「プロを目指した野球人生」が、別の道を照らした
—— まずは簡単に自己紹介をお願いします。
小林一空です。筑波大学の4年生で、現在は、「いばジョブ」の立ち上げに関わるインターンとして活動しています。来年からはSaaS企業で営業職として働く予定です。
—— スポーツの世界にいたと伺いました。
はい。小学校からずっと野球に打ち込み、大学1年まで続けていました。高校までは県の選抜にも選ばれ、当時はプロ入りを夢見て本気で取り組んでいました。
—— なぜ野球の道から別の道へ?
筑波大学の野球部に入った時、それまで感じたことのない衝撃を受けました。自分よりも遥かに上手くて、考え方もプロ意識の高い仲間たちに囲まれ、自分の立ち位置が一変したんです。プレーの中で思い通りにいかない自分がいて、試合での役割も変わってきた。
ただ、それは「諦めた」というよりも、「別の形で自分を活かす道を考えよう」と思えた瞬間でした。野球が教えてくれた“勝負することの本質”は、スポーツ以外にも活かせると信じたからです。
—— 決して逃げではなかったと。
はい。「どこで戦うか」は自分で選んでいい。その視点を与えてくれたのが、大学野球だったんです。
営業の世界で見つけた“勝てるフィールド”
—— そこからどうやって営業の世界へ?
自分にできることを模索していたときに、知人の紹介で飛び込み営業のインターンに参加しました。最初は右も左もわからず、とにかく足を動かして経験を積む毎日でした。
—— 何を売っていたんですか?
太陽光パネルを設置している住宅に対して、蓄電池の提案をしていました。いきなり訪問して営業をするので、断られるのが当たり前。でも「自分はここで何ができるか」を考え抜くことで、少しずつ成果が出始めました。
—— 結果も残されたとか?
はい。最終的には関東エリアの学生営業で3位に入ることができました。野球で鍛えた粘り強さと、自分を客観視する癖が営業にも活きたと実感しましたね。
「就活=戦略」自分らしさをぶらさなかった
—— 就職活動についても教えてください。
スタートアップも大企業も受けましたが、最終的にはSaaS企業に営業職として内定をいただきました。就活の軸は「自分の強みを活かせる環境かどうか」でした。
—— 就活の中で工夫したことはありますか?
変に取り繕わず、自分の実績や考え方を率直に伝えることを意識しました。特に営業職であれば、数字や過程を含めて論理的に語れることが大切だと感じていました。
—— 就活は辛くなかったですか?
正直、楽しめていたと思います。「評価される場」だと捉えていたので、勝負の場として前向きに臨めました。
いばジョブで見つけた、“就活世代だからこそできること”
—— いばジョブでの経験について教えてください。
いばジョブでは、地元企業を訪問し、営業として採用支援に携わっています。企業の魅力をどのように学生に伝えるか、どんな切り口で紹介すれば関心を持ってもらえるかを、日々試行錯誤しながら提案しています。
—— 同世代だからこそ伝えられることがある?
まさにそこが自分の強みだと思います。僕自身が就活を経験したばかりの大学生だからこそ、学生がどんな不安を抱えているか、どんな情報に惹かれるかが直感的にわかります。「学生目線ではこう映る」という視点を、企業に率直に伝えられるのは今の立場ならではです。
—— 営業という立場で意識していることは?
企業との関係構築では、ただ話を聞くのではなく、「この会社で働くことにどんな価値があるのか」を自分の言葉で見出すことを意識しています。就活生のリアルな感覚を知っているからこそ、企業と学生の橋渡し役として、両者にとって納得感のあるマッチングを作れるよう心がけています。
自分の“熱”を信じて──次は誰かの背中を押せる人に
—— これからの目標について教えてください。 まずは、営業というフィールドでしっかりと力をつけること。そのうえで、30歳までに独立し、自分のサービスを立ち上げたいという目標があります。まだ明確な業界は決まっていませんが、「誰かの背中を押すような価値を届けたい」という軸はずっと持ち続けていたいですね。
—— 学生に向けて伝えたいことはありますか? 「正解を探しすぎないでほしい」と思います。僕自身、野球から営業に転向し、さらに就活や今のインターンを通じて、いろんな選択をしてきましたが、その都度「今、自分が一番熱を持てることは何か?」を軸にしてきました。不安も多い時期だと思いますが、自分の感覚に正直に、一歩踏み出してみてください。
小林一空さんの歩みは、野球で培った粘り強さと、就活での気づきを土台にした挑戦の連続でした。
等身大の姿で働くその姿勢は、きっと誰かの背中を押す力になるはずです。
あなたの“やってみたい”も、きっと誰かが支えてくれる。
その一歩が、地域の未来を変えるきっかけになるかもしれません。