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こんにちは。エンジョイワークス採用担当の福田です。
エンジョイワークスでは、現在、元工場をリノベーションした"音出しOK"なシェアアトリエを2施設運営しています。本日は、第1号となる「桜山SAQLAB」創業ストーリーをご紹介します。
いまからさかのぼること10年ほど前、神奈川県逗子市の山間にある廃工場が、クリエイターやアーティストたちの創作拠点「桜山シェアアトリエ(SAQLAB:サクラブ)」として生まれ変わりました。このプロジェクトの発端は、エンジョイワークスが主催した「『そんな物件ねーよ!』をつくる会議」。一見ふざけたような名前ですが、参加者たちが「こんな物件があったらいいな」と妄想を語り合う…というブレストイベントでした。従来の不動産開発や物件の再生は、事業者による市場調査→企画→開発→販売の流れですが、まずスタート地点から「今までにない」手法。とはいえ、「あったらいいな」のニーズを形にするほうが“出口”がはっきりしているとも言えるのです。
当時の「会議」の様子。ないなら作る。そんなワクワク感を一緒に体験するプロジェクトに
その“妄想会議”で最も多く出た意見が「工房・アトリエがほしい」というものでした。実はクリエイターや作家さんたちは共通して「作業場探しが大変」との悩みを抱えていたのです。理想のアトリエ物件はそう多くなく、郊外や山奥の空き家を改修して工房に…という例も少なくありません。妄想会議には物件オーナーも参加していたのですが、「工房・アトリエ」というワードには、「そんな需要があったのか」という驚きもあったそうです。これがプロジェクトのきっかけ。ニーズ調査よりももっとラフな“妄想”だったからこそ出てきたアイデアだったのです。
「つくる過程」から始まるコミュニティ形成
桜山シェアアトリエは、実際のユーザーのリアルな声から始まり、彼らと一緒に理想の空間を創造するという、まったく新しいモデル。物件オーナー、投資家、そして実際の借り手(クリエイター・アーティスト)の三者が、プロジェクトの企画段階から一緒に参加し、文字通り「みんなで作り上げた」実践例でした。
工事のプロセス自体をコミュニティ形成の機会として活用したことも特徴のひとつ。シェアアトリエを作っていく様子をSNSで配信し、DIYイベントを企画することで、「つくる過程から参加する」という体験を提供しました。開業前から入居者同士が自然と仲良くなっていく中で、クリエイターやアーティストらしい自発性も生まれています。彼らは施設の名前「SAQLAB(サクラブ)」を考案したり、グループ展を企画したり、自ら施設を盛り上げる活動を始めました。シェアする場という域を超えて、「コミュニティアトリエ」として育っていったのです。
各ブース、それぞれアトリエなどとしてちょうどいい「小部屋」に。写真右は改装中の様子
運営の面でも、開業からこれまでの稼働率はおおよそ平均すると90%以上。13ある個室ブース・小屋・倉庫全体が満室に近いということ。アトリエとして、アパレルの作業所や事業拠点・倉庫として…さまざまなジャンルの方が入居しているのですが「自宅が手狭になった」「音が出る作業ができる場を探していた」といった理由から。「シェアアトリエがあったら…」というニーズに適っていたのです。このプロジェクトは、ファンド運用物件というのも新しい掛け合わせの試み。2018年から22年、23年から25年の2回、ファンドを組成しています。投資家特典として、施設の優先買取権、運営ノウハウの提供、四半期ごとの詳細な運営状況報告など、投資だけでない価値を提供しています。
みんなの妄想が形になる参加型まちづくり
「こんな物件あったら」。みんなの妄想からスタートしたプロジェクトは、まさに「参加型まちづくり」の理想形。地域の課題解決や空き家活用で重要なのは、住民や関係者の「当事者意識」をいかに醸成するか。自発的な参加によって生まれる価値は、経済的な成功だけでなく、地域コミュニティの活性化や文化の創造にもつながります。この事業から派生して、2023年には藤沢で元工場をリノベーションした「KIKIBASE FUJISAWA」が開業、こちらも音出し可能、クリエイティブなモノづくりの拠点として活用されています。