はじめに
リモートワークが当たり前になり、私たちは場所を選ばずに働ける自由を手に入れました。その一方で、失われたものもあるのではないでしょうか。
隣の席の同僚との何気ない雑談。休憩室で偶然生まれた、異分野の専門家との会話。そうした「予期せぬ出会い(セレンディピティ)」から、革新的なアイデアの種が生まれる瞬間を、私たちは知らず知らずのうちに手放してしまったのかもしれません。
特に、日進月歩で進化を続けるAIの領域では、その「知の交差点」とも言えるべきリアルな”場”の価値が、今、逆説的に高まっています。
なぜ、私たちは「人」と「人」とが繋がる場を求めるのか。そして、その先に見据える未来とは。今回は、2025年5月に渋谷の地に誕生した次世代型コワーキングスペース「NeuroHub」の仕掛け人であり、私たちDXHRの代表でもある前田に、その想いを聞きました。
「ただの箱では意味がない」。私たちが”熱量”の生まれる場所を作る理由
──今日はよろしくお願いします。早速ですが、なぜ今、DXHRは「NeuroHub」というリアルな”場”を作ったのでしょうか?
前田: こんにちは、前田です。単刀直入に言うと、日本の「生産性」と「デジタル人材不足」という、長年の課題に本気で向き合いたいからです。ご存知の通り、AIは産業革命以上のインパクトで社会を変えようとしています。ですが多くの企業では、「社内にAIを推進できる人材がいない」「何から手をつければいいか分からない」という壁に直面しているのが現実です。
私たちはこれまで、AIリスキリング事業などを通じて多くの企業様を支援してきましたが、知識やスキルを提供するだけでは片手落ちだと感じていました。本当に必要なのは、AIを使いこなす「人」と、課題を抱える「企業」と、最新の「技術情報」が有機的に交差し、化学反応が起きる”生態系”そのものなんです。その心臓部として、どうしてもリアルな場所が必要でした。
──なるほど。「生態系」の心臓部、ですか。
前田: ええ。だからNeuroHubは、単なるお洒落なコワーキングスペースではないんです。コンセプトは**「Everyday Hackathon」**。つまり、「毎日がハッカソンのように、知性がぶつかり合い、新しいものが生まれる場所」です。未来を駆動するテクノロジーと、それを生み出す人々が交差する、まさに「ニューラルネットワーク(神経回路網)のハブ」でありたいという想いを込めています。
完全招待制。渋谷の一等地に「共創の聖域」を創るということ
──NeuroHubの具体的な特徴を教えていただけますか?
前田: 最大の特徴は、**「完全招待制」**であることです。ここは、AIエンジニアやAX(AI Transformation)コンサルタントなど、AI・テクノロジー分野で本気で活躍されている、あるいはそれを目指す方だけが集まる場所にしています。
──なぜ、招待制にこだわったのでしょうか?
前田: それは、コミュニティの「質」と「熱量」を守るためです。誰でも入れるオープンな場所では、情報の質は薄まり、本当に価値のある繋がりは生まれにくい。クローズドな環境だからこそ安心して深い情報交換ができ、「この場所にいる人は、自分と同じ方向を向いている」という信頼感が生まれます。
実際に、ここで出会ったエンジニア同士が新しいプロジェクトを始めたり、企業の抱える課題について自然に議論が始まったりといった光景が、日常的に生まれています。まさに「思考と開発の拠点」であり、「エンジニア同士の共創・連携拠点」になっているんです。
もちろん、その”思考”を邪魔しない空間設計にもこだわりました。
50席以上を確保した開放的なレイアウト、集中を妨げない照明、長時間座っても疲れない椅子、そしてドリンクやフードも無料で提供しています。全ては、最高のパフォーマンスを発揮してもらうためです。
NeuroHubの先に描く、企業の未来を変える「AXラボ構想」
──お話を聞いていると、NeuroHubは単なるコミュニティスペースに留まらない、もっと大きな構想の一部であるように感じます。
前田: その通りです。鋭いですね(笑)。NeuroHubは、私たちが提唱する**「アメーバ型AXラボ構想」**の、いわば入り口であり、最も重要なタッチポイントです。
──「AXラボ構想」、詳しく教えていただけますか?
前田: 多くの企業がAI導入で失敗するのは、前述の通り、専門人材・AI戦略・開発リソース、このいずれか、あるいは全てが不足しているからです。DeNAさんのように「AIにフルベット」できる企業は稀です。
そこで私たちは、このAI活用に必要なリソースを、企業ごとに最適化し、”貴社専用のAI部門”として丸ごと提供するのが「AXラボ」です。
NeuroHubに集うトップクラスのAI人材、私たちの持つAIコンサルティングのノウハウ、そしてAIインテグレーションを実現する開発力。これらを必要な時に必要なだけ、まるで自社のリソースのように活用していただく。それによって、PoCで終わらせることなく、AIをビジネスの血肉として実装し、本質的な事業変革、つまりAXを成功に導く。これが私たちの構想です。
NeuroHubは、そのための仲間(AIプロフェッショナル)と出会い、企業のリアルな課題を吸い上げるための、欠かすことのできない最前線基地なんです。
──壮大な構想ですね。まさに社会課題の解決に繋がっています。
前田: ええ。私たちは本気です。この”場”から、日本のAI活用を次のステージへと引き上げたい。
最後に
──最後に、この記事を読んでいる方へメッセージをお願いします。
前田: もしあなたが、AIの力で世の中に価値を生み出したいと考えるプロフェッショナルなら、ぜひ一度NeuroHubの扉を叩いてみてください。ここには、あなたの知的好奇心を刺激し、キャリアを加速させる出会いが待っています。
そして、その熱量を体感していただくための、特別な機会を用意しました。
来る7月23日(水)、AIのビジネス実装の最前線を走るトッププレイヤーたちをお招きし、**「AIビジネス実装フォーラム」**を開催します。技術、ビジネス、戦略、その全てが交差する、まさにNeuroHubを体現するような一夜です。
詳細は次回の記事でお伝えしますが、まずは私たちDXHRとNeuroHubの活動に、ぜひ注目していてください。フォローして、最新情報をお待ちいただけると嬉しいです。一緒に、日本のAIの未来を創っていきましょう。