2023年11月、気の合う3人——山下さん、菅原さん、そして難波さん——が自然な流れで創業した株式会社KANNON。
今では生成AI研修事業「オペレス」を筆頭に、10以上のプロジェクトを並行して統括する取締役CTO・難波慧人さんに、これまでの歩みと、これから目指す未来についてお話を伺いました。
難波慧人(なんば けいと)プロフィール
株式会社KANNON 取締役CTO。東京生まれ、岡山育ち。津山工業高専で機械工学を専攻後、豊橋技術科学大学に編入。卒業間際にエンジニアへの転身を決意し、人材系企業でエンジニアとして経験を積む傍ら、社内のAI活用プロジェクトを兼任。2023年11月、山下・菅原とKANNONを共同創業し、現在は生成AI研修事業「オペレス」をはじめ10以上のプロジェクトを統括。設計と事業構造の構築を中心に、AIを軸とした業務自動化に取り組んでいる。
ーー高専で機械工学を学ばれたのち、エンジニアに転身されたんですね。
はい、高専で機械工学を学びました。そのまま企業に就職するパターンが多いのですが、私の代は大学進学組が多くて。私も大学に編入したのですが、就活はせず、卒業間際になってエンジニアになることを決意しました。
振り返ると、まっすぐな道のりではなかったと思います。古着屋で働いてみたり、カンボジアを旅したり、筋トレにはまったり、パチプロもいいかなと思ってみたり(笑)。
とにかく「楽しい仲間と自由に働きたい」という軸だけを持って、枠にはまらず動いてきました。何か一つの正解を選んできたわけではなく、その時々で面白いと思った方に飛び込んできただけなんです。
ただ、個人が置かれる情報格差やキャリアの非対称性には、昔から強い問題意識を持っていました。知っているか知らないかだけで選べる選択肢が大きく変わってしまう。この感覚が、今の自分を動かす原動力になっている気がします。
ーーなぜKANNONを創業されたのですか。
きっかけはシンプルで、気の合う3人が自然な流れで会社を立ち上げた、というのが実際のところです。ただ、そこに全力を賭ける決め手になったのは、AIという技術への強い確信でした。
KANNONを創業する前は、人材系の会社でwebエンジニアをしていました。ちょうどChatGPTが世に出始めたタイミングだったので、社内のAI活用プロジェクトを担っていたんです。
プログラミングという仕事が、目の前で消えていくのを見ました。自分たちがこれまでやっていた作業が、実際になくなっている。速度がとんでもなく上がっている。それを体験として持っているので、AIが業務を代替できること自体は、もう議論の余地がないと思っています。
ではなぜ、世の中の会社はまだ自動化できていないのか。足りないのは技術ではなく情報です。業務も判断も、その会社の頭の中にしかない。AIが走り切れるデータ基盤がないから、社会実装の手前で止まっている。逆に言えば、そこを整備しきれば、人がやらなくていい業務はほぼ自動化できる。ここの解像度はかなり高いつもりです。
そして今は、その社会実装の「席」を取り合う時期だと見ています。中に入り込んでいいものを作り切った会社は、そこから外されることがほぼない。だから先に席を取れるかどうかの勝負で、正直、大戦争だと思っています。
私たちにとって、AI活用そのものはあくまで手段であって、最終的なミッションはお客様の財務基盤を改善することだと考えています。そのための入り口として位置づけているのが、BPR、つまり業務プロセスの再設計です。
まずは情報やデータ基盤をしっかり作り込むことを最優先していて、ここが完成すれば、人手にほとんど頼らない業務自動化が可能になると確信しています。リアルタイムダッシュボードのように、AIに依存しなくても業務改善が見込める段階をまず目指し、そのうえで需要予測による在庫削減など、より具体的な効果にもつなげていきたいと考えています。
ーーコードはほぼ書かれないとのことですが、現在はどのような業務を担当されていますか。
プロダクトのコードはほとんど書いていません。実装は業務委託のメンバーと社員のエンジニアに任せて、私はプロダクトと事業の最上位の設計をやっています。正直に言うと、自分でコードを書くより設計や上流を作る方が好きで、そのほうが早い、というだけの話です。あと単純に、人がいないのでやるしかない。
1日の流れは決まっていません。やっていることが日々変わりすぎるからです。ほとんどの時間はAIエージェントと会話しています。設計の壁打ちも、事業に必要なシステム群の下書きも、その会話の中で進む。かと思えばお客様の工場に行って、現場で業務を抽出していることもあります。
事業をどう設計するか——それを考えること自体が、私にとって最高に楽しい瞬間です。AIの進化に事業を賭けている実感が、一番のやりがいだと感じています。
プロダクトの実装自体は、エンジニアメンバーに任せることが多いです。それぞれが得意なところに集中できる方が合理的だと思っていて、私自身はインフラやシステム群全体の設計を担当し、AIを事業構造にどう組み込むかを描く役割に徹しています。正直、プロダクト内部はこれから精緻に作り込むべき部分も多いのですが、市場に先にパイを取られないことを最優先に、走りながら作るスピード感を大事にしています。
ーーCTOという肩書きには、あまりこだわりがないそうですね。
その通りです。事業や技術のトップという立場でなくても、クライアント企業の中で「ミニCTO」的な裁量を持ち、DX推進や経営レベルの意思決定に関与できるポジションこそが重要だと考えています。肩書きよりも、実質的にどれだけ裁量を持って動けるかを大切にしています。
ーーどのような組織文化で、どんな人が活躍していますか。
一言で表すなら「自由と責任」です。役職に関係なくフラットで、泥臭い努力を厭わないメンバーが多いです。キラキラした人材は少ないかもしれませんが、その分、人情味と独自の色がある組織だと思います。
採用で重視しているのは、スキル以上にカルチャーフィットです。カオスを楽しめて、自発的にミッションを再定義できる人。スタートアップの変化を柔軟に受け入れられる、素直さも大事にしています。批判的思考を持ちながら、それでも長く走り続けられる思考体力がある人が向いていると思います。愛嬌があることは必須ではないと思っています。それよりも、自分の役割に応じて自己管理ができる人の方が、うちのようなフラットな組織では活躍しやすいはずです。
メンバーはみんな泥臭く努力してきた背景を持っていて、仲が良く、その空気感が銀行代理店との関係づくりにも良い影響を与えていると感じています。
創業まもないベンチャー、かつ若いメンバーが多いにもかかわらず代理店やクライアントの方々の信頼を獲得できているのは、その泥臭さを買っていただけているから、というのもあるはずです。インターンを含めた若手育成にも意欲的で、現場の熱量を高めていきたいという想いも強く持っています。
ーー今後、挑戦したいことは何ですか。
理想は、設計に集中し、実装をAIと仲間に任せられる体制をつくることです。「AIエージェントに全部任せられる会社」——それが私の描く未来です。
ーー最後に、未来の仲間へメッセージをお願いします!
人生は起きた出来事で決まるんじゃなく、自分の考え方と行動でいくらでも面白くできると思っています。AIがそれを一気に加速させてくれる時代に、一緒に全張りできる仲間を待っています!
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