ファーメンステーション、第三者割当増資により2億円の資金調達を完了、未利用資源の再生・循環でサステナブルな事業開発・技術強化を加速
【資金調達の背景】 ...
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000021.000051332.html
ファーメンステーションは、2021年前半に第三者割当増資によって資金調達を行い、新たな株主を迎え入れました。また、これまでもファーメンステーションのパーパスと事業に共感いただける株主の皆様に出資をいただき、事業の推進を行ってきました。
今回は、ファーメンステーションに初期の段階から出資をいただき伴走いただいているグローバル・ブレインのDirector重富さん、2021年に新規株主として参加いただいたSXキャピタルの取締役投資部長遠藤さん(弊社社外取締役現任)のお2人から、投資に至った背景や、消費者視点で見たファーメンステーションの特徴、そして今後に期待することなど様々な観点でファーメンステーション代表酒井とお話いただきました。(聞き手:COO北畠)
また今回は、女性投資家と女性起業家という組み合わせでお話をいただき、女性にとっての働き方や仕事に対する考え方についても伺うことができました。
前編の今回は、主にファーメンステーションへの投資に至った経緯や伴走を通じて見えてきたことに関してお二人からの見立てをお話しいただきます!
―まずは、お2人からファンドの紹介と自己紹介をお願いいたします。
重富さん:
グローバル・ブレインの重富と申します。ファーメンステーション様(以下、ファーメンステーション )へは、2018年にグローバル・ブレインの6号ファンドでご出資させていただきました。私は2018年にグローバル・ブレインに入社し、ファーメンステーション以外にもヘルスケア系のスタートアップを中心に担当しています。ビジネスを通した社会課題の解決に関心があるので、ファーメンステーションをはじめその領域で投資をしたいと思っています。
遠藤さん:
SXキャピタルの遠藤と申します。SXキャピタルは、元々2000年にSIerのインテックのCVCとしてスタートし、2016年に代表の近藤と私がMBO(マネジメントバイアウト)し独立してできたVCです。その際、事業パートナーとして、コンサルティング会社のシグマクシスと一緒に新たなファンドを設定し投資活動を始めました。ファンドですのでもちろんトッププライオリティは投資パフォーマンスなので経済性のない企業には投資しません。その上で個人的には好きな人に投資しようと決めています。好きな人というのは2つありまして、1つ目は起業家の世界観に共感できるということ、もう1つはその人個人も好きかということです。スタートアップは様々なことが起こるので、ずっと付き合っていくにはお互い厳しいことも乗り越えなければならないので、そのような2つの軸で投資を決めています。
―ありがとうございます。どのような経緯でファーメンステーションへの出資に至ったのでしょうか?ご評価いただいた点も合わせてそれぞれ教えていただけますか?
重富さん:
VCですので、事業性はもちろん見ています。ちょうど2018年頃、ファーメンステーションの原料が使われる日本の化粧品市場では、オーガニックやトレーサビリティなどが盛り上がってきていました。化粧品市場におけるオーガニックの分野はトレンドではなく、一種のカテゴリーとして確立されてきており、グローバルを見てもオーガニック化粧品の市場は拡大しており日本でもこの成長は期待できると思いました。また、ファーメンステーションは事業内容も非常にユニークで、サステナビリティやサーキュラーエコノミーが日本で注目される前から既に岩手県の方々と仕組みを作り運用していた点が魅力だと考えています。この仕組みを構築するには地域の方々との関係性の構築など時間を要するためすぐに真似できるものではないため、既に確立しているファーメンステーションは非常に有利だと思いました。市場が今後大きくなるというポテンシャルの部分と、既にうまく事業として成り立たせている実行力という点を評価させていただき、出資いたしました。
―当時オーガニックやコスメ自体のマーケットは既にありましたが、同時にその中でもユニークさをご評価いただいたということですね。投資家の観点で、岩手の話やサーキュラーの話は最初から共感いただけましたか?
重富さん:
偶然にも別の入り口で、私と木塚(同じくグローバル・ブレイン パートナー、現在ファーメンステーションの社外取締役)の両面からお話を伺わせていただきました。木塚は化粧品のグローバルブランドの元開発者でして、化粧品の分野の知見が豊富で、オーガニックの領域がきていることは分かっていましたし、私はサステナビリティの観点から、ミレニアム世代や更に若い世代に受け入れられると思っていました。そのため、酒井社長が掲げるビジョンや構想されている事業内容は理解できましたし、共感もできました。
※グローバル・ブレイン様のイベントでのピッチで表彰いただく酒井
―グローバル・ブレイン様からも事業性と社会性の両面でご評価いただけたのも縁なのですかね。ありがとうございます。遠藤さんからもお願いいたします。
遠藤さん:
ちょうどグローバル・ブレイン様が出資する頃にシグマクシスからファーメンステーションを紹介され、投資メンバーの3人全員が面白いと感じていました。それまではB2B系のITサービスやプロダクトに多く投資してきましたが、付加価値が高くユニークな事業に投資したいという話がちょうど出ていた頃でした。ファーメンステーションのお話はとても面白く、ビジネスとして成り立っている部分もありましたが、スケールの方法がその時点では確信を持てなかったので、酒井さんとは2年ほど継続的にお話しました。グローバル・ブレインの重富さんと木塚さんとお話した際にお聞きしたスケールのストーリーがとても腑に落ちたので、シグマクシス含めお手伝いできるのではないかと投資に至りました。エタノールを作って燃料にする会社は他にもありますが、それを化粧品原料やオーガニックの商品にすることで、高付加価値で販売している点が素晴らしいと評価させていただきました。
―ありがとうございます。グローバル・ブレイン様の話を聞かれて、確信を得られた一番のポイントはどのような点でしたか?
遠藤さん:
一つは環境が変わってきたことです。ESGやサステナビリティは今後当たり前になっていくことは分かっていましたが、最初に伺った時はまだ社会がまだ追いついていませんでした。そんな中、シグマクシスもこの方面へのコンサルティングを始める動きがあり、私たちも一緒にその潮流を創り出す企業を応援しようと思いました。私は、化粧品業界についてはこれまで投資経験がありませんでしたが、木塚さんからマーケットの状況や、この立ち位置にいける会社はファーメンステーション以外にないと実際に伺えたことが大きかったです。
―投資家を見るスタートアップの視点で、酒井さんにとってお2人との印象的なやり取りはありましたか?
酒井:
両社とも、弊社がずっと言っている事業性と社会性の両方を追求していることを100%ご理解いただいた状態からのスタートであったことが、一番の特徴だと思います。どちらが大事かなど聞かれたことはなく、両方大事という前提で話が進んだことは大きかったです。投資家の方との出会いは、会社のメンバーと同じくとても大事で運命に近いものだと思っていて、とてもご縁を感じています。グローバル・ブレインさんとの出会いはとても面白く、日経主催のAG/SUM(アグサム)というイベントで木塚さんが私のピッチを見てくださっていて、その時に化粧品に詳しいと木塚さんからご連絡いただきお話をしました。私にとって投資家の方と話す初めての機会でしたが、誠意をもって様々なことを教えていただきました。その数日後、全く違う入り口で重富さんからご連絡があり、グローバル・ブレイン代表の百合本さん、木塚さん、重富さんとお会いし、出資検討のお話しを進めていただきました。私は、これはご縁だなと思いました。最初からソーシャルインパクトとビジネスの両立を期待していただいたことが、すごく良かったと思っています。グローバル・ブレインさんは、事業面では木塚さんがいて、ソーシャルな面では非常に強い想いを持っていらっしゃる重富さんがいるので、良い形でご支援いただいています。
SXキャピタルさんとシグマクシスさんも同じ頃にお会いし、「これは社会価値を創出する事業で、新しい資本主義の形だ」と仰って下さりました。それから何度も事業性と社会性についてのディスカッションを重ねました。特に、SXキャピタルさんとグローバル・ブレインさんは岩手にも来てくださり、また遠藤さんは個人的にツアーにもご参加いただき、投資家としても消費者としても我々の事業の様子を見てくださる過程で、皆さまのことを信頼できると思いましたし、目指している世界観に共感いただいていることが理解できたのは大きく、嬉しかったです。
―消費者の話が出ましたが、投資家としての観点を抜いて、ファーメンステーションの面白いところ、応援したいと思うところはどのような点でしょうか?
遠藤さん:
デザインとサイエンスです。一つ目は、ファーメンステーションのスタイリッシュなデザインですね。他のオーガニックやサーキュラーの商品の中には、ものが良かったとしても、デザインの面で苦手と感じてしまうものもあります。もう一つは、サイエンスとして取り組まれている点です。中には、科学ではなくスピリチュアル要素の強い化粧品も多いので、それがない点はいいと思っています。贈り物をする時など、デザインも品質も素敵なプレゼントとしてお渡しできますね。
―ファーメンステーションの事業はバリューチェーンが上流から下流まで全部あるので、原料を自ら製造し、商品を届けてダイレクトにフィードバックをいただき、それが開発や企画にも反映されています。その一気通貫の事業の回し方が仰っていた魅力を生む一つの要素かもしれません。
遠藤さん:
それは、とても良いところだと思います。
―実際に現地に行かれた時に感じたことはありますか?
遠藤さん:
一緒にお仕事されている方々がとても歓迎して下さり、その方達の説明や雰囲気が素晴らしかったです。ツアー自体にもリピーターの方もいらっしゃり、間違いなく必要としている人がいることを実感できました。とても楽しかったので、コロナがなくなったら多くの方に見てもらいたいですし、実際に見ることで商品の利用にも繋がると思います。また、このような岩手のモデルが他にも展開したら素敵だなという将来的な展望も感じ、とても良いモデルだと思っています。今はエタノールや化粧品がファーメンステーションのコアな部分かもしれないですが、将来パートナーを見つけたら観光や地域創生なども広がっていきそうですね。
―重富さんは、消費者の観点でいかがですか?
重富さん:
私の周りには似たような価値観の友人が多く、買い物をする時は、質はもちろんですが社会にも良く何かしら貢献できる物を選びます。ですので、プレゼントする時などは、普通のアルコール消毒剤ではなく、ファーメンステーションの商品をあげるとストーリーを話すこともでき、そういったところが価値だと思っています。ファーメンステーションだからこそできることですよね。
―そうですね。ストーリーもありますし、購入という行動を通じて社会に少しずつインパクトを与えられますよね。
重富さん:
今はブランド品を持つことよりも自分らしさを大切にし、その一つ一つの消費行動に意味を求める人が増えています。その選択肢の1つにファーメンステーションは入りやすいと思います。
―ありがとうございます。少し観点を変え、取締役会や株主総会などでファーメンステーションの中のことも見ていただき、事業もご支援いただいておりますが、伴走し始めてから新たに見えてきた変化などはありますか?
重富さん:
いい意味でギャップはありませんでした。投資する前後もフラットに毎日のように情報共有していただき、意見をお伝えしていました。
酒井:
家族より話していましたね。
重富さん:
変化という点では、北畠さんが入社され、直近1年ほどでチームとしてよく回るようになってきていますよね。以前は良い意味で酒井さんが前面に出ていましたが、今はファーメンステーションというチームの形ができたと思っています。酒井さんが、ファーメンステーションに関わる人に後悔してほしくないと仰っていたことがとても印象的でした。人材採用に苦労していた頃、何を大切にするか話していた時に仰っていて、そのようなことが根底にあって浸透しているからこそ、いいチームワークなのだと思っています。
―遠藤さんの観点から、伴走して見えてきたことはありますか?
遠藤さん:
重富さんとほとんど変わらないですが、ファーメンステーションはもともと経営チームがなく、酒井さん=経営でした。どのVCもそうですが、経営チームがきちんとワークするかは大きな評価ポイントです。投資を決める頃に北畠さんがジョインし、会社としても酒井さん個人としても良かったと思って見ています。それは、酒井さんとタイプが全然違うからです。酒井さんのパッションや世界観はそのままで、それをロジカルに仕組化しようとする人がいるといいなと思っていましたが、そこに北畠さんがはまり、事業開発や管理の方も入り、良いチームになると思っています。この半年のファーメンステーションの組織的成長には驚かされていて、次のステージに立ったと感じています。
―ありがとうございます。チームの変化は感じており、変化に柔軟に対応できるようなチームになっていきたいですね。
遠藤さん:
岩手の地域に根差して丁寧にしっかりと仕事を進める側面と、東京のスタートアップらしいスピード感を持って事業を回す側面、この両面を維持しつつきちんと結果も出すというカルチャーが作れると、ファーメンステーション独自の新しいやり方を世の中に示していけますね。私たちが一般にイメージするいわゆる“スタートアップ”とは違う打ち出し方をしたいと思っていて、ファーメンステーションはその素地をすごく持っていると思います。このまま、その良さを伸ばせるように支援していきたいですね。
―いい意味で、一般的なベンチャーのあるべき論をそのまま当てはめたらダメだろうと日々感じています。今は必ず立ち止まって考える癖がつきました。
遠藤さん:
その雰囲気やカルチャーは素晴らしいですね。
―例えば岩手のメンバーにスタートアップの一般論が受け止めてもらえないと怖気付いているわけではなく、お互いに常に何が最適か考えている土壌があるので、こちらもそのような気持ちになっているのでしょうね。
酒井:
特に今年になってファーメンステーションが激変しているというのは事実で、その中でずっと見てくださっている皆さまの存在は大きく、メンターのように思っています。投資家の皆さんは色々な企業を見ているからこそ、迷ったら相談できると思っています。今は新しい体制になる中で、私自身の役割が何かを考える機会が増えてきました。今までは、ビジョンを考え、実務も見て、製造も見て、商品も見て、ということを全てやっていましたが、北畠が入り任せる部分が増えたので、逆に自分はあるべき姿を考えるようになり、これがチームだと感じています。以前はこれは違うなと思ってもメンバーの顔を見て流してしまう性格でしたが、今では厳しいことでも何か気になることがあったら話すようにしています。経営者として進化しないといけないと思う中で、色々な起業家を知っている投資家の方の存在は大きいですね。
いかがでしたでしょうか。後編では、今後に向けたファーメンステーションの課題や必要となる人材、また女性投資家・女性起業家から見た働く環境としてのファーメンステーションについてお届けします!