DROBE 内でトップレベルに複雑な機能として物流機能がありますが、それもこの頃にシステム化しました。複雑である要因は、物流のオペレーションが商品の返品を前提としたフローとなっている点です。 一般的な EC においては同じ商品は同じ ID (EC 畑の方は sku という表現の方がわかりやすいかもしれません) で表現することができます。つまり A さんに送った商品も Bさんに送った商品もデータベース上は同じものとして表現出来ます。一方で返品を前提として考えると、同じ商品 ID でも A さんに送った商品と B さんに送った商品は違うものである、という前提のもと管理を行わなければならず、管理の粒度を一段細かくしなければいけないのです。
DROBE はサービスの企画段階から AI を上手く活用してスタイリングの精度を上げながら時間を短縮することが前提となっていました。今思うと何とも無茶な計画だなとも思うのですが、精度向上と時間短縮によるコストカットが至上命題で、テクノロジーを活用してそれを実現することがエンジニアに求められていました。
AI 化が本当に可能なのかということを検証しながら、本番化に備えるためにデータ基盤の整理は必須要件と捉え、DROBE ではサービスローンチ直後に各種のシステム化がひと段落した時期にデータ基盤の構築を行いました。
サービスローンチして 1 年くらい経ちデータがそれなりに溜まってくると、事業計画上のプレッシャーから AI の開発と導入が強く望まれる状況になってきました。
当時の自分は AI についての解像度がめちゃくちゃ高いというわけでも無く、最悪ユーザーを ~100 くらいにクラスタリングして、クラスタ毎に事前に決めた商品を提案できれば良いかな、というようなことを考えていました。(今思うと何とかなると高を括っていた)
実際に開発を始めてみるとその考え方は一瞬で否定されました。この手法で提案した商品をスタイリストに見てもらうと全然ピンとこないという結果になりました。これは真面目に AI 作らないとダメそうだぞ、とかなり焦ったのを覚えています。
AI の開発は会社の優先度としてとても高かったため、代表の山敷や COO の長井もフルコミットした事に加え、私以外にも機械学習を専門で行うエンジニアの採用を進めとても強いチームを作る事が出来たおかげで、当初想定していたスタイリングを行う AI のみならず、ユーザーと商品のサイズがぴったり合うかという事を判断する AI もこの頃に開発されました。
AI を利用した機能追加
AI ができるとそれをサービスに組み込んでいきました。 まずはスタイリストが使うスタイリング画面で AI を活用したレコメンドが使えるようにした結果、スタイリングの時間を大幅に短縮することが出来ました。
テストマーケティングの時代には商品を送る前にチャットでカウンセリングを行っていたのですが、事前提案という仕組みに変更しました。事前提案とは商品を少し幅広にピックアップして発送前に送ってほしいかどうかを確認する機能です。これは商品の選定を事前提案時と実際の発送時の 2 回行うということに他ならないので、コスト構造上 AI のサポート無しではあり得ない機能だったと思います。 この機能の開発のストーリーはこちらにまとめてあるので是非ご一読ください。