人口減少や高齢化、交通空白地域の拡大など、日本各地では移動に関する課題が深刻化しています。MaaS Tech Japan(以下、MTJ)は、モビリティデータやテクノロジーを活用しながら、自治体や交通事業者、民間企業とともに、そうした社会課題の解決に取り組んでいます。
今回お話を伺ったのは、フロントチームで事業開発・事業推進を担う江口 隼人さん。
「まだ世の中にない事業をつくる面白さがあります。答え・正解は無い中で、何が本当に解くべき課題なのかを考え、それを具体的なプロジェクト・事業にしていきます」
そう語る江口さんに、MTJの事業開発ならではの仕事の魅力や求められる力について聞きました。
「企画だけでは終わらない」──事業の0→1を担う仕事
――まずは、江口さんが現在どのような役割を担われているのか教えてください。
江口さん:
現在はフロントチームに所属し、プロジェクトリーダーとして事業開発や事業推進を担当しています。一言でいうと、社内外のアセットとお客様の課題を掛け合わせながら、新しい事業の種を見つけて形にしていく仕事です。
MTJには、地域密着・住民参加型ソリューションの「NoluDay」や、交通データ分析プラットフォーム「SeeMaaS」をはじめ、さまざまなプロダクトや技術資産があります。
お客様からいただいた相談に対して既存のサービスを提案するというよりも、まずはお客様になり得る方・地域を見つけ、「その地域やお客様が本当に解くべき課題は何なのか」を仮説を立てて提示し、意見交換を通じて一緒に考えるところから始まることが多いです。
自治体や観光DMO(※1)、交通事業者、民間企業などと対話しながら、現状や課題を整理し、どこに取り組むべき問題があるのかを考える。そのうえで、実現したい姿や解決の方向性を描き、具体的なプロジェクトとして企画・提案していきます。
※1:観光DMO(Destination Management/Marketing Organization)とは、地域の「稼ぐ力」を引き出し、持続可能な観光地経営を行うための観光地域づくり法人のことです。参考)https://www.mlit.go.jp/kankocho/seisaku_seido/dmo/dmotoha.html
解決策は、必ずしも特定の既存プロダクトやテクノロジーありきではありません。また、自社のプロダクト・サービス・ケイパビリティに閉じるものでもありません。
あくまで、お客様の状況や問題・実現したいことありきで調査・データ分析やシステム・ツールの導入・活用、外部関係者との連携など、課題に応じて必要な手段を組み合わせていきます。
現状では、顧客や顧客関係者が自治体や観光DMOであるケースも多く、案件によっては補助事業などの制度も活用・提案しながらプロジェクトを立ち上げます。受注いただいて終わりではなく、その後のプロジェクト設計から実行・デリバリーまでリードするため、企画・営業・コンサルティング・プロジェクト推進までを一気通貫で担う仕事です。
「問題解決」よりも「問題発見」が重要
――MTJの事業開発では、どのような能力が求められると感じていますか?
江口さん:
まず前提として、問題発見力や分析力は欠かせないと思います。
私たちのお客様は主に自治体・観光DMO・企業が中心ですが、「何を実現したいのか」「何を優先して解決すべきなのか」が、最初から明確になっているケースはほんの一握りです。
そのため、目の前にある相談内容をそのまま受け取り、それを解決しようとするのではなく、本当に解くべき課題は何なのかを深掘りし、構造化し、仮説を立て提示し、解決したい問題・課題を一緒に明かにする必要があります。
実際には、お客様自身が認識している課題とは別のところに、より優先して取り組むべき問題が隠れていることもあります。
だからこそ私は、「問題解決」「価値の創出」をするために、まずはその前段にある「問題発見」が重要だと考えています。
お客様との対話やデータ、様々な情報から仮説をつくり、「本当に考えるべきことは何なのか」を明らかにしていく。そして、課題を具体化したうえで解決策を考える。そのプロセスが事業開発の出発点だと思っています。
自身だけでは気づくことができなかったかもしれない発見があったり、自身だけでは解決できない課題の解決を一緒に行ってくれる・推進してくれる、というところに我々が関係者・パートナーとして関与する意義・価値・必要性を感じていただければ、と考えています。
主体性は“求められるもの”ではなく“前提条件”
――MTJは主体性が求められる会社だと言われることもあります。江口さん自身はどんな場面でそれを感じますか?
江口さん:主体性は常に求められています。スタートアップですし、MTJはまだ発展途上の組織です。決まった正解や完成された仕組みがあるわけではありません。
もちろん社内に材料や知見はありますが、それをどう活用するのか、あるいは今あるものでは足りないので別の方法を考えるのか、外部リソースの活用も検討するのかなど、社内外を巻き込みながら自分で案を考える必要があります。
特に事業開発では、
「何をやるべきか」
「どう進めるべきか」
「誰を巻き込むべきか」
といったことが、最初から決まっているわけではありません。
お客様の課題を起点に仮説をつくり、社内外の必要な人を巻き込み、検証しながら前に進めていく。そのため、主体性は求められるものというより、仕事を進めるうえでの前提条件です。
正解がないからこそ難しい
――普段の業務の中で、難しさを感じるのはどのようなところでしょうか?
江口さん:
一つは、お客様候補との接点づくりですね。事業の種になる情報や課題感は、待っていても自然に集まってくるわけではありません。そのため、将来的にお客様になり得る方々と関係性を築きながら、どんなことに困っているのか、何に関心を持たれているのかを理解していく必要があります。
ただ、それには時間もかかりますし、これをやればうまくいくという正攻法もありません。どうすれば話すきっかけを作れるのか。どうすれば本音を聞ける関係性を築けるのか。そこからどうやって、取り組む価値のある課題を見つけるのか。そうした部分は今でも難しいですし、日々試行錯誤しています。
もう一つ難しいのは、課題が見つかったからといって、それだけでは必ずしも事業になるわけではないことです。そもそもお客様にとって価値があるのか、実現可能なのか、その上でMTJにとって継続的な事業として成立するのか。
様々な観点から仮説を検証し、必要に応じて方向性を変えていく必要があります。正解が用意されているわけではないので、常に仮説を構築し、検証し、見直していく、という連続です。必要があれば方向修正を行いながら、お客様・自社それぞれの目的・ゴールの実現に全力を尽くします。
課題解決の道筋が見えた瞬間が一番うれしい
――では、この仕事のやりがいはどんなところにありますか?
江口さん:
誰かの課題や困りごとを発見し、それをビジネスとして成立する形で解決できる道筋が見えたときですね。事業開発は短期間で成果が出る仕事ではありません。
だからこそ、構想していたものが少しずつ形になり、実現に向けて前進している手応えを感じたときは大きなやりがいがあります。実際にプロジェクトとして動き出したときや、社会実装につながったときは本当にうれしいですね。
お客様と二人三脚で、未来に実現したい姿を思い描きながら、一歩ずつ前に進めていくことがこの仕事の醍醐味だと思います。
MTJの事業開発に向いている人とは?
――どのような方がMTJの事業開発に向いていると思いますか?
江口さん:
交通課題や地域課題に対して、自分なりの問題意識や実現したいことを持っている方は向いていると思います。
そして、その想いを、想いやアイデアで終わらせず、自身の専門性や得意領域を活かしながら、社内外のエキスパートを巻き込んで具体的な事業やプロジェクトとして、ビジネスを通じて実現したい方ですね。
繰り返しになりますが、最初から答えや進め方が用意されている仕事ではありません。
お客様の課題自体がまだ明確になっていないこともありますし、解決策も一つではありません。既存のサービスや仕組みだけでは解決できないこともあります。
まだ決まっていないことや足りないものがある状況を前向きに捉えて、自分で考えながら前に進められる方は、この仕事に向いていると思います。
また、好奇心を持って幅広いテーマに興味を持てることも大切だと考えます。
我々が取り扱っているMaaS・地域の移動課題の領域は、交通だけで完結しません。
必ずまちづくり、観光、教育、福祉など、様々な領域とつながっています。
そのため、特定の領域だけに閉じず、幅広い情報や知識を吸収し、繋いだり掛け合わせながら新しい課題や解決の方法・可能性を見いだすことを楽しめる方・得意な方は活躍できると思います。
最後に、応募を検討している方へ
――最後に、応募を検討している方へメッセージをお願いします。
江口さん:
交通や地域の課題について、すでに何かしらの問題意識や、「こういうことを実現したい」というテーマを持っており、なにか自身が貢献できる・したい専門性をお持ちの方とは、ぜひ一緒に仕事をしてみたいと思います。
MTJの事業開発は、すでに完成された商品を売ったり、決められた仕事を進めたりするだけの仕事ではありません。
そもそも何を課題として捉えるのか。
誰のどんな課題を解決するのか。
それをどういう方法で解決し、どう事業やプロジェクトとして成立させるのか。
そうしたところから考える場面が多くあります。その分、簡単ではありませんし、自分で考えて動かなければ前に進まないことも多い仕事です。
一方で、自分なりの問題意識を持ち、周囲を巻き込みながら、それを具体的な事業やプロジェクトとして形にしていきたい方にとっては、挑戦できるテーマは多いと思います。
すでに完成されたものを動かすのではなく、まだ形になっていない課題や可能性を見つけ、試行錯誤しながら事業にしていく。そういう取り組みをしたい方と一緒に、地域やお客様の課題に向き合っていけたらと思っています。
――江口さんありがとうございました!
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