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Basics 6 Tips ; チームで働く=生きた証を残すこと

大きな仕事を達成するためには?

以前、米国にセミナーを受けに行ったときに、あるスピーカーがこんな言葉を言っていた。

「If you go fast, you go by yourself, But if you go far, you go withyour team.」

直訳するとこうなる。「素早く行きたいなら1人で行きなさい。しかし、遠くに行きたいならチームと一緒に行きなさい」。遠くとは、「より大きなことを成し遂げたいなら……」という意味だろう。
1人で仕事をしたほうがコミュニケーションロスもないし、早くできる。しかし、それでは大きな仕事はできない。意義のある仕事もできない。ただの道具になってしまう。

こう考えると、「ノマド」とか「フリーエージェント」というのは悲しい生き物だな……と思ってしまう。ノマド、フリーエージェントの人は、組織に属さず、1人で生きているのでとても自由だ。実際には、自由の裏には重い責任とリスクがあるのだが、快適なライフスタイルを過ごせるという意味で人気がある。

しかし、それってただ自己の快楽・快適の追求なんじゃないだろうか。意味・意義のある何かを成し遂げることはできないんじゃないか? ただ単にその日その日を快適に過ごしているだけで、組織からは道具として使われて、大きな仕事は達成できないんじゃないか?

……と、そんなことを思ってしまうのだ。


個人の仕事をチームの仕事に

大きな仕事、何かを残せる仕事、意義のある仕事をやるためには、やはり組織・チームで動かなければできない。そのために、ウチでも1人でやる職人的な仕事を、できるだけ「チームでやる仕事」に変えていくようにしている。個人が出す成果は、チームや組織が出す成果には絶対にかなわないからだ。

では、チームとしてうまく機能するためには、何が必要だろうか。それは「ゴール」だ。共通のゴール、共通の目標があるから、チームはチームとして成り立つ。組織がうまくまとまる。

元スタバCEOの岩田さんは、CEOに就任したとき、「100年後も輝き続けるブランドを目指す」と言ったそうだ。その目標を掲げ、過去最高売上を達成している。
100年後って、ちょっと想像もできない。ほぼ確実に、今いるメンバーは全員死んでるし(笑)。

しかし、自分が死んでからも自分が創ったものが残るってのは、なんだか常軌を逸していて、ステキな感じがするのはぼくだけだろうか。せっかくこの世に生まれてきたからには、何かを残したいと思うのは人間の性だと思う。


25 年後に存続している企業

100年後なんて、今のぼくはまだ未熟で、想像もつかないが、じつは数年前に「25年後」というタイトルのメモなら、社員のみんなに送ったことがある。
このメモは、「25年存続する企業はほとんど存在しない」という内容を伝えるものだった。この事実に照らし合わせると、25年後にあなたがまだ現役でいるなら、そのときは99%以上の確率でこの会社で働いていないということになる。だから、そのときまでに自分の市場価値を高めておきなさい、という趣旨。

今回は逆に、25年後も会社が存続しているためには、素晴らしい会社として存続しているためには、どうすればいいんだろう? という話をしたい。

あなたはマンチェスター・ユナイテッドというチームを知っているだろうか。イギリスの名門サッカーチームで、世界でもっともサポーターが多いクラブだ。大人気だったベッカムが所属していたチーム。あの赤いユニフォームのクラブだ。

このクラブ、今では名門として優勝争い常連の強豪クラブになっているが、以前はそうでもなかった。低迷していたそのクラブを世界最高の常勝チームに変えたのは、アレックス・ファーガソン監督。
ファーガソン監督は、英国史上最高の指導者として知られており、マンUを指揮した26年間で、史上最多である38個の栄冠を手にしている。あまりにも功績が多すぎるので、それを書くだけで1ページ埋まってしまうくらい。

しかし、ポイントは彼の功績ではなく、彼がマンUを常勝チームへと変えるために何をしたかである。ベッカムやルーニーなどのスーパースターをドラフトで獲得したこと……だと思ったとしたら、それはちょっと違う。彼はベッカムやルーニーを獲ったのではなく、「育てた」のだ。

彼がマンUに来て最初にやったのは、「ユース・アカデミー」を創り、そこでベッカムのような人材を育成することだった。まだ10代だったベッカムその他のような才能を見つけ、育てていくこと。それによって、その後26年間、マンUは常勝チームとなった(つねにスタープレイヤーがユースから生まれる仕組み)。そう、彼の人材戦略、つまり人材の発掘と教育こそが、このクラブを26年以上も繁栄させた基本的な戦略だったのだ。ちょうど先ほどの「25年後」の話と同じくらいの時間の長さだね。


人材の教育こそが生き残るための基本戦略

これはウチにも当然、言えることだ。これから25年間、繁栄、成長し続けるには、人材の教育こそが基本戦略となる。ぼくは「知的ワーカーとアスリートは同じ」と言っているが、サッカーもマーケティングも非常によく似ている。若いベッカムをスーパースターに育て上げるには何が必要か? 若い人材をスーパースターに育て上げるには何が必要か? これは社員全員が考えていくべきことだ。

「いや、オレは入ったばっかで部下なんかいないから、関係ないんだ」
なんて思う人は、ずっとそのままだろう。なぜなら、あなたにもすぐに後輩ができて、その指導教育をしなければならなくなるからだ。

指導教育をするためには、自分がそれをできなければいけない。自分ができて、さらにそれを周囲に教えなければいけない。全員が指導・教育の担当だと思わなければいけない。それがチームということだ。自分こそが「教える役割だ」と思って学ぶと、学習効果や成長スピードも速くなる。つまり「教える」という行為は、組織やチームにとってだけでなく、あなた自身にとってもいい効果があるのだ。

25年後にも強い企業、強い組織でいられるためにも、自分自身が教育担当であると自覚してほしい。あなたは、今は経験も知識も少ないかもしれないが、自分自身が教育担当であるという姿勢でいれば、3年後にはかなりの知識と経験が貯まる。そのときには、あなたよりも知識も経験もない後輩が存在する。

ぼくらがやっている「教育」という事業は、長期的な視点で見れば、もっとも社会に大きなインパクトを与える事業だ。20年後、30年後、あるいは自分が死ぬときには、「世の中をよい方向に変えた」と誇りを持って言うことができるようにしよう。それが全員で目指すべきゴールだと思う。

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