【代表インタビュー】大切な存在を亡くした想いを胸に。「健康社会の実装」に挑み、世界を目指す | メンバー
ウェルヘルスは、労災保険を活用した二次健康診断の導入支援を通じ、脳血管や心臓疾患による労災事故の防止に取り組んでいます。創業から1年半で300社以上に導入され、80,000名以上の健康データを蓄...
https://www.wantedly.com/companies/company_9756791/post_articles/939436
「治療から予防がベースの世界へ」──このミッションを掲げ、私たち株式会社ウェルヘルスは、創業から約1年半でヤマトグループ様、SBI Holdings様をはじめとする300社以上の企業様に「二次健康診断導入支援サービス」を展開させていただき、8万人以上の皆様の貴重な健康データをお預かりするまでに至りました。
これまで多くのご支持をいただき、事業の基盤を築くことができましたが、これは私たちの挑戦のまだ第一歩です。この基盤の上で、私たちが次に見据えるのは、より大きな目標である「健康社会の実装」という未来です。
本記事では、私たちが目指すその未来像と、それを実現するための具体的な事業戦略について、代表取締役・土井久生馬の言葉でお伝えします。
土井 久生馬 / 代表取締役
1999年生まれ、大阪府茨木市出身。K-POPイベント事業で起業後、2023年にウェルヘルス株式会社を設立。「健康社会の実装」を掲げ、予防医療を身近にする挑戦を続けている。2024年2月、『U-30 KANSAI PITCH CONTEST』最優秀賞、ニコニコ超会議学生ピッチ甲子園全国大会最終グランプリなど複数のピッチ大会で入賞、4月よりソフトバンクアカデミア15期生として活動を開始。
はい。僕のすべての事業活動の原点は、19歳という若さで白血病により亡くなった弟の存在にあります。彼の壮絶な闘病生活を目の当たりにし、「人の命は本当に尊いものだ」ということ、そして「もし防げる病気があるのなら、どんな手を使ってでもその苦しみをなくしたい」という想いを、身をもって痛感しました。
毎日の採血、抗がん剤、放射線治療、拒絶反応…病気になってから莫大なコストと時間をかけて治す「治療」だけでなく、そもそも病気にならないための「予防」こそが、個人にとっても社会にとっても重要なんだと。その想いを形にしたのが、現在の主力事業である「二次健康診断導入支援サービス」です。
▼代表・土井の原体験、そして事業にかける想いの詳細については、こちらの記事もぜひご覧ください!
幸いなことに、この事業は多くの方々にご支持いただき、創業から1年半でヤマトグループ様、SBI Holdings様といった大手企業様を含む300社以上とのご契約をいただきました。加えて、あいおいニッセイ同和損保様や三井住友海上様といった名だたる企業様ともアライアンスパートナーとして連携させていただいております。健診データの回収人数も右肩上がりに急増しており、事業としてPMF(プロダクトマーケットフィット)を達成したという強い手応えを感じています。
私たちが向き合う市場は非常に大きいと考えています。健康診断で何らかの異常所見が見られる方のうち、再検査が必要な方は国内に約3,000万人いるとされています。その中でも、私たちがまずアプローチすべき労災二次健診の対象となる方は、約1,200万人いると捉えています。
私たちの長期的なゴールは、この巨大な市場全体の課題を解決することですが、その実現に向けた重要な第一歩として、まずは労災二次健診の対象者のうち5年間で年間100万人の受診達成と、それに伴う売上規模200億円というマイルストーンを掲げています。これは決して小さな数字ではなく、社会に大きなインパクトを与える確かな一歩だと確信しています。
この事業を推進する中で、日本の健康における、より根深い課題に直面しました。 よく知られるデータですが、健康診断で何らかの所見がある人は60%以上もいるのに、実際に3ヶ月以内に再受診する人は、わずか10.5%以下に留まっています。この巨大なギャップが、社会全体に深刻な「負のループ」を生み出しているんです。
個人にとっては、病気の重症化による心身の苦痛や高額な治療費。企業にとっては、アブセンティーズム(病欠)やプレゼンティーズム(出社していても不調で働けない状態)による生産性の低下や労災事故のリスク。そして社会全体では、国民医療費の増大に繋がっていく。平均寿命は延びても、本当に健康に生きられる期間である「健康寿命」との差は開いたままで、誰も幸せにならない構造です。 この原因は「症状がないから」「忙しいから」といった、未来への不透明さから来る”後回し”の心理にあります。
この課題を乗り越え、真の「健康社会」を実装するために、私たちは人々の健康への向き合い方そのものを変革する、以下4つのステップからなる事業戦略を推進していきます。
①企業を巻き込んだ行動の「きっかけ」作り
②ドラマを通じた感情的な「自分事化」の促進
③AIによるデータに基づく「納得感」の醸成
④行動支援とインセンティブによる「習慣化」
ステップ1は、現在の主力事業である「二次健康診断導入支援サービス」をさらに拡大・深化させていくフェーズです。これは、人々の健康行動を促すための、最も重要で強力な「入口」だと考えています。 企業に所属する従業員、特に疾患の未然予防が重要な20代後半から40代前半の方々にとって、会社を通じて提供される二次健康診断は、半ば「強制的」にでも自身の健康状態と向き合う機会になります。この企業という仕組みを活用することで、私たちは健康行動の最初の、そして最も難しい”きっかけ”を提供することができます。
はい。私たちのサービスの独自性は、「労災保険の活用タイミングを前倒しする」という点にあります。従来、事故発生後に使われていた労災保険を、事故発生前に活用することで、企業・従業員ともに負担ゼロでこのサービスを実現しています。
このステップの目的は、単に事業を成長させることだけではありません。日本中の企業を巻き込み、一人でも多くの方に健康チェックの機会を提供することで、全ての健康行動の土台となる強固な事業基盤と、今後のステップで活用する貴重なデータ基盤を築き上げること。それが、このファーストステップの役割です。
▼「二次健康診断導入支援サービス」の仕組みやメリットについて、より詳しく知りたい方はこちらの記事もぜひご覧ください!
ステップ1が企業という仕組みを活用したアプローチだとすれば、ステップ2は、より個人、つまりToCへのアプローチを強化し、健康への意識を個々人の内面から変えていくフェーズです。その中心的な役割を担うのが、私たちが新たに始めた医療ショートドラマ事業「NARRIVE」です。
健康診断の結果や数値データといった「論理的」なアプローチだけでは、人の心はなかなか動きません。「まだ大丈夫だろう」と思ってしまうのが人間です。しかし、物語の力、つまり「感動」は、人の心を直接揺さぶることができます。大切な人を失う悲しみ、当たり前の日常の尊さ。そうした感情的な体験を通じて、健康を”自分事化”してもらう。それがこのステップの狙いです。
二次健康診断の対象ではない健康な方々も含め、より幅広い層にアプローチし、健康への興味・関心の裾野を社会全体に広げていく。論理の「ステップ1」と、感情の「ステップ2」。この両輪を回すことで、私たちはより多くの人々の行動変容を促すことができると考えています。
▼「感動」を通じて健康を”自分事化”する。この挑戦を形にした医療ショートドラマ事業「NARRIVE」の第一弾作品や今後の展望については、こちらの記事で詳しくご紹介しています!
▼YouTube
https://www.tiktok.com/@narrivedrama
▼Instagram
https://www.instagram.com/narrivedrama/
ステップ2で健康への関心を持った方々が次に抱く疑問は、「じゃあ、自分は具体的にどうなの?」ということです。この問いに答えるのが、ステップ3です。ここでは、私たちが将来的に開発を目指す「未来予測AI」を中心としたSaaSプロダクトが鍵となります。 漠然とした不安を、具体的なデータによって「見える化」する。AIが個人のデータを基に、将来の健康リスク、例えば「このままの生活を続けると、5年後に心筋梗塞になる確率は何%で、その際の平均的な治療費はいくらか」といったことを、「定量的」かつパーソライズされた形で提示します。
はい。その基盤となるのが、生成AIを活用した「OCR解析技術」です。現在、企業ごとにバラバラなフォーマットで存在する紙の健康診断結果を、安価かつ即時にデータ化する技術開発を進めています。 この技術によって得られたデータを活用し、ユーザーが「なぜ今、行動すべきなのか」を深く理解し、”納得感”を持って次の行動に移れるようサポートする。一人ひとりの健康状態の解像度を極限まで高め、主体的な意思決定を後押しするのがこのフェーズの役割です。
ステップ3で得た納得感を、具体的なアクションへと繋げ、それを「習慣化」させることが、この最終ステップの目的です。ここでも、ステップ3のSaaSプロダクトが中心的な役割を果たします。
まず「行動支援」として、AIからの提案に基づき、必要なアクションをシームレスに提供します。例えば、病院に行くべきフェーズだと判断されれば、オンライン診療サービスと連携し、最適な医療機関の検索や予約までをサポートします。また、予防からアフターケアまでを一気通貫で支える包括的なサポート体制の構築も構想しています。
そこが最も重要なポイントです。私たちは、健康改善に向けた行動を継続できたユーザーに対し、インセンティブ(ポイントなど)を付与する仕組みを構想しています。AIアバターが対話形式で食事や運動を提案し、「調べる」手間を削減し、達成すればポイントが貯まる。そのポイントで趣味や消費活動が楽しめる。 これは、「健康になることがゴールではなく、健康を生活の手段へ」と意識を変革させるための重要なアプローチです。予防医療が特別なものではなく、誰もが日々行う「当たり前の習慣」として社会に根付いていく。そのための最終フェーズが、このステップ4です。
この4つのステップがすべて実現された時、私たちのビジョンである「治療から予防がベースの世界」は、当たり前のものになっているはずです。人々は病気になってから慌てて病院に行くのではなく、日々自身の健康状態を把握し、ごく自然に予防行動をとっている。その結果、平均寿命と健康寿命の差は縮小し、予防可能な疾患による医療費や社会損失は大幅に削減されている。私たちが創りたいのは、まさにそんな社会です。
私たちは、二次健康診断(約3,600億円)市場から始まり、最終的には「生活インフラ」という無限大の市場を目指しています。ウェルヘルスのサービスが、GoogleやAmazon、LINEのように、人々が意識することなく当たり前に使う”健康インフラ”として社会に不可欠な存在になる。その先には、グローバル展開も視野に入れています。
何よりも大切なのは、私たちのビジョンと、その根底にある「人の命を救いたい」という想いに心から共感してくれることです。そして、会社の成長と自身の成長を重ね合わせ、この大きな挑戦を楽しめること。 これからジョインしてくださる方々には、この未来創造のプロセスそのものを、中心的な役割を担いながら体験するという、何物にも代えがたい経験をお約束します。