回す文化です。ヒット率は高くはありません。そんな中、海外のデベロッパーがヒット作を排出し続けているのはなぜか。それは、開発する企業に「失敗してもいいから、まずは作ってみようよ」というマインドがあるからだろうな、と思います。言ってしまえば、日本と海外の文化の違いなのかもしれませんね。
個人的には、このマインドの違いが大きいと思います。ただ、成功を収めている日本のカジュアルゲームの会社もいくつかあるので、弊社もその波に乗りたいです。
▲カジュアルゲームについて熱く語る、弊社代表の馬場
ーー今後の日本のゲーム業界はどのようになっていくでしょうか?
日本はまだ、ソーシャルゲームやコンシューマーゲームの文化が根強く、世界に比べてカジュアルゲームの波は遅れています。とはいえ、ハイパーカジュアルゲームが日本のTop10チャートに複数現れるなど、今後間違いなくトレンドが変わることが予想されます。
今後も弊社では、失敗を恐れることなく、どんどんユーザーに喜んでもらえるような、カジュアルゲームやハイパーカジュアルゲームを手がけていく予定です。
カジュアルゲームならではの開発の面白みとは?
ーーカジュアルゲームはシンプルな開発が特徴です。だからこそ感じられる開発の面白さはどのようなところでしょう?
そうですね、カジュアルゲームは、1人で開発をしても3~6ヵ月でリリースできます。そのため、1人のエンジニアが企画・開発・マーケティングすべてに関われる点が面白みだと思います。
ーー馬場さんが思う、1人で開発できる魅力って何だと思いますか?
1つ目は、「自分でつくった!」と達成感を味わえること。2つ目は、自分の作品が世の中の人に受け入れられる喜びを実感できることだと思います。
一般的なゲーム業界は分業制が基本です。大きなタイトルのゲームですと、1作品を何百人がかりで手がけているので、「自分1人で作った!」とは言いづらいです。ただ、当社のカジュアルゲームは1人が1ゲームを担当するので、胸を張って「自分で作りました」と言えますし、自身の実績にもなります。
また、弊社は「ゲームを開発する会社」ではなく「ゲームを届ける会社」と社員に伝えています。多くのユーザーに届けるまでが仕事なんです。
だから、自分で開発したゲームが、ランキングのトップに上がった時の喜びや安堵は、エウレカスタジオだからこそ、より強く実感できると思います。
ただ、ずっと1人で仕事をしていると、悩みが生じることもありますよね。そのため、弊社では週1回のMTGを設け、私やメンバーと壁打ちをできるようにしています。これからもフォローし合う環境づくりは、意識的に行なっていきたいですね。
スタートアップのスピード感で、今後叶えたいミッション
ーー馬場さんが描く、今後の事業構想はありますか?
やりたいことや構想はいくつかあって。まず直近では、アメリカでカジュアルゲームを複数本リリースしたいと考えていて、より多くのユーザーに遊んでもらえるように施策を考えています。
他にも、組み立てゲームなんかもつくりたいですね。個人的にとても好きな感じのゲームなんで(笑)
人には、何かを「つくり上げたい」や「組み立てたい」という欲求が潜在的にあると思っていて。組み立てる系のゲームは、その欲求をくすぐるゲームの1つだと考えています。時期としては、2020年には、開発着手できればと構想中です。
ーーもう来年ですね。かなりスピード感がありますね。
そうですね。カジュアルゲーム開発はスピード感も大切なので。
今も、少しずつ大手のゲーム会社が、カジュアルゲームやハイパーカジュアルゲームに参入してきていて、より大きな波が来ると予測しています。
そこで弊社が、日本一のカジュアルゲーム会社となれるように着実に前進していきたいと考えています。