「私たちの武器とも言える清掃用具。ビブスやゴミ袋、軍手、トングなど。この用具にも環境に配慮していこう。」
きっかけは2019年のラグビーW杯。団体の紹介ページの方で触れた「ラグビーボール型ゴミ袋」ですが、W杯という舞台でも実現し、全会場(45試合)で計70万枚もの袋を配布する事が出来ました。しかし、半分以上が外国人サポーターを占めるこの大会において、厳しい現実を突きつけられたのです。それは入場ゲートで「ゴミ袋です〜」と配っていたところ、一部の外国人サポーターから「この袋の素材はなんだ?」「何故、環境に悪いプラスチックビニールを配るのか?」といった質問や指摘され、受け取る事を拒否されたのです。日本よりも遥かに脱プラスチックが進む国の方々からすると当然の指摘だったかと思います。飲食ゴミを平気な顔をしてポイ捨ていくサポーターは実際に沢山いたので、このプロジェクトをやる意義は充分にあったのですが、この指摘に対して納得させられる答えが見つからず、大会終了後もずっと頭の片隅にこの事が残っていました。
その翌年、林野庁と組んで「紙袋」を製作しました。林業の衰退により日本各地で間伐が起きており、木が余っている。ペーパーレス化が進む中、紙を使うことを推奨していきたい。プラスチックからシフトしたい私たちとニーズがマッチして実現に至りました。デザインの監修には「水原希子さん」に入って頂き、ショップバックと勘違いされるほどのオシャレな紙袋となり、コンセプト・デザイン共に参加者からは大好評でした。しかし、プラスチックビニール製とは比べものにならないほど製作コストが高く、またコンパクトに纏められないため保管する場所の確保も難しく、継続的な使用が困難となり、期間限定での使用を余儀なくされました。
「またプラスチック製に戻すのか?それだけは避けたい。ではどうすれば・・・」
プラスチックでも紙でもない素材。試行錯誤する中、辿り着いたのは日本が誇る「お米」でした。賞味期限が切れて食用に適さない古米、米菓メーカーなどで発生する破砕米、飼料としても処理されず廃棄されてしまうお米などを新しいテクノロジーでプラスチックへとアップサイクルした素材「ライスレジン」を手掛ける新潟の企業と繋がり、私たちのゴミ袋のこの素材で作る事が実現しました。
日本の文化とも称されている「ゴミ拾い」
これに日本の食文化である「お米」を掛け合わせる。
探して続けていた答えにようやく出会えた瞬間でした。