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小さな「好き」の積み重ねで今がある──グローバルに活躍するエンジニアの軌跡

2019年にサイバードに入社し、フルスタックエンジニアとしてさまざまなプロジェクトに携わってきたアレクサンドル・クプリヤノフ。13歳で日本のゲームと出会ってから、好きなことを追い続けてきた彼は「大きな目的は持っていなくても道は開ける」と語っています。彼の道がどのように開けてきたのか、ご覧ください。

その場の利益にとらわれず、好きなことに自分を捧げる

クプリヤノフがサイバードに転職をしたのは2019年のこと。前職の社長に勧められたことがきっかけでした。自身の好きなストーリー性のあるサービスを持っていたこと、そして扱っていた技術も近いことからサイバードに興味を持ちました。

入社後は、さまざまなプロジェクトの中で挑戦を続けています。

クプリヤノフ 「海外事業のチームでは、主に英語圏で提供しているイケメンシリーズの保守を担当し、アプリサポートグループでは、プロジェクトを横断してアプリ側の細かいバグを修正したり、環境を整備したりしています。

また、Voice UIチームでは、リリース中の『政宗の部屋』というスキル開発をサポートし、HTMLの部分を担当していました。その他にも、テストを自動化する社内ツールも開発しています」

なぜ多岐にわたってさまざまなことに挑戦をしているのかというと、「そっちの方が面白い」と思っているからです。

クプリヤノフ 「一番経験が多いのはPHPなどのバックエンドですが、ずっとそれだけをやると退屈になってしまうんです。何も経験がない中、いろいろなことを始めてみると、新しいことを覚える楽しさを味わえます。なので上司に『こういう新しい仕事があるけれど、やりますか?』と聞かれたときには、『ぜひやらせてください』と返事をしています。

ひとつの分野を長くやっていれば、そこに精通できるというメリットもあります。ただ私は、同じ時間を使うなら色々なことをやってみた方が、自分自身の時間をもっと活きた時間にできると思っています。飽きずに仕事ができる今の環境には、すごく感謝していますね」

意欲的に挑戦を続けているクプリヤノフですが、目標や夢を持つことについては、「最初からわかるものではない」と言います。

クプリヤノフ 「世の中ではよく『目標や夢を持ってください』と言われていますが、最初からわかっている人は少数だと思うんです。私自身は、今大きな目標を持っていなくても、道さえあれば見つかる、と考えています。

その場の利益にとらわれず、時間という持っているリソースを好きなことに捧げて、変化を恐れず好きなことを追い続ければ、長期的に自分と周りの人の幸せにつながると信じています。
大きな目的への道だって、小さくとも好きなことで作り上げれば、どの目的も実現でき、達成までの工程も楽しくなると思うんです」

こういった考えを持つようになったのは、子供のころの経験が大きく影響しています。

きっかけはノベルゲーム。積み重ねた想いが今に導いた

▲屋久島への旅行でアウトドアを楽しんだ際の一コマ


もともとインドアよりもアウトドアが好きで、サーフィンや登山、スキー、カヌーなどさまざまなことに親しんできたクプリヤノフ。多感な時期を迎えた13歳のとき、転機が訪れます。

クプリヤノフ 「引越しをすることになり、これまでいつも一緒にいた友達と遊べなくなり、辛い時期をひとりで過ごしました。そんなとき、パソコンやゲーム、アニメなどにすごく救われたんです。そこで初めて日本の文化に興味を持ち、自分が好きなノベルゲームの台詞を読むために日本語の勉強を始めました」

そこから徐々に自分でゲームを作るためにはどうすればいいのかを考えるようになり、プログラマーである兄の「とりあえずもっとITについて勉強してみたら?」の一言で、専門の大学に入学することを決めました。
しかし、そのときはまだ、日本で仕事をすることになるとは思っていませんでした。

クプリヤノフ 「よほどのお金持ちでないと日本で生活するのは無理だと考えていたので、大学卒業後もロシアでゲームとは関係のない仕事をしていました。ただ、日本に行ってみたいという想いはずっとあったので、2014年、日本に行くことを決意しました。3カ月だけ日本語を勉強することにしたのです」

それまで日本人と一度も会ったことがなかったクプリヤノフは、初めて日本人に会い日本語を聞いて、感動したと言います。

クプリヤノフ 「最初の1カ月でいろいろな人と話をして、なぜだかわかりませんが、日本が私の家なんだという気持ちになりました。おそらく、私自身が日本人の性格や国民性に近いロシア人だったからだと思います」

帰国後もそうした感動が忘れられず、日本での経験を語るクプリヤノフに、友人が「日本語もできるんだから、それなら日本に引っ越せば?」と言ってくれたのです。

クプリヤノフ 「日本に住むのは無理だと思い込んでいたので、その気づきを与えてくれた友達にはとても感謝しています。そこから日本の転職エージェントと連絡をとり、ビデオ通話などでいろいろな会社の面接を受け、前職のゲーム会社から内定をもらいました。

こんな風に、私のキャリアはどこにたどり着くのかわからずに始まりました。好きなことを積み重ねた結果、今も好きなことができているのが嬉しいですし、感動もしています」

幅広い挑戦が評価され、TOP HEROに

▲2020年度 CYBIRD HEROESの「TOP HERO」を受賞したクプリヤノフ


サイバードへ転職して1年半、クプリヤノフは半期で最も実績を挙げた社員へ贈られるCYBIRD TOP HEROを受賞しました。

数少ないフルスタックエンジニアとしてさまざまな問題を常に尽力し的確にクリアする姿、少しでも時間ができると自社コンテンツのために進んで勉強や研究を行っている姿が、CYBIRD SPIRITSで掲げるValueの「挑戦」を体現していたからです。

クプリヤノフ 「発表されたときはすごく驚きました。私よりもTOP HEROにふさわしい人がいたと思うのですが、エンジニアの中でも、ひとつのものだけではなく、いろいろなことに挑戦していることが評価されたのだと思います」

そんなクプリヤノフですが、数年前まではひとつの領域を専門的に掘り下げるタイプのエンジニアだったと言います。その考えを変えたのが、前職の上司でした。

クプリヤノフ 「前職の技術部長が技術だけにこだわらず、企画なども含め幅広く対応する人でした。さらに、そのノウハウを自分の中だけに留めず、人に教え、対応できる人を増やしていたのです。その人に出会い、ずっと特定のところを専門にしていた自分のことをすごく弱く感じたんです。

また、ずっと同じことを専門にしていると、そこしか見えないので、自分が頑張ってやった仕事が実はプロジェクトに貢献できるものではなかったこともありました。幅広くわかる人がそばにいると、その人からアドバイスをもらってなんとかできる人が増えますし、そういった周りを助ける人がいないと困ると気づき、幅広く仕事をしようと考えるようになったんです」

現在では、すべての技術がつながっていると考え、自然と関連分野を調べ、少しずつ詳しくなってきたと言います。

「好き」がたくさんあると、幸せが溜まっていく──だから、積み重ね続ける

▲ロシアで暮らしていた部屋は「好き」の原点とも言える


2021年現在、フルスタックエンジニアとして、さまざまなプロジェクトに関わる日々を送っていますが、とくに緊急対応が必要になったときに、その力が発揮されます。

クプリヤノフ 「通常の緊急性のないアプリ開発では、事前に必要な人やスキルがわかるので、準備を整えて開発に臨めますが、緊急時にはとにかくスピードが大事です。限られたリソースで問題の全体像を把握していかなければならないので、できることの範囲が広いほど、いろいろなパターンに迅速に対応できます」

人それぞれの考えがあり、ひとつの分野を専門にし、年単位で極めていく人もいる。
それでも、今後エンジニアとして成長していく若い方には、広い視野を持ち、たくさんの経験を積み重ねてほしいと考えています。

クプリヤノフ 「最初は好きじゃなくて、たとえばお金のためにやっていくこともあると思うのですが、そういったことでも長くやっていくうちに好きになったりします。得意なことで最低限必要な生活費を稼ぎ、少しずつ好きなことにシフトしていくのもあり。

好きなことがたくさんあると、嫌にならず幸せが溜まっていくんです。なので、たくさんのことに挑戦して経験を積み重ね、もっと大きなゴールにつなげていってほしいと考えています」

また、クプリヤノフ自身にもまだまだやってみたいことがたくさんあります。

クプリヤノフ 「サイバードでやりたいことは、ハイパーカジュアルゲームです。Unityの開発経験はまったくなかったのですが、昨年、簡単なアプリを作ることを目標に掲げ、実際に簡単なアプリを作りました。
それ以外にも、本を書いたり、絵も描けるようになりたいですし、自分の会社も作りたいです。

新しいことに挑戦すると失敗が怖いという人もいますが、私はあまりそういう風には考えないようにしています。不可能だと思っていた日本に住むという夢も、好きなことを積み重ねて、今ここにいて、実現しています。普通の人にはできないと思っていたことができたんです。

だから、怖いと思わずに、とりあえず好きだからやってみようという気持ちでやってみるのがいいと思っています」

好きなことを積み重ねることで作ってきた道も、まだ半ば。
クプリヤノフはこれからも挑戦を恐れず、より大きく広い道へ進んでいきます。

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