こんにちは。RISONAL(リソナル)を運営するオーナーズです。
当社は、大企業にしか提供されてこなかった高いクオリティのプロフェッショナルサービスを、テクノロジーを活用し、中小企業向けに広く提供しています。
中小企業の生産性を高めることを存在意義として、専属M&Aエージェント(FA)サービスを民主化することを目指しています。
未経験でM&A業界に入ると、実際どんな仕事を担い、どんな壁にぶつかるのか。
今回話を聞いたのは、スポーツ行政領域での経験を経て、オーナーズにアソシエイトとして入社した児玉さんです。
入社から半年で、受託前の段階からデューデリジェンス(DD)、最終契約に近い局面まで一連の流れを経験。その中で見えてきたのは、事業承継支援のやりがいだけでなく、案件獲得の難しさや、財務面で求められる基礎力の重要性でした。
未経験候補者の参考になるよう、入社前後のギャップや、向いている人の特徴も含めて率直に聞きました。
<Profile>
独立行政法人日本スポーツ振興センターに新卒で入社。スポーツくじの販売促進、概算要求、新規部署の立ち上げ、持続可能な国際競技力向上を見据えた研究事業の管理業務を担う。途中、スポーツ庁国際課に出向し、国会対応、ラグビーワールドカップ2019東京大会のための寄附金の指定期間延長に向けた財務省協議、大臣会合をはじめとした国際会議の準備・運営等に従事。
同志社大学スポーツ健康科学部卒。HEC Paris MBA。
スポーツ行政からM&Aへ。転職で広げたかった「仕事の幅」
――これまで行政領域で仕事をされてきた中で、転職を考えたきっかけは何だったのでしょうか。
児玉:転職を決めた理由は一つではないのですが、一番大きかったのは、転職という経験を通じて仕事の幅を広げたいと思ったことです。
前職はスポーツ振興に関わる仕事でしたが、同じスポーツ業界の中でも、私が所属している組織以外にはいろいろな取り組みや違う動きがあります。そうした状況を見る中で、新しい環境で経験を積みたいと思うようになりました。
その中で、前職での経験を通じてM&Aという領域に関心を持ったことも大きかったです。もともとは、スポーツの振興というテーマを考える中で、業務にてサッカークラブとの接点があったこともあり、サッカークラブの経営に興味を持っていました。
海外ではサッカークラブの売買や投資も活発に行われていて、クラブ経営と資本の関係は面白いと感じていました。それが、M&Aアドバイザリーに関心を持ったきっかけの一つです。
もう一つ大きかったのが、事業承継です。
5年ほど前に、税理士事務所を経営していた祖父が亡くなったことがあり、それをきっかけに事務所の名前が変わりました。税理士は士業にあたるので、単純な事業承継の話ではないのですが、50年近く続いてきた事業所の名前が変わることに、少し寂しさを感じたんです。
その後、留学前に日本で浸透しつつあったトラディショナル型のサーチファンドでインターンする機会があり、そこで事業承継というテーマへの関心がより強くなりました。なので、転職活動では比較的早い段階から「事業承継のFA」という軸が私の中にありました。
入社半年で、一連のM&Aプロセスを実務で経験
――未経験で入社して半年経った今、この仕事をどう感じていますか。
児玉:一言で言うと、オーナーさんが事業承継をやりたいという、その人生の一大イベントに対して支援できる仕事だと思っています。
この半年で、ある程度一連のM&Aプロセスは見られたかなと思っています。今進んでいる案件では、アドバイザリー契約を結ぶ前の段階から関わらせてもらいました。そこから契約して、バリュエーションをして、インフォメーションメモランダム(IM)を作って、秘密保持契約書(NDA)に進み、今ちょうどDDまで来ています。
最終的な株式譲渡契約書のやり取りに近いところまで見えてきているので、半年でここまで経験できたのはありがたいと感じています。
やはりオーナーさんにとって、会社を売るというのは単なる手続きではありません。初めての経験の場合が多く、今後もうないかもしれない意思決定でもあります。
オーナーさんと合意した買い手候補に打診をして、意向表明書が出てきて、買い手候補を絞り込んで、DDが進む。その流れの中で、オーナーさん自身が「進んでますね」「実感が出てきました」と言ってくださることがあります。
そうした反応をいただくと、こちらもその緊張感や重みを強く感じますし、そこに伴走できていることはこの仕事の面白さの一つだと思っています。
未経験入社でまず必要だったのは、「完璧さ」よりレスポンスの速さ
――仕事を進める上で、特に意識していることはありますか。
児玉:可能な限り早くレスポンスすることは、私なりに意識しています。
私は未経験で入っているので、最初から仕事の質で勝負できる段階ではないと思っていました。
また、前職では上司との関係性もある程度固定されていて、「児玉は今これをやっているな」とある程度把握してもらえている環境でしたが、今は完全にプロジェクトベースです。
案件ごとに関わる上司も違いますし、周囲からすると「今何をやっているんだろう」という状態にもなりやすい。だからこそ、社内でもお客さまに対しても、レスポンスが早いことは大事だと思っています。
特にオーナーさんは、何かに迷っていたり、モヤモヤしているタイミングで連絡をくださることが多いと思うので、そこに対して早く返すことは大切にしていることの一つです。
想像以上に難しいのは、エグゼキューションより「案件を取ること」
――実際にやってみて、難易度が高いと感じた業務は何ですか。
児玉:やはり案件を取るのは難しいと感じました。
今はアウトバウンドも少しやらせてもらっていて、売り手候補になりそうな会社にアプローチすることもあります。ただ、相手が今すぐ資本提携を考えているとは限りません。そこから案件につながる形まで持っていくのは簡単ではないと実感しています。
逆に、案件を取れた時はすごく嬉しいですね。
エグゼキューションももちろんやりがいはありますが、ある程度プロセスが決まっている部分もあります。一方で案件獲得は、まだ仕事がない状態から仕事が生まれる瞬間です。そこはすごく大きいと感じています。
入社前は、エグゼキューションのほうが面白いのだろうと勝手に思っていましたが、実際に入ってみると、受託できた時の嬉しさは想像以上でした。
一番苦労したのは、財務知識と情報処理の負荷
――未経験で入ってみて、課題になったことや苦労したことはありますか。
児玉:一つはやはりファイナンスです。財務的な知識は、きちんと勉強しないといけないと感じました。
前職でも予算要求はしていたので、数字にまったく触れていなかったわけではありません。ただ、簿記も取ったことがなかったので、入社後に簿記2級を取りました。専門書も読むように努めています。
ただ、一番の先生は案件だとも思っています。実際にバリュエーションをする、事業譲渡であれば事業だけのPL・BSを作る、それを上司に見てもらう。そうしたことを繰り返しながら鍛えていく感覚です。
意外としんどかったのは、NDAのタイミングでした。
提案して受託して、買い手候補が決まり、ティーザーと呼ばれる概要書を出すと、「興味があります、NDAお願いします」という連絡が一気に来ることがあります。ただ、全社同じ文面で返ってくるわけではなく、それぞれ修正の考え方も違うし、ラリーも何回も発生するんです。
その中で、どの会社にどの版を返すのか、誰が見ても分かるように整理しておかないといけない。情報処理の負荷として、慣れない私には大変でした。
この仕事で活きたのは、「初対面の人と関係をつくる力」
――これまでの経験の中で、今の仕事に活きている強みはありますか。
児玉:初めて会う人とも関係をつくる力は、今の仕事でも活きているのかなと思います。
前職の上司から、「児玉って、するする本心に入ってくるよね」と言っていただいたことがありました。実際、今担当している案件のオーナーさんにも、「もうちょっと早い段階で児玉と出会いたかった」と言っていただけたことがあります。
もちろん、オーナーさんの人柄や相性もあると思いますが、4か月程度でそこまで言っていただけたのは素直に嬉しかったです。
M&A実務は未経験でしたが、新しい人とどう関係を築いていくかという意味では、これまでの経験が少しは活きているのかなと思っています。
また、中小企業のオーナーさんと向き合う時は、やはりリスペクトが大事だと感じています。起業をして、ここまで事業をつくってきた方々なので、そこに対して本心からリスペクトを感じています。
言葉で過剰に表現する必要はないと思いますが、その敬意を持って誠実にコミュニケーションを取ることは大切にしています。
オーナーズで伸びやすい人、伸び悩みやすい人
――どんな人がオーナーズで成果を出しやすいと思いますか。逆に、合わない人の特徴はありますか。
児玉:私の中では、向いている人の特徴は3つあるかなと思っています。
一つ目は、レスポンスの速さです。これは先ほども触れましたが、プロジェクトベースで関係者も多いので、レスポンスが早いことはそのまま信頼につながると思っています。
二つ目は、コミュニケーションを楽しめることです。事業承継の案件は、オーナーさんと直接やり取りするので、単なる事務的なやり取りではありません。その方の考え方や体験を理解しながら関係性を築いていく仕事だと思います。深いコミュニケーションを楽しめる人は向いていると思います。
三つ目は、突撃マインドです。アウトバウンドの活動もそうですし、お互いを知らないところから提案につなげていかないといけません。
断られることも当然多いので、それでも臆せず動き続けられる人は強いと思います。
逆に、同じ業務を繰り返すことを好む人は、あまり合わないかもしれません。プロセスにはある程度共通点がありますが、案件ごとに例えば譲渡スキームも違いますし、新しい論点が毎回出てきます。
そうした変化を楽しめる人のほうが、未経験でも伸びやすいのではないかと思います。
未経験者が入社前に準備しておくとよいこと
――入社前に準備しておいてよかったこと、逆にやっておいたほうがよかったことはありますか。
児玉:まず、財務面の知識はアップデートしておいたほうがいいと思います。簿記でもいいですし、バリュエーションの練習でもいいですし、そこはやっておいて損はないと思います。
私は、新卒採用と違って中途採用は自分が出来ることと会社が求めることを擦り合わせるプロセスだと考えています。
私はFA業務の経験はなかったので、面接の時にそこを突っ込まれるだろうなと思って、オーナーズが顧客に持つであろう事業規模の企業を選定し、その企業のバリュエーションを作って「これを見てください」とプレゼンしたのですが、入社後に「バリュエーションやってみる?」と仕事を振っていただけたので、未経験ながらに何ができるのか、面接でコミュニケーションを取っておいてよかったと思っています。
もちろん、後日こんなのではダメと上司に指導いただくことになります(笑)
また、いろいろな業種を知っておくことも大事だと思います。前職が行政だったので、「この会社はどういう仕組みで儲けているのか」といった感覚が、最初はそこまで強くありませんでした。でもM&Aの実務では、製造業の会社を見た次に、今度はEC販売業の会社を見る、といったことが日常的に発生します。
いろいろな会社の特徴や、どういう強み・弱みがあるのかを知っておくと、IMを書く時にもかなり役立つと思います。
ギャップは少なかった。一方で、実務の負荷はやってみて解像度が上がった
――入社前後で、ギャップはありましたか。
児玉:大きなギャップは、あまりなかったですね。
理由の一つは、入社前にこのnoteをかなり読み込んでいたからです。会食面談の場でも、社内の人の話が出た時に「ああ、この人のことだな」と分かるくらいには読んでいました。ある程度、入社前から社内の雰囲気を想像できていたと思います。
実際に入ってみても、そこでインプットしていた内容と大きくズレる感じはありませんでした。想像より良くも悪くも、「思っていた通りだった」という感覚のほうが近いです。そのぶん、結果的に溶け込みやすかったとも感じています。
一方で、実務に入ってみると、NDA対応の管理のような情報処理の負荷や、案件獲得の難しさについては、やってみて初めて解像度が上がった部分でもありました。
良い仕事をするための工夫は色々可能で、例えば、先ほどのNDA対応のフォルダ保存の仕方ひとつとっても、どうすれば分かりやすいのか、投資銀行で長く働いていた経験がある上司から教えていただき改善いたしました。
雰囲気のギャップは小さかった一方で、仕事の負荷や求められる基礎力については、実務を通じて理解が深まった感覚があります。
結果的には同じアウトプットでも、一つ一つの仕事や意識の配慮で深度が異なるといったプロフェッショナリズムを感じたのも、入社をして上司から学んだことの一つです。
未経験でも入れる。でも、簡単な仕事ではない
――未経験の候補者にとって、事前に理解しておいたほうがいい厳しさや、この仕事を選ぶ価値はどこにあると思いますか。
児玉:まず厳しさで言うと、案件が取れるのは簡単ではないということです。これはかなり現実として思います。
それでもこの仕事を選ぶ価値があるのは、オーナーさんと一歩ずつ進めていけることですね。
感覚としては、オーナーさんの会社の一員になったような気持ちで関わる場面があります。もちろん実際には外部の支援者ですが、気持ちとしてはかなり自分ごとになります。
その会社が次のフェーズに向かうのを、私も一緒になって進めていく。その感覚があるからこそ、オーナーさんの気持ちにも寄り添いやすいし、この仕事をやる意味があると思っています。
未経験でも、もちろん挑戦はできると思います。
ただ、受け身でいると厳しいですし、案件獲得もエグゼキューションも簡単ではありません。そこはきちんと理解したうえで、それでも面白そうだと思える人には向いているのではないかと思います。
編集部コメント
児玉さんの話から見えてきたのは、未経験でも事業承継のFAに挑戦できる一方で、決して簡単な仕事ではないということです。
レスポンスの速さ、財務知識を自走で補う姿勢、初対面の相手とも関係を築く力、断られても動き続ける粘り強さ。そうした要素が求められるからこそ、この仕事には難しさがあります。
一方で、オーナーさんの大きな意思決定に伴走し、会社の次のフェーズを一緒につくっていけることは、この仕事ならではの価値でもあります。
未経験からでも、そうした環境に身を置いて成長したい方。事業承継やM&Aの仕事に本気で向き合いたい方。そうした方にとって、今回のインタビューが少しでも参考になれば幸いです。
当社の仕事や採用情報に興味をお持ちいただけた方は、ぜひお問い合わせください。
今回も最後まで読んでくださり、ありがとうございました!