異国の地で信頼を築いた、一人のエンジニアの物語
日本で20年、少数精鋭のSES企業を率いる代表取締役・金 正太(キム ジョンテ)氏。
「利益よりも人を大事にしたい」という信念の背景には、異国の地で積み重ねてきた経験があります。
30歳で来日し、言葉も文化も異なる環境の中で、真摯に人と向き合い続けてきました。その姿勢は今も変わらず、株式会社アイドリーム21という会社の礎になっています。
不採用から始まった「日本との縁」
韓国国立大学工学部を卒業後、アメリカ留学を目指して準備を進めていた金氏。しかし当時の金融危機の影響で留学を断念せざるを得なくなり、進路を大きく転換します。IT専門教育機関を修了し、年齢的には少し遅れての社会人スタートでした。
就職活動の中で出会った日本企業の社長との面接が、人生の転機になったといいます。
3〜4時間に及ぶ面談の中で、お茶を丁寧に差し出し、最後に深く頭を下げて別れたその社長の姿が印象に残ったそうです。「初めて日本という国に強く興味を持ちました」と金氏は振り返ります。
しかし残念ながら結果は不採用。納得がいかず電話で「もう一度チャンスをください」と伝えたほど、心が動かされた出会いでした。この経験が、後に日本へ渡るきっかけになります。
技術者としての成長と、日本との絆
その後、ご縁がつながり韓国で入社したベンチャー企業では、日本向けの発券システム開発を担当。仕事を通して何度も日本に出張するうちに、日本の文化や働き方に惹かれていきました。
そんな中、日本語と韓国語の勉強会で現在の奥様と出会い、自然と日本への関心が深まっていきます。「英語圏への憧れ」から「日本で生きる」道に進んでいきました。
その後、2001年に拠点を完全に日本に移します。来日後は日本企業で技術者としてキャリアを重ねながら、文化や価値観の違いを学び、自分なりの仕事観を育てていきました。
起業の原点「人を大事にできる会社をつくりたい」
来日後に関わった会社では、共同創業の立場で、技術だけでなく人事・労務といった管理業務にも携わりました。取締役兼技術管理職として、事業を率いながら、営業以外の仕事は何でもこなした時代です。
当時の現場では、教育のないまま外国籍エンジニアを現場に送り出すケースもありました。「日本語もわからず、戸惑いながら働く仲間たちが本当にかわいそうだった」と語ります。
「人を数で扱うような経営はしたくない」そうした想いから、2006年に株式会社アイドリーム21を設立しました。
社名に込めた意味は「人(I)と夢(Dream)を現実(21=21世紀)につなぐ」こと。一人で始めた会社は、少しずつ成長を重ね、2025年で20周年を迎えることができました。
「人」を軸に育て「人の信頼」で仕事を作ってきた20年
(2017年バーベキューイベントの様子)
アイドリーム21は設立以来、SES事業一本で歩んできました。Web・オープン系の業務アプリ開発を中心に、銀行・証券・広告・SNSなど幅広い業界を支えています。
創業当初から十数年にわたって取引が続く顧客も多く、その理由は「技術より人間力」だと金氏は言います。
「小さい会社だからこそ、社員一人を見捨てることはできません。誠実であることが、最も大切だと思っています」
顧客との関係も、社員との関係も「人の信頼」を基盤に築かれてきたことが、20年続いてきた理由だと振り返ります。
社員を想う仕組みと企業文化
同社の特徴の一つは、「社員へのフィードバック文化」です。例えば、コロナ禍ではNetflixやチョコザップの利用料を会社で負担し、社員やその家族にお米を送る取り組みも行いました。これらの福利厚生は、幸せをシェアするという発想から生まれたものだそうです。
また、年に一度の社員旅行では、金氏から全社員へ「ラブレター」と呼ばれる手書きのメッセージが贈られます。1人ひとりの努力を振り返り、感謝と期待を綴ったその手紙は、社員にとって特別な宝物です。
「社員へのフィードバックが、最大の投資だと思っています。毎年の社員旅行に行けることが、私の最大のモチベーションになっています。そこに全ての想いを集約させ、その次の年に繋いでいく。これを毎年続けながら、社員と共に歩んできました」
そんな言葉どおり、社員の成長や幸せを会社の原動力に変える企業文化が根づいています。
(2023年社員旅行の様子)
今、挑戦したいことと仲間への期待
創業から20年を経て、金氏は次の目標を「5年で50人稼働・売上5億」と語ります。これは、「555プロジェクト」と呼ばれる新たな挑戦です。
そして、「30代でこの業界に入った自分だからこそ、焦らず成長していいと伝えたい」と語ります。その言葉には、キャリアチェンジを応援したいという代表の思いが反映されています。
同社が求めるのは、誠実・素直・謙虚・感謝の心を大切にできる人。吸収力があり、成長を楽しめる人であれば、必ず活躍の場があると考えています。
人と夢をつなぐ、そのために生きる
「人は幸せになるために生まれてきている」
「働く時間が人生の多くを占めるからこそ、どうすればその時間を幸せにできるかを共に考えたい」
そんな金氏の言葉が、アイドリーム21のミッションそのものです。
人と夢をつなぐ。共に成長し、共に幸せになる。社員一人ひとりの人生に寄り添いながら、誠実さを軸に人と夢をつなぐ会社を目指す。それが、株式会社アイドリーム21です。