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エンドユーザーの間近で『IRIAM』の価値を問い続ける。技術とマネジメントの2軸で開発をリードするエンジニアとは

スマホと1枚のイラストで、キャラクターとしてライブ配信ができる新感覚Vtuberアプリ『IRIAM』。

なりたい自分、なってみたかった姿になれて、職場や学校、家とも違う第3の「居場所」として過ごせる独自の体験価値を提供し、2024年9月末にダウンロード数391万、配信者数15万人を突破。年間78億円の売上をあげ、11月には米国でサービスを開始しました(※)。

この成長を継続させるため、ユーザー価値を創造し続ける『IRIAM』の開発現場には、テクニカルチームオーナー(通称TTO)というポジションで舵を取るエンジニアリーダーがいます。

プロダクト開発を指揮する山崎 倫太郎(やまざき りんたろう@zakky)とテクニカルチームオーナーの三嶋 哲也(みしま てつや@oden)の対談から、そのポジションの役割ややりがい、さらにエンジニア視点でみたプロダクトについて探ります。

※……『IRIAM』は現地時間11月15日、米国でのサービスを開始しました。詳しくはこちら

INDEX

インフラエンジニアからの転向、テクニカルチームオーナーって?


山崎 倫太郎(以下、zakky):odenくんが『IRIAM』に兼務で関わり始めたのは、2022年でしたよね。

三嶋 哲也(以下、oden):はい。もともと事業に携わりたい、自分のつくったプロダクトをユーザーさんに届けたいという思いで、2021年にDeNAに新卒で入社しましたが、研修を通して自分の技術の専門性や引き出しが足りていないと痛感して、配属ではあえて技術に専念できるインフラ基盤の部署を希望しました。そこで技術の研鑽を積むうちに、もっとプロダクトの近くで開発をやりたいという入社当時に持っていた気持ちが沸々と湧いてきたんです。

zakky:それでなぜ『IRIAM』へ?

oden:ちょうどそのタイミングで社内専用のジョブボード『OpenQuest』(※1)に『IRIAM』の募集が掲載されていました。『IRIAM』に異動した何人かの先輩から話を聞いていくうちにチャレンジしたいという思いが強くなって。「カルチャーもすごくフィットすると思うよ」という言葉にも背中を押してもらって、シェイクハンズ制度(※2)を利用して異動しました。

※1……『OpenQuest』に関する記事はこちら
※2……本人と異動先の事業部長の意志が合致すれば、上長や人事の介入なしで部署異動ができるキャリア制度。シェイクハンズ制度に関する記事はこちら



zakky:『IRIAM』に異動して、仕事は変わりましたか?

oden:仕事の本質は変わっていません。現在私がいる第一グループは、新規のユーザーさんやプロダクトを使い始めて間もない方に向けて、ライブ配信の楽しさや価値を届ける施策を仮説検証したり、機能追加などの開発を担当しているチームです。そのチームでテクニカルチームオーナー、通称「TTO」というポジションを担っているんですが、あまり馴染みのない言葉ですよね。一般的にいう「リードエンジニア」や「チームリーダー」のポジションをイメージすると近いのですが、役割はそれらより広いです。

チームの構成としてクライアントエンジニア2人、サーバーエンジニア2人、僕がリーダーとして立ってエンジニアは5人。そこにPdMとデザイナーが1人ずつ、品質保障をするQAが状況に応じて1人か2人入って、7~8人体制で「ユーザーさんにいかに最短でIRIAMを楽しんでいただくには?」という問いを追求しています。

役割や仕事内容は変わったのに、前述で仕事の本質は変わってないと伝えたのは、仕事をやってみると『IRIAM』のテクニカルチームオーナーのポジションはインフラと似ているところがあるからなんです。

zakky:似ているところがあるんですね。たとえば?

oden:インフラはサービスの一番下支えのところで、そのサービスがどういう構成になっているかだったり、どういう外部要因があってサービスが止まる可能性があるかなど、全体を把握しなければならないポジションです。どこまで細かくコンポーネントを把握するかなど粒度の差はあれど、テクニカルチームオーナーもチームのリーダーとして全体観をつかんでいなければ、誤った意思決定をしてしまったり、その精度が落ちてしまいます。今のポジションもインフラも、全体を把握した上で仕事をするという意味で近しいと感じています。

また成長できた部分で言うと、技術の幅という点で、それこそ配信サーバーとか、『IRIAM』が向かっている技術的な動向だったり、見なくてはいけない領域が広がりました。専門的なスキルを持っているエンジニアも多く、彼らと密に連携していくためにもキャッチアップ力が必要ですし、実際に身を置いてみて、多様なスキルが身に付く環境がIRIAMにはあるなと感じています。

新しいポジションが生まれた背景、テクニカルチームオーナーに手を挙げた理由

zakky:なるほど。そういう近しい感覚や逆に広がった感覚があったわけですね。少し聞き慣れないかもしれないテクニカルチームオーナーというポジションについて、もう少し具体的な話を聞かせてほしく、そのためにまずodenくんのチームが生まれた、スタートした時の話をしたいです。確かサインアップ率の改善を目的に新チームを立ち上げ、そこにアサインされたのが最初でしたよね。

oden:2023年の4月でした。『IRIAM』はGoogle認証とLINE認証が入っていなくて、初期のサインアップのところでユーザーさんが離れてしまっているからその数字を上げる、というのが命題でした。それを解決すべく対応に必要なメンバーがいくつかのチームから集まりましたね。

zakky:別々のチームからフラットな状態で集まった11人くらいのメンバーを誰かがまとめなければという中で、誰かに言われたわけでもないのにodenくんが自主的に束ねる役を引き受けてくれたと思うんですが、なぜあのとき手を挙げてくれたのですか?

oden:チャンスだと思ったことに尽きます。IRIAMに異動後最初の仕事では、社内の人が使う管理画面の業務改善ツールをつくっていました。その仕事ももちろん楽しかったし、大事だったんですが、自分がずっとやりたかったユーザーさんに届けるプロダクト側の仕事が回ってきたので、ここで自分がやれることは全部やり切りたいなと。迷いはなかったですね。

zakky:自分でチャンスだと思って、それをつかんだわけですね。その結果チームをリードする立場になり、今はグループマネージャーとしてマネジメントもしています。odenくんはメンバーに暗黙的にリーダーと認められて自然な流れでマネージャーになったケースですよね。

IRIAMが100人を超える組織になったタイミングで、組織をスケールさせていくための組織構造を検討した際、行きついた結論は、ミドルマネージャー層を充実させ、適切な範囲を見る組織構造に変えるということでした。必要なのは新しいマネージャーで、誰がやるかとなったとき、結果を出して信頼を獲得しているodenくんの名前が挙がったのは自然な流れだったのかもしれません。そしてそのタイミングでテクニカルチームオーナーと言われるポジションも生まれましたよね。

oden:はい、そのタイミングだったと記憶しています。PdM、デザイナー、QAなどすべての職種と密に議論・連携し「これをつくることでユーザーさんに価値が届くのか?」ということを常に問い続けるエンジニアのリーダー。そして、ユーザーさんにどういう価値を届けるべきかをリードしながら、チームとしてはもちろん、メンバーの成長にもコミットするポジションとしてつくられました。

zakky:そういうポジションを新しくつくろうという結論に至ったのは、ライブ配信市場そのものがまだ成熟しきっていないがゆえ、どの機能を出せばユーザーさんに喜んでもらえるか正解がない中で仮説検証を繰り返してるサービスだから。我々がその「正解」が何かをつくっていく側で、その正解に最もアプローチできる体制と考えたときに必要なポジションでした。

届けたい価値を具体化するソリューションを考案したり代案を提示できるエンジニアがテクニカルチームオーナー。そこに適性と本人のWILLがあればピープルマネジメントも任せます。

そんな経緯でテクニカルチームオーナーというポジションが生まれ、odenくんには実際活躍してもらっているわけですが、このポジションにチャレンジすることに難しさや怖さはなかったですか?

oden:そうですね。もちろん簡単ではありませんでしたが、新しいことにチャレンジしやすい空気感がIRIAMにはあると思います。個人がチームの期待を越え続けることで、その熱源がチーム全体に伝播し、熱量の高いチームになっていくというのはIRIAMのバリューでもあります。実際にIRIAMでは多くのメンバーがさまざまなチャレンジをし、僕自身もすごくいい刺激をもらっています。そんな環境に身を置いているからこそ、プロダクト開発もマネジメントの経験もなかったけれど、失敗を恐れずに手を挙げられたというのは、振り返って思うことです。

エンジニア視点で見た『IRIAM』。開発の肝は「ユーザーさんにとって価値があるかどうか」

zakky:テクニカルチームオーナーというポジションは、難しさもあるけれど挑戦しがいのあるポジションということですね。

ところで、少し話が変わるのですがodenくんたちエンジニアから見た『IRIAM』って、どんなプロダクトですか?

oden:技術的な挑戦度合いの観点で言うと、エンドユーザーからのリクエスト量はもちろん、ライブ配信ならではの各コンポーネント同士の内部の通信なども含めて、複雑かつ大量のトラフィックを高速に捌くというチャレンジングなプロダクトだと思います。

zakky:『IRIAM』の本丸はまさしくライブ。新しい配信技術に触れたり、配信を支えている各種コンポーネントの既存構成の難しい技術を解きほぐしたうえで、一歩一歩、積み上げていくことが要求されます。

確かに技術的な挑戦度合はエンジニアとしていい経験ができるプロダクトですよね。それと今までいくつかの会社やプロダクトを経験した身として言うと、『IRIAM』はユーザーさんが近くに見えて、自分がつくった機能や変更したコードが、何万人というユーザーさんの手触り感に直結するのがすぐにわかる。エンドユーザーとの距離感がすごく近いプロダクトというのも特徴的です。

oden:そうですね。ユーザーさんを身近に感じながらの開発で、ユーザー理解や事業理解も深まっていっていると思います。それがないと結局、自分たちがつくるものとか、追加していく機能が不十分なものになってしまいます。

通常の開発では、PdMやデザイナーから下りてきたものをエンジニアが手を動かしてつくるのが一般的な工程だと思いますが、『IRIAM』が追求する領域はファジーで、「これって本当にユーザーさんにとって価値があるんだろうか」と仮説として曖昧なこともある中、「こういうつくり方だったら簡単につくれます」「それをやりたいんだったらこの手段の方がいいんじゃないか」と提案していくようなボトムアップの動きがエンジニアには求められます。

要件のブラッシュアップや設計の考案、実装手段の検討など、日常的にチームで議論しながら「何でこの機能を開発してるんだっけ?」「ユーザーさんにどんな価値を提供したいんだっけ?」という問いに応え続ける姿勢が求められると感じています。

加えて、エンジニアが開発しやすい環境への技術投資に、経営層の理解があることも魅力のひとつだと思います。『IRIAM』のサーバーサイドはもともとC#で書かれていましたが、今後の開発の進めやすさを考慮してGo言語にリプレースされました。こうした環境で成長を続けるプロダクトに携わることは、モノづくりの楽しさはもちろん、エンジニアとしての成長ややりがいを実感できると思います。

エンジニアリングとマネジメント、どちらの道も諦めない。テクニカルチームオーナーだから得られる経験とは

zakky:エンジニアとしてのキャリアを積むうえで、このポジションを担うことで得られていることはありますか?

oden:広義のエンジニアとしての成長です。設計やコーディングはもちろんですが、「どういう時間軸で、どういう価値をユーザーさんに提供できるのか?そのためにどういう技術的な意思決定をすべきか?」もセットで考える必要があります。

たとえば、まずはスピーディーに仮説検証をしたい場合に、「この仕様は複雑すぎるから、より簡易な仕様に変更できないか?」という提案をPdMに持っていくとか。こうした技術的な意思決定の場面が多く、「プロダクトをつくるエンジニア」としての引き出しが増えていく実感があります。

zakky:一方で、そうした技術的な意思決定って結構大変じゃないですか?既存の技術的な制約をどれくらい把握できているかが重要になってきますよね。

oden:おっしゃる通りです。自分が担当する機能だけでなく、より全体を俯瞰して見る必要がある場面がとても多いです。他にも同じコードベースで開発を行っているチームがいくつもありますし、局所最適な意思決定に偏りすぎて、技術的な負債を残してしまうようなことがないよう心がけています。

zakky:自分たちのチームもそうだし、他のチームへの影響も考えて、長期的な運用目線でよりよいアーキテクチャの設計やコードベースのリファクタリング、技術選定のやり方があるんじゃないかみたいなところは、自然と引き出しが増えますね。そして、そこにマネージャー要素も入ってきますよね。

oden:はい。このテクニカルチームオーナーというのは、チームとして常に価値を最大・最速で提供するためにはどういう環境を整えて、どういう成長を促すかを考え、動き続けるポジションです。実際にはマネジメントはしているけれどその感覚は結構薄くて(笑)。メンバーと一緒にチームやプロダクトをどうしていきたいかを議論し続けているという感覚の方が強いです。

zakky:直接開発現場も見ている、必要であれば自分も手を動かしているからこそマネジメントしている感覚が少し薄いのかもしれないですね。つまりはマネジメントだけではなく、いわゆるプレイングマネージャーのロールになりますが、それをこなすうえで、odenくんなりに心がけていることはありますか?

oden:テクニカルチームオーナーの役割として重要な意思決定をする必要があるので、そのためできるだけ現場から離れないようにしています。一般的にマネージャーになると直接現場に入る場面が少なくなりがちだと思いますが、自分自身も手を動かしてコードを書いたり、設計することを続けなければ、意思決定や技術選定の現場感を失ってしまうかなと。エンジニアのキャリアは、スペシャリストとマネジメントの2本に分かれていくとよく言われますが、両方を取れるのがこのポジションで、そのバランスが求められるから経験できることがたくさんあるなと思います。

テクニカルチームオーナーは、言わば意思決定のレバーをずっと握っている状態です。意思決定の連続だからこそ、自分でプロダクトを動かしているとか、変える、つくっている、ユーザーさんに届けているという感覚はめちゃくちゃ強くて、めちゃくちゃ楽しいですね。

zakky:チームとして目指したい方向性があって、そこにチームとしてたどり着くためにどう出力を上げていくか。課題を捉えて要件定義・要求分析することで、いかにレバッジの効く機能開発を導けるかがこのポジションの難しさでありおもしろさだと思います。

oden:そうですね。個人としてのチャレンジはもちろん、チームやメンバーの成長にも前のめりで取り組める。どうしたらユーザーさんに満足を届けられるか、生活が豊かになるか、明日が楽しくなるか。そんなエンジニアリングに興味のある方なら、このポジションを楽しみながら探求できると思います!


※本記事掲載の情報は、公開日時点のものです。

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